リードプラスが選ぶ2018年Web関連の10大ニュース
2018年もリードプラスのブログをお読みいただきまして誠にありがとうございました。2018年も「デジタルマーケティング」「Webデザイン」「SEO」などWebの世界では色々な進化がありましたが、ここで独断と偏見でWeb関連のニュースを10個選んでみました。
広範囲になりますが「Webに関わるなら知っておいた方がいい内容」として、一年を振り返っていただければと思います。
ちなみに2017年も10大ニュースを公開させていただきましたが、今となっては懐かしい感じですね。
10位 オフラインとの境界線がますます無くなる。
デジタルマーケティングは一般的にWebマーケティングより幅広い概念とされ、アプリやCRMなどあらゆるデジタル技術を使ったマーケティング活動を指します。
ところが今やデジタル技術を用いない活動はほとんどありませんので、一部のBtoB企業を除きマーケティング全般がデジタルマーケティングと同義になってきています。
「オムニチャネル」「O2O」など、オンラインとオフラインを融合させる言葉は多くありました。現在はこの境界線があいまいです。
たとえばホテルのルームキーをアプリでおこなうというのは、有名は話になっています。また自動車というリアルなものとセットの仕組みとして「Uber(ウーバー)」も知名度を高めています。Webサイトやアプリではなく、店舗内のユーザー行動を追う取組みや仕組みも出ています。つまりリアル店舗でのアクセス解析の実現です。
このようにオフラインとの境界線は、ますますなくなってきています。
9位 5G
次世代モバイル通信として、「5G」の話題を耳にする機会が多くなりました。「超高速」「大容量」の通信が可能、数字にすれば現在の10倍以上になるという驚異的な技術がもうすぐ実用化されます。
Webの運営やデジタルマーケティングの実務では、こうした通信技術の変化はあまり語られることはありません。しかし実際はさまざまな影響を受けます。
たとえばIoTは、5G時代が到来することで大きく加速します。多数の端末に対して同時アクセスが可能になるので、デバイスの対応範囲は遥かに増えます。
「レスポンシブはスマホの画面だけでなく、あらゆる機器に対して最適に表示できるようにすべき」という必然性が加速します。
あるいは冷蔵庫についた画面でレシピを表示というのも普通になるでしょうから、そこにオススメの調味料をレコメンドしていくといったマーケティングも出てくるでしょう。
実際には2020年前後が5Gの本格普及の時期ですが、今のうちから将来を見据えた動きをしておくと良い、という意味での一足早いランクインです。
8位 コンテンツマーケティングとコンテンツの変化
コンテンツマーケティングはいずれ安定期に入る、というのは数年前にアメリカの大規模イベントで語られた話です。
その流れは日本にも早晩来るはず・・・というのはこのブログでも書きましたが、その通りになっているというのが今です。
ブームにのっただけのコンテンツマーケティングは「実際のコンバージョンに結びつかない」「更新していくのに疲れた」などという悩みを抱え始めます。こうした課題の解決方法についてはまた改めて書きたいと思いますが、戦略のないコンテンツマーケティングは終焉を迎えることは間違いありません。それとは逆に真剣にコンテンツマーケティングに取り組む企業は成功しているのです。
また、コンテンツのトレンドにも変化がありました。日本では記事コンテンツが中心でしたが、海外では動画やメールもコンテンツの一部と認識されています。その中で動画コンテンツのニーズが、飛躍的に高まっています。
兆候はGoogleの検索結果にも出始めています。これまで記事コンテンツから抜き出されていた検索結果ページの情報が、動画コンテンツの表示が優先されるようになろうとしています。
ユーザー行動も動画寄りです。若い世代になると、知りたい情報をGoogleではなくYouTubeから探すというやり方が増えています。各SNSの投稿も、評価を集めるのは動画です。このように動画コンテンツのニーズが大いに高まっています。
7位 かなり使えるGoogle Data StudioとBIツールの現在
Googleもすべての提供サービスやツールが大ヒット、というわけではありません。中には大きく広まらない、知らないうちに消えていた・・・というものもあります(そういえばGoogle+の個人向けサービスが終了、のニュースもありました)。
