SEOとは真逆?キャッチコピーをより効果的にするためのポイントと事例
あらゆるビジネスにおいて、「キャッチコピー」は重要なものです。
もちろんそれは、Webサイトでも同じです。この記事ではキャッチコピーの基本からWebサイトで使う際のポイント、具体的な事例を紹介していきます。
そもそもキャッチコピーとは
まずは、大前提となる「キャッチコピーとは何か?」について解説していきましょう。
キャッチコピーは「人の関心を惹くための言葉、文章」を指します。一般的に広告や販促で使うもの、といった説明がされます。しかし「コーポレートメッセージ」など企業の考え方を伝えたり、ブランディングもキャッチコピーのバリエーションと考えることができます。そのためここでは範囲を定めずに、魅力的な言葉で人々の関心を惹くものをキャッチコピー、と考えることにしたいと思います。
イメージがつきやすいように、誰もが知る具体的な事例をいくつかあげてみましょう。
- 「あなたと、コンビに、ファミリーマート」(ファミリーマート)
- 「カラダにピース。」(カルピス)
- 「そうだ 京都、行こう。」(JR東海)
- 「ココロも満タンに」(コスモ石油)
- 「水と生きる」(サントリー)
世代を超えて誰でもが知る有名なコピーとなると、どうしてもコーポレート寄りのものが多くなります。そんな中でJR東海の「そうだ 京都、行こう。」は、キャンペーンのコピーでありながら長く愛され続ける好事例と言えそうです。
他にも著名なコピーライターの代表作として、「村田製作所はなにをセイサクしているんだろう。」(村田製作所・安藤隆)「一瞬も一生も美しく」(資生堂・国井美果)といったコピーも、多くの人の記憶に残っているのではないでしょうか。
優れたキャッチコピーはアートやエンタメ、行政といったジャンルにも多く存在します。
「魂に響くラスト21分——俺たちは永遠になる。」(ボヘミアンラプソディー・映画)、「さくらんぼ県」(山形県・自治体)などは、よく知られている事例です。
キャッチコピーの作り方
こうしたキャッチコピー作りの基本的なポイントを、紹介していきましょう。
1.基本の考え方と作り方
ターゲットを考える、定める。
多くのマーケティングと同じで、「ターゲット(ペルソナ)」をまずはきちんと定めます。誰に届けたいメッセージなのか。それにより方向性は変わってきます。すべての人の関心を惹く言葉、というのは存在しないことをまずは念頭に置くようにしましょう。
自社の強みを整理しておく。
こちらもマーケティングに欠かせないステップですが、自社の強みも整理しておきましょう。簡易的にでも3C分析をやってみると、より自社の強みが明確になるはずです。
キャッチコピーの目的をハッキリさせる。
前章で有名なキャッチコピーをいくつかあげましたが、企業、商品、キャンペーンやセールなど、いろいろな目的がありました。このようにキャッチコピーづくりは、目的に合わせたものにする必要があります。
たとえばコーポレートメッセージを伝える印象的な言葉が、そのままキャンペーンで売上をあげるものになるとは限りません。
売上をあげるためのキャンペーンでは、「すべて半額!」といった強い言葉や、「最大70%OFF」といった数字を使うものが、美しく凝った言葉よりも効果を発揮することが多くあります。
言葉遊びをしない。
上にあげた3つからわかるように、キャッチコピーを作る前提になるのはマーケティングです。
つまりはキャッチコピーを作るためには、情報収集やコンセプトワークをおこなうのが必要です。決して言葉をひねりまわして気の効いた言い回し、美辞麗句を並べたようなコピーでは心には響きません。有名なコピーはカッコイイものも多いので、わりとこの間違いは多くの人が陥りがちです。
キャッチコピーのコンセプトを、説明できるように。
そのキャッチコピーをどういった意図で作ったのか。コンセプトをきちんとまとめて、説明ができるようにしておくのがベストです。キャッチコピーそのもので関心を惹いてもらえるかは重要ですが、同時に企画段階では意図を求められる場面も多々あります。
マーケティング的に優れたコピーは、こうしたことをきちんと説明ができる背景があるはずです。
またボディコピーについても、セットで覚えておきたいものです。
キャッチコピーで関心を惹き、対象である企業メッセージや商品、サービスの中身などを詳しく伝える、いわば説明文の役割です。こうした役割のためボディコピーは凝った文章というよりも、いかに内容をわかりやすく伝えることができるかということに、比重が置かれます。
一般的な商品やサービスではないBtoBでは、このボディコピーがより重視される傾向があります。
キャッチコピーのコンセプトをまとめておけば、それをもとにボディコピーを作りあげていくことができます。
2.Webサイトで使う際のポイント
Webサイトでキャッチコピーを使う場合には、それに合う細かなテクニックもいくつか存在します。
よりわかりやすく、ダイレクトに届く言葉で。
