ディスプレイ広告のターゲティング活用について、その種類や活用ポイントを解説
ディスプレイ広告というと皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?多くの方々が、「ディスプレイ広告≒認知」、「リスティング広告(検索連動型広告)≒獲得」という認識が強い傾向にありますが、必ずしもそうではありません。中には検索連動型よりも費用対効果をよくすることができたり、ディスプレイ広告で獲得を稼いだりすることも可能です。
そのために知っておきたいのがディスプレイ広告のターゲティングです。この記事ではGoogleのディスプレイ広告(GDN)のターゲティングに焦点をあて、ターゲティングについて解説をしていきます。
ターゲティングの2つの種類
大きくターゲティングには、「コンテンツ」と「オーディエンス」の2つの種類があります。それぞれについてご紹介していきます。
コンテンツ(枠)
コンテンツ(枠)に対するターゲティングです。これは指定したコンテンツの枠に対して、ディスプレイ広告を掲載するターゲティングを指します。Google広告の管理画面から、新しいキャンペーンをディスプレイ広告として作成する際に、「標準のディスプレイ キャンペーン」を選択して続行します。すると「コンテンツターゲット」というテキストリンクが表示されます。ここをクリックすると出てくる三つが、GDNのコンテンツターゲットの種類です。
キーワード
キーワードは、指定したキーワードに対して関連する内容が掲載されたWebコンテンツの枠に、広告を掲載するための設定です。キーワードにもとづいて広告を配信するという意味では、リスティング広告(検索連動型広告)に近い考え方です。そのためリスティング広告と一緒にキーワードを考えると、効率よく設定ができるでしょう。
ただしリスティング広告と違いGDNでは、キーワードごとの入札単価といったものはありません。
トピック
設定するためには、広告を掲載するWebページのテーマ(これをトピックと呼びます)を選びます。トピックはあらかじめ「アート、エンターテインメント」「インターネット、通信」「コンピュータ、電化製品」といった具合に、分類されています。それぞれのトピックに対して、さらに細かな分類がされています。「アート、エンターテインメント」の中には「イベント情報」「エンターテインメント業」「オンラインメディア」などが存在します。この分類は数千二およぶとも言われています。
プレースメント
プレースメントはあらかじめWebサイトやスマホアプリ、YouTubeの中から広告掲載したいものを指定します。Webページの場合は具体的なURLを指定するやり方です。決め打ちをしている形なので成果が高いところを狙える半面、競争相手が多いサイトだと広告が出にくい、といったデメリットがあります。
オーディエンス(人)
コンテンツや枠という面に対してではなく、人に対してのターゲティングも可能です。掲載面のコンテンツの内容にかかわらず、広告表示がなされます。GDNに限らずではありますが、最近の広告配信は人それぞれに合わせてターゲティングすることが何年も前からのトレンドです。ちなみにオーデエンス(人)に対するGDNの設定方法は、コンテンツよりも豊富に用意されています。
アフィニティカテゴリ
ユーザーが高い関心を示しているトピックに対してターゲット設定をおこない、広告掲載をするやり方です。たとえばシェイプアップに関心を持っていると考えた場合、「スポーツ、フィットネス」といったカテゴリを選択します。さらに細分化した形で「健康、フィットネスマニア」のみにチェックをつけるのもいいでしょう。
アフィニティカテゴリはあらかじめGoogleが数千のカテゴリを用意していますので、そこから選択する形です。また関心がある、という設定のためにオーディエンス向けのターゲティングでは、もっとも潜在層と考えられる方向けのターゲティング方法になっています。つまり、この場合には直接コンバージョンを獲得できる確率は低いため認知寄りの広告配信になります。
購買意向の強いユーザー
高い関心を示し、かつ購入意欲もあるオーディエンスへ対するターゲティングです。購入意欲もあるため、アフィニティカテゴリよりもコンバージョンに近いターゲットに向けた広告配信となります。こちらもGoogleにより、あらかじめカテゴリが分けられているのを選択する形です。
カスタム オーディエンス
カスタムの名前の通り、自分たちでオーディエンスのリストを作成します。もともとはカスタムインテント、カスタムアフィニティといった呼び方のものでしたが、現在は目標とキーワードにより自動でユーザーのリストが生成されるようになっています。
リマーケティング
コンバージョンを獲得するという意味では、ディスプレイ広告の中でもっとも効果が高いものです。
