ビジネスで使える5つのコンテンツ効果測定手法を分かりやすく解説
インバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングの観点から「コンテンツ」への取り組みが重視される時代になっています。Web運用において効果測定は大きなポイントですが、コンテンツの評価に関してどのようにすれば良いか分からない方も多いのではないでしょうか。
ここではコンテンツの効果測定の現状を検証し、実践で使えるコンテンツ効果測定を紹介していきたいと思います。
コンテンツマーケティングの悩み
実施企業の課題は企画力不足、制作スキル
コンテンツに関する取り組みが盛り上がっている昨今、これに関わる多くの調査が実施されています。その中からいくいつか、興味深いものを紹介していきましょう。
最初に紹介するのは、2015年12月に行われたヤフー株式会社による自主調査「コンテンツマーケティング1,000人実態調査」からです。コンテンツマーケティングの実施者と非実施者、1,030人を対象に行われました。
まずは「コンテンツマーケティングの課題」に関する質問です。「企画力不足」が一番で、次いで「コンテンツ制作スキル不足」「ノウハウ不足」となっています。
売上効果が期待できないからコンテンツマーケティングをやらない
そして、次に実際にコンテンツマーケティングを実施しない企業の理由に関する調査結果です。
「コンテンツマーケティングをそもそも実施していない層」に対しても、実施しない理由が尋ねられています。1位は「売上効果が期待できない」とほぼ同率で「効果測定が不透明」というのが挙げられています。そもそも効果測定が十分にできない取り組みは実施できない、という訳でしょう。
出典:コンテンツマーケティング1,000人実態調査:Web担当者Forum
効果を図る指標がない
他のコンテンツマーケティングに関する調査も見ていきましょう。デジタルホールディングの100%子会社、株式会社グルーバーが2015年の春に行った「広告主のコンテンツマーケティング実施動向調査」からです。
「コンテンツマーケティング施策の課題」という問いに対して、「効果を測る指標がない」がトップになっています。半数以上がこれを選んでいますので、なかなか深刻な状況です。
引用元 株式会社デジタルホールディングス
さらに別の調査も見ていきましょう。次のグラフは、高機能のSEOツールを提供するGinzaMetricsが発行する、「コンテンツマーケティング調査レポート2016年版」からの抜粋になります。「コンテンツマーケティングを進めるに当たり困っていることは?」という質問です。
ここでも「KPI測定/パフォーマンス評価」が、「企画力/編集等のスキル/ノウハウ不足」「リソース不足」にほぼ並ぶ形で悩みのトップ3の一角を占めます。
コンテンツマーケティングの効果測定
このようにコンテンツマーケティング実施企業も非実施企業も「効果測定」が大きな悩みとなっていることがわかります。つまり効果測定ができればコンテンツマーケティングに対するROIが図れるわけです。
では実際にコンテンツマーケティングを実施している企業でどのように効果測定を行っているのでしょうか?
