コンテンツマーケティングとは?手法や活用法、実施の流れなどを徹底解説!
コンテンツマーケティングは、インターネットの発展に伴い、近年注目を集めている手法です。価値のあるコンテンツを通じて潜在層にアプローチし、顧客を育てながら、最終的に購買活動にまで繋げます。この記事ではコンテンツマーケティングの概要や始め方、注意点や具体的な事例などをご紹介します。さらにコンテンツマーケティングを始める際に役立つツールもご紹介しています。ぜひこの新しいマーケティング手法を理解し、自社のビジネスにお役立てください。
コンテンツマーケティングとはどんな手法か
近年、ネットでの情報発信のコストが大きく下がると共に、SNSなど消費者が触れるチャネルの種類が急激に増えてきました。そこで企業自身がイニシアチブを取り、さまざまな方法で情報を届けることができるようになったのです。この状況を活かし、価値のある情報を提供することで、自社のサービスやブランドイメージを提供し、潜在顧客をファン化させる手法がコンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティングを実施することで、すでに買う気が満々の顧客だけでなく、そもそもあまり関心を持っていないような層からも信頼を得ることが可能です。その結果、長く続く関係性や実際の購買に繋げることができるのです。
そのために必要となるのが、顧客に寄り添った形のコンテンツを制作することです。企業側が発信したいことを勝手に届けるだけでは、コンテンツマーケティングは成功しません。あくまでも顧客のニーズに合わせ、顧客が得たい情報にフォーカスする姿勢が大切です。 また、情報が伝わるルートが増え、動画や画像などの表現も多様化しているため、発信の方法も1つや2つでは足りません。いくつもの方法を用い、連携させることもコンテンツマーケティング成功の秘訣です。そのため、施策に関わる全体像を決めたり、円滑に運用させるための組織作りを行うことも必要となるでしょう。
コンテンツマーケティングは従来の手法との違い
これまでのマーケティングでは、顧客に自社商品やサービスの告知をするのに有効だと言われてきた主要な手法が広告でした。経済成長の中、購買意欲の高い顧客を一気に取り込むためには、いわゆる4マスと呼ばれるテレビ、ラジオ、新聞、雑誌が効果的な媒体でした。 しかし、こうした広告には時間や誌面の制約があり、企業が伝えたい情報を不特定多数に一方的に伝えるだけで終わってしまいます。社会の成長が落ち着き、モノが溢れ、生活スタイルや価値観の多様化が進んでいくと、顧客の求める情報と企業が発信する情報との間にズレが生じてきます。 同時に広告を続けるためには大きな費用が必要です。まして顧客が欲しい情報とのズレが大きくなれば、費用対効果も悪くなってしまうでしょう。
それに対してコンテンツマーケティングでは、一方的に情報を送るのではなく、多様なニーズやスタイルを持つ顧客に寄り添い、関係性を作っていきます。情報が欲しいユーザーに対して、ユーザーが望むタイミングで必要なコンテンツを届けるのです。それによって自社商品やサービス、あるいは自社そのもののファンになってもらうことを目指します。
コンテンツマーケティングでは、いきなり何かを売り込むのではなく、最初に信頼関係を作るのです。商品やサービスを購入しなくても、その人の悩みが解決したり、生活を豊かにするための支援をします。多様化したライフスタイルを持つユーザーに寄り添い、段階的に少しずつ育て、その上で、商品やサービスを購入してもらえれば、さらに良い結果になるということが伝わり、顧客は喜んで購買行動に出てくれます。
なぜコンテンツマーケティングが注目されるのか
コンテンツマーケティングは、なぜ今非常に注目されているのでしょうか。ユーザーの多様化や広告コストの負担など、その背景はすでにいくつかをご紹介しましたが、非常に多くの要素が絡み合っているため、ここであらためて整理をしてみましょう。
SNSやニュースアプリの普及
FacebookやTwitterなどのSNSや、ニュースを配信するアプリの登場で、人々が受け取る情報のチャネルの種類や量が爆発的に増えました。これらを通じて排出される広告は、今や従来のテレビや新聞などのマスメディアを凌ぐ勢いがあります。
また、SNSでは企業が作った価値あるコンテンツもシェアされます。これは広告掲載費がゼロでありながら、時には広告以上の効果をもたらす新しい方法です。さらに最近では、広告自体をシェアしてもらうという方法も活発です。まさに進化中と言えるでしょう。
ユーザーが賢くなり広告も見なくなった
ネットでの情報取得が拡大するにつれ、企業が一方的に発信する広告への信頼度が下がりました。それよりネットの中での評判や、知っている人のコメントを重視するようになったのです。
欲しい情報を欲しい時に探す時代に、向こうからやってくる広告は時に邪魔な存在です。広告を見なくなったり、軽視するようになると、企業としてはそれ以外の方法を模索せざるを得ません。そこで、押し売り型ではなく、情報が欲しいユーザーに合わせた手法のコンテンツマーケティングが注目されるようになったのです。
Googleの上位表示を狙うため
さて、こうしてユーザーの期待に応えるためには、検索結果での上位表示を目指すのが王道です。今や検索と言えばGoogleです。Googleは常に検索順位のアルゴリズムを改善していますが、近年、これまでの被リンクやサイト単位での評価に代わり、コンテンツ単位での評価が重視されるようになりました。簡単に言えば、閲覧した人に支持されるページ、閲覧した人の「知りたいことに答えるページ」が高い評価を得るということです。正しくコンテンツマーケティングを進めれば上位に表示され、上位に表示されるためにはコンテンツマーケティングを知らなくてはならない、というわけです。
