リードスコアリングの基本解説!! “やり方”から“コツ”までを徹底網羅
セミナー、イベント、展示会、メルマガ会員、資料ダウンロード、ブログ購読、名刺、電話お問合わせ、アンケート。リストを取得するための経路は多岐に渡りますが、皆さんはこれらで取得したリストをどのように活用していますか?
もしかして、「取得したリストの活用方法が分からない…」「今すぐアプローチすべきリストはどれだ!?」などなど、リストを上手く活用出来ずに悩んではいませんか?
その悩み「リードスコアリング」で解消できるかもしれません。
恐らく一度は聞いたことがあり、なんとなくは理解していてもその概念や手法までは知らないという方が多いですね。
そんな方のために、ここではリードスコアリングの概要から“やり方”、そして“コツ”までを総合的にまとめました。
リスト活用に悩むマーケターや営業の方は是非読み進めてください。
リードスコアリングとは
まずはリードリードスコアリングの概要から解説していきましょう。
リードをスコアリング(点数付け)
「リード:見込み客」を「スコアリング:点数付け」する、という基本中の基本は既に周知かと思います。
ではリードの何に対してスコアリングするのか?
- アトリビュート(属性)
- インタレスト(興味)
- アクティビティ(活性度)
具体的なスコアリング方法に関してはは後述しますが、リードスコアリングでは上記の3つを軸にリードを加減点していきます。
そして単純に、スコアが高いほどすぐにアプローチをかけるべきホットリードであり、低いほどリードナーチャリングで意図的にホットリードへと育て上げる必要があるのです。
リードナーチャリング
上記解説で新たな「リードナーチャリング」が出てきたので、解説しておきます。
リードナーチャリングは購買意欲の低い「リード:見込み客」を「ナーチャリング:育成」して、意図的に購買意欲を高めホットリードへと育成する概念およびその手法です。
そしてこのリードナーチャリングを適切に行うためには、今回の本題であるリードスコアリングが必要不可欠なのです。
かなりシンプルに解説しましたが、リードスコアリングの概要としてはこれ以上もこれ以下もないといったところです。
それでは次に、なぜリードスコアリングが必要とされているのかを解説していきます。
リードスコアリングはなぜ必要か
概要は非常にシンプルでも、リードスコアリングが求められている理由はいくつかあります。
効率的なホットリード抽出
冒頭でも触れたように、獲得したリストに対し「どう活用していいのか?」を頭を抱えている企業や営業は非常に多いと思います。
そんな中取る行動はとりあえず総当たりでアプローチをかけたり、「購買意欲が高そう!」とフィーリングでアプローチをかけてしまうことです。
NASA宇宙飛行士の飛行訓練教官であるデニール・ヤング氏は訓練生に対し「計器より自分の勘に頼ろうとするヤツは逆に危険だ。焦ってるときの勘ほど狂いやすいものはない」と語っています。(漫画の中の話です。引用:宇宙兄弟13巻)
セリフは漫画の中のものではありますが、これはリアルの世界でも言えることです。
しかも、どんなビジネスシーンでも当てはまります。
時には勘で動くことも大切ですが、切羽詰まった状況(営業活動が上手くいっていない)であればあるほど数字を信じることが大切なんですね。今後は、データドリブン(データを基にした)なマーケティングが勝利をつかむことになるでしょう。
そしてリードスコアリングは「今すぐアプローチかけるべきか否か」を数値化してくれます。展示会やイベントで獲得した名刺データに全部電話をかけるなどで辟易としている企業は多いはずです。スコアリングを取り入れることで角度の高いユーザーのみにアプローチをかけることが可能になるため効果的ですよね。
このためスコアリングを取り入れることにより効率的にホットリードを抽出し適切アプローチがかけられるようになるのです。
営業とマーケティングの連携
リードスコアリングでは、「スコアが○○点以上ならアプローチをかける」というホットリードの定義を共有することが出来ます。
この定義が意外にも強力で営業とマーケティングの連携を強化出来るのです。
前述したようにこれまでの営業活動では勘に頼るところが大きく、マーケティングにおいても例外ではありません。
なので、マーケティングから上がってきた案件にアプローチをかけてみたけど「購入する気配すらなかった」という経験もあると思います。
そこでリードスコアリングでホットリードの定義を共有することにより、上記のような非効率は極限まで無くなり営業・マーケティング双方での連携が強化され、常にホットリードのみを追いかけることが出来るようになるでしょう。
一般的にインバウンドマーケティングの世界では、カスタマーライフサイクルステージを定義してユーザーの状態を定義します。このスコアリングが◯◯点に達したらLEADからMarketing Qualified Lead(MQL)にするなどと定義すると良いでしょう。カスタマーライフサイクルステージに関しては「カスタマーライフサイクルステージを定義する」をご確認ください。
リストを最大限活用
リードスコアリングはただホットリードを抽出するだけのものではなく、スコアの低いリードを割り出せるという点も非常に重要です。
セミナーやイベントで獲得したリストのうち、恐らく75%以上、下手したら90%以上が購買意欲の低いコールドリードでしょう。
しかしだからといって切り捨てるのは間違いで、コールドリードはこちらの行動次第で2年以内にアプローチに繋がるリストが実に80%以上もあると言われています。
