最低限おさえておきたいインターネット広告の基本用語!
主に欧米諸国から普及してきたインターネット広告やデジタルマーケティングの世界では、横文字が日常的に飛び交います。読者の中にはよくわからない用語に出くわした方もいるではないでしょうか。この記事ではインターネット広告における基本的な用語をまとめました。意味や計算方法がすぐに浮かんでくることで、代理店や関係者とのやり取りがスムーズになりますので一度ご一読いただければ幸いです。
基本中の基本のインターネット広告用語
まずは基本的な用語からご紹介します。頻繁に出てくる馴染みあるものですが、実はその中身まで正確に理解している人は少ないかもしれません。確認していきましょう。
インプレッション(IMP)
広告が実際に表示された数。IMPRESSIONの略で「IMP」と記載、「インプレッション」を省略して「インプ」と呼ぶこともあります。メディアサイトなどで、広告掲載がおこなわれるページのページビュー(PV)をこれとみなすことがありますが、インプレッションは実際に広告が表示された回数です。PVがカウントされても配信条件や読み込みがされないなど環境条件により、広告は表示されていないケースがあります。そのためIMPはPVより少なくなるのが普通です。
クリック数(CT)
広告を押した数で、単に「クリック」とも呼ばれます。現在はスマートフォンからのアクセスが多いので「広告がタップされた」という言い回しをする機会も多いですが、広告運用では今なおクリック数と言ったり「Click」記載されます。Click Throughtをもとに「CT(シーティー)」とされることもあります。
クリック率(CTR)
広告が押された割合です。Click Through Rateなので、略語として「CTR」を使います。計算式は、次のようになります。
クリック数(CT)÷インプレッション(IMP)=クリック率(CTR)
例) 広告が1000回表示され、クリックされた数は100回。下記の計算方法により、CTRは10%。
100(CT)÷1000(IMP)=10%(CTR)
クリック単価(CPC)
一回のクリックに対する、平均金額。平均単価なので「平均クリック単価」というのが正しいですが、実際には「クリック単価」、あるいはCost Per Clickから「CPC(シーピーシー)」と記載したり、呼ばれる機会が多い用語です。
広告の費用(COST)÷クリック数(CT)=クリック単価(CPC)
例) クリックされた数は100回で、広告金額として5000円がかかった。下記の計算方法により、CPCは50円。
5000(コスト)÷100(CT)=50円(CPC)
費用(COST)
広告にかかった費用を指しますが、呼び方としてはいろいろです。
単に費用やコスト、あるいは総費用(総コスト)と呼んだり、広告費(予算)と呼ぶこともあります。またアカウント全体で使った費用を指す場合、あるいはキャンペーン単位での費用を指す場合といったように、範囲も異なります。「クリック数(CT)×クリック単価(CPC)」で算出できます。
コンバージョン(CV)
成果の数。物販のECサイトでは商品が売れた数、BtoBサイトでは資料請求や問い合わせがされた数といったふうに、目的により意味するものが変わります。ネット広告で使う場合には、広告を経由して発生した数をカウントします。
Conversionsから「CV(シーブイ)」と略されることが多いですが、稀に「CVs」とも記載されます。これは複数形の「s」を付けた形です。
コンバージョン率(CVR)
クリック数に対して、コンバージョンが発生した割合。つまり成果の発生率です。Conversion Rateなので、略語は「CVR(シーブイアール)」です。計算式は、下記になります。
コンバージョン(CV)÷クリック(CT)=コンバージョン率(CVR)
例)
1000回のクリックにより、10件の申込みがあった。この場合のコンバージョン率は1%。
10(CV)÷1000(CT)=1%(CVR)
獲得単価(CPA)
一つのコンバージョンを獲得したのに対して、かかった費用です。CPA(シーピーエー)は、Cost Per Action もしくは Cost Per Acquisition の英語の略称です。計算式では、次のように求めます。
広告の総費用(コスト)÷コンバージョン(CV)=獲得単価(CPA)
例)
10万円をかけた広告で、100件の資料請求があった。この場合のCPAは1000円。
100000(コスト)÷100(CV)=1000円(CPA)
実務として注意が必要なのは、この場合のCPA1000円とは、広告に対しての費用対効果となることです。
たとえば日用品などのECサイトでは広告からの購入が即成果ですが、BtoBでは実際の申込みと広告上の成果がイコールではありません。上の例では、1件のコンバージョンに対して広告上のCPAは1000円です。しかし実際に商談まで進むのは100件の資料請求のうち50件、そこから契約となったのは20件だったとすると、最終的な成果に対する獲得単価は5,000円になります。
このように広告におけるCPAはあくまでも広告に対する獲得単価、ビジネス上での獲得は別というのを忘れないようにしましょう。なおこうした費用対効果の算出は企業により異なり、中には利益に対する算出をしているケースもあります。
また、CPAは「新規顧客の獲得単価」と定義されているケースもありますが、単純に広告の効果測定をするだけでは新規申し込みか既存かはわかりません。実際にそこまで追っているケースは多くありませんが、顧客データなどとデータを統合してより正確な広告価値を算出することも可能です。