潜在層や無関心層へのアプローチ
コンテンツマーケティングの特徴は、「今すぐ買いたい」ユーザーだけではなく、「何となく関心がある」、あるいは、「ほとんど関心がなかった」、というユーザーにもアプローチができということです。
誰もが対象になるコンテンツマーケティングでは、面白動画などの緩いコンテンツでも武器になります。例えば、社員みんなで踊った動画などは、自社に対する親近感を高めるという効果があるでしょう。それだけでは単なる動画で終わってしまいますが、そこで生まれた接点をキッカケに、少しずつ自社を知ってもらえるよう段階的なメニューを用意すれば、立派なコンテンツマーケティングであると言えます。
コンテンツマーケティングの歴史とは
コンテンツマーケティングという言葉自体は、最近になって生まれたものですが、その概念に近しいものは、古くから存在していました。 例えば、今から100年以上前の1890年代に、アメリカの農機具メーカーが、「The Furrow」という雑誌を発行していました。そこでは自社の農機具の紹介ではなく、新しい技術や農家として成功するノウハウなどを掲載していたのです。
そしてその数年後となる1900年、今では多くの人が知っている「ミシュランガイド」が生まれました。ミシュランガイドはタイヤのメーカーであるミシュランが発行する情報誌ですが、そこに自社製品であるタイヤの押し売りはありません。ミシュランガイドは、車のオーナーに役立つメンテナンスや観光情報を集めた冊子で、当初は無料で配布されていました。現在はレストランガイドとして有名ですが、必ずしも「今すぐタイヤを買う」人だけの冊子ではありません。タイヤ購買に関する潜在層や無関心層も将来の顧客候補と捉え、まずは信頼関係から築いていくという、コンテンツマーケティングの本質をいく冊子です。
ミシュランガイドの発行によって、ミシュランの名前は多くの人の知るところとなりました。タイヤなど一度も購入したことがない独身女性の方がミシュランという企業名をよく知っている、というぐらい、ミシュランのコンテンツマーケティングはこの冊子の発行によって大成功を収めているのは周知の事実です。
その後、多くの企業でこのような雑誌やラジオ番組など、いわゆる4マスを使ったコンテンツマーケティングを行ってきました。そして今では、主な舞台をインターネットに移し、デジタルを活用したコンテンツマーケティングが盛んになっているのです。
コンテンツマーケティングのメディア
現在、コンテンツマーケティングはインターネットを中心に展開される手法となりました。ここでは、どのような形でコンテンツを届けているのか、具体的に説明します。
まず大きな枠として、コンテンツを届けるメディアは、3種類に分類されます。複数のメディアを使うのは、コンテンツマーケティングでは「今すぐ買いたい」顧客から「ほぼ無関心」まで、さまざまな顧客を対象にするため、相手に適したコンテンツを、適したメディアで伝える必要があるからです。たとえ内容的に同じような情報であっても、相手に最適化させた形でコンテンツを作ることが必要になります。
どれか1つのメディアを利用するより、3つのメディアを使い分けることで、コンテンツマーケティングの効果がさらに発揮されるでしょう。
オウンドメディア
オウンドメディアは、英語で「Owned Media」。Ownedは、自分が所有しているという意味があります。つまり、企業が自社で所有している情報発信用のメディアがオウンドメディアというわけです。
オウンドメディアとして使えるものは多岐にわたります。最も一般的なものとして、Webサイト、ブログ、メールマガジンなどがそれにあたります。ネットだけではなく、紙のパンフレットやチラシ、リーフレット、広報誌なども含まれます。もともとはこちらの方がオウンドメディアとして先に活用されていました。
これらの中で、現在オウンドメディアの主役として位置付けられているのが、記事投稿型のWebサイト、いわゆるブログです。もちろん日記という意味でのメディアではなく、さまざまな情報が雑誌のように日々更新されている情報メディアとしての位置付けです。
通常のWebサイトでは企業紹介や商品やサービス内容がメインとなるため、必ずしも顧客にとって有益な情報ばかりということにはなりません。また商品が並んだECサイトでは、販売のための情報がどうしても多くなってしまうでしょう。
コンテンツマーケティングでは、顧客にファンになってもらうことが目的です。その目的のために全てのコンテンツが作られている、そんな専用メディアが有効なのです。
このようなブログを活用したオウンドメディアには、顧客の生活に有益になる情報を掲載します。何か知りたいことがあった時、それに答える情報を提供することで、顧客との関係性が作られます。そのためオウンドメディアでは、自社の商品やサービスを全面に押し出す手法は、できるだけ抑えるようにしておきます。
なお、オウンドメディアには多岐にわたる情報量が必要なため、すぐに効果を期待するわけにはいきません。一般的には、最低でも100記事以上は必要であると言われています。これは、顧客の悩みや知りたい内容が広い範囲であることや、顧客でさえ気が付かないニーズが存在するためです。最終的にはどれだけ記事数があっても、それで完成となるものではありません。情報の鮮度を保つためにも、永続的に運営をしていくことが大切です。
