アドテック東京2019レポート:注目のサービス、ソリューションについて
2019年11月末、東京国際フォーラムで恒例の「アドテック東京」が開催されました。注目のセッションが多数おこなわれるこのイベント、私は展示の方でソリューション、サービスのトレンドにふれてきました。
この記事では2019年のアドテックで見つけた面白いサービス、ソリューションをトレンドと感じたこととともに紹介していきます。
注目のサービス、ソリューション
まずは注目のソリューション、サービスを紹介していきます。
「kamui tracker」「かむなび」
まずは動画データサービス「kamui tracker」、YouTube総合メディア「かむなび」。
ブースでは、「YouTuberをとりまとめて企業とのタイアップ動画を作成しています」と紹介を受けました。kamui trackerで、各動画の状況がわかります。
なおタイアップ動画で多いのはゲーム、美容商材、それに次いでおもちゃというのが意外でした。資料には有名メーカーとのタイアップ動画が数多くありました。
動画はすっかり定着したマーケティング手法ですので、こうしたデータ管理ツールというのは役に立ちそうです。YouTuberをとりまとめているということで、リソース管理という意味でも効率が良さそう。
さらにYouTube総合メディアとして「かむなび」の運営もおこなっていることで、YouTube動画に取組む企業、マーケターの方はチェックしておくと良いと思います。
帰宅後に資料を見て知ったのですが、こちらの提供会社は株式会社エビリー。クラウド型動画配信システム「ミルビィ」というソリューションを以前から提供している会社ですので、動画については多くの実績がある企業です。ミルビィは自社の動画配信システムということで、YouTubeがどんどん勢力を増していることからどうなっていくのか・・・と考えていましたが、うまく共存していっているようです。
Taboolaネイティブ広告
アドテックですから、広告関係のソリューションの比重が多くなります。
広告とインバウンドマーケティングは相反するものではなく、うまく取り入れていくことで効果を出していくべきものというのは、このブログでも頻繫にうったえていること。そんな中でインバウンドマーケティングの手法の大きな打ち手、記事コンテンツの誘導に力を発揮してくれそうなのが「Taboolaネイティブ広告」です。
名前のとおりネイティブ広告の一種ですが、掲載先が大手のメディアサイト、そして掲載方法が関連記事といった形になるので、企業の記事コンテンツやオウンドメディアに自然な形で、興味関心の高いユーザーを誘導してくれます。
関連性はメディアに掲載された内容に合わせて、たとえばライフプランに関する記事だったら保険関係のオウンドメディアへ、住まいに関するニュースだったら不動産のオウンドメディアや記事コンテンツへといった形となるとのこと。
またコンテンツマッチだけでなく、ユーザーデータに基づくターゲティングもおこなわれているということなので、人×コンテンツで精度が高い配信がされているみたいです。
出稿の目的としてはブランディングおよび集客でPV数を評価、それと実際の申込みや問合せといった直接的なコンバージョンが半々とのこと。料金についてもそれほど高くありませんでしたので、出稿もしやすいネイティブ広告といえます。
自然検索からのトラフィックだけでは十分ではない、あるいは立ち上げたばかりのオウンドメディアやコンテンツマーケティング施策での初期集客として、検討したいネイティブ広告といえます。
なお「Taboola ブランド動画」という、動画広告ソリューションも提供。コンテンツ戦略も記事から動画への比重が移ってきていますので、動画広告も一緒にチェックしておくといいでしょう。
自動リスト作成ソフト「リスタ」
「リスタ」はキーワードをもとにWebサイトからターゲットとなる企業のデータを収集、EXCELに出力していくというソリューション。
具体的な使い方の例としては、次のようなものです。
たとえば社員研修を実施している企業がターゲットになる場合、それをキーワードにして情報をネット上から収集していく、といった具合です。
情報はコーポレートサイトのみ、あるいはコーポレートサイト以外の情報も収集するといったふうに、柔軟に設定していくことも可能とのこと。BtoB向けのソリューションになりますので、名刺管理やSFAとともに導入検討リストに加えておくのも良さそうです。