獲得単価(CPO)
先ほどのCPAと似た場面で使われるのが、「CPO(シーピーオー)」です。CPOはCost Per Orderの略です。
ActionもしくはAcquisitionは何らかのコンバージョン、Orderは注文を意味します。言葉の通り、コストに対する対象が違います。CPAでは会員登録や資料請求なども対象ですが、CPOは注文のみが対象です。
ただし実際の広告運用のやり取りでは、CPOと言ったりCPAと言ったりがかなり曖昧です。もしかすると代理店などの専門業者はきちんと定義を踏まえて使っているのかもしれませんが、広告のオーナーとしては「1コンバージョンにかかった費用」ということだけでほぼ捉えています。CPAやCPOという用語にこだわることは、生産性の向上に繋がるものではありません。近しい意味の用語にこだわっても仕方ありませんので、あくまでも本筋である適切なCPA(CPO)を考えるように心掛けるのが良いでしょう。
知っておいて損はないインターネット広告用語
ここまではかなり基本的な用語でしたが、少し意味を考えないといけない用語も多く存在します。ここでは比較的よく出てくる3つを紹介しましょう。
インプレッションシェア(IS)
広告表示が可能だった数に対して、実際に広告が表示された割合です。
インプレッション(IMP)÷広告表示が可能だった数=インプレッションシェア(IS)
例)
広告表示が10,000回可能だったWebページで、実際にインプレッションが発生したのは8,000回だった。この場合のインプレッションシェアは80%。
8000(IMP)÷10000(広告表示が可能だった数)=80%(IS)
インプレッションシェアは、母数となる広告表示が可能だった数の把握が、出稿者側ではまずできません。枠を完全に押さえた純広告を出稿する場合は、過去のPV数平均などからある程度算出はできますが、リスティング広告のような検索結果ページ、あるいはリマーケティングで配信対象を絞ったり広めたりといったことをする場合、広告表示が可能だった数を推察するのは困難です。インプレッションはリスティング広告の管理画面に数値が表示されますので、これを正のインプレッションシェアとして捉えるのが一般的です。
なおインプレッションシェアは予算も関係してきますので、100%になることを追うのは現実として難しいものです。一つの指標として捉えるようにしましょう。
インプレッション単価(CPM)
リスティング広告はクリックされた時に課金される、というのが一般的ですが、他の課金方式も存在します。インプレッションに関係するものだと、インプレッション単価(CPM)があります。
インプレッション単価は1表示に対していくらではなく、広告表示1,000回に対する料金です。CPM(シーピーエム)がCost Per Milleの略とわかっていれば、覚えやすいでしょう。Milleは1,000を意味します。CPMの計算式は、次のようになります。
広告表示に掛かったコスト÷広告表示(IMP)×1000=インプレッション単価(CPM)
例)
IMPが100万回された広告にかかった費用は、10万円だった。この場合のCPMは100円になる。
100000(広告表示にかかったコスト)÷1000000(IMP)×1000=100円(CPM)
購入や資料請求など、直接的な成果の獲得を目的として出稿したリスティング広告で、CPMを使うケースは多くありません。ただFacebook広告、さらに認知度アップを目的にしたDSP広告では主となる課金方式なので、覚えておくべき用語です。
ROAS
ROASの読みは「ロアス(ロアース)」とされます。Return on Advertising Spendの略で、意味は「広告費用に対してどれだけの売上があがったか」です。CPAは1コンバージョンに対する獲得費用、対してこのROASは広告費用の回収率や貢献度となる指標です。率ですからパーセンテージで表します。計算式で見ていきましょう。
売上÷広告の総費用(コスト)×100(%)=ROAS
例)
広告費用を10万円かけたところ、40万円の売上となった。この場合のROASは400%となる。
400000(売上)÷100000(コスト)×100(%)=400%(ROAS)
計算式の例で売上が50万円になれば500%、60万円になれば600%ですから、ROASが高くなれば広告の費用対効果が高いと評価できます。なおこの例で申込みが50件あったのだとすると、CPAは広告費用10万円を50で割り2000円となります。仮に購入や申込みごとで金額が大きく異なるような場合は、数に対するCPAでの評価はそれほど役に立ちません。こうした場合はROASの方が向いているといえます。
まとめ
最後に紹介したROASはCPAの他に、ROIとも使い分けを迷う指標です。投下資本利益率(投資利益率)のROIは、ネット広告というよりもマーケティングやビジネスという、もっと大きな枠組みで出てきます。そのためこの記事では解説項目としては設けませんでしたが、きちんと理解することでビジネス全体を見通しての評価が可能になります。なお広告でのROIを出す場合の計算式は「(広告経由の)利益÷広告費用×100(%)」なので、利益までの把握をきちんとできるようにする必要があります。このように広くビジネスを見通す目も養っていくと良いでしょう。
今回紹介をした用語は、日常的な運用で普通に飛び交います。意味の把握はほとんどできていると思いますが、「CPA」と言われた時に正しくその価値を評価できるか、あるいは計算式を頭に浮かべてCPCなどを含めてシミュレーションをできることが大切になります。