ペイドメディア
ペイドメディアは、英語では「Paid Media」です。Paidは、支払いをするという意味があります。つまり、企業がお金を払って情報を掲載させてもらうというのが、ペイドメディアです。 ペイドメディアには、マスコミに掲載される広告のほか、ネットでのバナー広告、検索結果や記事の内容に紐付いて自動的に表示されるWeb広告が含まれます。
しかし従来的なテレビCMや新聞などの広告では、時間やスペースの問題で情報量に制限があります。それに対して、近年よく使われるようになったのが、ネイティブ広告(ネイティブアド)です。
ネイティブ広告は、バナー広告やWeb広告と異なり「いかにも広告と分かる」広告ではありません。一般のサイトの記事のような体裁を取り、自然な形で閲覧者に提供されます。もともと、新聞や雑誌でも「記事広告」と言って、一般の記事のスタイルを取った広告の手法がありました。情報を扱うWebサイトに、こうした記事をタイアップで掲載することは、その延長線上にあると言えます。
さらにインターネットの場合、ネイティブ広告にはそれ以外に大きな機会があります。それが「記事へのリンク」です。記事自体はオウンドメディアに掲載し、その記事へのリンクを、ニュースを扱うWebサイトや個人が運営する趣味性の高いブログに掲載することができます。
またFacebookやTwitterなどのSNSではさまざまなユーザーの投稿が流れてきますが、そこにさり気なく広告を流すことも可能です。これらの広告は、SNSの利用履歴やユーザーの登録情報を元に、そのユーザーの関心や属性に近い内容がカスタマイズされて公開されます。そのため、高い反応率を引き出すことが可能になるのです。
オウンドメディアは見つけてもらうことが必要ですが、ペイドメディアでは、他のメディアやSNSの力をお金で借りて、こちらから接点を作る攻めの方法となるものです。瞬間的に効果が出る、広範囲の潜在顧客に知ってもらえるのが利点です。
アーンドメディア
アーンドメディアは、英語で「Earned Media」。Earnedは、信用や評判の獲得という意味があります。近い距離感で共感を持ってもらうための手段が、アーンドメディアです。
オウンドメディアやペイドメディアは、一般の広告よりはフレンドリーですが、やはりお金をかけた企業のもの、という位置付けは逃れられません。それは結局、企業の管理下にあるからです。
それらに対しアーンドメディアは、企業の管理下ではない、ユーザーが自分で発信している口コミや評判のことを指します。 かつては一般ユーザーがインターネットで発信するためには、自分でWebサイトやブログを立ち上げる必要がありました。しかしSNSの登場で、その敷居は大きく下がりました。最近における最も大きな動きは、Instagramでしょう。「インスタ映え」は流行語にもなりました。ユーザーがお店でキレイな写真をアップすると、それが大きな宣伝効果となって、宣伝費をまったくかけずに連日お店が満席になる。そんな光景も珍しくなくなりました。
こうした口コミや評判などは、企業側がお願いするだけでは広がりません。いかに顧客に気に入ってもらえるかどうかが勝負です。企業の管理下にないからこそ、それを閲覧したユーザーに、発信者と同じような信頼感が生まれます。これがまさに、Earned=信用や評判を獲得するためのメディアと言うわけです。
特にSNSでは、企業もまた参加者の一員としてふるまうことができます。発信をしてくれた人にコメントやいいね!のアクションを取ったり、顧客も企業のアカウントをフォローしたりすることで、拡散のお手伝いもしてくれます。そうしたコミュニケーションもまた、顧客との信頼関係を強める手段となります。
マルチメディア(映像や音楽など)
さて、コンテンツマーケティングでは従来のテキストや画像に加え、映像や音楽なども活用できます。こうしたコンテンツは、自社で運営するオウンドメディア、費用を払って掲載してもらうペイドメディアで扱うのはもちろん、それ以外の場所でも使うことができます。
最も有効に使える場所は、YouTubeでしょう。検索はもちろん、一度何かの動画を見ると、関連する動画が次々に表示されるため、多くのコンテンツに露出のチャンスがあります。自社でチャンネルを作ったり、複数の動画をセットにしたリストを作ることもできます。
また、日本ではまだ一般的ではありませんが、音声をコンテンツにして提供することも可能です。移動中の空き時間を利用して聞くことができるため、資格や実務に役立つコンテンツなどが喜ばれます。
その他、マルチメディアとして使えるものには、動画を活かしたオンラインセミナーや、ユーザーのタイプや性格を診断するクイズ、知識を競う検定などのアプリも考えられます。例えばメキシコの食品メーカーでは、動画に加えて、スマートフォンのゲームやWebサイトを連動させて、環境に優しいメーカーであることを発信し、大きな成果を残しました。
このように、3つの柱となるメディアに加え、さまざまな手法を組み合わせてマルチに展開させることが、コンテンツマーケティングの効果を高めるために有効となります。
コンテンツの形式例(テキスト、画像、動画 他)
コンテンツマーケティング用のコンテンツを作る際、その要素は大きく分けて、テキスト、画像、動画、資料が考えられます。ここではそれぞれの役目や作り方等を順番にご紹介していきます。
テキスト
