Googleアナリティクスの指標とディメンションとは?その違いと分析例を解説
「どのディメンションを見れば良いですか?」
新人や他部署の人にGoogleアナリティクスを教えている時、不意にそんな質問をされて戸惑うことはありませんか?
もしくは上司が
「指標とディメンションって、どう違うんだ?」
と聞いてくるかもしれません。
そこで今回は、Googleアナリティクスの基本だけど正確に理解しづらい用語、「指標」と「ディメンション」を解説します。
レポートを見るための二つの要素「指標」と「ディメンション」
まずは「指標」と「ディメンション」の基本から解説します。
実際のレポートでは、次の箇所を指します。
指標とディメンションは重要でありながら、混同しがちです。
実際の画面を見ながらであればすぐに対応できますが、言葉で「○○のディメンションで△△の指標を見て」と言われると、なかなかすぐには対応できないものですので、違いをきちんと押さえて反応できるようにしておきましょう。
指標
「指標」とは、レポートの中の数値を指します。
標準搭載の指標
具体的には、「ページビュー」「セッション」などがこれにあたります。「直帰率」「ページ/セッション」など、割合や計算で出てくる値も指標になります。
主な指標を挙げていきましょう。
- ユニークユーザー数
- セッション数
- ページビュー数
- ページ/セッション
- 新規セッション
- 離脱率
- 直帰率
- 平均セッション時間
- 目標
これらは多くのレポートで共通して使われる指標です。
個別のレポートで使われるものもあるので、Googleアナリティクスには無数の指標が存在します。
Web担当者がこれらすべてを把握するのは困難ですし、また必要としないものもあります。
ですから大切なのは、「主に使う指標にはどんなものがあるか」「そのレポートを見る時にどの指標を使えば良いのか」を押さえておくことです。
その後は分析に応じて使える指標が他にないかを必要に応じて探す、としておくと良いでしょう。
設定して見れるようになる指標
なお指標には、設定をすることで使えるようになるものもあります。
例えば「コンバージョン率」を使うには、「目標」をあらかじめ設定しておく必要があります。
「ページの価値」を使うためには、「目標値」の設定をしておく必要があります。
ECサイトの場合は、Eコマースの設定をします。
また汎用的な指標だけでなく、「カスタム指標」という自分で任意で追加ができる指標もあります。
この場合には、データの取得をおこなうためにページ内に設置しているトラッキングコードを修正します。
ディメンション
「ディメンション」は聞きなれない言葉ですが、Googleアナリティクスを使う上では絶対に押さえておくべき言葉です。
「分析軸」「切り口」といった意味になります。
具体例を少し挙げます。
- 「ページごと」の分析
- 「月ごと」の分析
- 「ユーザータイプ(新規orリピーター)ごと」の分析 、他
このように「〇〇ごとの分析」という分け方が、ディメンションです。
よく使う分析の切り口
汎用的で、よく使うディメンションを挙げていきましょう。
- ユーザータイプ(新規orリピーター)。
- デバイスタイプ(PC orスマホ)。
- 集客チャネル。
- 集客の参照元/メディア。
- ソーシャルネットワーク。
- ページ(URL or ページタイトル)。
- ランディングページ。
- 離脱ページ。
- 月や週、日、時間、または曜日。
- ブラウザ。
- 画面の解像度。
- 国/地域 、他
この他にもECサイトでEコマース設定をきちんと行っていれば、「商品」「商品カテゴリ」といったディメンションが用意されるので、多彩な切り口になります。
また「アクセス解析で何を見たいか」という担当者ごとの役割によって、使用するディメンションは変わります。
目的ごとに判断する基準をもつ
例えばサイトリニューアルを企画した際に、制作者目線でいくと「ブラウザ」や「画面の解像度」などが気になります。
どういった環境でよく見られているかをチェックして、サイト表示や動作保証をどこまでするかを決めるためです。
デジタルマーケティングの視点で言えば「集客の参照元/メディア」などはサイトへの集客を練るうえで、欠かせない切り口になります。
このように数多くあるディメンションを辞書的に丸暗記する必要はなく「よく使うディメンションにはどんなものがあるか」「どのディメンションを分析軸として使えば最適な情報が得られるか」といった基本知識と判断基準を自分で持つようにしましょう。慣れてくると、必要に応じた分析軸がそのつど見えてくるはずです。
なおディメンションも自分たちが任意に設定できる、「カスタムディメンション」という機能を持っています。
活用法
ここからは実践形式で使えるようにしていくための解説を加えていきます。
基本的な分析
