コンバージョンとは?マーケッターがおさえておきたいポイント
あなたは、マーケティング担当者としてコンバージョンについて深く理解していますか?
多くの方はユーザーがフォームに情報を入力し送信したことをコンバージョンというかもしれません。また、Eコマースを運営している方であれば「サイト上で売り上げが発生すること」だと回答するでしょう。確かに、運営しているメディアがネットショップなら、回答の仕方として間違ってはいません。
しかし、オウンドメディアの運営であれば、もっとコンバージョンについて深い知識が必要です。今回は、普段当たり前のようにマーケッターが使っていて、意外と知られていないコンバージョンの本来の意味についてご紹介します。
コンバージョンの意味とは?
そもそも、コンバージョンとは、一体どんな意味の言葉なのでしょうか?
コンバージョンとは、ウェブサイト上で発生する成果のことで、一般的にはフォームからのお問い合わせや資料請求、ネットショップでの注文がそれに該当します。コンバージョンは、運営するサイトの種類によって、定義が変わってくるため、下記の表から全体像を把握してください。
コンバージョンとサイトの種類
(サイトの種類) |
(サイト上でのコンバージョン) |
(コンバージョン後(サイト外)) |
(ネットショップ)サイト上で全ての決済が完結する形式 |
(商品購入) |
(なし) |
(自社製品やサービスの紹介が運営目的)サイト上では決済することができない形式 |
(資料請求やお問い合わせ) |
(クロージング) |
(オウンドメディア) |
(メルマガ登録、資料請求、動画の再生、アンケートへの回答など) |
(クロージング、稀に広告収入など) |
サイトの種類によって異なるコンバージョンの例
上記の表の見方について、簡単に説明しておきます。サイト上で全ての決済が完了するネットショップは、商品の購入がコンバージョンを表します。ネットショップの場合、サイトの性質からサイト外でコンバージョンすることはありません。
続いて自社製品やサービスの紹介を専門とするメディアは、決済システムがないため、訪問者の資料請求やお問い合わせがサイト上のコンバージョンとして扱われます。しかし、それでは利益が出ないためサイト外でクロージングをかけた後、成約したタイミングをコンバージョンとして扱います。
オウンドメディアは、メルマガ登録、資料請求、動画の再生、アンケートへの回答などをコンバージョンとして扱います。ちなみに、サイト外であれば、広告収入などがコンバージョンとして扱われます。
「総コンバージョン数」と「ユニークコンバージョン数」
サイトに訪れる訪問者の数をページビューやセッション数、ユーザー数で分類するように、コンバージョンも「総コンバージョン数」と「ユニークコンバージョン数」という概念に分類されます。どちらにも固有の計算方法が存在しているため、数値の違いを具体的に理解していなければ、誤った捉え方をしてしまう可能性が高いです。
「総コンバージョン数」の意味と具体例
そもそも、総コンバージョン数とは、ユーザーがコンバージョンに直結する行為を起こした回数を表します。例えば、ネットショップで、2つの商品を購入した場合、総コンバージョン数は2回と計測します。同じ利用者でも、コンバージョン回数を単純計算するため、売上の計測に必ず必要な指標です。
「ユニークコンバージョン数」の意味と具体例
一方のユニークコンバージョン数とは、利用者の数に基づき計測したコンバージョンの回数のことを表します。例えネットショップで2回のコンバージョンがあったとしても、利用者が1人であるのなら、ユニークコンバージョン数は、1回となります。ユニークコンバージョン数を明確化できれば、一定期間のコンバージョンに対してどれだけの見込み客を獲得できているのかが分かるようになります。
「コンバージョン率CVR」の意味と計算方法
一般的にコンバージョン率とは、サイトへの訪問者数のうちコンバージョンに達成した件数の割合のことを意味します。マーケティング担当者の間では、転換率やCVRとも呼ばれています。少し意味が理解しづらければ、「訪問者がコンバージョンに転換した割合」と考えてください。その転換した割合を計測するのが、コンバージョン率の計算です。
あなたが、マーケティング担当者なら、最低でもコンバージョン率の計算はできるようになっておきましょう。こういった計算ができるようになっておかないと、Googleアナリティクスの指標がどのように導かれているのか判断することができません。計算を苦手とするマーケティング担当者は多いですが、公式さえ覚えれば計算は簡単なので、ぜひ計算できるようになっておいてください。
コンバージョン率(%)=【注文数(コンバージョン数)】÷(セッション数)×100
コンバージョン率を導きたければ、注文された回数、つまりコンバージョン数をセッション数で割って、100を掛け算します。最後に、100を掛け算するのは%で数字を導くためです。
せっかくですので、総コンバージョン率とユニークコンバージョン率の計算方法もご紹介します。
総コンバージョン率(%)=【総コンバージョン数】÷(利用者数)×100
ユニークコンバージョン率(%)=【ユニークコンバージョン数】÷(セッション数)×100
コンバージョン率が明確になれば、どれだけのセッションがあれば、具体的なコンバージョン数を得ることができるのか推測できるようになります。
コンバージョンの計測に登場するセッション数とは?
