マーケティングファネルとTOFU,MOFU,BOFU施策のポイント
近代的なマーケティングを行うためには、必ず自社の基準となるファネルの定義が必要になります。
ファネル(漏斗)とは、液体を容器に入れる際に使われる逆三角すいの形をした用具のことで、マーケティングにおいて上流からユーザーを流し込み見込客から受注へと段階的に絞り込む様子を例えて「マーケティングファネル」と表現されています。
このマーケティングファネルの定義がないとユーザーの置かれている状況に関係なく無闇に関係ないメールを送ったり、BDRチームが無駄な電話をしたりと非効率な活動が増えてしまいます。本来、顧客から愛されるべき活動を行うマーケティング部門が、ファネルを意識しない行動をとることで顧客から嫌われかねないのです。
今回はインバウンドマーケティングを成功に導くためのマーケティングファネルの一般的な考え方やそのポイントに関してご紹介します。
マーケティングファネルとは
初めは大きな対象を捕捉してから、お客様の状況に応じて必要な情報を提供することで最終的に顧客になってもらう必要があります。見込み客から購買へと絞り込まれる状態を「マーケティングファネル(Marketing Funnel)」と言いマーケティング担当者は、いかに自社のファネルに集客し、消費者行動心理に応じてリードナーチャリング(見込み客育成)を行い、顧客化していくかを常に考える必要があります。マーケティングファネルは、購買ファネル(Purchase Funnel)などと言うこともあります。
インバウンドマーケティングの概念では、まだ購入の意思はないけれども興味はある潜在顧客に対して「TOFU」、見込客に対して「MOFU」、より購買に近い「BOFU」とステージを定義しています。このようにステージを設ける理由は、ユーザーの状態(購買意欲)は多岐にわたり、提供すべき情報もそれに合わせていく必要があるからです。マーケティング担当者は、TOFUにおいて顧客に興味を引くコンテンツを提供して、徐々にMOFU、BOFUへと誘導していく必要があります。
また、顧客化したからと言ってマーケティング担当者の業務は終わりません。顧客に対して、いかにサービスを提供していくかも重要です。この顧客ステージをCOFU(Customer of Funnel)と呼びます。
ここでは「TOFU」「MOFU」「BOFU」について知識を深めたいと思います。
TOFU(Top of Funnel)
最初のステージTOFU(Top of Funnel)は、自社のWebサイトを見つけてもらい流入を獲得するステージです。このステージでは非接触者(Strangers)のユーザーを潜在顧客(Visitors)に変換することに注力します。TOFUで潜在顧客(Visitors)を増やすためには、ユーザーに認知してもらうための仕組みと興味を引くコンテンツの提供を行います。コンテンツを作成し、SEO対策やSNSへの投稿、広告などを通じてユーザーを呼び込み興味を引きましょう。
TOFUにおける主な施策
- オウンドメディアを通じて興味を引くコンテンツを公開
- 検索エンジンに見つけてもらうためのキーワードを想定
- コンテンツのSEO対策
- 簡単に情報をシェアしてもらう仕組み
- ソーシャルメディアを活用した情報の拡散
- インフルエンサーを見つけて交流
- メールアドレスを中心とした最低限の個人情報の取得
- 必要に応じて広告の展開
- プレスリリースなどを通じたメディア連携
ここでのポイントは、説得力があり問題を解決できるコンテンツを用意することが重要です。いきなり製品のデータシートや評価版のダウンロードなどでコンバージョンを取得しようとする企業もありますが、これはファネルの最終段階であるべきでしょう(もちろん売りたい製品の性質により異なります)。
MOFU(Middle of Funnel)
2つ目のステージMOFU(Middle of Funnel)は、ユーザーは興味を持ちサイトにリピート訪問するステージです。この段階のユーザーを見込客(Leads)と呼びます。MOFUは、ユーザーが購入を検討し意思を固める重要なフェーズです。TOFUで提供したコンテンツのより深い専門的な情報の提供や自社製品の認知を高めるコンテンツを提供しましょう。また、ユーザーの課題を明確化していき最適なコンテンツを心がけることでユーザーと信頼関係を築いていくことが重要になります。