最初に必要となるのは、やはり記事原稿です。特にオウンドメディアにおいては、見た人に役立つ記事を大量に作る必要があります。また、それぞれの記事は、読み手にとって分かりやすく書かれていなければなりません。初心者に難しい専門用語を使うのは避けると共に、すでに一定の知識のある読み手にさらに詳しい情報を伝える場合は、当たり前の内容を延々と書いていると「そんなことは知っているから、早く本題に入ってくれ」と思われてしまいます。
記事のテーマとして候補になるのは、これまでに自社が蓄積してきた専門的な知識や、最新の情報、時事ネタに絡めた話、業界の内幕や、読んだ人の仕事に役立つ内容などです。それらの中には社内に眠っている情報もあるはずです。自社の過去の歩みや、社員の頭の中にある情報を引き出すことも必要です。
テキストの使い方は、記事の作成だけではありません。定期的にメールマガジンやニュースレターを発行し、いくつかの記事をピックアップして紹介したり、最近の動向などを簡単に解説したり、時には直接、商品やサービスの案内をしても良いでしょう。
画像
文字中心の時代と比べ、最近は視覚に訴える画像を無視してコンテンツを作ることはできません。特にスマートフォンの普及によって、狭い表示面積でコンテンツを見る機会が増えたため、テキストの間に適度に画像を挟むことは読みやすさの上でも大切です。
また、ある調査によれば、1ページの単語数のうち、読者に読んでもらえる部分は28%しかないという報告もあります。本文を全部読んでもらえなくても内容を理解してもらえるよう、画像で表現していくことが求められます。
また実際、視覚効果に訴える方がストーリーとして取り込みやすく、シェアされる場合も、人はそこにあるアイキャッチ画像を見て、本文を読むかどうするかを判断することも多いのです。Twitterでは、画像のある投稿は画像のない投稿よりも約3倍、Facebookでも、画像のある投稿は、そうでない投稿よりも約2.5倍も反応が高いというデータもあります。もちろん「インスタ映え」のInstagramは言うまでもないでしょう。言葉や国の垣根さえ軽く超えてしまうのが画像の強みです。
動画
動画も、昨今のネットでは無視のできないコンテンツです。特にスマホが普及し、高速回線や大容量での契約が増えたことで、誰もが動画を楽しめる時代になりました。
コンテンツマーケティングにおける動画の活用事例は、やはりYouTubeなどの動画共有サービスが主流となります。しかし最近では、SNSで動画を届けるという手法が急速に増えてきました。Facebook、Twitter、Instagramなどで、誰もが自撮りなどの動画コンテンツを気軽に配信できるようになったことで、動画に対する抵抗がなくなり、むしろ好感の持てる動画を求めるようにもなっています。
SNSでの動画の特徴は、再生時間が短いことです。YouTubeでは10分を超える動画も珍しくありませんが、次々に投稿が流れるSNSでは、短い動画が好まれます。Instagramでは最大でも30秒、中には数秒という極めて短い時間しか投稿できないものもあります。言ってみればテレビCMと同様、短い時間でインパクトを残す動画が求められるのです。また、動画の中にインフォグラフィック(路線図やグラフ、会議資料など)のような画像を差し込んだり、テキストを読ませるような動画を作ることも可能です。
短いCMタイプの動画だけではなく、逆に時間を使ってしっかり価値を伝えることも、動画の役割と言えるでしょう。動画を使ったセミナーコンテンツも欧米では盛んに行われています。学習をメインにした真面目なコンテンツや、テレビのお茶の間ショッピングのように、実際に使ったり、使った人の感想を伝えながら、商品やサービスの紹介を行うこともできます。
資料
ここまで、テキスト、画像、動画と、要素となる素材について紹介してきましたが、ここではそれらの別の使い方として、資料タイプのコンテンツをご紹介します。 一般的にメディアを問わず、コンテンツとして制作されるものは、記事ページや動画本体など、それぞれがバラバラな状態で公開されています。それらをまとめたり、印刷しやすく加工することで、ユーザーが資料として使えるようにすると、とても喜ばれることがあります。 そうしたひと固まりの情報を資料として求める顧客の中には、専門知識を持っており、購買意識が高く、実際に購買の決定権を持つ権限者も多く含まれます。その人たちと関係性を築ければ、企業側にも大きなメリットがあります。つまり、資料の受け渡しを通じて、win-winの関係になれる可能性が高いのです。
資料としてよく見られるものが、自社で調査したアンケートなどの結果をレポートとしてまとめたものです。本来であれば有料で販売してもおかしくないようなレポートを無償で提供する代わりに、メールアドレスや所属などユーザーの連絡先を教えてもらうのが一般的な手法です。それに似たものとして、ホワイトペーパーがあります。ホワイトペーパーは日本語に訳すと「白書」になります。公的機関がまとめた統計データなどが該当します。企業の場合は、自社が関わる分野のデータや、未来予測等の研究結果の公開となります。またその都度作成してきたレポートの集大成として、年に一回発行するホワイトペーパーもあります。レポートがテーマ単位の報告であるのに対し、ホワイトペーパーは客観的なデータを元に市場や未来を分析し、そこで自社のサービスや商品が必要になるというメッセージを込めたものが一般的です。
コンテンツマーケティングにかかる費用
これまでお話したように、コンテンツマーケティングの範囲は幅広く、また時間をかけて取り組むべきものであることがお分かりになったと思います。では、コンテンツマーケティングを自社で実践するためにかかる費用は、どの程度を見込んでおけば良いでしょうか?