そんな中、「Google Data Studio」はかなりのヒットといえるでしょう。手軽にデータをビジュアル化できる、Googleのアカウントだけで利用可能といったことがヒットの理由です。
ただし分析までをData studioでおこなうのは少々無理があります。「Tableau」「Qlik Sense」「Domo」などのBIツールを使う必要があるでしょう。
BIツールはこれまで、レポートの共有は問題なくできても分析はアナリストでおこなう、というのが基本でした。しかし広範囲でデータが求められる今、それだと十分ではありません。
そこでツールそのものが分析をおこなってくれる、という動きが注目されてきています。BIツールの特徴が少し違ってきた、それが見え始めた2018年でした。
6位 日本にも影響あり、GDPR
GDPRとは、「GDPR(General Data Protection Regulation/一般データ保護規則」のこと。個人データやプライバシーの保護について、より厳格に規定したものです。
IPアドレス、Cookie情報等も個人情報として扱われるため、Webとは密接な関係があります。多くのサイトがアクセス解析などで、こうした情報を当たり前に取得しているからです。
具体的な影響としては、Googleアナリティクスのデータの保持期間の変更、それに関する設定を変更しなければならないといったことが話題になりました。また海外の多くのWebサイトがCookie情報等の取得に関するメッセージを掲載し、同意を求めるようになりました。Webデザインではこのメッセージをどう出すかが、トレンドになったほどです。
このGDPRの適用範囲に関しては、いくつかの解釈があります。
インターネットなので日本も対応しなければいけないという意見があれば、EUに拠点があったりビジネス上で密接な関係がなければ特に対処の必要はないという声もあります。
覚えておきたいのは個人情報の取得、取扱いに関して厳格化しているのが世界のトレンドという点。
これにより各ブラウザはセキュリティ保護を強化していくでしょう。
GoogleもGoogleアナリティクスや広告の仕様について、ユーザー個人の動きに関するものは慎重になってきています。
5位 組織の整備、急務に。
デジタルマーケティングはシステム、営業、販促、広報などさまざまな部門との連携を必要とするものですし、それぞれが積極的に活用してくれないと成果はあがりません。その意味で単なるWeb担当者、という位置づけだと機能させるのが難しくなっています。
加えてデータドリブンという言葉が定着し、企業はそれを生かす組織づくりをするフェーズに入っています。
データインフラが未整備の場合は、各部門に散在しているデータをまとめたり、どう活用していけばいいかの指針を示す必要があります。
つまり「デジタルマーケティング」と「データ」を活用できる組織づくりが、急務になっているのです。一方で優秀なデジタルマーケティング担当者、データアナリストが企業に定着しないという問題も顕在化してきています。
育成やデータ環境の整備といった問題もありますが、そうした人材が活躍できる組織になっていないというのがもっとも多い理由です。
こうした外からは見えにくい部分に着手している企業が、だんだんと成果を上げ始めています。
4位 SEOで、モバイルファーストインデックスより大切なもの
「モバイルファーストインデックス(MFI)」が本格始動しました。
とはいえ大きな混乱は見られなかった、というのが実際のところです。
理由はこれまでに主要なサイトがモバイル対応をしていたこと、Googleも慎重にロジックを拡張させていることなどがあげられるでしょう。
一律で「スマホに最適化させていないページは順位を下げる」とするのではなく、業種などによってはスマホの最適化がされていなくても上位表示されるページが多くある、というのはこのブログでも何度か検証しました。
MFIよりも注意していきたいSEOのポイントは、まずは次の二つです。
- ページスピードはランキングの要因になる。
- SSL対応がほぼ必須になってきている。
ページスピードについては何度かGoogleからアナウンスが出されています。SSLはブラウザでの警告が強くなっていますので、ランキングへの影響も増すでしょう。
これ以外にも、コンテンツの評価軸に変化が見られています。一例をあげると専門性、著者の権威に関する影響が増加しているようです。
さらにすべてに共通する、もっとも大きな要因として「ユーザー行動」があげられます。SEOはながく内部対策と外部対策で成り立つといわれてきましたが、現在はユーザー行動がこれに比すくらい大きな要因となってきています。
