メルマガは今でも有効なのか?データから読み解く現状と失敗しないポイント
メルマガは、インターネット初期からの定番のマーケティング手法です。歴史が長いだけに効果に関してや、ソーシャルメディアと比較しての様々なことが最近は言われます。
ではその実態は、どうなのでしょうか。
まずは現状について、最新のリサーチデータを参照しながら分析していきたいと思います。さらに最近の課題、新しい手法についても併せて紹介していきます。
メルマガの現状
まずはメルマガの現状に関する、リサーチデータを紹介していきます。ピーシーフェーズ株式会社が2017年前半におこなった調査です。
【引用元のデータ提供会社】ピーシーフェーズ株式会社
【データ引用元】
15,000人にアンケート!メルマガに関する調査結果【その2-1】:Vmail Blog
15,000人にアンケート!メルマガに関する調査結果【その1-2】:Vmail Blog
全体感の把握
登録しているメルマガがあるかという問いに関しては、9割弱が「ある」と回答しています。
圧倒的な数ですが、個人的には10%が「登録していない」ということの方がむしろ驚きです。いずれにしても、大多数の人が購読しているメディアとしての価値は今も維持していると言えそうです。
多くの人に届いていても、実際にリーチしているメディアかというのが重要なポイントになります。次の読んでいるのかを確認をしてみます。
登録しているメルマガを読んでいますか、という設問に関しては「興味のあるものだけを読む」という回答だけで65.3%となりました。「届いたものは必ず読む」という回答を合わせると8割近くになります。また「気が向いたときにまとめて読む」というのも8.2%あります。
登録ユーザーはメルマガを読んでいるのか?
実際にユーザーが目を通している割合でいくと、かなり良質なメディアと言えそうです。
これを見ての個人的な印象ですが、思ってたより遥かにメルマガの持つパワーは今も強いと感じます。
メルマガ購読解除の理由
ユーザーとの接点が切れる、つまりメルマガの購読解除理由も気になるデータなので、紹介しておきましょう。
「送られてくるメールの件数が多い」「内容に興味がなくなった」「登録しておく理由がなくなった(その店舗等を利用することがなくなった)」がトップ3です。
興味のあるメールであっても、件数があまりにも多いと確かに食傷気味になります。配信頻度、タイミングといったものは昔からメルマガ運営で重要とされています。配信解除が多いという悩みがある場合は、ここを重点的に振り返ってみても良さそうです。
情報入手経路とメルマガ
企業からの情報をどこで入手するか、というデータについても紹介しましょう。
これは選択肢にLINEやFacebookなどが並ぶことから、ソーシャルメディアとの比較で読み取っていくと良さそうです。
結果で言うとメルマガが1位でした。37.4%は2位のLINEを10%以上離していますので、圧倒的と言えます。
これについて意外という印象を持つ必要も多いでしょう。調査データはこの事実までなので、これからは自分なりの解説を中心にしていきたいと思います。
まずソーシャルメディアが時代とともにメルマガを脅かす存在になるのかというと、それは少し違う気がします。
なぜなら性質が同じではないからです。
具体的には、SNSは自分と近しい関係に対するコミュニケーションメディアなので、企業が情報発信をするものとして適切かというと、疑問符がつきます。
メールに近い存在と言えばLINEですが、「情報を送受信する」という機能は同じであっても、企業が同じ位置で登録されるかと言えばLINEはSNSの側面もあるので、違う気もします。
今回の調査でもLINEが世に出てからわずかな期間で2位、しかも25.5%という数値を見たら今後飛躍していく可能性はありますが、メルマガに取って代わる存在とはまだ言い難いと感じます。
さて、今回紹介をしたデータは基本的にはBtoCのものでした。
それではBtoBでは、メルマガについてどういった現状があるのでしょうか。
残念ながらBtoBに関する最近のデータは無かったので推察になりますが、傾向としては大きく変わらないのではないかと考えられます。
ソーシャルメディアとの比較でいうと、LINEやTwitterで所属する企業に関係する製品、サービス、取引などの情報を得るイメージはしにくいので、むしろBtoBではメルマガの存在感がより高いかもしれません。
メルマガの立ち位置
現状を簡単にまとめると、メルマガは次のような位置づけではないでしょうか。
- 今も多くの数が受取られている。
- リーチ数(実際に開封して読まれている数)はかなり高い。
- 登録解除の主要因になるため、配信頻度や内容については気にする必要があり。
- LINEの今後の伸びはわからないが、SNSと比較しても圧倒的な存在感を持つ。
- BtoBでも同じ傾向ではないか。
メルマガ独自の課題
ここからはメルマガの課題について解説していきましょう。
