アドテクノロジーとは?その基本と運用方法
マーケティング担当者がアドテクノロジーを自社の技術として利用していくためには、この業界で使われる基礎的な用語やそれぞれの運用の特徴について正確に理解しておくことが求められます。
それぞれ具体的な運用方法を理解しておけば、自社で最適だと思われる方法を選ぶことができるでしょう。今回は、アドテクノロジーの全てを、基礎から徹底的に解説していきます。
そもそもアドテクノロジーとは?
アドテクノロジーとは、メディア・媒体社と広告主との二者間の広告配信に関する様々なテクノロジーの総称を表す言葉です。メディア・媒体社と広告主は、アドテクノロジーの世界において下記のように定義されています。
メディア・媒体社(パブリッシャー)
一般的に、広告掲載枠を持つ企業のことを表すと同時に広告掲載枠を持つウェブサイトのことを意味しています。メディア・媒体社と呼ばれていますが、時としてパブリッシャーとも表されますので、覚えておきましょう。メディア・媒体社としては、広告枠の価値を高めることで、メディアとして高い収益を発生させたいという思いがあります。言い換えれば、インプレッションの価値を高めることで、企業としての利益をあげていきたいということです。
広告主(アドバタイザー)
広告を出稿する企業のことを表します。時として、アドバタイザーと呼ばれることもあります。広告主として事業の成果を最大化するためにインターネット広告をできるだけ効率的・効果的に利用し、広告出稿を行っていきたいという課題を抱えています。
今さら聞けない広告在庫や運用方法
マーケティング業界に長くいるものでも、「広告における在庫って分かる?」と質問すると、「在庫って何のこと?」という回答が返ってきます。もし会社から広告運用を任せられているのなら、在庫の具体的な概念ぐらいは知っておいた方が良いでしょう。
在庫(広告在庫)
これは、将来の一定期間内に想定される広告のインプレッション回数のことを意味しています。例えば、1ヵ月間広告を掲載した場合、100回表示されることが分かったとします。つまり、来月も広告掲載を行えば100回程度表示されると仮定できます。この仮定によって算出される値が、在庫と呼ばれるものです。気をつけなければいけないのは、今月100回のインプレッションがあったとしても、来月同様に100回インプレッションがあると断言できないということです。そのため、想定されるインプレッション数よりも少ない数字を広告在庫とすることで販売営業を行っていきます。
純広告
媒体上の位置や出稿媒体、広告掲載期間を指定し出稿するディスプレイ広告のことを純広告と言います。マーケティング業界では、純広と略されて表現されることも多いです。リスティング広告と異なって掲載枠が固定されていることから、「型売り型の広告」と分類されています。
運用型広告
リアルタイムに広告効果を補足し、その結果を基本として改善することができる広告を運用型広告と言います。まさにこれが、リスティング広告であり、DSPの代表的な運用方法です。
アドネットワークとは?
アドテクノロジーには、アドネットワークと呼ばれるものがあります。メディア・媒体社が広告枠をパッケージングして運用を実施することで、広告主に販売する方法をアドネットワークと言います。メディア・媒体社は、広告在庫をネットワーク化することで広告枠の販売コストを抑えることができるようになり、営業コストをかけることなく収益が得られるため、市場として非常に大きく成長しました。広告主としては女性系やニュース系などの特定のカテゴリに対して媒体と直接契約することなく複数のメディアに広告配信ができるようになりました。
インプレッション単位で販売するアドエクスチェンジ
アドネットワークの導入が進めば、メディア・媒体社、広告主との双方でそれぞれに要求が生じるようになります。広告主としては、広告の獲得効率を重視して効果の高い広告枠だけに出稿したいという要求です。
一方のメディア・媒体社としては、複数の広告枠在庫を一元管理することで自由に売買したいという要求です。双方の要求を満たすために登場したのが、アドエクスチェンジと呼ばれる仕組みで、広告枠を1インプレッション単位で販売することができるプラットフォームとなっています。この仕組みのおかげで広告枠はオークション形式で売買できるようになりました。有名なソーシャルメディアであるFacebookには、「Facebook Ad Exchange」と呼ばれるサービスが提供されていますので、興味があれば利用してみてください。
DSP/SSPと呼ばれる広告の仕組み
アドネットワークやアドエクスチェンジが利用されるにつれて広告やメディア・媒体社も運用管理が難しくなってきました。その結果、複数のアドネットワークやアドエクスチェンジを統合管理する仕組みが求められるようになりました。
この時、広告主が利用するシステムのことをDSPと言います。メディア・媒体社が利用するシステムのことをSSPと言い、それぞれに役割が与えられています。一般的に、広告主が利用するDSPには、広告クリエイティブや入札金額などを登録します。
一方のメディア・媒体社が利用するSSPには、自社が抱える広告枠と最低入札金額などを登録していきます。それぞれの情報をマッチングさせることで、広告枠に広告を表示できるようになります。
RTBと呼ばれる広告運用方法
現在、広告取引における買い付け方法が大きく変化していることをご存知でしょうか?
RTBと呼ばれる方法を利用すれば、ユーザーがページを訪問してインプレッションが表示された瞬間に、そのユーザーが閲覧している広告枠を対象として、広告者同士がオークション形式で広告枠を購入していきます。広告枠に表示されるかどうかは、リアルタイムで行われる入札によって全てが決まります。
広告主としては、広告枠として扱わず、広告を見ているユーザーを対象者として広告を掲載することができるため、非常にメリットが大きいです。また、メディア・媒体社としても、広告枠の価格を引き上げることができます。
第三配信アドサーバーを利用した運用方法
今までの広告主は、個々のメディア・媒体社のアドサーバーを利用することで入稿・配信、そして、広告掲載後にアクセス解析ツールや広告測定ツールで計測したデータをクリックベースで評価するということを行っていました。
これらの実行方法に対して、第三者配信とは、メディア・媒体社のアドサーバーに代わって、一元管理可能なアドサーバーを利用し、全ての広告の配信や計測を行います。第三配信を利用すれば、DSPやディスプレイ広告、リッチメディア広告配信など、複数の媒体を統合的に管理できます。
履歴を利用したレコメンド広告
リターゲティング広告を利用したいというのであれば、それらの技法を応用したレコメンド広告がお勧めです。閲覧履歴やオーディエンスデータを利用することで、興味のあるアイテムを配信することができるため、コンバージョンにつながりやすいという特徴があります。
しかしながら、顧客に合わせたデータ管理と提供するサービスの高いマッチングが要求されると同時に在庫状況に応じて最新情報に更新する必要があるため導入は決して簡単ではありません。
色々な運用方法がありますので、ぜひ、自社にぴったりなものを選び出し広告配信を行っていきましょう。