Googleアナリティクス、3つの注目レポートでデジタルマーケティングを一歩リードする
Googleアナリティクスは、多くのアップデートが繰り返されています。その中には、機能追加も数多く見られます。
ここではPVやUUといったアクセス状況、ユーザーがどこからやって来たかといった集客といった基本レポートとは別の、3つの応用レポートを紹介していきます。比較的新しいものを中心にしていますので、気づいていなかった人はこれを読んですぐに活用してみてください。
また、Googleアナリティクスを使ったWeb解析の基本については、以下の記事が参考になります。合わせてご覧ください。
参考:Web解析入門!Googleアナリティクスでわかること、できること
コホート分析
リテンション
コホート分析は、解析するサイトのリテンションを見ていく分析手法です。
リテンションとは、顧客との関係維持(定着率)を示します。多くのWebサイトは「ユーザーに一度サイトを訪れてもらえれば、後はもう来てもらわなくても構わない」とは考えていません。
繰り返し訪問してもらことで、サイト上で直接購入をしてもらったり、商品やサービスに興味を深めてもらい、申し込みや問い合わせといったアクションに繋げたいと考えているはずです。また一旦コンバージョンがされても、そこからオンライン上で関係を継続していくことで、次の購入や取引に繋げていくのも、大切な役割です。
アクセス解析は、「新規」や「リピーター」を目安にこれを見ていくことができました。Googleアナリティクスでもそれは同じです。「新規とリピーター」レポートを使ったり、セグメントで「新規ユーザー」や「リピーター」を選ぶことで、大まかにリテンションを把握していました。
基本的な見方
コホート分析は、それを一歩進めた機能です。ユーザーをグループ分けして、日々の定着率を見ていきます。Googleアナリティクスのメニュー、「ユーザー」内にある「コホート分析」というレポートでこれを容易に見ていくことができます。
向かって左側に初回の訪問日と、その日にやって来たユーザー数が表示されています。
初回訪問日を基準に、横軸に沿って1日目、2目、3日目・・・という風に定着率を見ていきます(Googleアナリティクスでは、指標として「維持率」という名称を使っています)。
これがデフォルトの見方です。日数は過去7日間が初期表示ですが、過去30日間まで複数の切り替え表示が可能です。また日単位の集計ではなく、週別や月別に変えて見ていくこともできます。
指標は定着率(維持率)ではなく、「ユーザーあたりのセッション継続時間」なども選ぶことができます。この指標を使うと、訪問者がどれだけの興味を持ってサイトに訪れて来ているのかが把握できます。
例えばリテンション施策として、くじ引きゲームを毎日実施していれば定着率はそれなりにあるでしょう。しかしその施策が実際どれぐらい商品やサービスに対して関心が高いユーザーを呼び込めているかについては、継続時間などを目安に見ていくのが良いでしょう。
「ユーザーあたりのページビュー」も同じです。例えば知識や情報を発信するオウンドメディアに対してコホート分析をおこなう際は、これが重要な指標になります。
他にも「目標の完了数」といった指標があります。これを使うとダイレクトにユーザーの初回訪問からコンバージョンするまでの日数が見えるので、結果に直結する重要な分析ができます。
セグメントを使うと、分析はより広範囲に
コホート分析内にある固有の設定では、例えば流入経路を細かく区切っての分析はできません。例えば自然検索」と「リスティング広告」に分けてどちらの定着率が良いか、あるいはコンバージョンに至るまでの日数の差はどれぐらいあるといった分析はできません。
しかしGoogleアナリティクスには、強力な「セグメント」機能があります。検索エンジンから流入したユーザーの動きを見たい場合には、セグメントで「自然検索トラフィック」を指定することで分析が可能になります。
セグメントと組み合わせればかなり広範囲な分析ができますので、ぜひマスターしていきましょう。
アトリビューション分析
貢献度
「アトリビューション」は、以前から多く使われていた言葉です。貢献度、とするのが一般的でしょう。効果測定をおこなう際には通常、その時の購入や申し込みにつながった直接の経路だけが評価されます。Webだと、コンバージョンにつながる「直前のクリック」だけが、効果があったものとみなされます。
では直前にクリックされた流入経路だけをひたすら強化していけば、成果は上がるでしょうか?多くの方は首を振るでしょう。感覚的に、直接貢献をしていないクリックも、成果に対して何らかの影響を与えているのを感じているからです。こうした間接的な貢献度を分析する手法や機能が、アトリビューション分析です。
さまざまなモデルを比較
貢献度を見るために、Googleアナリティクスは「コンバージョン」内に「アトリビューション」というメニューがあり、そこで「モデル比較ツール」レポートとして提供されています。
アトリビューション分析は、貢献度に対する考え方ごとで複数のモデルに分かれます。モデル比較ツール内には複数パターンが予め設定されています。モデル比較ツールレポートを使いこなすには、各モデルの違いを理解しておく必要がありますので、特徴を見ていきましょう。
まずは、成果に直接つながったクリックに関するモデルです。通常の成果とみなされる最後のクリックについても、複数バリエーションが設定されています。
