ABMとは?注目を集める新たなBtoBマーケティング手法
BtoBマーケティングの領域で「アカウントベースドマーケティング(ABM)」が注目を集めています。弊社においてもここ最近、ABMの実施をサポートして欲しいという依頼が急速に増加しています。ABMは、企業のターゲットアカウント(企業)単位で適切なマーケティングを実行するための手法であり、企業の営業戦略を強力にサポートするマーケティング戦略です。今回はこのABM(アカウントベースドマーケティング)登場の概要から背景、メリット、施策例などをご紹介します。
ABMというマーケティング手法の基本概念
ABMというマーケティング手法を理解するには、まず基本的な意味や考え方を正確に知ることが大切です。また、実際に活用を検討する際は、従来のマーケティング手法との違いや、注目されるに至った背景を知ることも役に立つでしょう。
ABMの意味と考え方
ABMとは、自社にとって有力な見込み企業・団体、業種・業界、企業規模といったターゲットを明確に定義し、それらに対して営業と連携しながら個別に最適化したマーケティング戦略を実行することです。
ABMとは「Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)」の略で、市場を均質化するのではなく、ターゲットを定めた企業に対して個別に最適なアプローチを行うという特徴があります。
ABMでいう「アカウント」とは、一つ一つの具体的な企業・団体を指します。一般的なマーケティングのアプローチでは、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)というフレームワークに沿って、顧客を分類し、ターゲットを設定します。顧客を分類する際は、年齢・性別・世帯・エリアといった顧客属性を基準に、いくつかのセグメントに分けていくのが普通です。そして、実際の戦略策定では、ターゲットを特定の個人・企業とは見なさず、セグメントを同じニーズ・特性を持ったグループとしてマーケティング戦略を組み立てていきます。
ABMでは、このようなグループ分けやターゲット設定の方法を一部で使うことはあるにせよ、現実の戦略まで落とし込む際は、個別の企業・団体に対して「そのターゲットが何に困っていて、ニーズは何か」を出発点に発想していくという考え方です。
また、ABMはターゲティングだけでなくマーケティングのアプローチも個別に行っていきます。潜在顧客が抱える具体的な悩み・需要を起点にして、その時々に必要なソリューションを柔軟に提案していくのが基本的な考え方です。もちろん、多くのケースにおいて営業部門にはアカウント担当が設置されているため担当営業と連携しながら活動を進めていくことが重要です。
つまり、ABMではターゲティングからアプローチ、ソリューションまで、あらゆる面で個々のアカウントに対してカスタマイズしていくマーケティング手法です。
ABMと従来のマーケティング手法との違い
ABMの手法が新しい点は、個別化マーケティング戦略にITを導入している点です。具体的な顧客に対して個々の悩みやニーズを聞き出し、カスタマイズしたアプローチを実行するという考え方そのものは、特に目新しいものではありません。
BtoCであれば、美容・医療系の業種は個人の顧客ごとに別々の商品・サービスを提供するのが当たり前です。他にも金融商品アドバイス、オーダーメードスーツ、注文住宅など、個別のソリューションを提供するビジネスはよく見られます。
またBtoBであっても、例えばシステム開発は営業から設計、構築・導入まで綿密にクライアント企業とコミュニケーションを取り、顧客の状況に合わせて最適化したシステムを提供するのが普通です。
しかし、従来はこのような個別型マーケティングを行うには、社内で情報共有のために打ち合わせ、電話、メールなどを頻繁に行う必要があり、コミュニケーションには時間的・物理的な限界がありました。
また、「収集した顧客情報をどのように扱えば良いのか」という点も課題として存在していたのです。その結果、営業担当者の経験や勘、社内人脈に頼ることも多い上に、地道な労力を要するという課題もありました。
一方、ABMとは、このようなマーケティング戦略を行う際、ITツールを活用してシステマチックに実施する方法です。