3位 モバイルファーストからユーザーファーストの時代へ
MFIで大きな影響が出なかったことからわかるように、モバイルファーストの意識はかなり定着しています。BtoCの場合だと7割以上のアクセスがスマホから、というサイトがほとんどになっています。インターネットの接続機器の統計では、すでにスマホがPCを上回っています。
モバイルファーストが常識となっている今、より取組むべきはユーザーファーストです。これまでの考え方は「Webサイトを見る割合がPCよりスマホの方が多くなってきたから、それに合わせて対策」というものでした。
しかしこれからは「スマホを夜中に見ているAさん」「PCとスマホを半々で見ているBさん」「毎日トップページから特定のページを見ているCさん」など、ユーザーの個々の動きに着目し、対策をうっていくべきです。
このためアクセス解析のように全体を見るツールではなく、ユーザー個々の動きにフォーカスする分析ツールが多くなってきています。またMAや接客ツールも、細かなデータを使っての出し分けができるものが増えています。
2位 アクセス解析からオリジナルのデータ取得へ
Webサイト、アプリのデータ分析で真っ先に名前があがるのはアクセス解析でした。その代表的なツールとして、GoogleアナリティクスやAdobeアナリティクスの名前が挙がっていましたが、2018年はそれに変化が見られました。
アクセス解析は主にWebサイトやアプリ上の行動を追うもので、ビジネス全体で見ればユーザー行動の一部分です。
そのため顧客データ、購買データ、商品データなどさまざまなデータを結びつけないと、実際のユーザー像は見えてきません。
それを実現させるべく、データ統合をおこなう動きが加速しています。CDPやDMPといったデータの蓄積と分析、活用までをおこなう環境を多くの企業は持ち始めています。
アクセス解析はオンラインの行動を取得するデータの一部となっていますので、Googleアナリティクスにログインして管理画面のレポートを見るのではなく、サイトログの蓄積といった役割の方が大きくなっています。
開発力のある企業はGoogleアナリティクスやAdobeアナリティクスではなく、自社ツールでアクセスログの取得と解析をおこなう動きにシフトしています。
アクセス解析≒Googleアナリティクス(あるいはAdobeアナリティクス)というのが言えない時代になってきています。
1位 データ活用とAI、機械学習
データは分析をするものといったイメージですが、デジタルマーケティングでは実際の施策実行に対して大いに活用されています。それを可能にするのが機械学習とAI(人工知能)です。
機械学習でユーザーのさまざまな行動を把握し、AIにより最適な形で提供していく。
デモグラや購買履歴程度の情報であれば運用者の手で出し分けパターンが作成できるかもしれませんが、すべてのページ閲覧を追いそれに対してスコアリングをする、時間軸の変化なども加えて出し分けをおこなうことは人力ではまず不可能です。
MAもあらかじめセットしたシナリオだけでなく、データを機械学習して最適なパターンとタイミングで出していくという仕組みが目立つようになりました。
実際のところはまだまだAIとは呼びにくい機能やツールが多くあります。しかしGoogle広告などすでに熟練の運用者を超える機能を提供するツールも出てきています。
「機械がいかにデータを学習しやすいようにするか」「機械学習とAIを念頭に置いてどう戦略を立てるか」に大きくシフトした一年といえます。
まとめ
2017年の1位はデータドリブンで、「戦略や意思決定をデータに基づいておこなうようになってきた」と解説しました。2018年はそれが機械学習やAIの進化により、実際の施策実行にまで進化した形です。さらに2位のアクセス解析もデータの話題、5位の組織整備も関連するものです。
このように2018年はビジネスの「デジタルトランスフォーメーション」が大いに進んだ年だったといえます。
また9位の5G、今回はランクインしていませんがIoTの広がりなども、データや機械学習、AIと密接に結びついています。これらはHTMLやJavaScriptといったサイトの作成技術、Googleアナリティクスなどのアクセス解析や従来のSEO、Web広告の手法とは異なるものです。
そのため新しい学びが必要になってきますこれからの1~2年は、HTMLやアクセス解析を覚え始めた頃のような学びと実践が、より重要になってくるでしょう。