コンテンツマーケティングは効果が出るまでに時間がかかり、またバナー広告のように月額幾らと決まっているものだけではありません。費用をかけようと思えば幾らでもかけられ、小さく始めようと思えば非常に低額からでもスタートできます。しかし予算をかけて進める以上は、成り行きで決めるようなことは避けたいものです。 オウンドメディアの場合、最低でも必要なのは、サイトの開発とサーバーの維持費です。しかし昨今では、少ない予算でも過不足のない環境を作ることができますので、立ち上げるよりも、運営していくコストを見積りましょう。
多様なニーズに答えるためには、ひとまず100記事程度は揃えることが望まれます。まずはそのための予算を確保しましょう。 社内で人材がいない場合は、記事の制作を外注することもできます。社内、社外、いずれを使うにしても、必要な費用の多くは人件費が大半を占めるでしょう。 ペイドメディアの場合は、効果をすぐに測定することができるため、短いサイクルでテスト的に改善を繰り返し、納得のできる費用対効果を得られるようになったら、本格的に予算を投下すると良いでしょう。 アーンドメディアの場合、顧客行動をコントロールすることはできませんが、写真映えする商品を開発したり、顧客を巻き込むキャンペーンを開催すると後押しすることができます。
コンテンツマーケティングを始めるには
メディアや手法が多岐にわたるコンテンツマーケティングは、始める前にしっかり計画を立てることが大切です。 コンテンツマーケティングは、色々なタイプの顧客に有益な情報を提供し、少しずつ会社や商品への理解を促すための仕掛けです。ですから、まずはそのターゲットとなる人物像を想定し、どのようなルートで理解や信頼を高めていくのかを、明らかにしておく必要があります。 具体的には、下記のような各段階を想定します。
①無関心>自社の商品やサービスを知らない人
②認知>自社の商品やサービスを知っているが関心はない人
③興味>関心はあるが、まだ実際に問題を解決しようとは思わない人
④検討>問題を解決しようと思っているが、行動には移していない人
⑤購入>実際に行動に移して顧客になった人
⑥継続>商品やサービスに満足し、ファンになった状態
⑦応援>さらに進んで、商品やサービスを他の人に進めるようになる
全ての企業は、この7つのタイプの顧客や見込み客を抱えています。コンテンツマーケティングでは、これらのタイプごとに適切なコンテンツを用意し、次のステップに進めるための誘導をします。関心がない人には興味を持ってもらう。興味を持ったら実際に購入の検討をしてもらう。そして最終的には、顧客を味方に付けて応援をしてもらえるようにするのです。
コンテンツマーケティング実施の流れ
実際のコンテンツマーケティングの流れをまとめてみましょう。 最初に行うのは、運用するためのチームを作ることです。コンテンツマーケティングは多角的な手法であり、確実に持続させることが必要です。
適当に若手を指名して「通常業務の片手間にSNSにつぶやいておいて。」というような安易なものではありません。全社的に情報を集めていく必要もあるため、社内の事情に詳しい人を集めたり、各部署から担当を出してもらうことも考えましょう。
次に、コンテンツの素材となる資料やデータ、社内のノウハウや事例などを収集します。社内報等で情報を集めるルートがある場合は、それを活用するのも良いでしょう。定期的な更新のためには、テーマを決めた連載や、リレー形式で書いていく企画を立てると、安定した運営がしやすくなります。
実際にコンテンツを作る時は、前のパートで説明した各段階のどのユーザーのためのコンテンツなのかを意識して、記事の骨子を作ります。 基本的な構成は、 ・どんな悩みやニーズに応えるか(ターゲットの確認) ・解決策の提示(ターゲットの満足) ・解決策の根拠やデータ(ターゲットの信頼) ・結論(ターゲットに行動を促す) ・誘導(ターゲットの段階を引き上げる) となります。
また、本文やタイトル、検索結果に表示される概要文(ディスクリプション)に、ターゲットの悩みやニーズを表すキーワードが的確に入っているかもチェックします。 このように計画的に設計された記事を公開し、それを広告やSNSで拡散し、それを多くのユーザーがまたシェアしたり、自分の投稿を通じて広げていく、というのが全体像です。さらにその中で、資料を公開することでメールアドレスを取得してメルマガに繋げたり、動画や画像を通じてさらに深く知ってもらうなどして、あらゆる方向にコンテンツを提供します。
コンテンツマーケティングは戦略ありき
そもそもコンテンツマーケティングの役割とは何でしょうか?リード獲得や顧客ロイヤリティの向上など企業によって様々な表現がありますが、根本的な役割は"ユーザーとの接点を作り関係性を築くこと”にあります。その結果としてリードや顧客ロイヤリティを獲得することが期待できるでしょう。
いずれにしても、コンテンツマーケティングではその種類を問わず、まずユーザーに“見つけてもらう”ことから始まって接点を作ります。さらに上質なコンテンツを提供することで関係性を築き、最終的にリード獲得や顧客ロイヤリティといった目的へと繋げていくのです。
では、ただコンテンツを配信しているだけでこの役割を果たすことはできるのでしょうか?答えは当然「NO」です。
ユーザーとの接点を作り関係性を築いていくためには、やはりそのための戦略が必要になります。
ある程度コンテンツマーケティングを展開しているにも関わらず、なかなか効果が表れないという場合は、もう一度戦略とそれに従った設計が適切かどうかを見直してみましょう。
コンテンツマーケティングにおける目標設定の重要性
コンテンツマーケティングに限った話ではありませんが、始めるにあたり目標設定は非常に重要です。企業や組織は、ブランド力を高めたい、問い合わせを増やしたい、などなど目的があってコンテンツマーケティングを実施します。この目的を明確化することで、それぞれの目的を達成するためのKPIやKGIを設定することが可能になります。逆に言えば目的がないと闇雲にコンテンツをアップするだけになってしまい、ゆくゆくは目標を見失ってしまいます。
「コンテンツマーケティングを成功させる、5つの目標設定」では、目標設定に関してご紹介していますのでぜひ参考になさってください。
コンテンツマーケティング戦略のためのアプローチ