ヤフー株式会社の「コンテンツマーケティング1,000人実態調査」から「コンテンツマーケティングの効果指標」に関する質問結果をご紹介します。
1位は「ウェッブサイトのトラフィック」です。
これはPVや訪問数(セッション数)という、基本中の基本と言える指標です。また現在は、単独ではあまり重視されなくなっています。
2位は「ブランド認知向上」となっています。
認知というのは通常計測が難しい指標なので、ここでも具体的にどういった指標で効果測定が行われているかは見えてきません。このデータを見ても、各企業の担当者はコンテンツの効果測定にかなり苦戦し、やむを得ずトラフィックを選択しているケースが多い、という姿が想像できます。
効果測定に悩みが多いという姿が浮き彫りになってきました。
それではこの記事のメインとなる、コンテンツの効果分析を行うためのさまざまな方法、指標についてご紹介していきましょう。
コンテンツを評価するためのさまざまな指標
ヒートマップ
コンテンツマーケティング、インバウンドマーケティングを行う企業で採用が加速している「ヒートマップ」は、コンテンツの効果測定に非常に力を発揮します。
「スクロール」でどこまで閲覧されたか。また「熟読(ルッキング)」でどの部分をよく見られているかといった、ページ単位の分析していきます。スクロールされている割合が高く、かつ下の方もよく見られているようだったらそのコンテンツに価値あり、という一定の評価を下しても良いでしょう。
また提供者がそのコンテンツのポイントと思っている箇所とユーザーのアクションがマッチしているかというのも、ヒートマップを使えば視覚的に分かりやすく出てきます。
以前は、変数が使えるアクセス解析ツールを使いスクロールや熟読エリアを独自で計測していく方法をリードプラスでは実施していましたが、ヒートマップツールの発展により本当に楽になりました。
さてヒートマップツールは現在数多く出ていますので、導入時に迷うかもしれません。
関連記事:需要が高まるヒートマップツール。基本から実際の利用方法までを解説
リードプラスではコンテンツの効果測定の際には、熟読箇所が細かく出たり、レコーディングもできる「hotjar」を比較的標準で使っています。
参考URL: hotjar
いくつかhotjarを採用する理由はありますが、以下の点に優れています。① HubSpotとなどのMAツールとの連携に優れている、②クリック、ムーブ、スクロールなどを確認できる、③実績がある(Microsoftやニンテンドーなど)、④デバイスタイプごとに分析ができる、⑤ファネルの分析ができる(弊社ではHubSpotでやっていますが)
どのヒートマップツールも優れた点が違いますので、いろいろと試して自社にあうツールを選定してみてください。
ソーシャルシェア
実際にユーザーにどのくらい支持されているコンテンツかを見る場合は、ソーシャルメディアのシェア数(「いいね」なども含む)も頼りになります。
実際にオウンドメディアによっては、このシェア数を記事の良し悪し、ライターの評価基準に採用している企業もあります。
準備としては、記事ごとにソーシャルボタンの設置を付けることが必要です。なおこうしたボタンは仕様変更が行われる場合がありますから、その情報を常にキャッチアップするようにします。
検索順位(SEO)
コンテンツマーケティングは、SEO対策の一環という位置づけで取り組んでいる企業も多いでしょう。狙ったキーワードで検索順位が上位になるのは、その目的を果たせている証ですが、同時に効果測定としても使えます。
一般的に狙いを定めたキーワードは検索結果上位になることで流入が増え、コンバージョンすることが予測されます。
たとえばリードプラスでは、お客様に対してキーワード設計を行ったそれぞれのキーワードが全体でいくつあり、3位以内に入ったキーワードの総数、10位以内に入ったキーワードの総数をリアルタイムでトラッキングしています。
そして検索順位が落ちるようなことがあれば、すぐにコンテンツの見直しに入ります。以前は検索順位のチェックと言えばSEOのためだけの取り組みといった感じでしたが、コンテンツマーケティング時代の今は、遥かに大きな意味を持つようになっています。
CTAクリックとランディングページでのコンバージョン
コンテンツを使ってSEO、リードナーチャリングなどと言っても、企業が実際に欲しいのは「売上」です。
もっとも美しいストーリーは、コンテンツを検索エンジンなどから流入させ、そこで「資料請求」や「資料ダウンロード」、「問い合わせ」といった何らかのコンバージョンをさせることがインバウンドマーケターにとってのゴールです。
そのためにはコンテンツの閲覧数だけでなく、コンテンツに配置するCTAの閲覧率やクリック率を効果測定に用いることが基本になります。
