それって正確?マーケティングオートメーションのスコアリング7つの基礎
マーケティングオートメーションの主要な要素の一つでもある「リードスコアリング」は、営業案件につながるホットリード※1を抽出する上で非常に重要な役割を果たしています。ですが、きちんと活用できていない、むしろリードスコアリングが現場で混乱を招いているという現象が少なからず発生しているようです。
なぜマーケティングオートメーションとして必要不可欠な機能が混乱の原因を作っているのか?なぜユーザー企業の多くがリードスコアリングを活用しきれていないのか?
今回はスコアリングの基礎について解説していきたいと思います。
※1ホットリードとは購買意欲が高くすぐにでも案件化できるリードを指す。
リードスコアリングは“絶対”ではない
リードスコアリングを活用する上でまず理解していただきたいのが「スコアリングだけを信じていると混乱する」ということです。実は、スコアリングが高いA社が成約に繋がらずスコアリングが低いB社が成約に繋がるといったケースが往々にして発生します。
しかし、この事象はリードスコアリグの精度が低いからという理由で発生しているわけではないのです。
例えばスコアが80点のA社と50点のB社が存在するとします。両社のスコア内訳は以下の通りです。
上記のスコア内訳見て、皆さんはどちらの方が確度の高い案件だと思いますか?皆さんB社と答えると思います。このようにスコア合計だけを見るとA社がホットリードと判断することができますが、内訳まで見るとB社がホットリードということは往々にしてあるのです。
だからこそリードスコアリング(合計)を“絶対”だと考えてしまうと、思わぬところで足元をすくわれてしまうでしょう。
リードスコアリングは“減点”もしっかりと行う
マーケティングオートメーションを活用している企業では「スコアがあっという間に1,000を超えてしまった!」というように、リードスコアリングのインフレ状態が発生していることが少なくありません。
原因の多くは“減点”のないスコアリングです。つまり、リードのアクティビティ(活性度)によってスコアを減点していく必要があるのです。
例えばスコアも内訳もまったく同じA社とB社が存在するとします。唯一の違いは、A社は直近1週間以内に問い合わせを行っており、B社の問い合わせは約3ヵ月前ということです。
この場合確度の高いリードは間違いなくA社ですね。しかしスコアがまったく同じであるが故に、どちらがホットリードかを見極めることができません。
そこで以下のようにリードのアクティビティによってスコアを減点していきましょう。
このようにリードの行動に加点していくだけでなく、アクティビティによって減点していくことでより正確なスコアリングが可能となります。
マーケティング部と営業部でスコア基準を策定する
マーケティング部が自信を持って渡した案件が、営業部からすればまったく見込みのないリードだったという経験をしたことはないでしょうか?これはマーケティング部と営業部のから見る“リードのギャップ”により発生する問題です。
そもそもリードスコアリングとは案件化していないリードを採点し、確度の高いリードを抽出して営業案件として引き渡すことが目的です。従ってマーケティング部と営業部の連携は必要不可欠と言えます。
特にスコア基準についてはマーケティング部の独断で行うのは危険でしょう。
そこで、営業部と連携を取りつつ過去の成約案件を分析し、コンバージョンへと繋がる購買行動を割り出しましょう。こうすることでより正確なスコア基準を設けられる上に、マーケティング部と営業部で共有意識を持つことができます。
スコア基準は定期的な見直しを実施する
リードスコアリングに失敗する原因として意外と多いのが、初期に設定したスコア基準をそのまま流用していることです。
スコア基準とは初めから100%正確なものは存在しません。だからこそ定期的な見直しを行い、改訂していく必要があるのです。そうして初めて正確なスコア基準へと変化していきます。
「資料ダウンロードの15点もあげていいのか?」
「セミナー参加はもっと評価すべきではないか?」
などなど、現状の精度を踏まえつつ積極的にスコア基準を改訂していきましょう。
案件リストの名寄せを忘れない
マーケティング部としてはリードスコアリングでホットリードと判断できたリードを抽出し、案件リストを作成するだけでは不十分です。無駄を省くために名寄せを忘れないでください。
競合他社や既存顧客などは案件化できないためリストから除外する必要があります。MAツールで事前設定しておくことをお勧めします。また、担当者が既に転職してしまっているケースもあるため、しっかりと確認しておきましょう。
もう一つパージしておくべきは「購買意欲がないリード」です。例えば勉強熱心でセミナーにも参加しているし、自社コンテンツを積極的に閲覧しているという方が稀にいます。そうした場合、スコアも高くなりますので一見してホットリードであると判断できます。
しかし実際は購買意欲がないため案件化することはありません。こうしたリードを判断するためには、セミナー参加後などのコンタクトで把握することができます。
社内でプロジェクトが立ち上がっているのかどうか?きちんと確認を取り、立ち上がっていない場合はリストから除外しましょう。
ちなみにリードプラスではライフサイクルステージを定義してMarketing Qualified Leadなどフォロー対象のステージになった瞬間にフォローすることをお勧めしています。リストを作成しバッチで処理するとなるとホットではなくなる可能性があるためです(リストを作ってバッチ処理をした瞬間にアウトバウンドマーケティングになってしまいます)。そのためには、MAツールでの詳細な設定が重要となるのです。
オフラインでの行動もしっかりと盛り込む
インターネットでの情報収集が多い現代ビジネスですが、オフラインでの行動もスコアリングするように心がけましょう。
例えばハンズオンセミナーなどファネルが進行している時に参加する場合は購買への角度が高いわけですからMAツールでセミナー登録の際に加点するようにします。また、問い合わせの電話などの際にも状況を把握し加点するようにします。
オフラインでの行動もしっかりとスコア基準に盛り込むことで、より正確なリードスコアリングでホットリードを抽出することができます。
ペルソナやカスタマージャーニーマップを活用する
ペルソナもカスタマージャーニーマップも、どちらも現代マーケティングに欠かせない要素です。この2つを積極的にリードスコアリングへと活用していきましょう。
自社が理想とする顧客像や購買行動を把握できていれば、どのようにしてスコアを割り振ればいいのかが自然と見えてきます。
例えば弊社ではカスタマージャーニーに則った行動の際に加点するようにしています。裏を返すとカスタマージャーニーの則らない資料ダウンロードやWebサイトの閲覧などではスコアリング対象外にしています。また、採用情報などのページ閲覧は減点するなどの施策を施しています。またペルソナではないユーザーには一切加点をしないようにしています。
なかなか試行錯誤ではありますが、実際に戦略を立案してみて営業とマーケティングが一体となり評価・検証していくことで理想的なSMARKETINGを実現できるようになるでしょう。
最近ではHubSpotなどでPredictive Lead Scoring という機能が搭載されており、AIを駆使し自動でスコアリングを行うようになりつつあります。
マーケティングツールは最大限活用していくことがリードスコアリング成功の秘訣なのです。
まとめ
いかがでしょうか?こうしてリードスコアリングの基礎をまとめてみると、意外にやるべきことが多いということに気が付くと思います。「なんとなくでスコア基準を作って採点する」ではまず間違いなく成功しないのです。
しかし基礎をきちんと抑えてスコアリングすれば、効率的にホットリードを抽出して売上げ向上へと貢献していくことができるでしょう。
現在マーケティングオートメーションを活用しているという企業も、今後導入予定がある企業も、ぜひ今回紹介した基礎を参考にリードスコアリングを正確に実践していってください。