コンテンツマーケティングには戦略が必要と理解しても、どのように考えてゆけばよいのか悩んでしまうケースもあるでしょう。
ここではいくつか具体的な戦略を考えるための切り口を紹介していきます。
ぺルソナでターゲットを絞る
コンテンツマーケティングの戦略として必ず耳にするのが“ペルソナ”です。これはコンテンツマーケティングに限らず、マーケティング活動全般において出発点になるものであり、コンテンツの質や結果を大きく左右するものでもあります。
それは、コンテンツを通じて顧客との接点を作ってゆくとしても、「だれと」「どのような」接点を作るのかを考えなくてはいけないからです。最終的には、自社の商品やサービスを買ってくれるのはどのような人たちなのかを理解するところから始めます。
ぺルソナとはそれを考えてゆくために作り上げた典型的なターゲット像であり、このペルソナをもとにコンテンツ設計や導線設計を行うことで、現実的かつ効果的なコンテンツマーケティングを展開することが可能です。
ターゲットとするユーザーの属性(性別、年齢、地域、etc)、職業、役職、家族構成、趣味、休日の過ごし方、ネット利用傾向など細かく設定することで、より自社の顧客像を具体的に持ちながらコンテンツを設計してゆくことができるのです。
具体的な作成方法や活用方法に関しましては、以下の記事が参考になります。あわせてご覧ください。
顧客の課題を想定して、起点となるキーワードを決める
ペルソナが決定したら、その人たちの課題を自社の商品やサービスがどのように解決するのかを検討します。あたりまえのことですが、自社の商品では解決できない悩みを持っている人たちがサイトに来ても目的は達成できません。
また基本的に検索を通じて見つけてもらうことが重要なので、言葉遣いやそれに関係するトピックなども確認しましょう。ペルソナの人たちは、どのような単語やフレーズを使って調べているのか、検索ボリュームや関連するキーワードなどを確認しながら設計してゆきましょう。
カスタマージャーニーマップで購買行動を探る
カスタマージャーニーマップとはユーザーが商品やサービスを認知してから購買に至るまでの行動をマッピングしたものであり、ユーザーとの接点を考える上で効果的なフレームワークです。
どのタイミングで接点を持つことができるか?タッチポイントごとに最適なコンテンツは?とロジカルに戦略を組み立てていくことで、効果の高いコンテンツマーケティングを展開することができます。
一般的に顧客になるまでに以下のようなプロセスをたどります。みなさんもなにかを調べものするときのことを思い出してみてください。
- 漠然とした悩みや課題について調べる(肩こりがひどい)
- その原因と解決方法を知る(日常生活、ストレス、疾病など)
- 自分に合いそうな解決方法を決める(ストレッチや整体、服薬、医療機関の受診など)
- それを提供している会社を探す(整体やマッサージ)
- 複数の会社の商品やサービスを比較する(場所、料金、評判)
- どの商品やサービスにするかを決定する(XX整体院に決定!)
カスタマージャーニーマップのどのフェーズにいるかに応じて提供するコンテンツの内容や粒度は変わってくるでしょう。このように、ペルソナごとにそのカスタマージャーニーを考え、どのステージにいてもコンテンツが提供できるように網羅的にコンテンツを検討します。
このように戦略を起点にしながらコンテンツを設計するのです。カスタマージャーニーに関しては、以下の記事に具体的な作成方法や活用方法を紹介していますので、上記のペルソナと合わせて参考にご覧下さい。
複数のチャネルを絡める
コンテンツ自体の設計を行い、それに沿ってコンテンツを作成すると、次にそのコンテンツをどのチャネルで提供するかを検討します。コンテンツマーケティングを展開するためのプラットフォームは種類も多く、適切なチャネルを活用して効果が得られます。せっかくいいコンテンツがあっても、対象の人が見ない媒体で提供したのであれば意味がありません。
また、最近では複数のチャネルを絡めることが一般化しつつあるようです。
たとえば、こだわりのコーヒー豆や茶葉を一般消費者への販売だけでなく、小売店への卸売りも行っているIntelligentsia Coffeeでは、オウンドメディア(企業ブログ)とスマートフォンアプリという2つのチャネルでコンテンツマーケティングを展開しています。
オウンドメディアではコーヒー豆や茶葉の種類、淹れ方などの基本的なコンテンツの他に、商品や品質へのこだわりが理解できるストーリーコンテンツを配信しています。
スマートフォンアプリではオウンドメディア同様のコンテンツを閲覧できる他、EC機能とグラム数に応じて最適な水量がわかる計算機、カウントタイマーなど便利な機能を提供します。
こうして複数チャネルをうまく使い分けながらコンテンツを提供することで、単なる情報提供だけでなく、購買につながるための導線や付加価値を付けることができるので、ユーザーのエンゲージメントを高めつつECとしての利便性も高めています。
また、チャネルとともに、ユーザーのデバイスも意識しましょう。PCで見るコンテンツと、スマートフォンで電車の中で見るコンテンツでは、その情報量やページのデザインなども異なってくるでしょう。ここでも、ペルソナごとに想定する行動に従って検討することが重要です。
ステージに合わせたコンテンツを配信
コンテンツマーケティングの目的を“新規顧客獲得”です。インターネットの普及に伴い、その購買行動モデルはAISASモデルに代表されるような「認知→興味→検索→行動→共有」といった5つのステージが一般的と言われています。
カスタマージャーニーのところでも説明しましたが、各ステージにあったコンテンツを適切に配信することで、潜在的な顧客を顕在化させながら顧客の獲得に結び付けてゆきます。
たとえば、認知では一般的な課題などのトピックに関するブログコンテンツ、興味ではソーシャルメディアコンテンツ、検索ではランディングページ、行動ではデモや評価版のオファーといった具合に各ステージにおける導線を設計し、それに合わせたコンテンツを準備してゆき、顧客になるまでのステージでの離脱を防ぎましょう。
