【実践】データを見やすく快適に加工するもっとも身近なツールGoogle Data Studio(Googleデータスタジオ)
Google Data Studio(Google データスタジオ)をご存知でしょうか?
Google Data Studio(データスタジオ)は、Googleが提供するカスタムレポートやダッシュボードを手軽に作成するためのツールです。今回は、このGoogleデータスタジオの概要や私たちにとってどう使えるのかをご紹介します。また、その使い方や初期セットアップについてもあわせて解説していきます。
Googleデータスタジオ概要と理解を深めるポイント
イメージを掴んでいただくには作成した画面を見た方が良いので、Googleデータスタジオのサンプル画面を最初にご紹介します。
ご覧いただいたものはGoogleが提供しているサンプルテンプレートです。非常にビジュアルでわかりやすくデータを表現できていますよね。しかもクールです。
では、Googleデータスタジオが実際のビジネスでどう使えるのかを解説していきましょう。
Googleデータスタジオはデータビジュアライゼーションツール
他のサイトや雑誌では、BIツールとしてデータスタジオを取り上げているケースを多く目にします。
ただ他のBIツールと比較したり実際に利用していると、データスタジオは「データビジュアライゼーションツール」とした方が良さそうです。データビジュアライゼーションツールとは、文字通りデータを見やすくわかりやすい形に加工して伝えるためのツールです。
これまでもExcelでデータを作り、それをPowerpointに持ってきてレポートを作成するということはおこなわれていました。
ただしこれには、次のようなデメリットがありました。
- ExcelとPowerpoint、二つのアプリケーションを使用しないといけない。
- 大量のデータ加工には時間がかかる。
- データ量によっては加工そのものが難しい。
- レポートの見せ方が作り手の技術やセンスに大きく依存する。
- 時間がかかる。
多くのデメリットがあるのがわかります。
ビックデータがあたりまえになってきた現在は、この方法で大量のデータを扱うことが物理的に困難にもなっています。
データスタジオはビックデータ時代の申し子ともいえるツールなので、こうした手間と時間がかかる処理を一瞬にしておこなってくれます。Excelでグラフを作る時に感じる手間ややりにくさも大幅に軽減されます。
BIツールとは違うのか
データビジュアライゼーションツールがBIツールとどう違うのか。これについても押さえておきましょう。
BIツールは、多くの場合次のような特徴を持つものとされます。
- 意思決定をするためのデータを分析する
- さまざまなデータを統合して分析ができるようにする。
- データを見やすく、わかりやすいようにビジュアル化する。
データビジュアライゼーションツールとまったく違う機能を持っている訳ではありません。
ただしデータビジュアライゼーションツールが3のビジュアライズを主としているのに対し、BIツールは1の意思決定のための分析がメインです。2のデータ統合はビジュアライゼーションツールでもやり方によっては可能です。つまりデータビジュアライゼーションツールもBIツールも多くの部分は重なっている、しかし優先機能が違うと考えるわかりやすいかもしれません。
つまりBIツールの目的は「分析→ビジュアル表現」であるのに対して、データビジュアライゼーションツールは「ビジュアル表現→分析」という優先づけになっていると考えると分かりやすいはずです。
実際に有名なBIツールのいくつかとデータスタジオを比べてみて「データスタジオで作ったレポートの方が見やすい」と答える人は多くいます。
現在主流となっているBIツールの多くがアナリスト向けのものです。そのため深い分析をおこなう機能は優れているものの、ビジュアライズはそこまで一般受けするものではない、といったケースがあります。これは運用にエンジニアを必要とするオープンソース系のBIツールも同じ傾向です。
見た目のところなので好き嫌いもあり一概にはいえませんが、一般社員や分析を専門にしないポジションの人たちにとっては、データスタジオで作ったレポートの方が見やすいといった評価もよく耳にします。
一般的な活用方法
実際にデータスタジオがどういった使われ方をしているかについて、紹介しましょう。
- ディリーの日報、全社的な情報共有/ダッシュボード
- 小規模な事業での分析レポート作成
- Googleのマーケティングツールを利用した活動の分析
大規模ビジネスにおけるGoogleデータスタジオの位置付け
大規模なビジネスではデータスタジオと他のBIツールを併用して、1の日報やデータ共有をGoogleデータスタジオで担うというケースが目立ちます。つまりデータスタジオを使ってわかりやすいレポートを全体に共有、経営やマーケティング戦略に関わる深いデータ分析をBIツールで進めていく形です。
前項でふれたようにデータビジュアライゼーションツールとBIツール、それぞれの得意分野を生かした使い分けをしているのです。