終点
成果に直接結びついた、最後のクリックすべてです。例えば「自然検索」からの流入で申し込みが行われた場合は、自然検索に対してのみ成果が割り振られます。なおこうした成果直前のクリックは、「ラストクリック」とも呼ばれます。
最後の間接クリック
ベースの考え方は、終点モデルと同じです。コンバージョンに結びついた最後のクリックにだけ、100%の貢献率を割り振ります。終点モデルと違うのは、「ノーリファラー」を除いた値を取得する点です。ブックマークなどリファラーが取得できないラストクリックが多く、コンバージョンの決め手となる経路が見えずらいサイトの分析をする場合などに使われます。
Adwords広告のラストクリック
名前の通り、Google広告(Google Adwords)のラストクリックのみに対して貢献度を割り振ります。Adwordsを集客の柱にしていたり、取り組みを見直したい場合に活用したいモデルです。
次からが、間接貢献を本格的に測っていくモデルになります。
起点
ユーザーが最初に訪問するきっかけとなったクリックに対して、100%の貢献を割り当てたモデルです。効果には二つの大きな考え方があります。一つは直接の成果に繋がるラストクリックですが、最初の接点を作たものの方が重要、といった考え方もあります。起点モデルは、後者を重視しています。
線形
コンバージョンに至るまでのすべての経路に対して、均等に貢献度を割り振っていくモデルです。これを見ることで、頻繁に現れるチャネルが見えてくるはずです。出現率により、有効なチャネルを発見できます。
減衰
最終のコンバージョンに近いものに高く、そこから遠くなるに従い低い貢献度を割り振っていきます。加えて時間も加えていきますので、その経路がコンバージョンにどれだけ関わっているのかが、成果からの距離的、時間的に鮮明になります。期間限定キャンペーンの効果測定などに、よく使われるモデルです。
接点ベース
最初の接点(起点)とラストクリックを重視しつつも、他に貢献したチャネルも見ていくという包括モデルです。具体的には起点、ラストクリックそれぞれに対して40%、残りの20%を他に貢献したチャネルに等しく割り振っていきます。
基本的な使い方は、「終点モデルVS他のモデル」といった比較になります。ラストクリックを使った一般的な効果分析に、間接効果を加味したモデルを比較することで特徴が見えてくるはずです。またチャネルという大きな括りではなく、「参照元/メディア」など細かなプライマリディメンションを設定したレポートも確認できます。
アトリビューション分析で大切なのは、どういった分析がしたいか。あるいは仮説を検証したいかという考え方です。モデル比較ツール自体は直感的に操作できる機能ばかりなので、実際に使いながら慣れていきましょう。
ベンチマーク
ベンチマークとは、他と比較して自分の立ち位置を確認するための、基準になる値です。Googleアナリティクスで提供されている「ユーザー」メニュー内の「ベンチマーク」レポートは、セッションや新規ユーザー数、平均セッション時間や直帰率といった指標を使い、自分たちが属する業種業界内の他サイトと、自分たちのサイトを比較することができます。
各指標の値にプラス、またはマイナスが付いていますので、それを目安に大きな差が出ている部分の実数を比較していくと良いでしょう。
例えばベンチマーク内の「チャネル」レポートで「Social」、つまりSNSでのセッション数で大きな差がついていれば、自分たちのソーシャルメディアへの取り組みを見直すべきと思うでしょう。しかし実数を見て自社が100セッション、他の平均実数が200セッション程度しかなければ、他社もそれほどソーシャルメディアからの集客がある訳ではないので、別の改善を優先させた方が良いという判断ができるはずです。
ベンチマークのレポートはチャネルの他に「地域」「デバイス」レポートも提供されています。グローバル展開をしている企業は、地域レポートも役立つでしょう。またデバイスレポートはパソコン、スマホ、タブレットという主要なデバイスで比較がおこなわれています。
一般的なWebサイトだと、スマホからのアクセスがパソコンを既に抜いているという状況ですが、業界によってはそうとは限りません。ベンチマークで自分が属する、あるいは近い業界でのデータ比較ができるので、現実に即した分析がおこなえます。
まとめ
Googleアナリティクスはトラッキングコードのカスタマイズ、あるいはタグマネージャを使い管理画面から変更を加えることで、同一ページ内にあるリンクごとのクリック数を取得できるなど、分析項目を広げることができます。しかしこうした取り組みは、どういったデータを取るかの設計や実装作業があり、案外ハードルが高いものです。
今回取り上げた3つの機能は、いずれもGoogleアナリティクスにデフォルトで備わった機能です。ですから普通に使っていれば当たり前にデータが取得され、各レポートに反映されていきます。つまり使うだけなら、PVや直帰率を基本レポートで見るのと、何ら変わりありません。
大切なのはこれらのレポートに掲載されたデータを、分析する目です。これを養うにはまず各レポートに実際にアクセスをして、数値に対して課題や疑問を持ち、仮説を立ててより深掘りしていくことです。
次に実際のサイト改善に取り組み、結果を検証していく実行力が必要になってきます。日常的にこれらをおこなっていれば自然と、データドリブンなデジタルマーケティングができるようになるはずです。