限られた予算の中でネット広告をどう選ぶか

2019年にインターネットの広告費がテレビ広告費用を抜いてトップになりました。名実共に広告の主流になったネット広告ですが、テレビのように大きな金額が必要なマス媒体と違い、小規模な事業であっても掲載できるのが特徴です。

その一方で誰でも始められるというようにハードルは低いものの、ビジネス規模や狙いに応じて広告の選択をきちんとおこなわなければいけません。この記事では小規模ビジネスを対象に、ネット広告をどういう基準で選べば良いのかを解説していきます。

広告の特性を理解する

広告の特性を理解する

ネット広告と言ってもその種類はたくさんあります。初心者の場合にはGoogle広告を始めれば良いのではないか、と考えがちですが狙いによってはそれが正しいかどうかはわかりません。

まず最初にネット広告を大きく3つに分類し、その目的をご紹介します。

  1. 成果を獲得する。
  2. 認知度をあげる。
  3. 利用を促進する。

成果獲得に向いた広告

リスティング広告アフィリエイト広告、(ディスプレイ広告)、(SNS広告

認知度向上に向いた広告

ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告

利用を促進する広告

「ネイティブアド(記事広告)」がその代表です。認知度向上に近いですが、企業や商品、サービスそのものではなく「なぜそうした商品、サービスが必要か」「解決する手段に何があるか」といったように、まずはきっかけから与える、そこから認知につなげていくという違いがあります。つまり、コンテンツマーケティングのナーチャリングの役割も兼ねていると考えていただければ良いと思います。

何を選べば良いのか?広告選定のポイントを解説

こうした目的別の分類を前提に、次に選択のポイントを解説していきます。

成果獲得に向いた広告についてご紹介します。

検索エンジンの検索結果画面に表示されるリスティング広告は、成果を獲得するための代表的な広告です。ユーザー自身が検索という行動を取った上での広告表示なのでニーズが顕在化した、意欲が高い層にアプローチできます。

成果報酬型のアフィリエイト広告は、ユーザー自身のアクションに対する広告ではなく、アフリエイターの持つサイトの特徴、そこでの扱われ方に依存する形になります。

ディスプレイ広告とSNS広告ですが、この二つについてはもともと認知度をあげる広告という位置づけでした。しかし、ターゲティングと広告フォーマットが多彩になったことで、獲得型広告としても大きな成果が得られるようになっています。

次の認知度を上げる広告についてご紹介します。認知度をあげる代表はディスプレイ広告でしたが、最近は動画広告が中心になっています。

ディスプレイ広告は幅が広く、「アドネットワーク」「DSP」などに分かれます。これらは配信方式の問題なので、この記事では詳しくは触れません。SNS広告も広告フォーマットで見ればディスプレイ広告と言えますが、いづれも動画のフォーマットが増えてきています。

さて小規模ビジネスの限られた予算において、広告に期待するのは多くの場合で(1)の成果の獲得でしょう。成果を獲得するための広告を、具体的な媒体名を含めてあげてみましょう。

リスティング広告

Google広告/Yahoo!広告

ディスプレイ広告

Google広告(GDN)/Yahoo!広告(YDN)

SNS広告

Facebook広告Instagram広告LINE広告

必須と言えるのはリスティング広告です。Google広告とYahoo!広告が存在しますが、検索エンジンのシェアを考えるとGoogle広告です。しかし検索エンジンのシェアが大きいぶん、競争が激しいというデメリットがあります。競争が激しいということはCPCとCPAが高騰していて、予算が多くかかります。Google広告を出稿せずにYahoo!広告のみというのはビジネス的に考えにくくなっていますが(日本国内においては逆もまた然り)、十分な成果をあげるためにはきちんとしたPDCAが必要です。

ディスプレイ広告について、成果獲得に効くターゲティングができるという意味ではGoogle広告のGDN、Yahoo!広告のYDNの選択が妥当です。ある程度の規模のサイトでは他にもCriteoなど獲得型のディスプレイ広告に出稿していますが、Googleが持つネットワークだけで十分な可能性があると言えます。

Yahoo!は検索エンジンというよりも、Yahoo! Japanが持つサービスの方が価値が高いと言えます。Yahoo!ニュースや天気、乗り換えなど多くの人が利用するサービスに広告が表示されるので、ターゲティング設定を加えたYDNは非常に強力なディスプレイ広告といえます。Yahoo!はリスティングを出さずYDNだけにする、といった選択肢もありでしょう。

GDN、YDNはターゲティングが大きな魅力でしたが、AppleのITP(cookieによる追跡の無効化)などにより、その精度が不安視されるようになってきています。

cookieに依存せず高いターゲティング精度を保つという意味で、SNS広告が獲得型として一層の価値を高めていく勢いがあります。Twitter広告は拡散、認知度の向上の意味合いが強いので今回の紹介では外していますが、「Facebook」「Instagram」「LINE」の3大SNSについては、ターゲティング設定をしっかりおこなうことで獲得成果を出せるはずです。

SNS広告に取り組む場合には、「そのSNSをターゲットユーザーが利用しているか」が大きな検討課題になります。またInstagramの場合はビジュアル重視のSNSという特性上、広告が敬遠される傾向があります。Instagram広告を考える場合にはクリエイティブにもかなり力を入れることが必要、といった点も押さえておきましょう。