特にセールやキャンペーンといった、コンバージョンに直結するような場合はわかりやすく、ダイレクトに響くコピーが効果的です。
なぜならWebサイトはアクセスして数秒程度で、自分にとって合うものかどうかが判断されるからです。その意味では雑誌などはもちろん、チラシなどの販促物よりもわかりやすいコピーが求められます。
画像とセットで、最適なものに。
ほとんどの場合で、キャッチコピーはそのページのメインの位置に表示されます。
そのためメインビジュアル、つまり画像とそのコピーがよくマッチしていることが求められます。
Webですからひとつの画像だけでなく、いろいろと切り替わっていく演出を施すことでよりコピーが印象的なものになる、といったケースもあります。
スマートフォンでも視認しやすく。
スマートフォンで見る場合にメインイメージが最適化されておらず、せっかく良いコピーが響いてこないといったケースも、時おり見られます。制作やデザインの問題といえますが、コピーとの連携ができていると、よりいいものができるでしょう。
Webサイトを閲覧する環境はさまざま、特にスマホなど主流のデバイスでどう表示されるかは意識するようにしましょう。
パソコンをメインに作っているWebサイトは、コピーの文字量が多くてごちゃごちゃしてしまっている、という例も見られます。
事例
実際のWebサイト(ページ)から、好事例を紹介していきましょう。目的に合ったものが良作という観点から、用途別で見ていきます。
【商品・サービス】つい内容を確認したくなる好事例
「きちんと映える、しかもラク。」というキャッチコピー。
どんな意味だろう? とつい内容を見てみたい気になります。リモートワークが増えてきて、それに合わせたキャンペーンです。
このサイトは通販なので、「○○パーセントOFF」といったコピーが多いですが、その中だからこそこうした提案型のものに目がとまります。
またこのコピーは「ラク映え」「ボス映え」「モテ映え」「即映え」といった周囲のコピーと写真も併せて、関心を惹く後押しとなっています。
映えというのはインスタを意識した言葉づかいと思われますが、画像との組み合せでも大いに参考になるコピーです。
【商品・サービス】メリット訴求の定番手法
メリット訴求の定番、トップクラスの強さともいえる安さを伝えるコピー。シンプルなメッセージでWebに限らずあらゆる販促物で力を発揮しそうですが、秀逸なのが「とことん」という言葉の使い方です。
数字や最上級の表現を使っていないのに、「かなり安そうだ」という印象を受けます。「商品代+工事費+保証全て」と書かれていることで、ここだけで納得感も増します。
【企業】企業アイデンティティと時事メッセージを同時に訴求
「ニューノーマルの暮らしを楽しむ住まいづくり ENJOY MY HOME,ミサワホーム」のコピーは、企業アイデンティティとともに時流に合わせたメッセージを伝えているという点で秀逸です。
画像がいくつも切り替わっていきますが、決して非日常的な華やかな楽しさではなく、生活も大胆な変化を見せるものでもありません。暮らしに近い、落ち着いた雰囲気を感じさせるコピーに仕上がっています。
【採用】訴えかけ自分ごとにするシンプルなメッセージ
多くの人材に目を留めて欲しい採用サイトは魅力的なコピーが多く、非常に参考になります。
「君が、未来を加速させる」は、若者をターゲットにしたスタイリッシュな言葉づかいです。「君」という言葉を使うことで、それを目にしているであろうユーザーにとって、自分ごとにする効果も持っています。
このコピーを、イメージの切り替えによりさまざま見せ方をするWebサイトも必見です。
【BtoB】物流の代表ということと理念を同時に訴求
「私たちの使命、それは物流を止めないこと」という力強いコピーは、物流が暮らしや経済に欠くことができないものであること、そして日本郵船が日本の物流を代表する存在であることの両方が伝わってきます。
直接の表現がされていなくても、こうしたことを感じさせるのが優れたコピーと言えます。
【BtoB】丁寧にメッセージを伝える好事例
BtoBではもうひとつ、キャッチコピーとボディコピーを組み合わせてメイン画像に表示させている事例も紹介したいと思います。
IDECのキャッチコピーはインパクト重視ではなく、丁寧にメッセージを伝えるものです。しかしそれだけではわかりにくい業界のため、ボディコピーを読むことで内容が伝わってくるようになっています。
まとめ
デジタルマーケティングやWebサイトのテキストといえばSEOを念頭に置いたものが多いですが、キャッチコピーはそれとは異なる「人の心にいかに響くか」というものです。
検索エンジンのロジックを意識しないぶん、マーケティングのエッセンスを入れながら、自由な発想で作りあげることができます。
またこの記事ではふれていませんが、広告文やメールマガジンの見出し、さらにはSNSへの投稿もキャッチコピーのバリエーションといえます。それとネーミングも、コピーのひとつのジャンルです。
いずれも成果を左右する大切な要素ですので、良い事例にたくさんふれ、魅力的なコピーを作っていきましょう。