Datapia
これは非常に面白いものです。マーケティングソリューションはデータに関するものが中心になっていますが、Supership株式会社の「Datapia」はDMP、CDP、BIツールといったところとは違う立ち位置でのデータ基盤側のソリューションといえそうです。
企業内のサイロ化されたデータを統合管理、データ利用ができるようにするというもので、企業規模が大きくデータがまとまっていない、これからはきちんとデータを活用していかないといけないので分散された状況のままだとまずい、という課題がある企業にとって、特に有益になります。
実務で便利な機能として紹介しておきたいのが、SQLの保存や共有ができること。SQLが苦手、マスターしきれていない人でもデータの取り出しが可能になります。
リリースしたてでこれから機能もどんどん増えていきそうで、非常に楽しみなソリューションです。
Datapia(Supership株式会社ニュースリリース)
AiDeal (アイディール)
早晩、シナリオを考えて接客ツールなどを設定するという部分はAIでできるようになると考えていますが、そうした性能を打ち出したソリューションにも出会いました。
「AiDeal (アイディール)」というもので、ユーザーのサイト内行動をもとに購入の促進をするタイミングを察知して、クーポンを提示するという機能を持っているとのこと。どのくらいの精度でできるものなのか、機会があれば早速ためしてみたいツールのひとつです。
Ponta
「PontaデジタライズドDM」という形で出展していました。Ponta会員のデータをもとにしたDMPのデータを使い、紙のDMやオンラインでの施策がさまざまにうてます。
強みとしてはオフライン、つまりPOSデータを持っているということだそう。実務面でのオンラインとオフラインの融合はなかなか進みませんが、データ活用はいろいろと進歩しています。それを具体化する、規模の大きなデータサービスです。
クオ・カード・ペイ
最後に紹介するのは毛色が違う、「クオ・カード・ペイ」。お馴染みのクオカード、そのデジタル版です。
お馴染みと書きましたが、ここがまさにクオ・カード・ペイの強み。浸透しているものなので気軽に使える、利用可能な場所も多いということで、デジタルギフトとしても喜ばれること請け合い。特別にアカウントを開設するといった手間も不要ということですので、もらった人が使い勝手がいいデジタルギフトです。デザインも企業のオリジナルのものにできるということですので、ブランディングでも有効です。
トレンド
こうしたイベントは、デジタルマーケティングのトレンドをキャッチする機会として最適です。まず感じたのは、これまで多く見かけた種類のソリューションを目にしなかったこと。特にマーケティングオートメーションやBIツールを目にしなかったのは、もはやキャズムを超えたと言っても良いのではないかと思いました。そして、多くの出展製品がMAツールを補完するようなチャットなどの接客系ツールやコンテンツの出し分けといった、MAツールを補完するより広いソリューションが望まれてきているという感じでしょうか。
展示会の常連ともいえるいくつものブランドを見なかったのも、意外でした。有名なツールはすでに名前も浸透し、こうしたオープンな展示会に出展するフェーズが終わったのかもしれません。アドテックですからもちろん広告関係の出展が多くありました。
前章で個別のソリューションとしては紹介していませんが、Google広告やYahoo!プロモーション広告、Facebook広告などを横断して管理、さらに機械学習をさせて最適化できるというKPIソリューションズのツールなどは、広告分野のトレンドといえるでしょう。
全般的にデータは重要というよりも当たり前、それをどう活用するかで成果が決まってくる、というのが前提にまでなっている印象です。
まとめ
広告からデジタルギフトまで、幅広く気になったソリューションを紹介しました。こうした製品群は覚えておくと何かの機会に役に立ちます。あるいは同様のものを見た際に、比較検討の材料ともなります。
デジタルマーケティングの動きは速く、新製品の登場から機能追加まですごいスピードでおこなわれています。多くのソリューションが集まるこうした展示会で、積極的に情報をキャッチアップしていくことが重要です。