整理すると、獲得を目指すなら「リスティング広告」が最優先、状況や余力を見て「GDN、YDNのディスプレイ広告」の併用がいいでしょう。

SNS広告についてはターゲットユーザーが多く利用している、SNSでなければ設定できないターゲティングの条件がある、といった場合の併用が基本的な取り組み方になります。

広告媒体の選定と予算を最適化する運用の必要性

日本では一般的にYahoo!広告などは無視できない存在です。また、多くの企業においてソーシャル広告への取り組みも加速しています。また、目標を達成するために最適な広告媒体を選定する必要もあるでしょう。意外と広告運用というのは面倒であり媒体が増えれば増えるほど複雑性が増していきます。

広告媒体の選定と予算を最適化する運用の必要性

弊社リードプラスではGoogle広告とYahoo!広告、ソーシャル広告の運用のための自動最適化エンジンを独自開発し、お客様の広告運用をお任せいただける「広告運用代行サービス(サービス名:LocalFolio)」を提供しております。もしご興味がございましたらお声がけいただければ幸いです。

広告運用代行サービス

ネット広告以外もミックスさせる

この記事のメインテーマはネット広告ですが、成果を出すという目的で考えれば、それ以外も取り組んでいくことが大切です。

1. オンラインサービス

広告の効果測定というと、最後に成果につながったものだけを評価する(ラストクリックと言います)考え方が主流です。しかし実際にユーザーが成果に至るまでには、いくつもの接点があります。たとえばGoogleアナリティクス内にマルチチャンネルレポートというのがありますが、その中のコンバージョン経路レポートを確認すると、コンバージョンに至るまでに多くの接点を持っていることがわかります。

インターネットの中で考えると、SEOも広告と組み合わせることでより高い効果を発揮します。たとえば「リフォーム会社」と検索したり、「リフォーム会社 水回り」といったワードで検索したとします。自然検索の上位に自社のWebページが表示、その後でリスティング広告で見かけた際も接点を持った経験から安心感を持ち、コンバージョンにつながりやすくなるでしょう。

ローカルビジネスの場合では、Googleマイビジネス(GMB)での表示が重要になってきています。SEOの場合はクエリの種類によっては、自サイトのコンテンツが上位に表示されにくい場合があります(先ほどの「リフォーム会社」というクエリはまさにそうで、実際には複数の会社が掲載されたランキングサイトなどが上位に出ます)。

一方で地図を伴ったGoogleマイビジネスの表示は、必ず上位にあります。Googleはローカルビジネス情報の提供に以前から力を入れていますので、表示位置が目立つようにはなっても、下にするようなことは今後ないでしょう。

このようにSEO、Googleマイビジネスのように広告とは違うオンラインサービスにも力を入れることで、いっそう広告が効力を発揮します。

Googleマイビジネスで認知→リスティング広告でコンバージョン、あるいはその逆といった形です。Yahoo!版のGoogleマイビジネスとも言われるYahoo!プレイスなどもありますので、特にローカルビジネス向きの業種はこうしたオンラインサービスについても積極的に取り組んでいきましょう。

2. オフラインも効く場合あり

従来からのメディアやオフラインがまったく効かなくなった、というわけではありません。テレビで見かけてネットで検索、といった流れでのトラフィックは、今も膨大に発生しています。

ただテレビのようなマスメディアは小規模ビジネスでは難しいのはわかっていますし、新聞の折込チラシや電車、バスへ掲示する交通広告などもそれなりの広告費がかかります。これらの効果は曖昧、予算的にもこうした広告への出稿が厳しいためネット広告に流れてきている、という側面もあります。

オフラインでこうした有料広告ではなく、料金があまりかからない販促をおこなうことで、前項のオンラインサービスに取り組むのと同じように広告との相乗効果を高められることがあります。

たとえば自社のビジネスと関係がある、近しいユーザーが集まる店舗にチラシを置かせてもらったり、ポスターを貼らせてもらうといったことです。広告、販促をすべてデジタルに移行させて、こうした取り組みを止めてしまう例を見かけます。しかしオフラインでの地道な活動を続けている所は、今もこれらを接点にした顧客獲得があります。もちろんチラシを見てWebで確認、というのは当たり前の流れになっていますので、インターネット上の情報、特に自社サイトの充実にはきちんと取り組んでおく必要があります。

まとめ

小規模ビジネスにおけるネット広告の選択について、解説しました。

現実問題として多くの企業がデジタルの取り組みを強化していますので、競争は激しくなっています。もっと言えばGoogleとYahoo!のリスティングとディスプレイ広告、それにSNS広告は基本的に入札方式ですので、ダイレクトな競争をすることになります。

ここで一歩抜け出すために、PDCAを回しながら広告の効果を高めていくことが必要です。GoogleとFacebookを中心に広告の自動化は進んでいますし、運用管理の手間も外部パートナーを活用することで軽減できます。広告でユーザーにどういったメッセージを発信するかの検討、そして自社のビジネスを高めていくことに注力していきましょう。

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