従来はアナログに頼らざるを得なかった情報収集・情報共有ですが、現在は効率化するためのITツールが数多く提供されています。例えば、大手のセールスフォース、SAP、オラクルをはじめ、中小企業向けにMA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(顧客関係管理)といったシステムが数々登場し、顧客情報を管理する負担は飛躍的に減少しつつあります。昨今ではHubSpotに代表される新興MA企業がABM機能に特化したソフトウェア提供をしており、より実践的なABMを後押ししています。このようなことから従来とは違った形で、ITシステムを活用しながらマーケティング活動を行うのがABMです。
ABMが注目された背景
ABMが注目された背景には、顧客を選別するアプローチ方法への転換と、ITの発展の2つがあります。
1つ目の顧客の選別とは、主に米国で見られる転換です。
米国の大企業では、もちろん全ての企業ではありませんが、日本のようなボトムアップの営業・顧客サポートというよりも、リーダーからのトップダウンで意思決定が行われる傾向があります。
このような状況でマーケティング活動を行う場合、特定顧客が起点ではないため、個々の顧客に対して細かいケアをするのは効率的とはいえません。集客のためには見込み顧客へ片端からアプローチし、膨大なリードを集めていく戦略が効率的ということになります。
しかし、このような方法がマッチしない企業があるのも事実で、大量のリードを集めても画一的なアプローチではコンバージョン・顧客化に限界があります。むしろ、潜在的に購入意欲の高い顧客に狙いを定めて集中的に営業を行う方が、費用対効果が高いと認識されはじめたことが背景の1つにあります。量より質に、注力ポイントが移ってきたわけです。
2つ目として、ITの発展があります。個別アプローチは高い成約率やライフタイムバリュー(一定期間に顧客1人・1企業当たりから受け取る収益)向上につながる可能性がある一方で、手間暇がかかるデメリットがあるのも事実です。しかし、近年はどのような業界でも、デジタルトランスフォーメーション(DX)やIT化によって情報の収集も測定も記録も容易になりつつあります。小売店レジのPOSシステム、WEBサイト内の回遊履歴、SNSへの反応率、WEB広告からのアクセス獲得など、顧客接点を定量的に管理する方法は多様化しており、顧客との商談、メール、電話、スケジュールなどを一元管理するツールも普及しています。
つまり、近年はこれまで以上に個別顧客への対応がしやすい状況にあり、ABMを導入できる環境は整っています。このような背景からABMが注目を集めているのです。
ABMこそ日本企業向きである理由
前述した通り、ABMでは、ターゲットアカウントを設定し、マーケティングおよび営業が連携しながらリソースを集中させて、アカウントごとに最適化したマーケティングキャンペーンを展開します。
「リード獲得」から始まる今までのマーケティング手法は広告やSEO、SNSなどを通じて「認知してもらうこと」から始まります。一方でABMでは「ターゲットアカウントを特定すること」から始まります。
多くの日本企業は、長年のビジネスを通じて「取引先」が存在(確定)しており、既にターゲットアカウントが特定されているケースが多いと言えます。そして、この取引先と良好な関係を築きながら利益を最大化しようとしているのです。
つまり、このような取引先などが特定されている場合には、すぐにでもABMを実行すべきであると言えるのです。
ABMを導入することのメリット
ABMの導入は、省力化しながら効率的に成果を得られたり、アカウントとの関係構築・強化、利益の最大化など、さまざまなメリットがあります。限られたリソースであっても、担当者同士で適切に連携しながら、マーケティング活動の精度を高めていくことができるでしょう。以下はABMを導入するメリットの一部をご紹介しています。弊社、リードプラスが提供するABMサービスでの付加価値的な要素も記述しておりますので詳細はお問い合わせください。
リソースの効率的な活用
ABMは、アプローチすべき企業をあらかじめ選別して、経営資源を投下する「選択と集中」の考え方です。成約する見込みの薄い顧客に対して「リソースを投下したにもかかわらず成果につながらない」という失敗を回避する可能性が高まります。それによりマーケティングや営業に関わる人材や資金を効率的に活用することができます。
また、少数の顧客に集中的にアプローチを行うため、従来よりも手厚いケアができ、マーケティング活動のクオリティー向上も期待できるでしょう。
パレートの法則によると、全売上のうちの8割は上位2割の優良顧客によって生み出されると言います。見込みが高いクライアントに配分できるリソースが増えれば、組織全体の人員や資金は同じままでも、売上高、利益を効率的に増やせる可能性もあります。
