有能なグロースハッカーに求められる能力とは?
誰でも企業を爆発的に成長させたいと思うものです。自社の製品やサービスが広く受け入れられることは気持ちの良いものです。
しかしビジネスを実践していく上で、売上が停滞してしまったり、下振れするようなシーンというのは予期せずして起こります。
そんな中、1人仮説と検証を繰り返し、問題を改善するためのアイデアを出し続けらえる人がいるなら、それは企業にとって大きな資産と言えます。
それを実現する人が「グロースハッカー」なのかもしれません。
グロースハッカーが社内に1人いるだけで、会社が課題を抱えていても、今までとは違った方法で解決してしまいます。今回は、有能なグロースハッカーは、どんな能力を持っているのかについて説明していきます。
グロースハッカーってどんな人?
もし、グロースハッカーになりたいと思うのなら、どんな仕事を行う人か知ることから始めなければなりません。
グロースハッカーとは、製品や会社、サービスの成長(=グロース)を加速させることを意識の中心に置き、問題を抱える業務や達成したい課題に対して突き進む人のことを表します。
グロースハッカーは、課題に対して一般の人たちが想像もしなかった方法で成長を支援する成長請負人ということで定義されます。
グロースハッカーが役立った事例
決まったルールや学び方があるわけではないため、グロースハッカーになることは、決して簡単ではありません。しかしながら、長年の努力の末、あなたが本物のグロースハッカーになれたのなら、下記のようなことができるようになります。
グロースハッカーがマーケティングに関わると、どんな変化を起こすのかが具体的に分かる本当の事例です。
Hotmail、伝説の成長
誰でも知っているWebブラウザ上で利用可能なフリーのメールサービス「Hotmail」は、マイクロソフト社から買収される前は無名でした。Hotmailがローンチした1996年当時は、TVCMやビルボードなどアウトバウンドマーケティング全盛の時代です。
普通のマーケターであれば、認知度を高めるため、会員数を獲得するために、その時主流のマーケティング手法を実践していたでしょう。つまり、ラジオやTV、ビルボード、雑誌、展示会、テレマなどです。
しかし当時のHotmailは、そのような潤沢なマーケティング予算はありませんでした。
投資家の一人 Tim Draper氏は、Hotmailから送信される全てのメールの下に、“P.S. アイ・ラブ・ユー:Hotmailで無料メールアカウントを開こう!" と提案しました。Hotmailからのメールを受け取ったユーザは、この粋なメッセージをクリックしてHotmailアカウントを開設していったのです。
1997年当時、世界のインターネットユーザーは7000万人しかいない中で18%の1200万人がHotmailを使うまでに成長しました。
たった一人のグロースハッカーが全てを変えた事例です。
徹底したABテストが政治献金を集めた事例
これは、2012年のアメリカ大統領選での出来事です。年齢は24歳と若いながらグロースハッカーとして能力のあったアーロン・ジーンは、共和党のミット・ロムニー陣営に呼ばれました。若きグロースハッカー、アーロン・ジーンに対して、「好感度の高いウェブサイトとは、どんなものか追及してほしい」と仕事を依頼したのです。
簡単に説明すれば業務内容は、ウェブサイトデザインの変更です。アーロン・ジーンは、好感度の高いウェブサイトデザインを完成させるため徹底したABテストを始めました。グロースハッカーの仕事には、答えがありません。バナーの位置やサイズ、色など徹底的な微調整を行い有権者に対してどのような効果が得られるか、ひたすら仮説と検証を繰り返しました。
その結果、1億8000万ドルもの政治献金を集めることができたのです。結果的に共和党のミット・ロムニー陣営は負けてしまったものの、アーロン・ジーンが生み出した政治献金は、グロースハッカーが注目を浴びる時代の幕開けとなりました。
グロースハッカーに求められる能力とは?
上記の事例を見れば分かるように、グロースハッカーは、たった1人でも我々の想像をはるかに超える結果を出してしまいます。しかし、驚異的な結果を出すためには、どのような能力が必要なのでしょうか?グロースハッカーなら、必ず求められる能力について整理していきます。
データ分析能力
グロースハッカーになるための前提条件として、データを分析する能力が間違いなく求められます。1度分析を始めたら個人的な感情や社会的な影響力にとらわれることなく、施策を立てるためのデータ分析ができなくてはいけません。ただ分析するなら、少し勉強すれば誰でもできます。しかし、最高の結果を得るために必要な指標を明確化し、業績改善・目標達成に役立つデータ分析をすることは簡単なことではないのです。
高い質問力・集中力・好奇心・興味関心
グロースハッカーの共通点を何か1つ挙げるなら、高い集中力と質問力があると言えるでしょう。多くのマーケティング担当者が、大きく膨らんでしまった問題に対して頭を抱える中、グロースハッカーは、高い集中力で状況を冷静に分析し、今すぐ解決が必要な問題点とは何なのかということを最大限追求しようとします。
問題に対する高い好奇心と興味関心から導き出される質問が、いつも我々の想像を超えています。一般の人が想像もしなかったことを全力で考え、そこから明確な解決策を導き出していく様は、グロースハッカー特有の能力と言えるでしょう。
従来の常識にとらわれない高い創造力
グロースハッカーになるためには、高い創造力と常識にとらわれない豊かな表現力が求められます。そのため、旧態依然としたマーケティングの手法に依存することなく、新しい施策を常に自分で考え、効率良くアイデアを回していける人間であることが求められます。グロースハッカーが、施策を考える段階で考慮すべきことは、ユーザビリティやユーザーエクスペリエンスに関わることでもあるため、常に科学的な思考も同時に求められます。
自己の感情をコントロールする能力
グロースハッカーの施策は、想像以上に地味で同じような作業の連続です。一般の人からすれば、検証中の作業と次に検証する作業の違いについて見分けがつかないほど似通っています。しかし、グロースハッカーが考える仮説は、ひとつひとつに意味があり、掲げた目標を達成する上で確実に必要な答えをもたらします。真のグロースハッカーになりたければ、誰もが嫌がるような退屈で地味な作業の連続を高い集中力を持って継続できなければいけません。メールの送信内容を見直し、一文を追加してみたり、メディアに掲載されている一文を削除してみたり、エントリーフォームの項目を1つ追加するなど、やってもやらなくても同じなのでは?と思うことを繰り返すことになります。しかし、グロースハッカーは、0.1%でも目標達成に近づけるのであれば、自己の感情を上手くコントロールし、目の前のことに対して全力を注ぐことができます。
ユーザーに共感的である
グロースハッカーは、決して独りよがりな人間ではありません。ユーザーが商品やサービスに対してどんな感情を抱いているのかを瞬時に察して、施策に反映させることができます。
グロースハッカーは感覚でものを言わない
よくビジネスの現場では感覚でものをいう人がいます。グロースハッカーにとって感覚的な発言は意味をなしません。故に数字で見えないものには一切投資をしないのがグロースハッカーです。
グロースハッカーになりたい方へ
グロースハッカーになりたければ、あらゆる課題を自分ごとのように考え、どうすれば解が導き出せるのか、積極的に考える姿勢が求められます。
既存の教科書はなく、自分が今まで学んだ知識を最大限利用して答えを出していくしか方法がありません。そのため、広範囲なIT能力がなければ、グロースハッカーになることはできないのです。だからこそ、まずは自分の欠点について深く掘り下げ、どうすれば克服できるか見直していきましょう。