BtoBとBtoCの違いを理解して、最適なマーケティングの取り組みを

BtoBとBtoC、この二つには共通していることもありますが違う点も多々あります。これを理解していないと、それぞれの領域におけるマーケティングはうまくいきません。この記事ではBtoBとBtoCを比較して、そのマーケティングの違いを解説していきます。

そのうえで、現在多くの企業が取り組むようになってきているBtoBでのデジタルマーケティングのやり方を、紹介していきたいと思います。

BtoB、BtoCとは

BtoB、BtoCとは?

まずは基本中の基本となる、BtoBとBtoCが何を指すかを簡単にまとめておきましょう。

● BtoB

Business to Business、つまり企業間の取り引きです。読みは「ビートゥービー」で、「B2B」と表記するケースもあります。

● BtoC

Business to Consumerの略で、企業が一般の消費者に商品やサービスを提供することを指します。読みは「ビートゥーシー」で、「B2C」と表記をすることもあります。

実際のビジネスシーンでは、同じ企業にこの両方が存在する場合も多くあります。たとえば日立は冷蔵庫などのConsumer向け製品を作っているという点ではBtoCですが、主軸となっているのは重電やインフラといったBtoBの事業です。

また住宅設備メーカーのように、企業と消費者の間にある「BtoBtoC」の企業も存在します。こちらは企業と消費者という、両方に対するマーケティングに取り組んでいます。

最近は「CtoC」という個人間の取り引き、あるいは「CtoB」のように個人と企業が取り引きをする形態も生まれていて、ビジネスモデルが多様化しています。

BtoBおよびBtoCの相違点

BtoBとBtoCの相違点について、マーケティングにおいて重要となる項目をピックアップして紹介していきましょう。

顧客数の違い

BtoB:少ない

BtoC:多い

商品価格の違い

BtoB:高額

BtoC:少額

どんなに巨大な企業であっても、BtoBはBtoCに比べれば顧客数は少なめです。しかし、BtoBの場合には商品価格が高価であることが一般的で一回の購入価格は大きくなります。

最近はLTV(ライフタイムバリュー)という考え方をすることが多いですが、BtoCのヘビーユーザーであっても一つの企業に対して億単位を使っていることは、まずないでしょう。しかしBtoBであれば、一回の取り引きが数億といったプロジェクトもあります。

選択の基準と考え方

BtoB:検討項目は多く、論理的に判断される。

BtoC:検討項目は少なく、感情で強く判断される。

関与者

BtoB:多め。決済に関わる人が数多く存在。

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BtoC:個人のみ、あるいは少なめ。

購入者と意思決定者

BtoB:同じで無いことが多い。

BtoC:同じであることが多い。

これらの項目は、マーケティングを考えるうえで重要なポイントになります。

まずは「選択の基準と考え方」ですが、たとえば個人向けのセキュリティソフトを買う場合と、会社で導入する場合はチェックする項目が後者の場合は飛躍的に多くなります。

また判断が論理的な思考に基づくか感情に寄るかという点でも、違いがあります。AIDMAのような感情を基準にした購買モデルがBtoBでまったく見られないわけではありませんが、Attention-Interest-Desireといった感情の動き以上に、論理的な思考が大きく影響するのが一般的です。

これは関与者の数、そして購入者と意思決定者が違うことが多いといったことも関係します。関与者が多ければ個々人の感情がどうであれ、それが購入に直結することはありません。たとえ情報に接触する購入者の欲求が高まっていたとしても、意思決定者が別ならばその影響は低くなり、変わりに客観的な情報の方が多く求められます。

BtoCであっても、たとえば家を買うといった場合には関与する人数は増えます。それでもBtoBとは、比べものにはならないでしょう。またBtoBでは単純に関与者の多さだけでなく、異なる部署間を調整する必要が出るケースも多くあります。たとえばCMSを導入する場合には、開発部門とデザインなどの制作部門、さらにマーケティング部門、情報システム部門といった部署間の調整が必要になるはずです。個人の意見を超えて、そのCMSを導入することによるそれぞれの部署のメリットとデメリット、必要性といった客観的な情報が判断基準になります。

接触する情報量

BtoB:少ない。

BtoC:多い。

決定する要因

BtoB:客観的な情報を中心に、多く必要。ROIなども考慮される。

BtoC:感情に訴えかける情報を中心に、少なくても購入に至る。

特定のターゲット層が対象になるBtoBの情報は、世の中にそう多くはありません。テレビCMや雑誌の広告などを比較すれば、BtoBに関するものは少ないことがわかります。