マーケティングと営業のスムーズな連携が可能になる
多くの企業においてマーケティングと営業の連携強化は経営課題として認識されていた項目です。昨今のマーケティングではリードを獲得してからインサイドセールスがフォローし、フィールドセールスがクローズするというモデルが主流になりつつあります。このモデルにおいては、連携を強化することに一定の成果を得ることになりますが、厳密にいうと役割ごとに分断されてしまうことにもつながります。
以下は一般的な役割です(企業によって異なります)。
- マーケティングの役割:新規リードの獲得
- インサイドセールスの役割:リードとの関係構築と案件創出
- フィールドセールス:提案、クロージング
ABMでは、営業担当者やマーケティング担当者などが一体となって、特定のアカウントに対して施策を講じます。それらの活動はITシステムを活用するため、関係者間でスムーズな情報共有が可能になります。また、ターゲットとすべき顧客をあらかじめ選別し、社内リソースを集中配分することにより、クライアント1社当たりにかけられる量や質が増え、社内コミュニケーションを密に行うこともできます。
リードの追跡・効果測定が容易になる
ABMでは、MAツール、CRM、SFAを活用して顧客情報を社内で管理することを基本にしながらマーケティング活動を行います。従来の営業担当者の個人プレイや、経験・勘に頼る方法とは違い、リードやその後の連絡、商談といった営業履歴をシステムで管理できるため、営業担当者や社内の別担当者ともに、経過の追跡が容易にできます。また、A/Bテストやキャンペーンといったマーケティング施策を行う際も、定量的なデータがシステム上で分析できるため、効果測定を容易に行えるようになります。
このように、分析がしやすくなることで、サイクル(計画・実行・評価・改善を繰り返すこと)の回転を高速化でき、よりマーケティングの精度が向上していくでしょう。
活動履歴やフォーキャストなど営業活動の可視化が可能になる
優れたABMツールを使うことで、既存の使い慣れたツールを使いながらさまざまな情報収集やデータ分析のための蓄積、効率化機能を活用することができます。
メールや電話のトラッキング、営業ステージごとの自動化、カレンダーを活用した自動アポイントメント調整、顧客ごとのフォーキャストやWeb上での活動履歴などを営業担当者視点、営業責任者視点、マーケティング担当者視点で可視化することが可能です。
そのため抜け漏れなくお客様との深い関係性を築くことが可能になります。
担当者の引き継ぎなどが抜け漏れなく容易に行える
日本企業においてはどうしても異動などがつきまといます。一般的に引き継ぎが担当者間で行われますが、その内容が疎かですと既存のお客様の信用を損ないかねません。
ABMを導入するとアカウントと関連する社内担当のやりとりは全てトラッキングされますので、お客様とのやりとりは過去まで遡り確認することが可能になります。そのためニュアンスまで含めた暗黙的な要素まで確認することが可能です。
効率的な営業活動が行える
ABMソフトウェアには営業活動を効率化させるための機能が豊富に実装されています。Salesforceなどで提供される一般的なSFA機能に加えて、優れたソフトウェアを選定すれば営業活動を効率化する機能を最大限活用することも可能になります。
- タスク作成やアラート自動化でヒューマンエラーによる失注を削減
- 商談情報のDB化による失注・受注要因の把握
- 見込客の興味関心の把握(営業が送付した資料やメールの閲覧状況の把握)
- 日程調整の自動化
- メール配信の自動化(自動フォローアップメールなど)
- ルーティン業務のテンプレート化(自動見積もり作成など)
- 営業活動の状況把握(予算に対する実績把握、活動量、案件進捗など)
- 営業部門の案件可視化(商談のステータス把握やパイプライン管理など)
- コールログ、メールログ、チャットログの蓄積、Zoom連携などと連携したミーティングログ
- 重要な指標やタスク、見込客のアクションに対する通知(TeamsやSlackなどへ)
- 担当者ごとの企業数やコンタクト数
- アカウント企業ごとの属性分析(部門、役職など)
- 営業活動における重要な指標をBIツールで可視化
- Sansanなどとの名刺管理クラウドとの連携 など
マーケティング活動の見える化が行える
