もうひとつの検索エンジンBingの特徴と基礎知識
Google、Yahoo!に比べて影が薄く、おそらくビジネス的には無視されている可能性のある検索エンジンがBingです。コンテンツマーケティングやSEOの世界でもあまり語られることはありません。しかし、このBing、意外と無視できない面もあるのです。
今回は、なぜ、インバウンドマーケッターは、「Bing」も押さえておくべきなのかという理由とBingの基礎知識をご紹介します。
きっかけ
あなたのGoogleアナリティクスの中の「Organic Search」、その内訳ではBingは何パーセントくらいでしょうか?おそらくGoogleやYahoo!に比べたら、その数は無視しても良いくらい少ないのではないでしょうか?
正直なところ、私もこれまではBingについてはノーチェックでした。しかし、いくつかのアクセス解析をしている中で、気になる結果が浮かび上がってきたのです。
弊社、リードプラスのお客様サイトの運営でコンバージョン率の高い流入元を確認した時に、BingからのCVRが高めだったサイトがいくつかあったのです。
もちろんコンバージョンの絶対数が1や2といった極端に低いものだったら、CVRが高くても意味がありません。ところがそれなりの流入が取れていてCVRも高い、つまり効率の良いリード獲得をしていたのです。
なぜだろう?
そのような疑問が頭から離れなくなりBingについて調べることにしたので、そのとき得た情報を共有させていただくに至った次第です。
検索エンジンのシェア
それではBingの立ち位置を探るために、データを見ていきましょう。
「StatCounter Global Stats」を使っての検索サイトのシェア比較です。
まずは全世界についてです。
全世界でのパソコンにおける検索エンジンシェア
使われているのは圧倒的にGoogleです。ずいぶんと離されてですが、2位がBingです。Yahoo!は全世界で見ると3位になっています。これは一つのポイントと言えるでしょう。
全世界でのスマホにおける検索エンジンシェア
スマートフォンでもGoogleが飛びぬけています。
Google以外はパソコン以上に差がない争いですが、BingではなくBaiduが2位になっています。またBingはYahoo!にも抜かれています。これについては中国をはじめとする地域の人口の差、またデバイスごとのOSの違い、デフォルトとなっている検索エンジンの数といった影響が考えられます。
日本のパソコンにおける検索エンジンシェア
日本はどうでしょうか?日本のシェアについても同様に見ていきましょう。
分かりやすいように、世界シェアとの比較という観点でまずは見ていきましょう。
Googleが最も高いのは同じです。違いとして挙げられるのは、2位がBingではなくYahoo!、さらにその割合もそれなりに高いという点です。
さらに考察を加えると、Yahoo!のシェアは右肩下がりというわけでなく、多少の変動はあるものの安定した数、むしろ最近は上向いている感もあります。
検索サイトとしてGoogleが決して独り勝ち状態ではないという日本の現状は、押さえておきましょう。
さてここでの本題、Bingについてです。
Yahoo!の半分にも満たないとはいえ、ピタリと3位の位置にいます。
シェアとしては10%弱というところでしょうか。
1割はパソコンの検索サイトとして使われているのですから、完全に切り捨てて良い存在とは言えないでしょう。
日本のスマホにおける検索エンジンシェア
次に、スマートフォンについても見ていきます。
スマホの場合も1位Google、2位Yahoo!の順位は変わらずです。
Yahoo!がパソコンより少し順位を上げています。これはYahoo!Japanアプリの存在、またYahoo!Japanと関係する企業、ソフトバンクが携帯電話のキャリアの一つとなっている事も、多少影響しているかもしれません。
そして本題のBingについてです。Baiduに少し上をいかれ、4位となっています。
BtoBは違いますが、BtoCを中心にして既にWeb閲覧の中心はスマートフォンに移っています。
それだけにスマホでの利用の少なさが、Bingの地位を大きく落としていると考えても良いかもしれません。
ここまで見て来たシェアの観点でいくと、パソコンでの利用が大きいBtoBについてはBingも気にしておくと良いでしょう。
また、検索サイトは使用しているブラウザによる面もあります。アクセス解析を使い、どういったブラウザでBingが利用されているかを探ってみると良いでしょう。
今の日本で、パソコンでのシェアが最も高いブラウザはChromeです。これがGoogle検索の利用を押し上げている、一つの要因と言えます。
ただし企業で多く使われているInternet Explorer、またWindowsの新しい標準ブラウザEdgeのシェアを合わせると、Chromeに迫る数を持っています。
