【SEO】データベース型のサイトがメインの業界の傾向と対策(不動産・人材・外食など)
コンテンツマーケティングを実践する上で自然検索からの流入は誰でも力を入れたいと考えています。そのためにSEOは、必須であることは言うまでもありません。そして、このSEOですが重視されるのは良質なコンテンツです。見出しタグにもキーワードを使い、リンクはテキストを設置。レスポンシブで要素を同じにして・・・これらがSEOの教科書的な説明です。
しかし、この一般的なSEOの概念が当てはまらない業界があることをご存知ですか?
それが不動産、人材、外食などです。
これらの業界のサイトは「エリア+主要キーワード」で検索結果の一覧(リストページ)が上位に多く表示されるのが一般的です。
今回は、これらの検索状況を分析しながら、地域に根差したビジネスや実店舗を多く持つ業態がどういった手法でSEOを行うべきなのかを考えていきます。この三つの業界以外に応用できる部分もあるので、ぜひ参考にしてください。
不動産、人材、外食業界のグーグル検索結果を検証
この記事でメインに取り上げていく不動産、人材、外食について、実際にGoogleで検索したいと思います。そのうえで傾向や状態を分析していきましょう。
不動産・賃貸系
「川崎 賃貸」というキーワードで検索してみます。
検索結果には、「SUUMO」「HOME’S」「CHINTAI」「エイブル」という超大型サイトが並びます。
1番目に表示される、SUUMOのページを見てみましょう。
https://suumo.jp/chintai/kanagawa/sa_kawasaki/
川崎市の賃貸住宅に関する検索結果ページです。
ちなみに2番目もSUUMOの検索結果ページですが、こちらは川崎市の一人暮らしの賃貸物件の検索結果です。
このように不動産関係は物件の一覧ページ、つまりデータベースから出力された情報が検索結果の上位を占めるのが定番です。
しかし今回この検証を進めていくなかで、3番目以降は違う傾向が出ていました。
たとえば検索順位3番目に出た、HOME’Sのページです。
https://www.homes.co.jp/chintai/kanagawa/kawasaki/
こちらは検索結果の一覧ではなく、検索条件を選んでいくインデックスページです。この次の検索結果に表示されていたCHINTAIのページも、同じ形式のものでした。
このように不動産の検索結果は、これまでと少し違う傾向が出ているのがわかりました。
人材・求人系
それでは人材関係はどうでしょうか。
この業界も、「エリア+主要キーワード」での検索では求人の一覧ページが出てくるのが定番です。
「新宿 求人」というキーワードで検索してみました。
検索結果には「インディード」「タウンワーク」「とらばーゆ」「バイトル」など、これまた著名なサイトが並びます。
1番目のインディードは、新宿区の求人一覧ページがヒットしていました。
データベースから返されているページです。2番目以降のタウンワーク、とらばーゆといったサイトも同じく検索結果ページがヒットしました。
求人系はデータベースから返されるリストページが、今も上位を占めているのがわかります。
「地域名+求人」というキーワードだとアルバイトの情報が主だったので、「東京 正社員」という組合せでも検索してみました。
検索結果の上位を占めていたのはタウンワーク、インディード、エンジャパンなど先ほどと同じサイト、もしくは著名なサイトばかりでした。
違いがあるとすれば、検索順位の1番目だったタウンワークのページは正社員の検索結果一覧ではなく、検索を開始するインデックスページだったということです。
https://townwork.net/tokyo/shain/
このタウンワークのように、求人に関しても不動産と同じくデータベースから一覧リストを返す以外のページがヒットするようになっているのがわかります。
外食系
外食については「日本橋トンカツ」というキーワードでまずは検索してみました。
大型口コミサイト、「食べログ」のページが1番目と2番目に出ました。これはほとんどの人の予測通りではないでしょうか。
https://tabelog.com/tonkatsu/tokyo/A1302/rank/
食べログの1番目のページを見ると、特定のお店の情報ではなくデータベースから返されたリストページでした。これにつづく食べログのページも同様に一覧、また3番目以降に表示されたRettyも同じくリスト型のページでした。
もう一つ、今度は対象の業態を居酒屋にして「西麻布 居酒屋」で検索したところ、検索結果にはやはり食べログの一覧ページが並びました。
それ以降はぐるなびが入ってきたこと以外だと、ヒットしたページの傾向は同じです。
外食では特定サイトがかなり強く、上位を占めるのは一覧ページと言うことがわかりました。
検索結果ページ(リスト)が返される業界
ここまで見た不動産、人材、外食の検索結果について詳しく考えていきましょう。
まずデータベースからリストを返される検索結果ページ、これが上位を占めるのは予想通りといえます。また著名なサイトばかりというのも想定の範囲内です。
