SMARKETINGとは?マーケティングとセールスが緊密に働くためのポイント

さて、以前のブログで営業とマーケティングが連携できない理由についてお伝えしました。大きくわけると、マーケティング部門とセールス部門が連携できない理由には、連携が定義されていなかったり、お互いの職種の特徴などの理解が双方ともに乏しいところに起因しています。

そのため片方側からは相手のパフォーマンスが不明瞭に見え、お互いに分断された仕事を行うことにつながり、マーケティング担当者とセールス担当者の仲が悪くなりがちになります。

しかし、以前もお伝えした通りセールスとマーケティグが上手に連携を行い、業務を進める企業では売り上げを20%上げることができる、という調査結果も出ています。そのため、本ブログではどのようにマーケティングとセールスが緊密に働けばよいかを紹介します。

Smarketing(スマーケティング)とは Sales+Marketingの融合

マーケティングとセールス(営業担当者)であればSmarketing(スマーケティング)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。聞いたことがないのであれば今後Smarketing(スマーケティング)ということばを頻繁に聞くようになるかもしれません。

Smarketing(スマーケティング)とは、マーケティングとセールスの連携(同盟)のことを指し、収益を改善し企業を成長させるため、お互いの部門で共通のゴールをもち連携しながらゴールへ向かうことを指します。(詳しくはこちら:The power of smarketing

セールスとマーケティングの連携によって企業の売り上げをあげている会社はこのSmarketingを上手に行っています。以前のブログでは、セールスとマーケティングの連携の状態には大きく分けて3つの状態があることをお伝えしました。1つめがマーケティングとセールスの連携の定義がそもそも存在していない2つめがマーケティングとセールスの連携の定義はされているが形骸化(もしくは機能していない)している3つめがマーケティングとセールスの連携を行っている、です。ここでいうところの3つめがSmarketingに該当します。

では、どのようにSmarketingを行っていけばよいのでしょうか。

スマーケティングを成功に導く3つのポイント

セールスとマーケティングがコミュニケーションをとる場を設ける

最初に行うべきステップは非常にシンプルです。お互いに部門が離れているために互いへの理解が進まないことが多くあるため、定期的にオープンコミュニケーションをとる必要があります。ここでまずすべきは、セールスの担当者がマーケティングの担当者から受け取った見込み客の質がそもそも会社の売り上げへとつながる理想の顧客像(ペルソナ)であったかということです。

インバウンドマーケティング完全ガイド
バイヤーペルソナテンプレート

このようなフィードバックが現場レベルの人で難しい場合は、互いの部門長が見込み客の質の話をする必要があります。毎週スマーケティングミーティングを設定して話し合いをおこなうことが大切になってきます。それ以外にも、新しい製品サービスをマーケティング部門がプロモーションをする際に、必ずセールス担当者にそのことを伝える、などするようにすることも大切です。そのことによってセールス担当者はアップセル、クロスセルなどを行いやすくなります。

互いのチームの数字を測定し互いに共有する

コミュニケーションを定期的に取れるようになったら、そのミーティングの場でできるかぎりのフラストレーションや改善可能な箇所を話し合いましょう。ここで重要なことは、互いに仲間であるということを忘れないことです。フラストレーションを語られる側は個人的な攻撃をうけているわけではないですし、フラストレーションを話す側も相手に攻撃をしているわけではないことを忘れないようにしましょう。その際には、できるかぎり数字を用いて客観的に分析をすることも助けになります。

例えば、マーケティングチームがリードの質と数を定量的に管理しているのかどうかなどは特に重要で、セールス担当者に引き渡す見込み客の質と量に関してマーケティングは責任をもって毎月改善をしていかなくてはいけません。それが結果的に売り上げの拡大につながり企業の成長へつながります。一方でセールス担当者は、マーケティング担当者から引き受けた見込み客に対して何%に働きかけ、何%の顧客を生み出したかを必ず見る必要があります。

マーケティングがいくら見込み客を獲得したとしてもクローズ(顧客化)をしなくては意味がありません。仮に、クローズ率が下がってきている場合は、マーケティングの獲得する見込み客の質が下がってきている、もしくは営業の仕方が良くない(営業の担当者数不足により営業の質の低下)などが考えられます。

Smarketingの合意をお互いに設定する

マーケティングとセールスのチームの連携を互いに明確に認識し合い合意をとることが次のステップになります。SLA(Service Level Agreement:セールスレベルアグリーメント)を作り、お互いの部門が共通のゴール(企業の成長)を達成するために必要な合意作りましょう。

