コンテンツマーケティングを成功させる、5つの目標設定
コンテンツマーケティングは「マーケティング」の一手法ですから、目標設定が必要不可欠です。この記事では、実際にコンテンツマーケティングでどういった目標設定をすればいいか。その5つの分類を具体的な事例、進め方とともに紹介していきます。
5つの目標と事例
それでは早速、5つの目標設定について解説していきましょう。
なお解説では具体的な事例についても紹介していきますが、私がWebページを見て「これはこういった目標設定がされているのだろう」と考えたものですので、実際の目標設定とは異なる可能性があります。
1.覚えてもらう
コンテンツを通して商品やサービス、企業を知ってもらうことを目標にするケースです。一般的に「ブランド認知」といわれます。
ブランド認知はコンテンツマーケティングの目標としてよく設定されますが、「本当はコンバージョンが取りたい」「目標は設定していなかった」という際、なんとなくブランド認知が目標となるといったことがよく見受けられるので、そこは注意が必要です。
【事例】
失敗しにくいジャケットの種類 メンズ必見のジャケットの選び方(メンズファッション通販メンズスタイル)
「ジャケット種類」というキーワードで検索したところ、一番目に表示されたWebページがこれです。
運営主体はネットショップなので、認知をあげることが目的というのとは違うかもしれません。しかしきちんとした情報発信が好印象で、実際にGoogleの評価も高く1位になっているので、ブランド認知の良い事例として紹介させていただきます。
運営者は「メンズファッションのトータルコーディネートに強い、ネットショップ」となっていますが、それを裏付けるコンテンツで、認知度アップには抜群の効果を発揮することでしょう。
ファッション誌のようなイメージカット、裏付けとなるデータの掲載、説明にも写真が使われ、とても魅力的なコンテンツです。
なおブランド認知の場合だと、SNSでのシェアなども重要な評価指標になります。SNSはシェアをすることでセンスの良さをアピールしたいという心理が働きますが、このページであればそうした満足度も上がることでしょう。
2.ファンになってもらう
「ブランドロイヤリティ」といった表現をされますが、ユーザーをその商品やサービス、企業のファンにさせるというのもコンテンツマーケティングの大きな目的となります。認知と比べてより進んだ段階、といえるでしょう。すでにその企業やブランドを知っているユーザーに対して、より好きになってもらえるよう働きかけます。ビジネスですからもちろんその先に、購入や申込みの意思決定が働くことになります。
【事例】
住宅設備の総合メーカー、LIXILは多くの人がご存知の企業、ブランドでしょう。扱っている商品についても、ある程度は認識されているはずです。
住宅設備メーカーというのはBtoBtoCにカテゴライズされる、少し特殊なものです。また基本的にはエンドユーザー自らが購入するものではありません。そんな中でLIXILのこのWebコンテンツは、住まいに関する記事を詩的な雰囲気で仕上げています。
実用一辺倒ではない、申込みや購入に強く誘導するわけでもない、ファン化をねらったようなコンテンツに思えたのでここで紹介させていただきました。
もう一つ、ファン化を目的にしたソーシャルメディアでの活動としてロクシタンを紹介したいと思います。
ロクシタン| L'OCCITANE en Provence(公式Instagram)
フランスのオーガニックブランドとして広く知られる存在ですが、公式Instagramも美しい写真で彩られています。
ロクシタンは商品パッケージ自体が美しいので、ちょっとした演出を加えるだけで素敵な写真になるのも見逃せません。
Instagramには広告の出稿も多くされているようですが、広告とは思えないほど美しい写真は、ついついシェアしてしまいます。
3.コンバージョンを得る
コンテンツマーケティングの真骨頂、と思うのがこの目標です。
もともとWebサイトにはコンテンツが不可欠ですから、「なぜ今さら」とコンテンツマーケティングが広まり始めたころは個人的には思ったものです。調べてみると、「コンテンツでコンバージョンを取る」「その過程でナーチャリングをしていく」といったエッセンスが入ったのが新鮮で、単にコンテンツを作るというのから一歩進んだ手法というのがわかりました。今では、それら全体をインバウンドマーケティングと呼ぶ場合もあります。
【事例】
Googleで「決済代行」というビックワードで検索、1番に出てきたのがこのコンテンツです。
Googleでビックワードの1位を取るというコンテンツそのものの充実ぶりはもちろんですが、CTAのところをいろいろと参考にできます。
フォーム以外にもチャットで資料請求、急ぎの人に向けたWeb審査フォームなど、多くの選択肢がわかりやすく配置されています。電話での連絡ができるのもいいですね。
