コーポレートサイトの目標設定の基本!その種類と考え方について

ECのように「コンバージョン=購入」「KGIは売上」といった明確なものに比べ、コーポレートサイトの目標はなかなかな定めづらいものです。この記事ではコーポレートサイトの目標の種類とそれぞれについての考え方、具体的な戦略の組み立て方を解説していきます。コーポレートサイトのWebマスターやデジタルマーケティング担当の方は、ぜひ参考にしてください。

コーポレートサイトの目標

コーポレートサイトの目標

弊社も企業のオウンドメディアを運用していて、よくお客様よりKPIはどのようにすれば良いのでしょうか?と問い合わせを受けることがあります。その場合、いつもその種類などについて説明することが多いので今回もまずはコーポレートサイトの目標について、その種類を解説していきたいと思います。

1.基本的な目標

コーポレートサイトの目標は、基本的に大きく次の4つです。

(1)ブランドイメージの向上、認知度のアップ

(2)株主、投資家の維持と獲得

(3)入社希望者の獲得

(4)商品、サービスの拡販

(1)は企業情報やリリースなど、総合的なものです。コーポレートサイトのKGIとして一つを定めるならば、これになることも多いでしょう。しかし、それを定量的に測ることは難しく単純なPVなどと規定している企業も少なくありません。

(2)はIRですが、株主や投資家はサイトのUXというよりもその企業の業績やIR関連情報が最大の関心事です。そのためWebサイトの作りがどうこう以前に、掲載される情報の中身に左右されます。

(3)は、唯一、具体的なコンバージョン目標が定めやすいものと言えます。なぜなら「コンバージョン数=エントリー数」だからです。しかし、採用については専門のポータルサイトもあるため、そちらが実際のエントリー機能になっていることも多くあります。コーポレートサイト内では情報発信に努め、エントリーはそうしたポータルサイトにリンクさせているというケースも珍しくありません。

(4)は場合によっては具体的なコンバージョンを定めることができますが、すべてにあてはまるものではありません。ほとんどの商材が単純な「コンバージョン=売上」ではないからです。MAツールなどを活用してナーチャリング などに務める必要があるのです。

 

こう見ていくと「コーポレートサイトの目標はやはり定めにくい」と言えるのではないでしょうか。しかし、いつまでも目標を定めないまま運用だけをしていれば、Webサイトやデジタルマーケティング担当者の評価はいつまでたっても上がりません。

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こうした状況を打破するために、コーポレートサイトに対して何らかの目標を定めるようにしましょう。コーポレートサイトはその企業の全体を表すものなので、上記で示したような各カテゴリで目標を設定するというのも良いでしょう。

具体的な測り方についてですが、認知度やブランドイメージの向上ということであれば、シンプルにPV数の増加でも構いません。内訳として「PV数が120%に増加、内訳として商品ページの伸びが30%でもっとも多い」といったことにすれば、実際のビジネスへの貢献と捉えてもらいやすくなるはずです。

2.ビジネスの性格により分かれる

前項で紹介したのは非常に簡略化したコーポレートサイトの目標の分け方ですが、実際にはもっと複雑です。ビジネスは大きくBtoB、BtoCに分かれますが、大規模なBtoCの場合には販売の中心は小売りです。そのためメーカーが直販をしていたとしてもなかなかその成果とは別のところで売上が計上されていることが多く難しいと言えます。

また、小規模なBtoCであれば商品やサービスサイトのみが存在しておりコーポレートサイトと呼ばれるものは存在しないケースも多くあります。逆にネットビジネスでBtoCのサイトの知名度が高すぎると、コーポレートサイトの存在は世間にはほとんど知られていないといったケースもあります。

BtoBはマーケティングオートメーションやSFAの広がりで、資料のダウンロードなどでリード(見込み客)を獲得する、営業へホットリードを渡す、といったやり方が定着してきました。そのためコーポレートサイトでの成果を定めやすくなりました。その一方で代理店ビジネスなどを実施しているケースではコーポレートサイト内で積極的な販促活動は求められません。

またインフラ業界など取引規模が大きすぎたり、昔ながらの商習慣が根強い業界では、やはりWebサイトで商品やサービスの積極的な販促をすることはかえって敬遠されるケースがあります。

このように実際のビジネスの性格、企業を取り巻く状況により取組み方は大きく異なります。そのため会社の状況をよく考慮して、コーポレートサイトの目標を定めることが求められます。

