メールマーケティングは今も効果的? 現状と6つの種類を解説

マーケティングチャネルの定番のひとつがEメールであることに、異論を唱える方はいないでしょう。BtoBにおいても、重要なものです。

ただし時代とともに、その効果についてよく議論となるのもメールマーケティングの特徴。この記事ではメールマーケティングの現在を確認したうえで、6つの種類を解説していきます。

メールマーケティングとメルマガは違う?

まずは、言葉の定義を明確にしておきましょう。

「メールマーケティング」と「メルマガ」です。

同じものを指しているようですが、次のように分けられているケースが多いようです。

  • メルマガ
    同じ内容のメールを、すべての人に一斉に配信する。
  • メールマーケティング
    一人ひとりに最適化したメールを配信する。

インターネットのマーケティングをずっと続けてきた人間からすれば、こうした区分をする事には違和感もあります。メールマーケティングを実行する手法の代表格がメルマガであり、それ自体が一人ひとりに合わせたメールを送るべき、という話はかなり前からあったからです。ただこうした区分けが一般化していますので、この記事でも必要に応じてその定義に従うことにします。

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メールマーケティングの現在地

メールマーケティングの現在を知るために、近年の調査データを見ていきましょう。

株式会社ラクスが運営するメルラボが2020年12月におこなった調査によると、「企業やネットショップからのお知らせの受信方法」として、Eメールがもっとも高い割合を示します。しかも2位のLINEを遥かに上回り、圧倒的な割合です。

他の項目はアプリ通知(プッシュ通知)を除くとすべてSNSの各サービスですが、Eメールとの対比で多く語られるのがこのSNSです。比較するレイヤーを合わせるならEメールとSNSにすべきですが、SNSの各サービス自体が性格を異にするものです(FacebookとLINEをまったく同じ用途で使っている方はいなでしょう)。

同サイトはこの設問を定点観測していますが、Eメールの地位がほとんど揺らがないのに比べ、SNSはサービスによりずれが大きくなります。一番わかりやすい例でいくと、同設問の2014年版にはあった「Google+」「mixi」は、項目から無くなっています。確かに2014年頃はまだGoogle+も積極的に展開していこうという意志が見えましたが、利用者は伸びず2019年にはサービス自体が終了しています。一方でInstagramは登場から爆発的な伸びを見せ、調査データ内での割合としてもFacebookとほとんど同じです。Facebookそのものは軽微ですが減少が見られ、これはSNSに関するシェアの調査ともリンクする内容といえます。つまりSNS自体は右肩上がりですが、サービス個別では不安定なのです。

Eメールには大きく及ばないとはいえ、LINEについては触れておいた方がいいでしょう。

私の認識ではLINEはよりコミュニケーション寄り、つまりEメールやチャットに近いツールです。そのためお知らせの受信方法として他のSNSから抜きん出るのは当然ですし、実際にキャンペーンのお知らせなどにも多く使われています。内容にもよりますが、SNSの中での情報発信やトラフィックに結びつく量は、爆発的なものがあります。

こうしたLINE利用の多くは、BtoCでしょう。そして商材により、実際のコンバージョンにまで結びつくかどうかも大きく違ってきます。「SNSはトラフィックは高いが、成果に結びつかない」というのは、LINEの場合には必ずしもあてはまりません。この調査データもBtoCのみ、さらに業種を絞ったクロス集計をおこなえば、かなり違った結果が出るかもしれません。

メールマーケティング

メールマガジンに関する意識調査2021(メルラボ)

SNSについては補足として、総務省の「令和2年通信利用動向調査の結果」からもデータをひとつ、紹介しておきましょう。

令和2年通信利用動向調査の結果

ソーシャルネットワーキングサービスの利用動向:個人(令和2年通信利用動向調査)

もっとも多いのは、「従来からの知人とのコミュニケーションのため」です。この用途は筆者の知る限り、SNSが広まってきた当初からそれほど変わっていないと思います。この性格上、SNSマーケティングを成功させるためには「企業ではなく個人」というスタンスでコミュニケーションを取る必要があります。しかしビジネスの形態、特にBtoBにおいてはこうしたスタンスは適さないため、親和性が低いというのがよくわかります。

今回紹介した以外にも、メールマーケティングに関する調査は数多くあります。それらも踏まえると、現在のメールマーケティングについて次のことがわかります。

  • Eメールの利用は今でも効果的。
  • ユーザーが情報を受け取る手段としては、もっともニーズが高い(ただしBtoCの一部業種などは、LINEの方が高い場合もある)。
  • 特にBtoBにおいては、eメールは有力なチャネルとなっている。