ソーシャルメディアなど他との比較ではなく、メルマガそのものが抱えるテクニカルのものと、運用面に関する課題です。
テクニカル面での課題
技術面で現在のメルマガが抱える最も大きな課題は、「閲覧環境の多様化」だと思われます。
具体的には、スマートフォンです。
フィーチャーフォン(ガラケー)の時にも絵文字や半角カナなどを主体にしたテキストメールを、各キャリアの違いを考慮しながら作成していく必要がありました。
スマートフォンはそれよりも画像が付いたリッチなメルマガが送れるものの、閲覧環境が多様化しています。
キャリアメールとブラウザがあり、さらにストアアプリだといくつもの種類があるので、すべてを把握することは不可能です。
例えば、こんな例がありました。
某メールサービスで送信したメールを確認したところ、Webブラウザからはリンクが効いていたにも関わらず、アプリからはエラーになるという不具合が発生しました。
ブラウザとアプリとでセキュリティ基準が違うために起こったエラーのようでしたが、原因は分かったものの対処法が不明だったため当初の内容から変更を余儀なくされました。
またキャリアメールであれば画像が外れる、スマホのOSによって仕様が異なるといったケースも見られます。
スマホの閲覧環境にすべて対応するのはもちろん、Webブラウザのように割合を出して上位のものから対処していくというのもできません。
HTMLメールではなく無難にテキストメールで出すという方法もありますが、HTMLメールが主流になっている今、あえて訴求力の落ちるテキストメールに戻すべきかも悩ましいところです。
運用面での課題
つい数年前ですが、あるメルマガに関する調査機関から「現状もセグメントをきちんと分けての配信の割合は高くない」という発表がされていました。
セグメントを分けての配信というのはかなり以前から取り組むべきものとされていたので、今もあまりできていないというのに驚きを感じたものです。
できていない原因は、主に「人手不足」「手間」の問題です。
配信データそのものはデータベース化されているのですが、それをセグメント分けして配信リストにする、さらには複数回分けて送るというのに時間が割けないのです。
またそれをやれば効果測定も細かくおこなっていく必要があります。
そこにはますます手が回らないので、いけないとは思っていても一斉配信になるようです。
セグメント分け以外にも、メルマガは配信頻度や時間帯、もちろん内容など常に効果検証をしながら改善していくべき項目は無数にあります。
こうした手間をかけるのが難しい、というのが大きな運用面の課題となっています。
メルマガのトレンドと新しい取組み
メルマガの主流はテキストからHTMLになってきました。
さらにそれ以上の進化も見せ始めています。それを紹介していきましょう。
レスポンシブ対応
メールの閲覧環境はPCからスマホメインになりました。
BtoBでは依然としてPCからの閲覧が多いと思われますが、社用スマホの普及などもあり、割合は今後増えていくことが予想されます。それにはMAツールの導入などで拍車がかかるでしょう。
各デバイスごとに最適な閲覧となるよう調整されたのが、レスポンシブメールです。
Webサイトのレスポンシブはかなり普及していますが、メールでの対応がそれほど伸びないのは、やはりブラウザのみの閲覧ではないからです。環境によってはcssが機能しないため、tableレイアウトで固定させた方が良いとう結論になってしまいます。
このように環境すべてに対応しないという懸念材料はあるものの、レスポンシブメールは今後検討をしていくべき施策でしょう。
動画
動画もWebサイトではおなじみの施策になっていますが、メルマガにこの動画を埋め込むという方法もあります。
動画メールについてはCVRが高いという事例や、ユーザーや担当者から抵抗はほとんど出ない、むしろ歓迎されているなどの声が多く聞かれます。
動画に対応したメール配信サービスも増えているので、導入しやすくなっているのもプラス材料です。
懸念はこちらについても閲覧環境により不具合が出る可能性がある、という点です。
マーケティングオートメーション
広く普及してきたマーケティングオートメーションは、多くの場合でメルマガを中心にしたコミュニケーションが取られます。
ですのでメルマガを重要な情報発信、コミュニケーションツールとしてといるBtoBの企業であれば、既に導入済みの所が多いでしょう。
これを入れれば配信タイミング、内容、頻度、セグメント分けなどメルマガの運用的な課題の多くが解消されます。
ツールとしては実績が豊富なものを導入すれば、まず間違いがないというのも強みです。
ペルソナやシナリオ設計といった、上流部分がうまくできているかどうかが成果の分かれ目になるでしょう。
他の環境による制約や不具合がある施策は導入しづらい面がありますが、MAの場合は設計部分がポイントです。ですからきちんとしたノウハウとプロセスを経れば、現状最も成果が出やすいメルマガ施策となるでしょう。