決定する要因が複数になるのは、購入者と意思決定者が別に存在するといったことが関係し、多くの情報が必要となるからです。

検討、購入までの期間

BtoB:長い。

BtoC:短い。

購入までに時間がかかる、というのはBtoBの大きな特徴です。

関与者が多いというのはもちろん、じっくりと検討をするための時間が必要になるからです。またすぐに導入したり入れ替える必要がある、といったケースも少ないといえます。たとえば印刷会社が新しい輪転機の導入を検討し始めても、今までの機械があるのですぐに入れ替える必要はありません。大型の機械ですから、採算が取れるかどうかをじっくりと検討する必要があります。

こうした購入までに時間がかかるという点は、BtoBとBtoCの大きなマーケティングの違いを生み出しています。

それぞれに合わせたマーケティング

BtoBとBtoCの違いを理解したうえで、マーケティングの違いについて考えていきましょう。

まずはBtoBです。

  • リードの獲得:オンライン上の問い合わせや資料請求。または展示会やセミナーなど、オフラインのイベント。
  • リード獲得後:メールや電話などによる案内。
  • 商談:営業と対面(またはオンライン)により実施、複数回。
  • 成約:支払い条件の確認や法務部門のチェックなど、時間がかかる。

次にBtoCについて、消費財を購入する場合を想定してみましょう。

  • 接触、認知:スーパーやドラッグストア、生活用品店で実際の商品を確認。またはネット通販で見る。
  • 購入:即時決済。

またBtoCでも、マンションを購入するような場合は変わってきます。

  • リードの獲得:オンライン上の問い合わせや資料請求。電話問い合わせや展示場への訪問など。
  • リード獲得後:メールや電話などによる案内。
  • 商談:営業と対面(またはオンライン)により実施、多くて数回。
  • 成約:支払い条件などの確認をして手続き。

BtoCであっても、マンション購入など高額なものや一生のうちに1度、多くても数回といった場合だと、BtoBの取り引きに近くなります。しかし検討にかかる期間はBtoBに比べれば、かなりの短期間です。

BtoBの場合はマーケティングだけで成約にまで至る、というケースはほぼありません。マーケティングはリードの獲得もしくはある程度醸成されるまで、その後は営業部門に渡すというプロセスを踏むことになります。

この営業部門に渡すというプロセスにおいて、いかに見込み度合いをあげるかというナーチャリング、そうした営業に渡してもいいリストをスコアリングして選別するというのが、現在のBtoBにおけるマーケティングの重要な部分になっています。その大部分を担うツールとして、マーケティングオートメーションがあります。

このようにマーケティング部門も以前とは違ってきていますが、営業部門も変わってきています。

大きなところでは、インサイドセールスの必要性でしょう。マーケティング部門から渡されたリストに対し、さらに電話やメールなどを使い商談見込みの高い顧客へとしていくのが、インサイドセールスです。現在はインサイドセールスと従来からの外回りのフィールドセールスを組み合わせて、効率の良い商談から成約までに取り組む企業が増えてきています。

適したマーケティングオートメーションの違い

前章でBtoBのマーケティングオートメーションの大きな役割として、「ナーチャリング」と「スコアリング」を紹介しました。他にも分析や施策の管理などがありますが、この二つの機能がマーケティングオートメーションでは必須と考えていいでしょう。

一方で商品を見てから購入までにほとんど時間を要しない一般的なBtoCにおいては、こうした機能はあまり必要がないといえます。

代わりに必要となってくるのは、すぐにコンバージョンに導くような機能です。あるいはリピート化させ、サイトでの購入頻度をあげてもらったり、リアル店舗がある場合にはそこへの送客も促すよう複数のチャネルをつなぐ、といった機能も必要です。

一回の購入までのナーチャリングというよりも、LTVを上げていくということに重きが置かれていると言えます。

広い意味ではパーソナライズによるコンテンツの出し分けやレコメンドも、マーケティングオートメーションの機能に分類されます。

ただしBtoBのマーケティングオートメーションに関して、「ナーチャリング」と「スコアリング」の機能が備わっていれば事足りるといった状態は、ごく初期までの話でした。現在はマーケティングオートメーションで、リードの獲得をするところからおこなえることが望まれています。そのためマーケティングオートメーションそのものが機能を拡張させたり、別のツールと連携できるようになっています。

まとめ

最後に触れたように、今のマーケティングオートメーションは「メールを配信してナーチャリング、スコアリングによる施策の実行と選別」といった機能から、大きくアップデートしています。特に見込み客の絶対数がアメリカなどに比べて少ない日本では、リードの獲得までがより重要といえます。

HubSpotはもともとツールの中にマーケティングオートメーション機能を持っている、統合ソリューションです。またインバウンドマーケティングを基本としていますので、リードの発見から獲得といったリードジェネレーションの機能が元々あり、それをさらに拡充させています。

不動産や自動車といった、BtoCであっても検討期間が長めの商品の場合に力を発揮するというのも、BtoBを基準にして作られている一般的なマーケティングオートメーションとの違いといえます。

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