MOFUにおける主な施策
- 継続的に交流可能な仕組みの提供(ブログ購読、SNSヘのフォロー)
- ユーザーの課題などより深い情報の取得
- 課題を解決するためのより深いコンテンツの提供
- ソーシャルメディアを活用した交流
- パーソナライズされたサイトやコンテンツの提供
- ユーザーの状況に応じたワークフローの構築
より深いユーザーの属性を獲得する仕組みを提供することでユーザーの状況を理解することが重要なフェーズです。そのためのTOFUよりも専門的なコンテンツを無料で提供します。また、ユーザーは多数ある企業のなかから御社の存在などすぐに忘れてしまう可能性があります。ブログのサブスクリプション登録やTwitter、Facebookなどへのフォローを推薦し継続的な交流を誘発することも忘れてはなりません。MOFUでは、BOFUヘと誘導するためのフローを事前に定義して購買意欲を徐々に高めていきましょう。
BOFU(Bottom of Funnel)
3つ目のステージBOFU(Bottom of Funnel)は、見込客(Leads)が御社に信頼を深めて購入に向けた動機付けを行うステージです。この段階でユーザーは、製品やサービスに興味を持ち、より深い情報を知りたいと思っているはずです。
この最後のステージでは購買に結びつけるクロージングプロセスです。
BOFUにおける主な施策
- 詳しい製品やサービス情報およびその関連情報の提供
- オファーの明確化
- 連絡先の明確化と問い合わせのしやすさの提供
製品やサービスの情報、ウェビナーを通じた製品情報の提供や評価キット、事例などユーザーが御社の製品やサービスを導入した場合の成功イメージを提供しましょう。また、電話やメールでの問い合わせ窓口を明確化し、迅速に対応することも重要です。
上記のステージの考え方は一般的な考え方であり、企業によって違う場合もあるのでご了承ください。
リードプラスでは、TOFUの活動をリードジェネレーション、MOFUおよびBOFUの活動をリードナーチャリングと位置付けています。
ここで重要なのは、マーケティング担当者は、これらのステージを意識してそれぞれ正しいコンテンツを提供していくことになります。そして、ステージを進めるためのシナリオ作りがマーケティング担当者の腕の見せ所と言えるでしょう。
営業にいつパスするのか?
TOFU、MOFU、BOFUへとステージが変わるにつれてマーケティングは営業やBDRへとユーザー情報をパスすることになります。このパスするタイミングは企業の置かれている状況や方針によって異なります。
例えば、弊社の顧客である某グローバルクラウド企業では、当初、コンバージョンした瞬間に電話セールスが営業活動を行っていましたが、今ではひたすら問い合わせを目指すのみのマーケティング行動を行っています。その結果、購入直前のユーザーからの問い合わせが増えており営業効率が最大限に高まっています。RFPが問い合わせ用のフォームからいきなり来るまでになっています。今ではマーケティングコントリビューション(全売上に対するマーケティングが貢献した売上の割合)が90%近くに達しています。弊社、社内では究極のインバウンドマーケティング企業と呼んでいます。
また、某グローバルエンタープライズソフトウェア企業では、ユーザーはBOFUに移動したあるタイミングでBDR部門が電話をかけています。BDRの担当者は、お客様の課題やBANT条件などを明確化して対面営業へ引き渡すかを判断しています。結果的に購買プロセスを加速させることに成功しています。
弊社リードプラスでは、営業リソースが少ないためにブログの購読レベルでは営業活動を行いませんので是非以下のブログ購読をお願いします!
マーケティングオートメーションツールとファネルの関係
今回はTOFU、MOFU、BOFUというマーケティングファネルの考え方や概念に関してご紹介しました。この概念は、多くのマーケティングオートメーションツールで実装されています。マーケティングオートメーションツールでは、より顧客を起点にしてTOFU、MOFU、BOFUをさらに細かく分類してステージを設けていくことが可能になります。これを顧客ライフサイクルステージといいます。
次回以降で、HubSpotで用意されている顧客ライフサイクルステージについてご紹介します。