実際のアクセス解析では、次のような見方が要求されます。
(例)
「集客で一番効いているのは何?」
こう質問された場合に、どういったレポートを見るでしょうか。
「集客>チャネル」、または「集客>参照元/メディア」のどちらかになるでしょう。
前者の場合はざっくりで、「検索エンジンからの自然検索が最も多く、次が他サイトのリンクからになります」という感じの回答になるでしょう。
後者であれば「Googleの自然検索が最も多く、次いで運営しているオウンドメディアからになります」と、具体性が増した回答をできるでしょう。
ここで使った「検索エンジン」「他サイト」「Google」などが分析軸、つまりディメンションになります。
回答に指標の値を加えると、「Googleの自然検索からが約48%で流入の半数近くを占め、次いでオウンドメディアからが10%になっています」と、数値をもとにしたより説得力のある報告ができるようになります。
このように、ディメンションと指標はセットとなります。
例えば、「読み物記事(ディメンション:ページタイトル)ごとのPVを見ていきたい(指標:ページビュー数)」「デバイス(ディメンション:デバイスタイプ)ごとに1訪問でどれぐらいページを見ているか(指標:ページ/セッション)を知りたい」といった組合せで使っていきます。
また一つのレポートでは、ディメンションに対して複数の指標が出ています。
ですので「PCの方がスマホより平均で3ページ近く多く見られているけど、リピーターの割合が倍近くいるな」など、一緒に表示されている指標から別の気づきを得ることができます。
クロス集計による詳細把握
ディメンションと指標の組み合わせについては、向かって左側のメニューから必要なレポートを選択していけば表示されます。
しかし深く分析していくためには、これだけでは不十分です。
そこでディメンションをもう一つ追加した、クロス集計が必要になってきます。
クロス集計を行うためには、ディメンションの二つの種類を覚えておく必要があります。
「プライマリディメンション」と「セカンダリディメンション」です。
プライマリディメンションとは、そのレポートを表示した際に初めから出ている分析軸です。
例えば、「集客>すべてのページ」ではディメンションとしてページURLが表示されています。
これがプライマリディメンションです。
このプライマリディメンションは、レポート内で違うものに切り替えも可能です。
例えば「集客>すべてのページ」で上部のプライマリディメンションの欄から、ページURLではなくページタイトルへ切替が可能です。
しかしこの操作を行っても、分析軸がプライマリディメンション一つなのは変わりません。
そこで「セカンダリディメンション」の出番になります。
セカンダリディメンションとは各レポートに追加できる、二つ目の分析軸です。
ページURLごとのプライマリディメンションに、セカンダリディメンションとして参照元のメディアを追加してみました。
これによりページURLを一番目の分析軸にしていても、参照元により平均ページ滞在時間に大きく差が出るなど、細かな情報が見えるようになります。
このようにセカンダリディメンションを使ってのクロス集計は、データを深堀するための大きな武器になります。
プライマリディメンションで、ざっくりとしたデータの傾向を見て何らかの疑問や仮説が浮かんだら、セカンダリディメンションを追加して細かな分析に移っていくようにしましょう。
注意しておきたいディメンション
最後に、とても重要でよく使うものの、
なかなか理解していないディメンションの種類について解説しておきましょう。
それは集客レポート内の、「チャネル」と「参照元/メディア」という二つのディメンションです。
大まかな理解として、次のことを押さえておくと良いでしょう。
- チャネル ⇒ 大枠の流入元。
- 参照元/メディア ⇒ 細かな流入元。
具体的な項目は、次ようになります。
・チャネル
⇒
Organic Search(自然検索)/Paid Search(リスティング広告)/Display(ディスプレイ広告)/Referral(他サイト)など
・参照元/メディア
⇒
google / organic(Googleの自然検索)/google / cpc(Googleのリスティング広告)/youtube.com / referral(他サイトのyoutube)など
この二つを混同してしまう理由ですが、チャネルはメディアの後にGoogleアナリティクスに追加された集客の大分類項目なので、共通部分が多いながら微妙に違うといった理由もあるでしょう。
細かな流入内訳を見るためのレポートとして、「参照サイト」なども用意されています。
しかし、「参照元/メディア」が、より効率良く集客の具体的な状況が把握できるため、マーケティング担当者に重宝されるディメンションとなっています。