ただ、これらをそろえて活用するには、多様なコンテンツを用意しなければなりません。スタートとなる戦略に基づいて、以上のような視点でコンテンツ及び導線を設計することがコンテンツマーケティング成功のポイントです。また、むやみにコンテンツを作るのではなく、これらのステージに合わせてそろえてゆくように設計しましょう。
システムを活用した総合的なコンテンツマーケティング
このように、戦略を起点にしながらコンテンツ設計と導線設計をしてゆくと、顧客の各ステージに合わせて適切にコンテンツをオファーしてゆく仕組みが必要になります。各潜在顧客は、その検討ステージがバラバラで、それぞれに合わせたオファーをタイムリーにしてゆくのは至難の業です。
そのために、一般的にはコンテンツマーケティングを実践するためのプラットフォームとしてマーケティングオートメーションなどの仕組みを組み合わせて運用します。各ステージに合わせたコンテンツを抜け漏れなくオファーしてゆくことで、確実に顧客になるように誘導してゆきましょう。
また、それに加えて分析機能を活用しPDCAサイクルを回すことで改善もしてゆくことができます。実際の結果は想定とは異なることが往々にして起きます。これを正しく把握して、素早く改善することもコンテンツマーケティング成功のためのポイントです。
コンテンツマーケティングに適した企業とは
コンテンツマーケティングの良いところは、企業のサイズや業種を選ばないというところです。消費者向けに事業を行っている企業はもちろん、企業や行政を顧客としている場合でも大きな効力を発揮します。 むしろ業務の都合上、購入が必要だったり、その日の気分ではなくしっかりとした根拠や、長い関係性を前提に業者を決定したいBtoBビジネスの方が、よりコンテンツマーケティング向きであるとも言えます。
また、広告などを主体とした一般的なマーケティングでは、使える資金が豊富な大企業が優位となってしまいますが、それよりもコストのかからないコンテンツマーケティングでは、規模が小さな企業にも大きなチャンスがあります。特にInstagramを使ったアーンドメディアに成功すれば、広告費に換算すれば莫大な成果を得ることもできるのです。
強いてコンテンツマーケティングに適した企業と言えば、自社の商品やサービス、それを取り巻く環境に思い入れがあり、それを多くの人に知ってほしいという熱意のある社員の多い企業でしょう。そうした思いは、コンテンツの端々に現れます。商品の写真を撮るにしても、色々な角度から狙ってキレイに撮ろうとするでしょう。アウトドア用品を扱っているなら、自分もアウトドアが大好きで、休みになればいつも山に登っているような社員がいるかもしれません。そうした経験も全てが記事の素材になります。
コンテンツマーケティングにおける注意点
コンテンツマーケティングにはメリットだけではなく、注意すべき点もあります。 それは、常に継続したコンテンツの提供が必要という点です。ある程度コンテンツが増えてくるとネタが尽きてしまったり、他の業務との兼ね合いで作業量が減ってしまうと、集客力や信頼度が減ってしまいます。
また、オウンドメディアの場合は、効果が出るまでにどうしても時間がかかります。投資対効果が予測しにくいため、短期間に成果を問われてしまうと、効果が出る前に運用を止めてしまうという判断にもなりかねません。 さらに、単に記事の更新を続けるだけでなく、アクセス数や検索ワード、ユーザーのふるまいなどを解析し、常に改善を続ける必要があります。そこまで見据えた運用体制を取らないと、十分な成果を出すことが難しくなってしまうリスクがあります。
コンテンツマーケティング事例3社をご紹介
それではここで実際にコンテンツマーケティングを活用して成果を上げている事例をいくつか紹介します。また、弊社リードプラスが実際のお手伝いしている事例はこちらをご確認ください。
関連ページ:リードプラスのインバウンドマーケティング、コンテンツマーケティング事例ページ
株式会社マネーフォワード「BIZ KARTE」
https://biz.moneyforward.com/blog/
会計や確定申告、請求書発行等のクラウドサービスを開発している株式会社マネーフォワードは、「BIZ KARTE(経営とバックオフィスに役立つ情報サイト)」というオウンドメディアを運営しています。 株式会社マネーフォワードの顧客ターゲットは個人から法人まで幅広く、年齢層もさまざまです。クラウドサービスですから、もちろん地域性も関係ありません。そうした広域のターゲット層に対して、豊富なコンテンツを提供しているのが特徴です。
例えば、「副業で幸せになる人は2割? 働き方のプロに聞く「副業の心構え」」という記事は、これから副業を始めようと考えている人に向けた記事です。まだ会計サービスを使う前の状態ですが、早くもここで接点が生まれます。また、「メジャーの金銭事情 NYで登板すると「税金が高くなる」ってホント?」はさらに遡って、副業を考えていない人まで関心を持つような内容です。ちょうど移籍シーズンであり、社会の関心が高い時事ネタを使いながら、自社のサービスに寄せている良記事です。 もちろんターゲットは、将来の顧客候補だけではありません。
「税理士に聞く、2018年度の税制改正で押さえるべきポイント」では、現役で会計に関わる人を対象にしており、記事の末尾に続けて「【おすすめ】会計・経理業務でお困りの方へ」という見出しで、「30日間、無料でサービスを使えます」という製品への誘導を行っています。 いきなりの宣伝であれば読み手の心には刺さりませんが、本文だけで5,000文字以上の有益な記事を読んだ後なら、受け入れやすい心理になっている可能性は高いと言えます。
北欧、暮らしの道具店
ネットショップ内にあるECサイトですが、商品の説明ページと記事ページが、まったく同じデザインの写真と見出しで、トップページに並んでいます。これにより、商品と記事ページの違いを意識させずにクリックさせることができるように工夫されています。 記事ページの内容は、自社製品を作った思いや、そのおすすめの使い方、顧客へのインタビュー記事、さらにオリジナルのドラマも制作しています。マルチメディア化も旺盛で、Facebookページは42万人以上がフォロー、Instagramが750,000人、Twitterが26,000人、さらにLineやメルマガなども使い、顧客との接点を持っています。コンテンツマーケティングを使って、見込み客・既存客を問わず、多くの人と世界観を共有している成功例と言えるでしょう。