動的な検索でありながら静的なURL処理
これらのリストページで共通していたのは「URLは簡易で静的なものになっていたということです。
検索は動的におこなわれますから、URLをそのまま出せば長いパラメータがついたものとなるはずです。しかし、上位に出てくるページはこれを静的なURLにしてかえす処理をきちんとおこなっていました。
この処理がSEOに必須の対策ではありませんが、基本的な対応はきちんとやっているというのがよくわかります。
ちなみに、求人のインディードは日本語のURLで表示されていました。
人々が欲しい情報をファーストビューで掲載
一覧ページの見え方そのものについても、考えていきましょう。
以前のものだと、「一覧ページには見出しだけ→クリックしてから情報にアクセスできる」という一覧ページも多くありました。
しかし今の一覧ページは、詳細に行かずに主要な情報を把握できるようになっているものが増えています。
https://townwork.net/tokyo/ct_sa52101/
求人ページで上位にヒットしたタウンワークだと、「賃金」「アクセス」「時間」といったアルバイトをするうえでまず知りたい情報が、一覧上にハッキリと出ています。
スマートフォンでのタップ数が少なくて済み、知りたい情報がページ遷移なしでわかるようにというのがよく考慮されています。
こうした一覧ページの構成が検索エンジンにどこまで評価されるものかは定かではありませんが、スマートフォンでの一覧ページづくりではきちんと設計しておいた方が良い部分です。
不動産の検索で上位を占めたSUUMOの検索結果ページは、多くの物件で間取り図が一覧ページに表示されていました。
「そのジャンルで、何がユーザーにとって第一に知りたい情報か」「どういった情報がユーザーにとって必要とされているか」これらがよく練られたページ構成といえるのではないでしょうか。
条件指定のしやすさを徹底
もう一つ、スマートフォンでは検索条件へのタップのしやすさも重要です。タップのしやすさはもちろん、複数条件の選択方法などスマホを意識して作る必要があります。
スマホサイトはレスポンシブ対応が善、といった風潮もありますが、検索ページでは専用ページを作り振り分けて表示させているケースが少なくありません。制作方法をあらかじめ決め打ちして「レスポンシブ」といった制約ありきで設計をはじめると、UI上無理なものを許容することになりかねません。
「ユーザーの見やすさ」「操作性」を第一にページ構成を考えていきましょう。
記事コンテンツ(コラム)と検索を組み合わせる
さて今回の検証対象として選んだ不動産、求人、外食といった業種では、「地域+主要キーワード」はほぼ検索結果ページが上位に表示される、という想定があったからでした。
しかし不動産では、検索結果ではなく検索のインデックスページが上位に表示されているケースも少なくありませんでした。
またこれらのページには、コラム系の読み物ページへのリンクが設けてあるのに注目です。
https://www.homes.co.jp/smp/chintai/kanagawa/kawasaki-mcity/
ポータルサイトではなく、店舗などの検索ページと記事コンテンツを組み合わせたオウンドメディアというのも最近は目立ちます。
たとえば「結婚スタイルマガジン」というWebサイトだと、記事コンテンツがメインで、それに式場検索が付いている形です。
こうしたオウンドメディア制作の場合では、
- 記事コンテンツ≒ユーザーの関心が高いキーワードで作成。
- 検索≒エリア+主要キーワードで作成。
することで、双方のユーザーを自然検索からうまくひろっていけるでしょう。
今回不動産ジャンルでは、検索に記事コンテンツを加えたインデックスページが上位に出てきていたことから、すでに記事コンテンツを持つページへの評価を高めているのかもしれません。
ですからコンテンツごとにキーワード対策をするのではなく、サイト全体のパワーを高めるという期待もできそうです。
ドメインに関しても記事コンテンツのサイト、店舗検索のサイトをハッキリ分けて(ドメインを別にして)作成するケースも多いですが、融合させることでサイト全体の評価を高めるというのも良さそうです。
まとめ
この記事のポイントをまとめてみます。
この記事のポイント:
- 不動産、求人、外食といった業種についてエリア+主要キーワードでは、検索結果の一覧といったデータベースからの出力結果をもとにしたページが検索上位にくることが従来から多い。
- 静的なURLへの変換、またスマートフォンを意識して一覧上で主要な情報がわかり、タップで再検索もしやすいページにするのが良さそう。
- 店舗検索などが重要なジャンルは、検索ページでエリア+主要キーワードを、記事コンテンツでその他のキーワードを分析して作ることで、自然検索からの流入が多いサイトを構築できるはず。
- 不動産では検索結果ページではなく、検索条件を選んでいくインデックスページが上位に来ているケースもあり。記事コンテンツへのリンクもそこに設けてあった。
こうした「検索+記事コンテンツ」の作りは、他のジャンルやオウンドメディア作成でも参考にしたいものですね。