今回のメインテーマは、コンバージョンですが、コンバージョン率の計算で登場するセッション数というものがどういったことを表すのか、改めてマーケティングの基礎用語をおさらいしておきたいと思います。
そもそも、セッションとは、ウェブサイトにアクセスしたユーザーが、サイト内を閲覧して離脱するまでの一連の行動をまとめたもので、セッション数とはその数のことを表します。
例えば、ウェブサイトに5回アクセスすると、5セッションとして計測します。セッションは、訪問回数や訪問数とも呼ばれているため、自分が理解しやすい言葉で意味をとらえておいてください。
「コンバージョン単価(CPA)」の意味と計算方法
コンバージョン率の計算ができるようになると、コンバージョン単価を導き出すことができます。
コンバージョン単価とは、会員登録や商品購入などの利益につながる成果を1件獲得するごとに費やすコストのことで、「顧客獲得単価」と言われています。
マーケティング用語で表現する場合は、CPA(Cost Per Acquisition)と表すことができますので、積極的に利用していきましょう。ちなみに、Acquisitionには、獲得という意味があります。コンバージョン単価は、顧客獲得のための施策を講じた際に、その施策にかかったコストを獲得成果件数で割ることで算出できます。
例えば、月間10万円のコストでリスティング広告を出稿し、そのリスティング広告から2件のコンバージョンが得られたとするなら、コンバージョン単価は5万円と算出できます。つまり、1件のコンバージョンを得るためには、5万円が必要だということです。
この数値を逆算すれば、3件のコンバージョンが必要なら広告予算として15万円が必要ということが分かります。
コンバージョン単価(CPA)=広告掲載費用÷コンバージョン数
コンバージョン単価の利用方法【費用対効果の計測】
それでは、コンバージョン単価を利用して、各施策の費用対効果について理解していきたいと思います。
キーワード① |
キーワード② |
|
キーワード |
デスクトップ |
ノートパソコン |
総費用 |
500,000円 |
300,000円 |
クリック数 |
100,000 |
60,000 |
申込み獲得件数 |
1,000件 |
300件 |
ここから非常に実践的な実例をご紹介します。
今回は、2種類のキーワードを利用して、検索連動型広告を出稿してみました。その結果、上記のような結果を導き出すことができました。キーワードの入札単価(CPC)は、キーワード①②ともに5円であることが分かります。(CPCは、1クリックあたりの費用単価のことを表すので、総費用をクリック数で割ることで算出することができます。この総費用というのが、一般的に広告費用を表す言葉です。)
ここで、コンバージョン単価を導き出す公式を利用して、顧客の獲得単価を算出してみましょう。すると、コンバージョン単価の値がキーワード①の場合、500円であることが分かります。キーワード②は、入札単価が同様でありながら獲得単価が1,000円であることが分かりました。
つまり、入札単価は同じでも効率良く申込みに結びつくクリックを獲得できるのは、キーワード①であることが分かります。
コンバージョン単価の計測ができれば、各施策の費用対効果が分かるようになります。CPAは、数字が小さければ小さいほど良い指標なので、誤って大きい数字を良い結果として報告しないようにしましょう。
コンバージョン率を改善したい!必要な施策
コンバージョン単価を計測した結果、社内予算を大幅に超える広告費用が必要であることが分かった場合、コンバージョン率を改善すれば、目標とする数字に到達できる可能性が高いです。
【事前準備】A/Bテストで改善が必要な要素を特定する
コンバージョン率の改善に関する仕事の依頼が入った場合、マーケティング担当者は通常A/Bテストを行います。A/Bテストでは、全く異なるコンセプトのランディングページが2つ以上必要になります。A/Bテストを行えば、どちらのランディングページの方がコンバージョン率が高いのか簡単に調べることができます。準備したすべてのランニングページに、Googleアナリティクスを設定し、「ページビュー数」「コンバージョン数」「離脱数」などの計測を行います。効果検証を行い、異なるランディングページから良い結果が得られたのなら、その結果を発生させるに至った要素を特定していきます。
お問い合わせが多いランディングページの特徴とは?