「ほぼ日刊イトイ新聞」
https://www.1101.com/home.html
まだコンテンツマーケティングという言葉が一般的になっていない頃から、時代に先駆けて運営を開始していたのが、「ほぼ日」こと、「ほぼ日刊イトイ新聞」です。当初は、コピーライターの糸井重里氏の個人メディアでしたが、自分が使いたい手帳を制作、販売したところ大きな人気となり、今ではさまざまな商品の開発や販売を行うようになりました。
「ほぼ日」は、もともとが個人ブログで、今でもそのイメージを継承しているため、商品を販売している印象がありません。池上彰氏の連載や旅日記があったかと思えば、そのすぐ横に、日めくりカレンダーの記事があります。その記事も一見、カレンダーを販売しているように見えて、実は画面で毎日切り替わるWebサービスのページです。そのさらに次のページでは、土鍋で作るカレーの調理方法を紹介している、と思ったら、そこで使われている土鍋が実は販売商品でした。このように読み手を楽しませ、有益な情報を惜しみなく提供しながら、ファン化を進めていくスタイルが確立されています。 さらに代名詞である手帳の使い方や実際に使っている手帳を見せ合う「ほぼ日手帳ミーティングキャラバン」を全国で開催し、その様子ももらさずWebサイトで公開し、さらにSNSでも拡散されています。ネットを飛び出してファン化を進めるタイプのコンテンツマーケティングの典型です。
コンテンツマーケティングに役立つツール
コンテンツマーケティングを実践する時、全てを自力で行うことは困難です。それと同時に、自分たちでできることは自分たちで行い、メディアを他人任せにしない気概も必要です。ここではコンテンツマーケティングに役立つツールをご紹介します。今では無料や安価に運用できるサービスが揃っています。
Webサイトの管理・更新(CMS)
自分たちの手でコンテンツマーケティングを進めるためには、まず自分たちで運営ができるWebサイトを用意するのが最優先です。日々の更新が発生する場合、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を活用するのが一般的です。
Wordpress
世界で最も利用されているCMSで、誰でも無料で使えるのが特徴です。サーバーを借りると、ほぼワンタッチで使えるようになっているサービスも沢山あります。実際に使う場合は、デザインや機能を自社用に設定する必要がありますが、有料・無料のテンプレートが豊富にあるため、ITに詳しい人であれば利用を検討するのも良いでしょう。 またサーバーを含めて完全無料で始められたり、安価な料金でサポートを受けられるコースも運営元から提供されています。
HubSpot
マーケティングオートメーションの機能とCMS機能が統合したコンテンツマーケティングのための統合プラットフォームです。全てがオールインワンで提供されるだけでなく使い勝手が良いため世界中で採用されています。
PowerCMSX
国産の有料CMSで、ビジネス用途に向いた多くの機能を搭載しています。
Cloud CMO
同じく国産の有料CMSで、サイトで集めたメールアドレスにメールマガジンを送信できる機能などをパッケージにしています。
アクセス解析
Googleアナリティクス
サイトへのアクセスを記録し、その解析を通じて改善を図ることのできる無料ツールです。検索エンジンのGoogleが提供しているため、無料ですが高機能で、コンテンツマーケティングでは必携のツールと言えます。
ミエルカ
人工知能がコンテンツの課題を見える化してれる有料ツールです。有効なキーワード調査や、流入を増やす施策を提案してくれます。
サイト改善
User Heat
は、アクセスして閲覧者がサイトでどのような行動を取ったのかが、ヒートマップの形で表示できる解析ツールです。熟読エリア、クリックエリア、離脱エリアなど、複数のアクションを見える化します。
Optimizely X
Xは、ABテストができるツールです。ABテストは、テキストやデザインを変えた複数のページを用意し、どちらの方がより高い効果を発揮するかを測定するテストです。
CopyContentDetector
CopyContentDetectorは、原稿が既存の他のサイトと重複していないかがチェックできます。コンテンツの作成を外注した場合はもちろん、自分が書いた場合でも意図せず似通ってしまう文章を書いてしまう可能性がありますので、確認しておくと安心です。
SNSへの対応
ソーシャルインサイト
連携するSNSが増えると、管理や更新が大変になります。それを支援してくれるのがソーシャルメディア活用ツールです。ソーシャルインサイトでは、投稿の自動化や、複数の担当者での運用を始め、競合アカウントとの比較や、フォロワーの属性分析などを行うことができます。
HubSpotで実現するコンテンツマーケティング
HubSpotはコンテンツマーケティングを含めて、総合的なマーケティングを展開するための“インバウンドマーケティングプラットフォーム”です。
コンテンツマーケティングは、インバウンドマーケティングを実践するための重要な要素です。それに欠かせないコンタクト管理やCMS、ブログ、SEO機能、ソーシャルメディア機能、メール配信機能、ランディングページ作成、フォーム作成、リード管理、マーケティングオートメーション機能、各種マーケティングツール、CRM連携、そして優れた分析機能などを提供することで、単一ツールでは難しいマーケティングの戦略を提供することができます。
加えてクラウドサービスとして提供されていますので、初期コストを抑えながら総合的なプラットフォームを短期間で導入可能です。
まとめ
今や誰もが情報を発信できる時代、企業も自らのコンテンツを大きく広げて沢山の人に届けずして、持続的な発展は難しいでしょう。コンテンツマーケティングには、さまざまなメディアや素材、ターゲットや切り口がありますが、いずれにも共通するのは、閲覧する人にとって価値のある、オリジナル性の高い情報を発信するということです。それはその企業が持っている、顧客に提供できる想いや財産、アイデアなどをどれだけ集めるかにかかっています。ぜひ、この記事で紹介した情報を活用し、質の高いコンテンツマーケティングを成功させてください。