つまりスコアの低いコールドリードもしっかりとスコアリングして現在のステージを確認しておくことで、適切なリードナーチャリングを実現しアプローチに繋がるリードを増大させることが出来ることになります。
リードスコアリングの“やり方”
それでは、リードスコアリングの具体的な“やり方”について解説していきましょう。
アトリビュート(属性)でスコアリング
リードのアトリビュートとは、担当者の役職・企業規模・地域・部門などを指します。
例えば担当者が課長クラスなら5点、部長クラスなら10点と権威が上がるほど高得点を付けたり。
従業員数が100人未満なら5点、100人以上なら10点といったようにスコアリングしていきます。
地域なら近隣地域であるほど、部門なら自社サービスや製品に関連した部門であるほど高得点を付けるといいでしょう。
インタレスト(興味)でスコアリング
リードがどれだけ自社サービスや製品に対して興味を持っているかをスコアリングします。
例えばWebサイトのサービス・製品ページを閲覧していれば5点、資料ダウンロードすれば10点など、コンバージョンに近い行動を取るほど高得点を付けてください。
またセミナーやイベントへの参加など、オフラインでの行動も統合してスコアリングしていきましょう。
アクティビティ(活性度)でスコアリング
アクティビティでは「加点」ではなく「減点」の要素としてスコアリングします。
まずは以下のスコアリングをご覧ください。
≪A社の企画担当≫
セミナー参加 :15点(45日前)
製品ページ閲覧 :5点 (40日前)
資料ダウンロード:10点(30日前)
電話問い合わせ :20点(30日前)
総合スコア :50点
≪B社の企画担当者≫
WebサイトFAQ閲覧:5点(3日前)
資料ダウンロード :10点(3日前)
電話問い合わせ :20点(2日前)
総合得点 :35点
皆さんなら、A社とB社の企画担当者どちらのアプローチをかけるのが最適だと思いますか?単純にスコアで見れば明らかにA社ですよね。
しかし、A社のスコアは確かに高いかもしれませんが、直近のアクティビティが30日前というのが引っ掛かります。
マーケティングにおいてリードの購買意欲は直近のアクティビティから3日後には減少すると言われていますからね。
どこで、直近のアクティビティが2週間以上のリードは20点減点しちゃいましょう。
するとどうなるか?
A社の総合スコア:30点
B社の総合スコア:35点
A社とB社のスコアが逆転しましたね。
このようにアクティビティで減点することにより、適切なリードスコアリングが実現します。
リードスコアリングの“注意点”
最後に、リードスコアリングを行う上での2つの注意点を伝えておきます。
スコアに依存しない
実はリードスコアリングでは、必ずしも「高スコア=購買意欲が高い」という式は成り立ちません。
例えば、「ほぼ毎日自社ブログを閲覧していてスコア50点のA社」と「過去7日以内に電話問い合わせを2回してスコア40点のB社」がいたと仮定します。
どちらの方が購買意欲が高いか?と聞かれれば、B社であるのは明白ですね。
このようにリードスコアリングでは表面上のスコアだけでは読みとれないニーズといものがあるので、常にスコアだけに着目するのは危険なんです。
スコアを見るだけでなく、「どんな行動によってスコアが成り立っているのか?」という点にアンテナを張ってください。HubSpotなどのツールを使うとスコアリングはもちろんのこと、個人の行動のすべてを閲覧できるため確認しながら連絡を取るなんていうこともできるようになります。
PDCAサイクルを回す
どんなビジネスにおても大事ですよね、PDCAサイクル。
もちろんリードスコアリングにおいても例外ではありません。
「電話問い合わせで20点、資料ダウンロードで10点加点するように設定したけど、資料ダウンロードしたリードの方がコンバージョン率が高い」といったケースは往々にしてあり得ます。
なので、適切なスコアリングを実現するまでPDCAサイクルを回し続けることが非常に重要なんです。
いや、カスタマーのニーズは時代と共に変動するものなので「実現するまで」ではなく回し続けなければならないかもしれません。
とにかくリードスコアリングを最適化するためには、ひたすらPDCAサイクルを回す必要があるでしょう。
プレディクティブ リードスコアリング
リードスコアリングはきめ細かな設定をすればするほど正確にユーザーを評価できるといえます。もはや職人の技と言っても良いかもしれません。例えば弊社の場合、購買シグナルに対して内部的にスコアリングを行っています。
意外と大変なリードスコアリングですが、面倒くさがり屋の方々には朗報の機能がHubSpotには用意されています。プレディクティブ リードスコアリングという機能です。プレディクティブ(Predictive)とは、日本語にすると「予測」という意味であるとおり、スコアリングを学習して予測自動化している機能なのです。つまり、HubSpotが全部スコアリングをやってくれるので非常に便利ですよね。
マーケティングオートメーションもいよいよマニュアル車からオートマ車への変遷の時期なのかもしれませんね。
おわりに
リードスコアリングは適切に行うことが出来れば、非常に強力なマーケティングツールとなります。
しかし、中には「高スコア=購買意欲が高い」という“リードスコアリング神話”を信じて失敗する企業が後を絶たないのも事実です。
ですので、これからリードスコアリングに踏み込む企業ではしっかりとコツを押さえつつPDCAサイクルを回し、適切なリードスコアリングを目指して欲しいと思います。
また、リードナーチャリングの概念なども忘れないよう注意しましょう。