ABMソフトウェアにはマーケティング活動を効率化・可視化するためのさまざまな機能が搭載されています。一般的にはMAツールがそれを担います。MAツールのABM機能を活用することで次のような施策や可視化が可能になります。
- アカウント全体に対するマーケティングKPIダッシュボードとパフォーマンス分析
- アカウント企業の条件に応じたリストの作成とパーソナライズ施策(メールなど)
- アカウント企業の獲得企業数の可視化
- アカウント企業ごとの施策数の可視化
- アカウント企業ごとの個人の特定とステージの把握
- アカウント企業ごとのソース分析
- アカウント企業ごとのWeb解析
- アカウント企業ごとの属性分析(部門、役職など)
- アラート設定(アカウントがコンバージョンしたときや価格ページを閲覧した時にに担当営業への通知など)
取引先との関係性が強化される
ABMが注目されている理由には取引先との関係性の強化があります。上記で説明したように、アカウントとの接点が完全に見える化された状態であるため、抜け漏れのないコミュニケーションが行えるようになります。
そのためABMの導入により、俗人化されやすい営業活動において組織とお客様との接点の強化がなされ、ゆえに関係性の強化が見込めます。
既存アカウントにおいて別事業部などへの展開が容易にできる
既存のターゲットアカウントにおける別事業部への展開もABMでは容易に行えます。
一昔前に名刺管理クラウドサービスをSansanのテレビコマーシャルにおいて社内にコネクションがあるにもかかわらず、活かせていないというものがありました。「それ早く言ってよ〜」というインパクトのあるテレビCMでした。
実はABMを導入していれば、既存アカウントで確保できている個人情報は全て管理・可視化することが可能です。もちろん、個々人の活動状況なども把握することもできます。
そのため、すでに製品やサービスを導入している事業部が存在する場合には、別事業部への展開も容易に行うことができるでしょう。
アカウントで保有しているコンタクトを確認して複数部門を統括する部門や、他部門にも影響力を持つキーパーソン、ターゲットとなる事業部に所属する人材などを見つけて関係性を構築すればよいのです。また、社内の誰がアクセスポイントを持っているのかも容易に把握することも可能です。
既存アカウントへの新製品の提供などがしやすくなる
ABMは、新製品を展開する上でも効果を発揮します。既存のお客様に新製品を購入してもらうことで、収益を増やす効果が見込めます。また、その新製品が、すでに購入していただいた代替製品であったり、補完製品である場合には的を絞った的確なアプローチが可能になります。もちろん全ては可視化しているため抜け漏れなく案内をすることが可能です。
ABMを活用した施策例
ABMを活用した施策には、業務効率化や部門間連携など、さまざまな目的のものが考えられます。
例えば、マーケティング部門と営業部門で、ターゲット選定の方向性を一致させ、双方が一体となって顧客獲得につながるような仕組み作りが可能です。マーケティングと営業部門が分かれている企業の場合、双方でターゲット選定が異なるケースがあります。営業担当者は顧客からの引き合いや、既存顧客との付き合いなどからアプローチすべき顧客の優先度を決定する。一方で、マーケティング担当者は広告へのリアクション、メールマーケティングやWEBサイトでの回遊状況といった別の視点から見込み顧客の重要度を判断するといった場合です。
このような課題を抱える企業では、ABMの考え方に沿って、マーケティング担当者と営業担当者双方の知見を参考にしつつ、アプローチをすべき見込み顧客の重要度を定め、集中的にリソースを投下していく施策が有効です。また、システムによってリードからナーチャリング、成約に至るまでのプロセスを定量的に見える化し、過去のデータから最も成約につながりそうな顧客パターンを分析する方法も有効でしょう。それによって、営業担当者のプロセス改善につながる可能性や、マーケティングでは営業実態に即した分析ができるようになる可能性もあります。
ABM導入の流れ
ABMを導入する際は、考え方だけでなく、アカウント選定から効果測定までの流れを知ることが大切です。
アカウント企業の選定
ABMにおいては、まずアカウント企業の選定・優先順位が非常に重要です。収集したデータを元に、「リソースを投入した結果、成約まで結びつくのか」「マーケティングROIは高いのか」といった観点を基準に、市場での影響度や見込まれるリピート率などさまざまな角度から優良なターゲット企業を見極めていきます。