成果を追うための考え方

この章では、上で解説したコーポレートサイトの目標をどう具体化していくかについて考えてみましょう。

一般的にはコーポレートサイトの目標設定には次の3つに分けるフレームワークがあります。

  1. マネジメントレベル
  2. プロジェクトレベル
  3. コンポーネントレベル

マネジメントレベルで確定した情報をWebで表現する

上から下に向かい、ユーザーに対して近くなっていきますが、コーポレートサイトの場合は「マネジメントレベル」の検討や調整が重要です。マネジメントレベルとは事業の方向性などを含んだ上流の範囲ですが、コーポレートサイトはここと密接な関りを持ちます。一般的に経営層が事業戦略まで決めたとしてもWebサイト上での表現までは関わりません。そのため事業の方向性を理解したうえで、Webサイトやデジタルマーケティングの担当者が企画を立て、どう発信していくかの提案を用意する必要があります。

またスタートアップ企業などを除き、経営層がデジタルに精通しているとは限りません。そのためWeb上でどう表現すれば良いのか不明、もっとストレートな言い方をすればWebにはまるで興味がないというのが実態です。

そのためマネジメントレベルでWeb上の情報発信の優先づけを組み立てて調整することが、コーポレートサイトの取組みの第一歩ともいえます。

プロジェクトレベルは各部門間での緊密な連携が必要

次いでプロジェクトレベルですが、コーポレートサイトのカテゴリに合わせるとIRや採用、広報といったカテゴリにあたります。通常は担当部門が分かれていますので、このレベルでもそれぞれに対して調整が多く発生します。コーポレートサイトのコンテンツの多くが担当部門でないと作れませんので、ここでの調整も非常に重要になります。成功するコーポレートサイトの運用では、これら他部門との連携にかかっていると言っても過言ではなく同一の目標に対して一緒に取り組むことが重要になります。

コンポーネントレベルで事業を推進

コンポーネントレベルが、実際のWebサイト上のコンテンツやUIといったものになります。ここでは定めた目標に対して最大限の成果があげられるようにWebサイトを設計したり、マーケティング施策を考えていく必要があります。この領域はデジタルマーケティング担当者に一任されることが多いためしっかりと対応する必要があります。

これらを実行するために予算の確保も必要になってきますので、そのためにも上位レベルでの調整は重要な役割を担います。

具体的な戦略の組み立て方

ここまで解説してきたのは主に、「社内に向けての取組み」です。繰り返しになりますがコーポレートサイトはここが非常に重要になります。

一方で通常のマーケティングと同じく、ユーザーのことをよく理解することも大切です。実際に自分が携わるコーポレートサイトがどういった使われ方をされているのか。アクセス解析のデータをもちいて分析をするようにしましょう。カテゴリごとに部署が分かれているために、ユーザーもその単位でしか動いていないようにも思いがちです。しかし実際には、各カテゴリを横断してユーザーは閲覧しているケースは多々あります。あるいはサービスサイトが別にある場合も、その利用中にコーポレートサイトへアクセスしているということが目立つでしょう。これは初めてその企業の商品やサービスを検討する場合に、どういった企業かというのをよく調べておきたいという心理の表われでしょう。

そのためアクセス解析もサイト単位だけでなく、サービスサイトとコーポレートサイトを横断してデータが取得できるようにしておくことも必要となります。

「売上に近いサービスサイトは経営層も注目しているがコーポレートサイトの方はまったく関心がない」という場合でも、こうしたユーザー行動が多いという場合には、それを説明して強化の道筋をつけていくようにしましょう。

これ以外にも、Webサイトのランキング入りをKPIに加えるということもできます。最初の方でIRサイトの利用ではそこに掲載されている情報にしか興味を示されないと書きましたが、内容の充実とともに使い勝手も良いに越したことはありません。そうすることで企業のブランドイメージも高まっていきます。IRサイトは毎年ランキングが発表されていますから、ここでの上位入りを目指すというのもありです。

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コーポレートサイトの戦略はなかなか決めづらいと思いますので、まずはしっかりとKPIツリーを作成してみましょう。どういったKPIが考えられるのかを出してみて、それをツリー上に組み立てていくことで情報の整理ができていきます。

もちろんこれを作る前提には、前項で紹介したマネジメントレベル、プロジェクトレベルの各種レイヤーでの意向が反映される形になります。

まとめ

コーポレートサイトはなかなかな目標が立てづらいものですが、企業の大きな看板になっていることには間違いありません。インターネットが広く普及した現在では、企業とユーザーの直接接点の場です。そのためコーポレートサイトを上手に活用していくことで、ビジネス的にも大きなメリットに繋がります。

しかし、その一方で目標設定がなされていないと成果が見えずに、企業として、経営としても力を入れることはできません。コーポレートサイトを上手にビジネスで活用させていくために、ここで紹介したような目標の明確化と整理、そして三つのレベルにおける調整に取り組んでいきましょう。

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