コンバージョン率を向上させるためのWebサイトテクニック【基本編】
企業がWebサイトを持つ大きな理由は、「成果を出すため」です。
ECのように直接の売上でなくても、「資料請求」「商品(サービス)問合せ」、「メールアドレス等でリードになる情報の収集」などの成果を、日々追っていることでしょう。
近年はコンテンツの重要性が言われていますが、これは「自然検索を中心にした集客」「ユーザーの納得感」「関心を高める」などで、最終的な「コンバージョン」が無ければ、起承転結の「結」を欠いてしまう状態です。サッカーで言えば美しくパスをつないでもゴールができない、恋愛で言えばムードは最高潮なのに肝心な言葉が出て来ない・・・といった感じです。
つまり、コンバージョンしないWebは、仕事をしていないのと一緒ということなのでしょう。この記事ではそんな残念な状態にならないために、決めるべき「コンバージョンの取り方」についてポイントを解説していきます。
コンバージョン率向上のための基本
まずは、コンバージョン率向上のための基本中の基本の二つです。
昔から言われていることなので復習の意味合いが大きいですが、今一度見直しておきましょう。
フォームは必要な項目だけ。入力はしやすく。
フォームはコンバージョンを最終的に決定する、非常に重要な部分です。
ところがWebサイトにおいて意外と注力されません。特にWebサイトの構築となるとトップページのデザインなどに注力してしまいランディングページやフォームにまで気が回らないということもしばしばあります。
トップページや主要な製品/サービスページなどと比べるとその差は歴然です。上司や経営層、ステークホルダーはどうしても目立つ方を注視しますが、担当者ならば実際に成果を出すこの部分に気を配りたいものです。
最低限のチェックポイントを挙げてみましょう。
- 各項目で、入力が正しくできる
- 送信ボタンが押せて送信が完了できる
- 適切なエラーが、わかりやすい場所に表示される
- 入力されたデータがきちんと入ってくる(受付メール受信も含む)
- 相手にきちんと受付メールが届く(設定されている場合)
- セキュリティのエラーが出ない(SSLなど)
まずはケアレスミスがないことです。
そのうえで最重要ポイントは「不要な項目は置かない」ことです。
やたら入力項目が多いフォームは、それだけで離脱したくなるのが人間の心理です。その一方で企業側は、ユーザーの情報を多く取りたがるものです。しかし「今、必ず取らないといけない情報か」をユーザー目線で考えましょう。
今、本当に電話番号が必要なのか?今、本当に部署名まで必要なのか?今、本当に住所が必要なのかをしっかりと考えます。
また「入力のしやすさ」が大切なのも、言うまでもありません。昔はパソコンからの閲覧が多かったかもしれませんが、今や多くのユーザーがスマートフォンを操作していることを忘れないようにしましょう。弊社のWebサイトも40%近くがスマホ経由ですし、弊社が運営している多くのBtoB企業が30%以上スマホ経由になっています。
このような背景から最近はかなり大きめの入力欄が好まれます。郵便番号や電話番号を分割しているのも、ユーザーファーストとは言えません。
1度入力してもらった項目は2度聞かない
複数コンバージョンポイントがある場合、ユーザーは何度も同じ情報を入れるのは一苦労です。状況によっては入力作業が面倒でコンバージョンしてくれない可能性もあるでしょう。
特にBtoB企業の場合にはマーケティングオートメーション(MA)ツールなどを活用してナーチャリングして行きながらホットリードへと昇華させて行きます。ナーチャリングの過程で何度も何度も同じことを聞いてしまわないようにすべきですね。
幸いMAツールには、一度聞いた項目を出さない機能や段階的に質問を変えていく機能が搭載されています。
例えば、HubSpotのすべてのエディションでは、フォームにスマートフィールドを使用できます。この機能を使用すると、すでに取得されたデータを要求するフォームフィールドを表示させないようにできます。また、プログレッシブプロファイリングという機能では、以前に取得したフィールドを一連の新しいフィールドに置き換えることができます。このため、同じ質問をしたり多すぎる質問をしてしまうことなく詳しい情報を積み重ねていくことができるようになります。
参考資料:HubSpotまるわかりガイド
コンバージョンに導くページ構成
デジタルマーケティングの手法は日々進化を遂げており大きく変わっていますが、ユーザーの購買心理は昔からほとんど変わっていません。
- 興味、関心を引く
- 内容を理解してもらう
- 数値やグラフで納得感を持ってもらう
- 事例などで実感を高めてもらう
そして最終的なコンバージョンに結びつけていきます。
新たなコンセプトの商品やサービスであれば、必要性を感じてもらうことも必要でしょう。BtoB企業の場合は特に、企業情報や実績で信頼感を高めてもらう必要もあるでしょう。
これらの要素を順序立ててきれいに並べることもあれば、意図的に順番を変えて見せることもあります。
購買行動に即したランディングページ、またはサイト全体の構成が重要です。
なお以降のこの記事では、こうした構成ではなく最終のコンバージョンポイントにフォーカスした解説をおこなっていきます。
最近のコンバージョンポイントの傾向
最近のコンバージョン関連の好事例を紹介していきましょう。
LP(ランディングページ)
LPは施策で最も重要なページです。ユーザーが訪れる最も最初のページですから好印象を持ってもらい興味を引けるかが大きなポイントでしょう。
このLPは、基本的にSEO対策や広告とセットで作られます。
もし広告で寄せる場合であれば、掲載面に馴染む体裁、いかにも広告といった主張がされすぎない「ネイティブ広告」が主流になっています。