多くの場合、大口の顧客や、自社ブランドが中長期的に向上していくような企業の優先度が高くなるでしょう。仮に取引履歴や引き合いの強さといったデータがあれば、それらも判断基準の1つになります。
アカウント企業選定例
- 既存のターゲットアカウント企業に対してそのままABMを適用する
- 特定に条件の企業を選定する(企業規模・地域・業種・売上高など)
- 理想的な企業属性に近い企業を既存コンタクトリストから特定・抽出する ほか
アプローチ方法の決定
アプローチ方法は、コミュニケーションとソリューションという2つの観点から検討する必要があります。
コミュニケーションについては、「アカウント企業の意思決定の仕組みはどうなっているのか」「窓口や担当はどのような人物か」といった調査を元に、アプローチの方法を見定めていきます。また、このときに目標としてリード率、メール・セミナーへの反響率、アプローチ時期・回数、見込み成約率なども設定しておきましょう。
ソリューションとは、企業が置かれている事業環境や経営状況などを調査した上で、ビジネスやサービスについて抱えている困りごとや課題、ニーズを推測し、最適な解決策を提示することです。もちろん、実際に商談に入れば企業の生の声に触れて軌道修正する必要があるでしょう。しかし、企業が直面している明確で重要な課題に対応できるような有益なコンテンツが提供できれば、交渉に入れる可能性は上がるでしょう。これには十分な調査と準備が重要です。
効果測定
アプローチを実行した後は、常に施行状況や結果を記録し、効果を測定します。このとき、あらかじめ定めた目標との乖離を見ながら、その原因を分析しましょう。目標値やアプローチ回数とのずれが起こるのは当たり前です。「目標が高すぎる」「アプローチ方法が誤っていた」「アカウントのニーズの調査不足」など、さまざまな原因がありえます。この場合も、可能な限りマーケティング担当者と営業担当者が連携しながら改善点を探し、PDCAを効率的に回していきましょう。
ABMとインバウンドマーケティングの関係
多くの方々がABMを実施すれば、インバウンドマーケティングは必要ないのでは?と思うかもしれません。リードプラスでは、従来、インバウンドマーケティングサービスを提供しています。Box社やAsana、マイクロソフト、オラクルといった弊社のお客様の多くはABMサービスとインバウンドマーケティングサービスの両方を採用しています。
つまり、アカウントベースドマーケティングとインバウンドマーケティングが組み合わされば、最も効果の高い営業・マーケティング施策を講じることが可能になるということの証明でもあると言えます。
アカウントベースドマーケティングの定義を前述しましたが、ABMは高度なターゲット戦略であることはお分かりいただけたと思います。
一方、インバウンドマーケティングはより基礎的なもので、価値のあるコンテンツの作成、SEO、最高の顧客体験を通じて見込み客から顧客へと引き付けることができる方法論と成長戦略です。
インバウンドマーケティングの根本にあるのは、ターゲットとなるオーディエンスや顧客が必要とする情報を、必要な時に提供することです。そのためインバウンドマーケティングは、高価値とみなしたアカウントに対して高度にターゲット化されたリソースを提供することでABM戦略の基礎を築くのです。
ABMとインバウンドマーケティングの両方を導入する理由は、以下の通りです。
- インバウンドマーケティングはターゲットとなる顧客を獲得するのに役立ち、ABMはそのフライホイールを加速させ、ターゲットとなる顧客を獲得し、優れた顧客体験で喜ばせることができます(結果として、より良い成長を遂げることができます)。
- インバウンドマーケティングは強力なABM戦略の基礎となります。ABMはインバウンドをベースにして、価値の高い顧客にターゲットを絞って効率的なリソース配分を可能にします。
- コンテンツには2つの価値があります。ABM戦略とインバウンド戦略の両方に役立つコンテンツを作成して使用することができるのです。(例:ターゲットアカウントのためにパーソナライズされたケーススタディを作成し、自社のウェブサイトでも共有するなど)。
この複合的なアプローチにより、1つの方法だけを使っていたときよりも幅広い見込み客を集め、他の戦略が見落としていたかもしれない機会を捉えることができます。ちなみにHubSpotを活用すればABM戦略とインバウンド戦略を補完的に同時に実施することが可能です。
ABMはパートナーや代理店施策にも使える!