またコンテンツ内には自社と他社のサービス比較が用意され、この記事だけで申込みを考えることができる作りになっています。
その下には決済代行の種類を説明したページへのリンク、事例へのリンクといったものも用意され、メインコンテンツからそのまま検討に移ったり、ナーチャリングしていく導線が用意されているのにも注目です。
コンテンツマーケティングをおこなう際には、よくCTAの周りだけがいわれます。しかしこのようにコンテンツの中身そのものでコンバージョンにもっていけるのが、より優れたコンテンツといえるでしょう。
もう一つBtoBでコンバージョンを取っていく事例として、株式会社ラキールのWebページを紹介します。
これは「BIツールとは」で検索した際に、上位に表示されたページです。
認知が目標設定がされてある事例としても考えましたが、各種資料請求の誘導に力を入れている印象だったので、コンバージョン獲得の目標として紹介することにしました。資料請求だけでなく、セミナーの案内も多くされています。
このWebコンテンツは一発でコンバージョンを取るというのではなく、そこからのナーチャリングをしていくことを意図しているのでしょう。
この場合はコンテンツの内容はもちろんですが、資料や開催セミナーの魅力やコンテンツとの関連性も重要になります。
4.正しい知識を持ってもらう
これから紹介する二つの目標設定については、認知やファン化、コンバージョン獲得ほどは知られていないかもしれません。
まずは、正しい知識を持ってもらうことを目的とするケースです。「カスタマーエデュケーション」といった呼ばれ方をします。
検討期間の長い商品などを対象にする場合に、効果的とされます。またこの目標設定は売上やリスト獲得といったコンバージョンに結びつく以外に、カスタマーサポートの手間を減らすといった目的になる場合もあります。
【事例】
マンション購入の注意点7つ!不動産営業マンが教える失敗しない方法(イエシル)
マンション売買という長い検討が必要なジャンルで、役立つ情報発信をおこなっています。
しっかりした情報を発信する必要があるため、文字数もかなり多めです。
正しい知識の発信は、購入や申込みといったコンバージョンを明確に持たないサイトでも有効です。
プルーブンウィナーズは、ブランドの情報発信なので目標設定としては認知ともいえます。しかし網羅性が高く質の高い記事コンテンツが豊富なため、正しい知識を持ってもらうコンテンツとも考えられたので、ここで好事例の一つとして紹介することにしました。
画像だけでなく、ページの作り自体が美しくこったものになっているので、楽しく読み進めていけます。専門知識をこうした見せ方もできる、という気づきになるサイトです。
5.継続して関りを持つ
「カスタマーエンゲージメント」とも呼ばれるのが、継続的に関りを持ってもらうことを目標にしたコンテンツ群です。
大きくは日常的に関りが深い商品やサービス、逆に買い替えが数年に一度ほどの場合で、生活者とコンテンツを通して継続的なコミュニケーションが必要とされる場合に目標として設定されるケースが多くあります。
【事例】
マイカジ(花王)
花王は数多くのコンテンツやオウンドメディアを持っていますが、その中で家事メディアとしてマイカジというサイトがユニーク。消費財のメーカーらしいオウンドメディアです。記事ページの構成から、ソーシャルメディアでのシェアなどを重視しているのも見て取れます。
ユーザーとの関りを持つという役割とともに、データを日常的に取得できるというメリットもあります。
目標設定と気をつけたいこと
各目標は、コンテンツマーケティングを通して成果を出したい商品やサービス、あるいは企業やブランドの性格やポジションにより異なります。もちろんこの見極めが大切ですが、そもそもコンテンツマーケティングで成果が出る商品やサービスかを、まずは考えましょう。
そして目標の設定とセットで押さえておきたいのが、効果測定をするための指標です。セッション数やページビュー数、コンバージョン数などわかりやすい指標設定はもちろんですが、認知やファン化という場合でも曖昧にせず、明確に定義しておきましょう。
たとえば正しい知識を持ってもらうという場合にはリピート率、問合せの削減を含んでいる場合はコールセンターの応答率の変化なども有効な指標になります。
継続して関りを持つという場合もリピート率は大切なのは言うまでもないですが、この場合はページビューなどの基本指標を採用してもいいでしょう。
まとめ
コンテンツマーケティングをおこなう際の、5つの目標設定について紹介してきました。
この目標を設定することで、最後に紹介した効果測定の指標(KGI、KPI)は決まりますし、コンテンツの戦略も決めることができます。そこからどのくらいの頻度での更新がいいか、ライターの力量や人数など、リソースの確保にも動けます。
目標から逆算して戦略や具体的な取組みを考えていくことがわかると、コンテンツマーケティングは確かにマーケティングの一手法、というのがより実感いただけると思います。