変数について
Adobe Analyticsのポイントの一つに変数があります。この変数について簡単にご紹介します。
Adobe Analyticsの大きなメリット「変数」
Adobe Analyticsの高い拡張性の柱となるのが、豊富に設定できる変数です。
Googleアナリティクスでは変数の上限が決められており足枷になる時もありますが、Adobe Analyticsはそのようなことはありません。
この設定できる変数は、大きく次の3種類があります。
- event
- eVar
- Prop
「event」は目標に対する変数です。
BtoBサイトであれば資料ダウンロードやセミナー申込み、ECサイトであれば購入がこれに設定されます。
event はイメージしやすく、言葉としても馴染みやすいはずです。
eVarとProp
一方迷うのが、eVar、Propの2つの変数です。
例えば、旅行会社のサイトで「ツアーの検索画面を改善するのに、都道府県選択のプルダウンメニューがどのくらい使われているか見たい」という場合、ページ遷移することなくユーザーアクションを計測するためにこの変数を使います。
2つの大きな違いとして、eVarには有効期限の概念があります。
そのため、アトリビューション分析や顧客属性を一定期間保持したデータを見るといった、いわばCookieのような使い方を必要とする場合にeVarを使います。
「一定期間保持したデータを活用するかどうか」が、eVarとPropを選択する際の一つの分かれ目になると言えるでしょう。
実際には、マーケッターがeVar、Propのどちらを使うのかという事までを指定する機会は、まずないと言えるでしょう。
Adobe Analyticsを導入している多くの場合、コンサルタントが要望を聞きながらこれらの変数の設定を行ってくれるでしょう。
なお使用可能な数はeVarよりもPropの方が遥かに多いため、Propで事足りる場合には、eVarを敢えて設定する必要はないでしょう。
担当者が実際の業務で対応するのはそれぞれの機能ではなく、変数の空きがあるかや、どういったものを設定しているかのドキュメント更新、また変数を使う事でコール数が増え予算もかかってきますので、その管理といったものになってくるでしょう。
特徴的な用語
Adobe Analyticには、Googleアナリティクスでは一般的ではない用語も数多く出てきます。
知らなかったら迷ってしまい、それに悩んだり調べるのに時間がかかってしまうケースがよくあります。
インスタンス
私にとっては、「インスタンス」という言葉がまさにそうでした。
インスタンスとは、発生回数を意味します。
つまりセットされている変数がリクエストされるたびにカウントされる値です。
ページレポートでページビューとインスタンスを比較した場合、多くの場合は近しい値になっているはずです。
差が開いて出てくるのは、アクション毎に細かく変数を設定している場合や、期限を設けた変数設定をしているケースなどです。
なお訪問数もページビューと同じく、インスタンスと近しい値が出るのが一般的です。
PV-訪問数-インスタンスと似たような値が出てきて混乱するかもしれませんが、サイト全体のページ分析など一般的なアクセス解析を行う場合は、まずはPVと訪問数を使っておけば間違いないはずです。
自身が担当しているサイトでどういった変数が設定されているかをある程度把握してから、インスタンスの数値を気にするという流れが良いでしょう。
ただし、例えば特定ページのクリックに変数が設定されている場合、その回数を把握するレポートではPVや訪問数ではなくインスタンスが指標となります。
変数を設定しているレポートでは最初から使う指標になるわけです。
サイトセクション
「サイトセクション」は、サイト内の各ページをカテゴリに分類するために使います。
例えば、こんな形です。
- トップ(1ページ)
- 製品(各製品トップ、詳細など)
- 企業情報(会社概要、代表ご挨拶、沿革など)
- 資料請求(入力フォーム、確認、受付完了など)
小規模サイトであれば各ページごとに分析できるかもしれませんが、大規模サイトの場合は「どのカテゴリが多く見られているのか」など瞬時に把握しづらいものです。サイトセクションを利用する事でひと目で状態を把握することが可能になるため非常に便利になります。
また、動的ページが多いサイトにも有効です。
このサイトセクションは「s.chanel」という変数名で取得できます。なおs.chanelと良く似たものに、ページ情報を取得する「s.pageName」という変数名も存在します。関連情報として、これについても見ていきましょう。