ただしこれは、広告と一般的な情報を誤認させてクリックを狙うという意図ではありません(一部そうしたものもありますが)。
広告規定の中には<広告><PR>といった記載をして、ユーザーが広告と分かるようにするというガイドラインもあります。
また検索結果ページに表示されるPPCは、多くのユーザーが自然検索の結果ではなく広告だと知っています。またバナー広告も内容やクリエイティブによっては、依然として効力を持っています。
つまりユーザーは「これは広告」と認識しているケースが多いのです
それをクリックするということは、既に商品やサービスに関心がある状態です。そのためページに行ったら「資料請求」「問合せ」など、最終的にするべきアクションがハッキリ明示してあった方が効果が高いのです。
通販システム「ショップサーブ」は、スクロールしてすぐに大胆な「資料請求する」というボタンが現れます。これぐらい明確なアクションを促しても、LPであれば着地点がわかりやすくて良いでしょう。
またボタンだけでなく、資料や特典が画像と共に紹介されています。最近はこうした中身の紹介を、資料請求などアクションボタンの周りに併載するケースも多くなっています。
ショップサーブはBtoBの商材ですが、小規模事業者や個人でショップを開設したいという要望も多いからでしょう。スマホページもきちんと作成されています。
BtoBのWebサイトはスマートフォン対応を今もきちんとしないことがありますが、内容によってはスマホで資料請求が多いものもあります。機会を逃さないように作成するようにしたいものです。
またショップサーブは、サービスサイト自体もかなりのコンバージョンポイントを用意しています。
商材としてインターネットビジネス用で直販のツール、また指名検索が多いといった理由があるため、コンタクトを取りやすい体裁にしているのではないでしょうか。
Webサイト
一般的なWebサイトは、資料請求やリード獲得以外の役割も多く持ちます。
ユーザーもすぐにアクションをしないことが多いので、LPとはコンバージョンポイントの作りが違ってきます。
最近多く見かけるのは、複数パターンのコンバージョンを用意しているサイトです。
これらの例のように、複数の申込みパターンが並べてあります。 これまでコンバージョンポイントは、
- 1つとして他に選択肢がないようにするのが良い
- 複数の選択肢を置いておく方が良い
という二つの意見がありました。
前者の考え主流だった時期もありますが、最近のWebサイトの傾向を見ると複数置く方が成果は出やすい傾向があります。ただし、目的意識を持った人が訪れるサイトは目的達成のために1つの方が良いです。
記事コンテンツ
オウンドメディアやコンテンツマーケティングをおこなっているサイトは、純粋な情報メディアではなく、ユーザーにアクションをしてもらう必要があります。
そのためコンバージョンポイントの置き方は非常に重要です。
【初心者必見!】そもそも確定申告とは?年末調整との違いについて(freee)
実際にコンバージョンがどう訴求されているかを見ると、freeeでは、インセンティブの紹介や複数のボタンを設置して、それを枠で大きく囲んでいます。
記事コンテンツのコンバージョンポイントに関しても、これぐらい注目されるように置いた方が良いのか、記事に馴染む形(つまりネイティブ広告のような体裁)で置く方が良いのか、判断は難しいところです。
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(マイナビ転職)
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/sample/01/09_2
このマイナビ転職の記事コンテンツでは、ごく自然にコンバージョンポイントを設置しています。
どちらが正解というのはなく、大切なのは「記事内容と合うコンバージョンポイントにする」ことです。
内容で関心が高まっていれば、強調して置いてあっても「詳しく見てみよう」という気持ちでユーザーはクリックをするでしょう。マイナビ転職のページの場合だと記事の一部のように感じながら、自然とクリックをするケースが増えるはずです。
BtoBはコンバージョン獲得後も大事
少し前までコンバージョンといえば、問合せや資料請求というオンライン上でのアクションがされるだけですべての成果となっていました。
しかしそれだけだと「リードの数を稼げない」「使えないリストが多い」「営業をしても実際の成約に結びつきにくい」といった、現場(営業)からの不満が多く出ていました。そのためにデジタルマーケティングと営業の現場は関係が良くない、企業全体で見ると効率が上がらないという状態でした。
今はマーケティングオートメーション(MA)があるので、その部分が大きく改善されてきています。
問合せや資料請求、あるいは資料のダウンロードでユーザーとの接点を作れば、MAツールを使ってホットリードにしていき、営業の現場へと引き渡せます。
このようにBtoBの場合には、オンライン上のコンバージョンを獲得した後の施策も重要になっています。
まとめ
今回事例として紹介した各Webページを見返すと、コンバージョンポイントに非常に工夫がされているのがわかります。
ポイントをまとめてみましょう。
ポイント
- LPはアクションを明確に。特典などを強く出すのも良
- 通常のWebサイトは複数パターンのコンバージョンポイントを置く傾向があり
- 記事コンテンツのコンバージョンポイントは、内容に合っているのが大前提
- 特にBtoBでは、オンライン上のコンバージョンを獲得した後のナーチャリングも重要。
実際には、コンバージョンポイントに力が入っていない作りのページも数多くあります。自身のサイトが成果が取れる形になっているか、もう一度見直してみましょう。