一般的な企業が導入するパソコンはWindowsですから、これらマイクロソフトのブラウザが急激に減少することはまずないと考えられます。
またビジネス利用を除いたパソコンの購入でもWindowsが多いわけですから、デフォルトとして搭載されたBingのシェアは少なくともパソコンでは大きく落ちない、という仮説が成り立ちます。
Bingに関する基礎知識
さて、Bingについての基礎知識について紹介していきましょう。
- マイクロソフトの検索サイト(エンジン)。
- 独自の検索技術を使っている。
- アメリカではYahoo!にその検索技術が用いられている。
- 普及は熱心に行われていて、特にアメリカを中心にしたポイントプログラムなどでシェアを拡大している。
- リスティング広告について、日本ではYahoo!プロモーション広告の提携掲載先となっている(パソコンのみ)。
ここに挙げた内容は、割と多く認識されていると思います。
予想ですが、日本ではパソコンを新たに購入した層がそのままブラウザを変えずに検索エンジンを使いBingが一定のシェアを持っていると考えられます。
そのため一言でいってしまうと、インターネットにそれほど精通していない層の利用が高いのではないか、ということになります。(今回のお客様環境の事象について大いに納得させられました)
ビジネス利用の場合はパソコンの入れ替えはもちろん、会社によっては導入システムの関係でブラウザが指定されている事があります。
今もInternet Explorerが指定されている場合があり、その際はそのまま標準となっているBingを使い続ける層もいるはずです。
Bingの検索技術は情報が極めて少なく、また多く見ても1割ほどの利用なので特別なSEOを施す必要はないでしょう。
マーケティングを意識するならば、Bingを使っているユーザー像をアクセス解析のクロス集計などで明確にして、それに合わせたコンテンツや申込みフォームの改善といった方に力を注ぐのが良いでしょう。
また、もう一つ押さえておきたいのは、アメリカを中心にしたシェアは高いということです。
アメリカではGoogleから大きく引き離された2位ですが、Yahoo!も検索技術にBingを導入していますので、それを含めると3割前後のシェアというのが定説です。
グローバル展開、とりわけアメリカでの活動が多い場合には、海外向けのSEOとしてBingの検索技術もチェックしておくべきでしょう。
検索結果の検証
さて検索技術そのものに関する情報がほとんどないBingですので、実際にGoogleと同じワードで検索して比較、違いを見てみましょう。
「ジャズCD」というワードで検索してみます。
Bing
Googleの方は画像付きの具体的なオススメやショッピング検索が上部に出ますが、Bingはリスティング広告、その下に自然検索の結果とシンプルです。
どちらも1位はAmazonですが、GoogleがオススメのジャズCDページなのに対して、Bingが出したのはAmazonの中でジャズCDを検索したページです。
具体的なジャズ奏者として、「ビル・エヴァンス」で検索してみましょう。
Bing
両方ともWikipediaが1位ですが、Googleはナレッジグラフが検索結果に表示されますので、基本的な情報はクリックしなくても分かります。
2位はどちらもAmazonです。GoogleとBingが違う検索技術とはいえ、多少の部分は共通した考えで開発されているのが見えてきます。
なおBingに出ているリスティング広告は、Yahoo!プロモーション広告の機能ですから当然、Yahoo!で検索した場合と同じものです。
さて別のワード、「社会保険料」で検索してみます。
Bing
Googleはナレッジグラフで、その意味だけを調べたい場合はすぐに分かるというのがあります。また自然検索の1位に出て来るのが平成29年度保険料額表です。
一方のBingは都道府県毎の保険料額表が1位に出てきて、2位に出てくるのが平成28年度保険料額表です。
1位の結果でサイトリンクに平成29年度保険料額表が出ているので良いという解釈もありますが、他の検索を行った場合も、Bingでは古い情報が高めの順位に表示されるケースがありました。やや新しい情報を選び出すのに難あり、という印象を受けました。
まとめ
ここでのポイントを整理してみます。
- Bingの日本でのシェアはパソコンで1割程度。スマホだとかなり低い。
- BtoBなど、パソコンからのWeb利用が多いビジネスでは気にしておいた方が良い検索サイトの一つ。
- アクセス解析で自社のコンバージョンの状況と合わせて見ると、効果が出しやすいかもしれない。
- グローバル展開をおこなっていて、特にアメリカの比重が大きい場合は海外向けのSEOとしての対策も考えておくと良さそう。
いかがでしたか?国ごとに異なる風習やトレンドなどがあることをご理解いただけたのではないでしょうか?