まずAdobe Analyticのページ情報の取得方法ですが、次の2つがあります。
- ページタイトル、URLなどから自動で取得する。
- 任意でページの名前を付けていく。
前者の自動でページ情報を取得していく方が運用は楽です。しかし、ページ遷移があってもページタイトルやURLが変わらないといった構成の場合もあるでしょう。その代表として資料請求ページがあります。
「入力フォーム→確認→受付完了」
は実際にはページが遷移しているにも関わらず、ページタイトルは変わらない事も多いため自動取得ですと同じ名前でカウントされることになります。
それを解消する手段として、s.pageNameで任意のページ名を付ける機能が役に立ちます。
このs.pageNameの上位概念が、s.chanelになります。
複数のs.pageName情報をs.chanelで一つの固まりにしてカウントしていく事で、効率的なデータ分析ができるようになります。
個別のページはs.pageNameで、カテゴリ別はs.chanelでまとめて確認と理解しておくと良いでしょう。
s.chanelを使ったサイトセクションのデータは、必ずしも全ページに設定しておく必要はありません。資料請求などで主要経由コンテンツの分析にのみ使う場合には、そこにだけ設定しておくことが可能です。
ここだけを見てもAdobe Analytic導入の際には「どういった分析がしたいのかを事前に決めておくことが重要」と言えるでしょう。
アロケーションとパーティシペーション
成果に対する貢献度を見る「アロケーション」と「パーティシペーション」も聞き慣れない用語です。
コンバージョン発生までに経由したページに対して、どういった形で貢献度を割り振っていくかという方法がこの2つで異なります。
アロケーションは、経由したページに対して均等に値を割り振っていきます。5ページ経由した場合は、それぞれのページに対して均等に0.2ずつの貢献度が付与されます。10ページ経由した場合は、0.1ずつの貢献度が割り振られていきます。
一方のパーティシペーションは、それぞれのページに貢献度「1」が割り振られていきます。経由が5ページでも10ページでも、各ページの貢献度は1ずつ付与されます。
このパーティシペーションについては、足しこんでいくととんでもなく巨大な値になってしまいます。私も以前これにハマり大変悩んだものです。
トラッキングコード
Googleアナリティクスで計測を行う際、サイト内に埋め込む計測コードをトラッキングコードと呼びます。
Adobe Analyticにも「トラッキングコード」と呼ばれるものがありますが、こちらはGoogleアナリティクスとは違うものを指します。ややこしい。
リンクをクリックしてからのページ間の移動が分かるようになるURLの後ろに付けるパラメータをAdobe Analyticではトラッキングコードと呼んでいます。
Googleアナリティクスで[utm_**********]といった形で付けられる「カスタム パラメータ」をイメージすると分かりやすいでしょう。
Adobe Analyticのこのトラッキングコードの記述については、会社ごとでルールが定められているはずです。サイトのリンク計測には欠かせない機能ですので、事前によく社内のルールチェックをするようにしましょう。
Googleアナリティクスか?Adobe Analyticsか?
Google Analyticsは、トラッキングコードを設定すればある程度のデータを取得して分析できるので便利です。しかし、両者を比べることはあまりないかもしれません。
なぜなら本格的かつ戦略的にサイトを分析する場合には、やはりAdobe Analyticsに一日の長があると言えるでしょう(現段階において)。
Googleアナリティクスに機能面で敵わない点もあります。 それが、検索キーワードのデータ取得です。GoogleそしてYahoo!もSSL化が完了して、ほとんどの自然検索キーワードが取得できなくなっています。
GoogleアナリティクスそのものではSSL化した検索ワードは取得できませんが、Search Consoleのデータと連携させてレポート内で期間限定、Googleのみですが自然検索ワードの反映が可能です。
一方のAdobe Analyticは、このSearch Consoleとの連携はできません。
アクセス解析をAdobe Analyticで行う際は、検索エンジンのデータについては直接の連携なしでSearch Consoleとの併用で補うことになります。
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