SLAは、セールスとマーケティング部門間に限ったことではなく、自社内での部門間のプロジェクトをスムーズに行ったり、外部のベンダーと仕事をおこなう際にも用いられます。このケースですとマーケティングとセールスという部門を超えるアクションとなりますのでSLAなどを設定することが、お互いが公平でかつ助け合うために非常に役に立ちます。

例えばSmarketingで行うSLAには、○○の期間の間にマーケティングチームがセールスチームへと○○○という状態の見込み客を○○件以上引き渡す。そしてその見込み客に対して、セールスチームは○○%以上のクロージング率を達成し○件の顧客を生み出す、などのように定量的な合意をつくります。その際にペルソナの定義とペルソナがどのような状態(カスタマージャーニー)なのかを明確にお互いの部門が把握していないと、そもそもの見込み客の定義が決まりません。

仮にペルソナやカスタマージャーニーが不明である場合は、まずそちらを定義しないと話が進みませんので、ペルソナとカスタマージャーニーを作りお互いに合意をすることをしてみてください。(ペルソナの策定にはお客様と直に接している営業担当の言葉も非常に有効です)

なぜこのようなことが重要なのでしょうか。これは私たちが消費者の立場としてイメージするとわかりやすいかもしれません。例えば、私たちが物を買うときにさりげなく役に立つ情報をくれる人(マーケター)がいて私たちの購買の意欲が高まったとします。そして、私たちがサービスや製品を提供してくれる量販店などに行ったときにそのまま同様の対応を販売員の人たち(セールス担当者)にしてもらえたらスムーズに物を買うことができます。

これは、B2BやB2Cでも本質的には変わらず(購買のプロセスの複雑さや企業の構造などの違いはあります)、パーソナライズされてコンテキストが重要になってきている現在、SLAなどを作りSmarketingを行うことは、マーケターとセールス担当者が消費者や決済者などに同じユーザーエクスペリエンスを提供する基盤につながることになるのでますます大切になってきている、ということです。

Smarketingの全体を俯瞰するKPIの設定

営業とマーケティングの連携が強化されだしたら、定期的に(できれば常に)マーケティングファネル全体を俯瞰するKPIを設定しましょう。体の中のリンパの流れが悪くなると体調不良を起こしやすくなるように、ファネルの中の流れが悪いと企業も調子が悪くなります。マーケティングは各種プログラムにより、質の高い新規のリードの獲得に集中するのと同時に適切なナーチャリングを実施し営業へとパスします。営業は、マーケティングから引き継いだコンタクトを顧客化へと導きます。このサイクルの状態をファネルで表現すると以下のような図になります。それぞれのステージで件数を設定し顧客化までの率(パーセント)を把握することで正しいSmarketingがなされているかの確認が可能になるでしょう。これらのKPIを確認することでリードの獲得方法に問題があるのか、ナーチャリングプロセスに問題があるのか、顧客化するのに足りないものが何なのか、リードからプロスペクトへの変換率の推移の意味は、プロスペクトから顧客化した理由、しない理由は何だったのかなど 多くのことをミーティングで話し合うことでより良いスパイラルへと転換させていくことが重要です。

KPIファネル

上記は非常に単純化したKPI例ですが、最近では、これらのKPIデータはマーケティングオートメーションツールの導入で簡単に把握することが可能になっています。Microsoft Excelなどを用いてデータを集めて格闘することもありません。例えば、弊社のお客様ではマーケティング活動全般を統合マーケティングソフトウェアであるHubSpotで行い、案件管理はSalesforceを用いて上記のKPIをHubSpotのダッシュボードでリアルタイムに表示しています。また、HubSpotとクラウドerpであるNetSuiteと組み合わせることでマーケティングデータと財務データを組み合わせることが可能になり、(マーケッターにとっては嫌な局面もありますが)正確なマーケティングROIを算出することも可能になります。

まとめ

同じゴールに向かう営業とマーケティングは、常に状況を共有することが重要です。毎週のスマーケティングミーティングというお話をしましたが、企業によってはデマンドジェネレーションミーティングやイニシアティブミーティングなどと名前を変えることもあるでしょう。マーケティングの立場にたてば営業の状況を常に把握するように努めることも忘れてはいけません。自社の製品やサービスにお客様はどのような反応を示しているのか、実際にお客様はなぜ購買に至ったのか、また、至らなかったのかなど、Webから取得可能な購買行動以外に 日々お客様と接している営業からの声を聞くことで的外れなマーケティングアクティビティを減らすことができます。可能であれば営業の週報や日報をマーケティング部門が共有してもらうこともお勧めです。いずれにしても営業とマーケティングが密に連携することで一体感が芽生え、セールス活動を効率化すると同時にお客様満足度も向上するためSmarketingをうまく構築することは企業の発展にとって欠かせない存在となることでしょう。

バイヤーペルソナテンプレート