なおこの章では、おのずとSNSと比較したeメールの有効性に関する内容が多くなりました。ただし、すべてにおいてメールの効果が勝るわけではありません。

たとえばコンテンツの公開、更新といった情報提供の場合には、SNSの方が多くの場合で勝ります。わざわざメールを開くということをしなくても、SNS上で興味があるコンテンツへ出会えれば、すぐにアクセスが可能だからです。「いいね」やリツイート、シェア数により他者の評価を見て閲覧するかどうかを決めるのにも、SNSは有効です。

ただしこれらをもとに、eメールはコンバージョン、SNSはトラフィックに有効、という区分けも大雑把すぎるでしょう。両チャネルを活用するためには、適切なシナリオの作成が役に立ちます。

またコロナ禍によるリアルイベント、展示会等の減少により、オフラインでのリスト獲得の機会が激減しました。これでまでリードを多く獲得していたBtoB企業は、メールを使ったリードナーチャリングの価値を、より強く実感しています。

メールマーケティングの種類

メールマーケティングの現在地を確認し、それに力を入れる意義を感じていただけたと思います。ここからは、具体的なメールマーケティングの種類を紹介していきましょう。

メールマガジン(メルマガ)

もっとも一般的なメールマーケティング(この意味でも、1章で紹介したようにメルマガとはメールマーケティングを具体化する手法です)。

同じ内容を、すべての配信リストに向けて一斉に配信する場合がこれにあたります。定期的に発行する、といった意味合いも含みます。

ターゲティングメール(セグメントメール)

ユーザーに合わせた内容を、必要とするタイミングでメール配信することをターゲティングメールと呼びます。配信リストをセグメントすることから、セグメントメールと呼ばれることもあります。

BtoCでは居住エリアごとの情報、バースデーメールなど。BtoBでは所属する業界ごとの事例を掲載するなどにより、効果を高めることができます。

Webサイトで「このコンテンツを見た」、前回のメールで「このURLをクリックした」など、オンラインでの行動履歴をもとにした配信をおこなうケースも増えています。

リターゲティングメール

ターゲティングメール(セグメントメール)に似ていますが、よりコンバージョンに近いアクションをおこなったユーザーに対して送るメールをリターゲティングメールと呼びます。

ECサイトで代表的なのが「カゴ落ち」と呼ばれるものへの対策、つまりカートに商品を入れたものの、最終購入にいたらなかったユーザーに対して送るメールです。購入はしたものの、一部カゴから削除していた、一緒に見ていたある関連商品は購入しなかったといった場合などに、「お買い忘れはありませんか」といったメールを配信するケースが増えています。BtoBの場合だと「資料請求フォームまでいったものの申込まなかった」といったユーザーに対して、こうしたメールを配信しています。

ターゲティングメール(セグメントメール)はユーザー属性に対して、リターゲティングメールは行動に対して(前項で紹介した特定のコンテンツの閲覧等)、という分け方をしているケースもあります。

ステップメール(メールナーチャリング)

コンバージョンを目標にして、ユーザーの段階に合わせて順次メールを配信していく手法をステップメールと呼びます。BtoCのECサイトでは会員登録やメルマガ登録のみ、あるいはトライアルセットを購入したという顧客に対して、順次内容を変えたメールを送ることで、商品購入(本商品の購入)までに導いていきます。

BtoBでは資料ダウンロードをおこなった後のお礼、事例、具体的なサービス紹介といったふうに、検討段階に合わせたメールを適切なタイミングで配信していきます。

もともとBtoCのECサイトではよく見られていた手法ですが、BtoBマーケティングが普及して、リードナーチャリングとして知られるようになりました。メールを使ったナーチャリングなので、メールナーチャリングとも呼ばれます。

休眠顧客発掘メール

一定期間、購入などのアクションがないユーザーに対して送るメールを、休眠客発掘メールと呼びます。BtoBの場合は商談したものの契約にはいたらなかった、アポイントが流れたままで時間が経過しているといった場合にこうしたメールを配信します。

対象がアクティブではないため、よりお得感を出したり価値ある情報を届ける必要があります。

その他

「登録したサービスの期限が切れる」「ポイントが失効する」など、事務的なメールも顧客とのエンゲージメントを高めるのに有用です(ターゲティングメールのバリエーションともいえます)。お詫びや訂正といったネガティブな情報のメールもきちんと届けることで、ブランドの信頼性を傷つけないケースもあります。

まとめ

メールマーケティングの種類で紹介した内容は、一斉配信のメルマガを除き、すべてターゲティングメールのバリエーションなのがわかります。

環境としてこうした細かなメールを配信するためのデータ基盤、マーケティングオートメーション(MA)などが必須です。また機能面だけでなく、適した内容やタイミングを導き出すためのペルソナやシナリオも大切です。

HubSpotは機能面をトータルにカバー、またインバウンド手法としてペルソナからシナリオづくりに関する知見も豊富に揃えています。

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