ABMとMAの関係性 |違いや共通点をわかりやすく解説

近年、マーケティング分野において「ABM(アカウントベースドマーケティング)」という手法が注目を集めています。ABMは、従来の「MA(マーケティングオートメーション)」とは何が異なるのでしょうか。本記事では、ABMとMAの関係性について解説するとともに、ABMの実践に役立つツール「HubSpot」をご紹介します。

ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)とは

ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)とは?

「ABM」とは、BtoBのマーケティング戦略における、「対個人」ではなく「対企業」ないし「対組織」に焦点を当てた手法のことです。

従来のマーケティング手法では、個人単位のプロファイルを大量に集め、メルマガや広告、電話などでアプローチして、可能な限り多くのリードを収集していました。そして、その顧客情報を営業チームに引き継ぐことが是とされていたのです。

しかし、ABM戦略においては出発点からして異なります。マーケティングチームは営業チームと協力して、自社がアプローチすべき企業を能動的に選別します。そして、自社にとって重要な顧客企業に対象を絞ったあと、「この企業にはどのようなコンテンツをアピールすればよいのか」「どの人物にアプローチすれば効率的に契約を勝ち取れるのか」といった具合に、組織単位で顧客を捉えて戦略を構築していきます。

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MA(マーケティングオートメーション)とは?

ABMと関係の深いマーケティング用語のひとつに、「MA」が挙げられます。MAとは、顧客開拓におけるマーケティング業務を自動化するためのツールを意味します。たとえば、Webサイトの訪問者やメールを分析し、有望なリードを判別などすることがMAの主な一機能です。

このような情報管理は、人の手で行うと非常に煩雑な作業になってしまいますが、MAによって自動化することで大きく効率化されます。ターゲットを見込み顧客から顧客へ、あるいはさらにリピーターへ移行させるために、こうしたITツールの活用は今後、ますます重要度を増していくと考えられます。

ABMとMAの違い

マーケティング業務を自動化するという意味において、ABMとMAは対立するものではありません。しかしMAは、「個人単位」を基準にしていた従来のマーケティング手法を反映し、顧客一人ひとりにフォーカスした機能を持っています。それゆえ、とりわけABMと比較してMAが言及される際は、ターゲットを企業・組織とするABMに対して、MAは「個人単位のリードの獲得を目的とする手法」といった形で対照的に捉えられます。

たとえば、自社サイトへのアクセスログを解析して、ユーザーが顧客化する可能性をスコアリングするとしましょう。MAの場合、「自社サイトに同一ユーザーが何回アクセスしたか」「どれほど自社サイト内のコンテンツを周遊したか」などで関心度を計り、アプローチの可否を判定します。この場合、仮にユーザーが1つのページを見ただけでサイトを離れたとしたら、リードの見込みなしとしてシステムは判定することでしょう。

しかし、1つのページだけを見て引き返したユーザーがどこからアクセスしたかを調べたとき、何人ものユーザーが同じ場所、つまり同じ企業からアクセスしていたとすればどうでしょうか。その企業は今、組織として何らかの課題を抱えていて、その課題に関係していそうなサイトを関係者が片端から調べており、そこに自社サイトも引っ掛かっていたのではないかと推測できます。そして、そこにアプローチをかけていくことで、思わぬビジネスチャンスにつながることもあるかもしれません。

このように、個人(MA)のデータからは何の見込みもなさそうに見える場合でも、組織(ABM)として見た場合には、違った風景が見えてくることも少なくありません。MAでは特定ユーザーが高いスコアリングを示すまで網を張って待つイメージですが、ABMの場合は、自ら有望そうなユーザーを特定しアプローチしていくような、攻めの姿勢が必要になってきます。

ABMとMAの共通点

このように、ABMとMAの間には対組織を基準とするか、対個人を基準とするかという点に最も違いがあり、それによって顧客へのアプローチの仕方も変わってきます。

とはいえ、ABMもMAも「情報収集とその分析を重視し、有望な対象を見極めたうえで、ポイントを押さえたマーケティングを実施する」という基本理念は共通しています。つまりABMとMAは、「データドリブン」を基調にしたマーケティング思想が、異なった仕方で表出したものともいえます。ABMとMAは、それぞれに違った強みを持っているため、ときに使い分け、ときに組み合わせながら活用していくのがベターでしょう。

個人のリードを企業名で分類するだけではダメ?