小規模ビジネスや特定用途ではGoogleデータスタジオでカバー
小規模なビジネスでは専門のアナリストがいたり、分析にそれほど多くの時間を割くということが難しくなってきます。データの種類や量もずっと少なくなるケースが多いでしょう。そのため日々のレポートにプラスアルファの分析を加え、経営の方向性やマーケティング戦略を決めていくことになります。そのためBIツールを導入せず、データスタジオだけで分析も兼ねた業務をおこなっていきます。
実際にリードプラスでも案件によっては、データスタジオのみで分析をおこない企画や戦略を立てていくケースが多くあります。処理自体は素早くできますので、スピードも要求されるスモールビジネスでは非常に有効です。
マーケティング担当者は一度は確認する価値あり
3のGoogleのマーケティングツールというのは、具体的にはGoogleアナリティクスのデータを指します。小規模、かつオンライン上のビジネスではアクセス解析のデータを活用するだけでもかなりのことがわかります。
Googleアナリティクスはビジュアル面に難ありで、Web以外の部門や経営層にそのまま見せると敬遠されることが少なくありません。その一方でデータをエクスポートしてExcelで加工後にPowerPointに貼り付けたりといった作業は非常に面倒です。そのためデータスタジオを使って説明用に見やすく加工するのです。
また自分だけで企画を練る時もGoogleアナリティクスでは見にくいので、データスタジオにGoogleアナリティクスのデータを連携させてデータを加工する機会が増えました。ビジュアル化することで課題が明確になり企画しやすくなるのを実感しています。
Googleアナリティクス以外にも、Google広告のデータをデータスタジオにすぐ連携できます。アクセス解析はGoogleアナリティクス、集客もGoogle広告が中心というスモールビジネスは多くありますので、この二つのデータを加工することでビジネスデータのほとんどを網羅できるケースも少なくありません。
もしFacebook広告やYahoo!プロモーション広告もデータスタジオでビジュアル化したいなら、Googleスプレッドシートに必要なデータを持ってくることで連携が可能です。
こうしたGoogleのマーケティングツール(+一部他のマーケティングデータ)のみをレポート化、簡易な分析をおこなっていくというケースも目立ちます。
Googleデータスタジオの始め方:データの接続
それでは実際に、データのビジュアル化や分析をおこなうためデータスタジオにどうデータを接続すればいいかを解説していきましょう。 最初に以下のURLにアクセスしログインします。
https://datastudio.google.com/
新しいレポートを作成するには、データスタジオのホーム画面で「新しいレポートの開始」をクリックします(あらかじめ用意されたテンプレートの利用も可能です)。
「無題のレポート」という白紙のレポートが開いたら、右下の「新しいデータソースを作成」を押します。
これでデータ接続の下準備が整いました。
1.Google関連
「新しいデータソースを作成」を押すと、データスタジオでサポートされているコネクタの一覧が表示されます。
「Googleコネクタ」として、Googleのマーケティングツールのほとんどが提供されています。
Googleアナリティクス、Google広告など必要なものを選択します。
ここではGoogleアナリティクスを選んでみます。
Googleアナリティクスのアカウントが一覧で出てきますので、データを連携させたいアカウントを選び、プロパティ、ビューと進んでいきます。
ビューの選択後、右上にある「接続」、そのあとの画面で「レポートに追加」を押すことでレポートにデータが追加されます。
2. その他のデータ
その他のデータを連携させる手順も同じです。
違いは最初のコネクタの選択です。
MySQLなどのデータベース、csvをそのままアップロードするコネクタなどがあります。その中でよく使われるのが、Googleスプレッドシートです。
Googleスプレッドシート内で複数のデータを繋げたり加工することで、単なるデータのビジュアル化以上のことができます。
またパートナーコネクタというカテゴリで、Google以外のベンダーが作成したコネクタも用意されています。これまでも随時更新されていますが、データスタジオの利用が安定して伸びているので今後ますます増えていくことが期待できます。
まとめ
ビッグデータを扱うためのBIツールが急速に広がるなかで、データスタジオがどこまで普及していくのか未知数の部分がありましたが「手軽なビジュアル化」というポジションをほぼ確立したようです。
ビジネスの規模や種類に応じて意思決定の分析をおこなうBIツールとの併用、あるいはデータスタジオのみでデータ活用の推進や共有をおこなうといった使い分けがされています。
ビジネスのデータ利用は当たり前になっていますので、Googleデータスタジオは今後もますます広がりを見せていくでしょう。