もちろんCTAをクリックした後に表示されるフォームを含むランディングページからのコンバージョン数やコンバージョン率などを効果測定に用いることも忘れてはいけません。
このような指標は、インバウンドマーケティングを実践している弊社のお客様では必須の指標となっています。
CTAクリック率が低い場合には、コンテンツにマッチするオファーが不適合であると判断してオファーを変えたり、A/Bテストを用いてCTAのコピーを変えたりということを実際に行っていきくわけです。このような細かな積み重ねを通じて大きな波を作ることが重要ということになります。
マーケティングオートメーションツールで全体を俯瞰する
これまでは「単ページ」「単体のコンテンツ」ごとの効果測定を紹介してきました。
対してサイト全体のシナリオがうまく機能しているのかを把握することを忘れてはいけません。コンテンツマーケティングの効果測定は、最終的には会社の売上に貢献しているかに他なりません。
そのためにまずは流入数を向上させコンバージョンさせることに力を入れるべきですが、B2Bビジネスや購入まで息の長い商材を扱う企業においてはその顧客とのつながりが重要になってきます。そのためにはマーケティングオートメーションツールが必要不可欠になるでしょう。
マーケティングオートメーションツールを用いることで以下のような分析が可能になります。
- どのコンテンツがコンバージョンしているか
- どのコンテンツが顧客を創出しているか
- CTAの閲覧数とクリック率
- ランディングページの閲覧数とクリック率
ユーザーをナーチャリングしているかといった「繋がり」を含めたコンテンツマーケティング全体を俯瞰する効果測定には、やはり特別なMAツールが必要になります。
コンテンツを漠然としたトラフィックといった指標で見ているだけですと企業や経営者が求める効果測定には不十分な時代といえるでしょう。ビューが上がっても売上に貢献していなければ意味がないと捉えるのが経営者ですから。であれば、まずは効果を詳しく測るという意味でマーケティングオートメーションツールを導入しても良いかもしれません。
効果測定を入口にして、徐々にさまざまな施策を行う方が結果的にゴールに対して近道になるケースが多いというのが実態なのです。
基本指標も重要
ここまでアクセス解析に標準で備わっている、「基本指標」以外の方法を解説してきました。しかし基本指標が全く使えないかというと、そうではありません。いくつか例を挙げていきましょう。
セッション(訪問数)
例えば自然検索からの流入数に絞って見ていきます。SEOと、そこからの実際の集客効果が測れます。さらに新規ユーザーでセグメントをかけると、新規の集客にコンテンツがどれだけ貢献しているかも分かります。
リピート回数
既存顧客がどれだけ継続してコンテンツに訪問しているかを見ていきます。完全なナーチャリングまでは可視化できませんが、訪問を基準にしたページの経路を見ていく事で、シナリオ通りの動きをユーザーがどのぐらいの割合でしているかといった判断目安にもなるはずです。
このように基本指標にセグメント等を組み合わせる事で、コンテンツの効果測定がより深くできるようになります。また基本指標ではありませんが、Googleアナリティクスは「コホート分析」のレポートも標準で提供しています。これは継続率を見るものですので、コンテンツに対してどれだけ継続しているかを見ていっても良いでしょう。
コンテンツマーケティングプラットフォーム
何を指標として捉えるべきかをご紹介してきました。
これらをトラッキングするには高度な分析能力が必要に思われがちですが、実はすべての分析機能やCMSなどの機能をHubSpotでは提供しています。
ちょっと宣伝ぽくなってしまいすみません!
たとえばHubSpotは単なるMAツールの機能だけでなく、分析機能が豊富なCMS機能 HubSpot COSを提供しています。
そして、MAツールですので全体を俯瞰することはお手の物というわけです。
まとめ
コンテンツに対する効果測定の方法をいくつかご紹介して来ました。コンテンツマーケティング、インバウンドマーケティングの基本は売上に貢献することに他なりません。
そのためにコンバージョンとナーチャリングが重要になります。そして、そのためのセッション数やユーザー数の向上ということになります。
これら全体を俯瞰してとらえて、効果指標を策定することが重要なのです。
また、コンテンツ企画は「どういったものを作るか」「誰に作ってもらうか」「予算はどれぐらい必要か」といったものに目がいきがちですが、自社の狙うべきペルソナ像を明確化していきコンテンツを企画することも忘れてはいけません。