ランディングページからのコンバージョン率が高ければ、自社の売上は自然と伸びていくでしょう。見込み客からのお問い合わせが多いランディングページにはどのような特徴があるのでしょうか。その特徴を下記にまとめてみました。
- ファーストビューに、見込み客がほしいと思う情報が明確に掲載されていること。
- キャッチコピーが見込み客の核心を突き、興味性を最大限に引き上げること。
- 美しい画像によってビジュアル要素で、強く目を引くこと
- 制作したコンテンツの全てに、整合性があること。
- 専門家による権威付けがあること。
- 商品やサービスを利用することで、明るい未来を歩む姿が見えること。また、問題を解決できている自分が想像できること。
- 行動に対するベネフィットが入っていること。
- アクションを誘発するようなボタンを、設置していること。
- 他社と比較した時にコンテンツのボリュームが多すぎず、少なすぎないこと。
- 全体的に配色を考えて構成されていること。
- 全額返金保証など、行動に対するハードルが下がる文言が入っていること。
- ありきたりなFAQ(よくある質問)ではなく、真の意味で質問したことが反映されており、その回答が明確に書かれていること。
- エントリーフォームに無駄がないこと。
お問い合わせフォームへの導線設計とは?
ランディングページの直帰率が高くなってしまう最大の問題は、導線設計にあると考えて間違いありません。最優先して改善すべきは、ファーストビューと呼ばれる入口ページです。ホームページを開き、コンテンツに対して少しでも違和感があると、見込み客はすぐにブラウザの戻るボタンを押して直帰してしまいます。例えば、どれだけ優れたコンテンツを制作したとしても、サイトの表示速度が遅くなればそれが離脱の原因となってしまいます。お問い合わせフォームまで、確実に見込み客を導くためには、目標を達成するための導線設計が絶対に必要です。導線設計のポイントは、下記3点に意識を置くことが大切です。
ランディングページの使いやすいさ
多くの企業のホームページをコンサルしていると、「ランディングページの上部にメニューを設置しているから、サイトの使いやすさについては問題ない。」と断言される方がいます。お問い合わせフォームに遷移しようと思うタイミングは、サイトに訪問した見込み客によって違います。また、Googleアナリティクスを使って解析される方なら、意外にもメニューがクリックされていないことをご存知だと思います。そのため導線を改善したいのなら、コンテンツの各所にお問い合わせフォームへのボタンを適切に設置することをお勧めします。
ランディングページの見やすさ
今回の場合、ランディングページを作成する目的は、ペルソナで設定した見込み客に対して、お問い合わせという行動をとってもらうことです。目的とする行動とってもらうためには、掲載されるコンテンツが誰にとっても分かりやすくなければいけません。よく見かける失敗が、ランディングページを作成する予算がないからとパワーポイントで作成した資料をそのままコンテンツとして掲載するといったものです。非常に見づらく、デバイスを変えると、まともに文字が見られない状態です。「お問い合わせを増やす」という結果が出なければ、ランディングページを制作する意味がないので、コンテンツの見やすさには最大限こだわっていきましょう。
ランディングページの分かりやすさ
見込み客に対して目的の行動をとってほしければ、分かりやすい言葉で明確に伝えるべきです。
- 使用請求をしてほしい。
- お問い合わせをしてほしい。
- メルマガに登録してほしい。
- 決済をしてほしい。
- 電話をかけてほしい。
最終的に達成したい目的によって、ランディングページ上での表現の仕方が根本的に異なります。どんな目的を達成したいが故に、何を分かりやすく表現する必要があるのか明確化していきましょう。
利用したくなるお問い合わせフォームとは?
気付いたら利用したくなるお問い合わせフォームとは、どんなものでしょうか?その特徴を挙げていきますので、自社のお問い合わせフォームを確認してください。
- スクロールせずに入力できる。
- 現在が、どの位置なのかステップチャートを掲載している。
- 何のフォームなのか明示している。
- お問い合わせページには、サイドバーやグローバルメニューを表示していない。
- 不必要な項目を全て削除している。
- 入力必須の項目は、言葉で「必須」と掲載している。
- 任意の項目は、「任意」と掲載している。
- 記述例を掲載している。
- 入力中は、フォームの色を変化させている。
- 入力ボックスを分けない。
- 郵便番号は自動入力にしている。
- 全角半角はシステムで、自動変換している。
- 無駄な空白は、自動削除している。
- 都道府県は、ドロップダウンリストから選択できる。
- 入力確認ボタンは、極力大きく表示している。
- 意味のないキャンセルボタンを設置していない。
- ボタンの文言は見やすく掲載している。
- 基本ルールに従い送信完了ボタンは右側に設置している。
- エラーはその場で表示している。
- SSLを導入している。
たった1ページの問い合わせでも、気にするべきところはたくさんあります。そのため、改善できるところから修正していきましょう。
目的意識をもってコンバージョンを改善していこう
マーケティング担当者は、目標を達成するためにもコンバージョンに対して、こだわりを持っておくべきです。コンバージョンは、施策を成功に導くうえで、欠かせない指標なので、常に数値化して問題点を明確にしていきましょう。