企業の販売形態は多種多様です。企業によっては代理店やパートナー契約を締結し、優れた販売チャネルを活用して売上拡大を実践しています。
そのようなケースにおいて実はABMは、最適な手法と言えます。
つまり、代理店をアカウントとして捉えれば、そのアカウントの動きの把握や自社の営業活動・パートナー支援活動、マーケティング活動が加速するのです。前述したABMのメリットが、そのまま代理店・パートナー営業部門でのメリットにつながります。
ABMに活用できるツール
ABMのツールにはさまざまな種類があるため、選ぶ際にはその魅力や特徴を押さえておき、自社のニーズとマッチするものを使うことが重要です。
HubSpot社
HubSpot社のMarketing Hubは、ターゲット企業訪問時のWebコンテンツの出し分けや社内担当営業への通知、特定企業向けのナーチャリング など細かな設定が可能であり、アカウント単位でのマーケティングを実践することが可能です。Webを介してターゲット企業の行動の全てを補足することで企業のストーリーに合わせた誘導が可能になります。また、HubSpot Sales Hubを活用すれば営業活動の効率化を実践することもできます。
FORCAS/ユーザベース社
新たにターゲットを選定する際には、精度の高い企業ターゲティングを実現することが重要になります。株式会社ユーザベースが提供するFORCASは、質の高いターゲット企業リストの抽出に適したサービスを提供しています。
https://www.forcas.com/function/
ランドスケイプ社
ランドスケイプ社の「uSonar」は、社内の各部署で保管する取引先データや名刺、資料請求などを含むリード情報を整理・統合し、セールスフォースなどのSFAや、MAツールを強化するシステムです。WEB行動履歴から顧客の関心を分析する機能や、アカウントの担当者情報を管理する機能はもちろん、高精度の名寄せ技術で人の感覚に近いデータ管理ができるという特徴を持っています。既存のSFA・MAツールと連携が可能なため、顧客データを活用して効率的なマーケティング活動や営業活動を行う場合にも適しているでしょう。
https://www.landscape.co.jp/service/usonar/
マルケト社
マルケト社のアプリケーションでは、単一のプラットフォームで、アカウントターゲティング、収益ベースのアカウントアナリティクス、リード履歴などを一元管理することができます。特に、メール、WEB、広告、モバイルなどあらゆるチャネルにわたって、パーソナライズしたメッセージを届けることが可能で、個別アプローチの負担を減らすツールといえるでしょう。
https://jp.marketo.com/software/account-based-marketing/
ABMを加速させる広告技術
ABMを実践するとターゲットアカウントに属する個人情報を増やしたいという要望が出てきます。
担当営業の活動を経由して地道に個人情報を集めることも重要ですが、それ以外にも効率的に個人情報を集めたいと思うのも頷けます。
弊社のお客様の多くはインバウンドマーケティングと連動して、毎月ターゲット企業に属する個人情報を集めることに集中していますが、それ以外にも最先端の広告技術を使うことで効率的に個人情報を集めることも可能です。具体的にはターゲットアカウント企業のみにインターネット広告を展開する、または類似オーディエンスに広告展開をするなどの広告技術を使えば、高効率で新規コンバージョンを獲得することが可能になります。
ABMを支援するサービス
リードプラスでは、HubSpotを活用した包括的なABMサービスを提供しています。すでに弊社のお客様の多くがABMサービスを採用しており、売上拡大、営業効率の向上、マーケティングと営業の連携強化を体感いただいております。リードプラスは、緻密に設計したABMの方法論をもとにお客様を成功へと導くお手伝いをさせていただいております。もし、ご興味がございましたらお問い合わせいただければ幸いです。
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