ABMを導入するにあたり、「MAに蓄積された個人のリードを企業名で分類すればよいのではないか」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。結論からいうと、それに対する回答としては「No」となります。以下では、なぜMAを使いまわすだけでは、ABMには不十分なのかをご説明します。

企業情報が不十分

ABM戦略では、そもそものターゲット設定において、その企業が自社にとってどれほど利益をもたらすか、また契約を得やすいかなど、企業分析することから始めます。すなわち、ABMにおいては、ターゲット企業の売上高や従業員数、拠点数、法人番号など豊富な企業情報が必要になってくるのです。そして、これらの情報は、MAが収集する個人のプロファイルからは出てきません。したがって、MAではABMの核心である企業情報の扱いに難が生じてしまいます。

収集した企業情報を統合するのに多大な手間がかかる

十分な企業情報を集めたら、データのフォーマットを整えて統合する必要があります。ABMにおいては、顧客を個人という「点」ではなく、組織という「面」で捉えます。それゆえ、企業情報が個人ごとのデータに分散されていたのでは、ABMのための分析が正確に行えません。しかし、本来的にターゲットとして個人を志向しているMAを使うのでは、これらのデータを統合する作業に多大な手間がかかってしまいます。

ABMツールとMAを連携しよう

先述のように、ABMとMAはマーケティング対象の性質を異にしますが、多大な情報を収集し、分析する必要性は共通しています。そして、こうした作業においてはABMに特化したツールを活用することで、業務効率化が期待できます。以下では、ABMツールについて解説します。

ABMツールとは

ABM戦略において、顧客データを活用して最適なターゲットを設定するのに役立つのが「ABMツール」です。ABMの実践に必要なターゲット企業の情報は、膨大な量に及ぶので、人間が手作業で管理するのは困難です。そのため、ABMにおいてもMAと同様、ツールを導入して自動化を進めることで、業務効率の改善が期待できます。

連携をおすすめするワケ

ABMツールの活用にあたっては、MAと連携させて使うのがおすすめです。ABMとMAは、一長一短な関係であるといえます。たとえば、ABMには個人のデータが含まれていないため、誰がキーパーソンなのか判断したり、過去の対個人取引や接点の情報を活かしたりできない側面があります。つまり、企業情報に特化したABMと、個人の情報に特化したAMの両者を連携して使うことで、マーケティングにおいて多様なアプローチが可能となり、優れた成果が見込めるのです。

ABMツールとMAを連携するならHubSpot

ABMを効率的に実践するうえで役立つABMツールとしては、「HubSpot」がおすすめです。HubSpotならMAとの連携も簡単に行えます。以下では、ABMに役立つHubSpotの機能について解説していきます。

HubSpotのABM機能

先述した通り、ABMの実践においてはターゲット企業の選定が非常に重要です。ABMを効果的に進めるには、多様な企業の中から事業規模などの各種データに基づき、有望な企業を見分けないといけません。

HubSpotは、企業分析に用いる各種データを高度にスコアリングしてくれるうえ、AIがターゲティングについて助言してくれるため、円滑にABM戦略を構築できます。また、HubSpotには使いやすいキャンペーンテンプレートなど、ABMを迅速に導入するための実践的機能が充実しています。

さらに、HubSpotはほかのアプリケーションとの連携機能も備えており、データベース提供面から支援する「FORCAS」や「LBC」、コラボレーションツールで有名な「Slack」などにも対応しています。なお、これらの機能は「MarketingHub」や「Sales Hub」に含まれています。

HubSpotならマーケティングからサービスまで一元管理

マーケティングにおいて、ABMツールとMAツールの連携を推奨しましたが、その点でもHubSpotはおすすめです。HubSpotはマーケティングからサービスまで一貫してサポートするツールであり、MAとの連携もスムーズに行えます。また、このようにマーケティング分野を超えて、領域横断的に情報を一元管理できるHubSpotを活用することにより、部署を超えた情報共有も円滑になります。

まとめ

本記事では、ABMとMAの関係性に焦点を当てて解説しました。ABMは組織単位、MAは個人単位をそれぞれ基準にしてマーケティングを行うという違いこそありますが、両者とも積極的に情報を利活用し、効果的なターゲティングを狙う点では共通しています。ABMとMAを連携させて効果的なマーケティングを行うために、ぜひ「HubSpot」の導入をご検討ください。

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