マーケティングミックスとは何なのか?4Pと4Cの意味や違いについて
今回は「マーケティング戦略とは?そのポイントを解説」で少しだけ触れたマーケティングミックスについて、具体的に掘り下げて説明していきたいと思います。
マーケティングミックスについて検索してみると、「ある特定の製品を販売するために使用されるマーケティング要素の組み合わせ」といった説明文をよく目にします。
しかし、これではあまりに抽象的なので理解は難しいでしょう。
具体的に説明するとマーケティングミックスとは販売する商品、提供するサービスに応じていくつかのフレームワークやツールを組み合わせて、広告宣伝や営業活動などの戦略を落とし込んでいくための手法です。代表的なフレームワークとして4Pがよく紹介されています。
4Pは「プロダクト(製品)」「プライス(価格)」「プロモーション(宣伝活動)」「プレイス(流通)」の頭文字を取ったものです。それぞれがマーケティング戦略における重要な役割を意味しています。
マーケティングの4P、プロダクト、プライス、プロモーション、プレイスの真意は?
たとえばサプリメントを販売するにしても、希少価値の高い食材を使ったサプリメントなのか、あるいは人工的に抽出した栄養素で大衆向けのものなのかによって、販売する製品はもちろん価格や宣伝活動、流通方法が異なります。
高級サプリメントと低価格サプリメントの4Pの違い
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プロダクト (製品) |
プライス (価格) |
プロモーション (宣伝活動) |
プレイス (流通) |
高級サプリメント |
一部地域でしか収穫できない、希少価値の高い食材から栄養素を抽出した健康効果の高いサプリメント |
60日分で1万円と高価 |
テレビCMやTVショッピングなど、サプリメントの特長や効果を具体的に紹介できるメディア |
電話やダイレクトメールを中心にした中心販売、大手百貨店のサプリメント専門店 |
低価格サプリメント |
ビタミン群など一般的かつ安価に生成できる栄養素を使った、日常の健康サポートサプリメント |
60日分で2,000円と安価 |
リスティング広告やランディングページなど、デジタルを活用した安価なメディア |
ネット販売に限定 |
高級商品を扱う場合は、マスマーケティングを中心としたプロモーションが基本になることが多々あります。それは、商品自体が高額なため不特定多数のユーザーに商品を訴求し、その後のサポートを充実させてユーザーを囲い込むことで利益を最大化できるためです。カスタマーサポートセンターを設けて、ユーザーからの健康相談などを受けるケースが多いようです。
それに対し低価格サプリメントではプロモーションやプレイスにできる限りコストをかけず、利益率の向上に努めるケースが基本です。そのため宣伝活動の内容や流通方法はデジタル上に集約されることが多くなっています。
マーケティング戦略においてこの4Pを意識する理由は、商品やサービスに適したプロモーションやプレイスを展開し、効果を最大化することにあります。
次に4Pと併用して使われることが多いフレームワークとして「4C」をご紹介します。
マーケティングの「4C」とは?
マーケティングの4Pが登場したのは1960年と50年以上に遡ります。それに対してマーケティングの4Cが登場したのは1993年のことでごく最近です。4Pと4Cに関係は「4Pに取って代わるフレームワークが4Cだ」とよく言われますが、実際は4Pと4Cのどちらも併用するのが適切です。4Cの内容は次の通りです。
カスタマーバリュー(顧客の価値):商品を購入、サービスを利用することで顧客が得られるメリット
カスタマーコスト(顧客負担の費用):商品を購入、サービスを利用することで顧客が負担する費用と削減できる費用や時間
コンビニエンス(顧客の利便性):可能な限り顧客が素早く情報を検索したり商品を手にして、サービスを利用できる手段
コミュニケーション(情報流通):双方向のコミュニケーションを生み出すための手段
以上の4Cを先述したサプリメントに事例に落とし込むと次のようになります。
高級サプリメントと低価格サプリメントの4Cの違い
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カスタマーバリュー (顧客の価値) |
カスタマーコスト (顧客負担の費用) |
コンビニエンス (顧客の利便性) |
コミュニケーション (情報流通) |
高級サプリメント |
一般販売されている食材からは摂取しづらい栄養素を取り込み、健康効果を高められる それにより日々の活力が生まれたり、日常生活における目標達成につながる |
60日分1万円 1日あたり約166円とペットボトルジュース1本分 食材から摂取しようとすると手間とコストが増大する |
テレビCMやテレフォンショッピングなどを通じて、商品の詳細や効果を知れる 電話一本で購入できる |
購入後のカスタマーサービスを設置して、顧客の健康相談に乗ることで継続的な購買を促す |
低価格サプリメント |
一般販売されている食材からも摂取できるが、栄養が偏った現代食生活において健康サポートとして利用できる 大きなビフォーアフターはないが、一定の健康効果が見込める |
60日分2,000円 1日あたり約33円と安価 1日に不足した分の栄養素を摂取できる |
ネット検索で簡単に情報を入手、購入できる |
サプリメント購入サイトにて口コミやFAQを用意し、コストをかけずに顧客とのコミュニケーションを図る |
こうして見てみると4Pと4Cではそのコンセプトから違うため、やはり併用するのがベストでしょう。これらのフレームワークを活用することで、商品やサービスのポジショニングを決定したり適切なマーケティング戦略を設計したりと、客観的視点からマーケティングに取り組めることが利点です。
ちなみに4Pが会社視点のフレームワークであり、4Cは顧客視点のフレームワークなので併用することでその効果を高められます。
マーケティングミックスとはつまり…
結局のところマーケティングミックスとは、今回紹介した4Pや4CなどのフレームワークやITツールを複数組み合わせることで、マーケティング効果を高めるための戦略です。マーケティングミックスに組み合わせるITツールとしては「マーケティングオートメーション(MA)」が効果的でしょう。MAは顧客のデジタル上の行動に合わせて、個別にメッセージを送信したり顧客をスコアリング(評価)することでマーケティング効果の向上を狙うためのITツールです。
その名の通り、従来人手では難しかった顧客ごとにカスタマイズされたマーケティングの自動化を行います。
なぜマーケティングミックスが重要かというと、顧客のニーズや購買行動が多様化したことでより個別なマーケティングが必要とされる時代になったからです。もちろんフレームワークやITツールだけでなく、複数のチャネル(企業ブログやSNSなど)を組み合わせることもマーケティングミックスの一つです。
本稿を読まれている皆さんの会社で、もしも単一のフレームワークやチャネルを活用したマーケティングを展開しているのであれば、そろそろその効果が薄れている時期かもしれません。この機会に、マーケティングミックスでより効果の高いマーケティング戦略について熟考してみてはいかがでしょうか?