簡単な仕組みは、以前に自社のWebサイトを訪れたユーザーに対して広告を配信するというものです。「過去に訪問している=すでに関心を持っているはず」のユーザーに再アプローチをするという意味で効果的です。
ただし資料請求など一度コンバージョンをしたユーザーに対して、広告で再訪を促すのは必要がないといったケースが往々にしてあります(資料請求をしたユーザーはリードとなり、広告ではなくメールマーケティングなどでナーチャリングしているため)。そのため多くみられるのは、資料請求の申込み画面が表示されたユーザーは対象外にするなどの細かい設定をすると良いでしょう。あるいはGoogleアナリティクスと連携させることで、「滞在時間が○○分以上」など、細かな条件を加えることも可能です。
類似ユーザー
多くの広告の目的は、「新規集客」です。リマーケティングは取り込めていないユーザーに再アプローチをするといった点では優れていますが、まったくの新規ユーザーを集めるといったものではありません。類似ユーザーという方法は、リマーケティングリストにあるユーザーと同種の特徴を持ったユーザーのリストです。そのため新規でありながら、関心を示す可能性が高いユーザーにアプローチすることが可能です。デメリットとしては、リマーケティングリストが少ないと生成されません。そのためもともとの集客が少ないサイトの場合には利用不可です。またリマーケティングリストはあっても滞在時間が極めて短い、直帰がほとんどでコンバージョンになっていないという質の低いリストだと、類似ユーザーのリストもそれと同様、質の低いものになってしまいます。類似ユーザーですから、もとのリマーケティングリストに質は依存するというわけです。
この類似ユーザーリストはGoogleの機械学習機能を使い、ほぼリアルタイムに更新されます。
ユーザー属性
もっとも基本的な、ユーザー属性にもとづくターゲット設定も可能です。ディスプレイ広告では「年齢」「性別」「世帯年収」「子供の有無」といった属性が利用可能です。
ただしGoogle広告が、アクセスをしている人の属性をすべて取得しているわけではありません。Googleアカウントへログインしているユーザー、そうでない場合は行動履歴などにもとづく推計で出しています。Googleの推計精度は非常に高いので信頼できますが、一定数の「不明」という属性も出てきます。より確実に絞り込みをおこないたい場合には、「不明」カテゴリを除外するといった運用上のカバーが必要です。
その他、引っ越しなど人生の節目を迎えているユーザーの分類がされた「ライフイベント」、CRMデータを使った「カスタマー マッチ」といったターゲティングも利用可能です。
ターゲティングの活用術
実際にターゲティングを上手に活用するためのポイントは、次の二つです。
- ターゲットを絞り込みすぎて、配信対象を少なくしすぎない。(逆に広げすぎない)
- ターゲティングを掛け合わせるのも有効。オーディエンスとコンテンツといったかけ合わせも検討する。
広告予算が非常に限られている場合には、ターゲティングを非常に細かく設定するといったケースがあります。これは重要な取り組みではありますが、配信対象がほとんどないといったことも起こり得ます。ターゲット設定をおこなう際にはインプレッションの目安が表示されますので、どれくらいのボリュームになるかをあらかじめチェックすることが大切と言えます。
また前章で紹介したターゲット設定のほとんどは、かけ合わせる(組み合わせる)ことが可能です。ユーザー属性とアフィニティカテゴリ、といった具合です。オーディエンスとコンテンツの設定を組み合わせることもできます。この場合も掲載ボリュームがどれくらいになるかを確認して、実際の設定を進めるようにしましょう。
まとめ
一般的なディスプレイ広告の多くは認知拡大を目指すものが多いものです。その理由は関連したコンテンツの枠に掲載される、あるいはユーザーの動きを完全には追えないため、潜在層にしかアプローチできないからです。今回紹介したGoogle広告のGDNは、アフィニティカテゴリなどで潜在層への配信とともに、リマーケティングリストを使い顕在層に配信できるため、コンバージョン獲得がしやすい広告といえます。
なおYahoo!広告のディスプレイ広告メニュー、YDNにも同様のターゲティング(Yahoo!広告の場合はリターゲティングという名称)が用意されていますので、こちらもコンバージョンの獲得率が高いディスプレイ広告といえます。その他でコンバージョン獲得の効果が高いディスプレイ広告としてCriteo(クリティオ)、Logicad(ロジカド)などいくつかありますが、予算が限られている場合、あるいは始めたばかりで徐々にプロモーションを広げていきたいといった時には、Google広告とYahoo!広告(あるいはそのどちらか)から始めるのがいいでしょう。もしディスプレイ広告の運用を任せたい場合には弊社ローカルフォリオにご相談ください。