【 フラり対談 】長田広告株式会社
屋外看板広告トップシェア企業の60年の歴史は不断のチャレンジ軌跡。新たな挑戦となるIT広告にリードプラスとどう挑むのか?
「広告で人と街と社会に貢献する」ことを行動指針とし、中小企業でも利用しやすい看板広告やデジタルサイネージなどの開発と全国展開によって大きく成長を遂げてきた長田広告グループ。1963年の創業以来、顧客により良い広告商品を提供するための変革を続けてきた同社は、新たな挑戦となるITを活用したオン&オフ一体型(OMO)広告の開発/販売パートナーとしてリードプラスを選びました。同社の変革の歴史、リードプラスと協業した理由、これからの改革を担う若手社員の育成にかける思いを、長田広告グループ代表 長田一郎様(長田広告株式会社 代表取締役会長:向かって写真右側)にリードプラス 取締役会長の小林治郎(写真左側)が伺いました。
変革にチャレンジし続けた60年。中小企業向けの看板広告、デジタルサイネージを全国展開
リードプラス会長 小林治郎(以下、小林):長田広告さんは今年、創立60周年を迎えられました。私どもリードプラスにとっては偉大な先達ですが、その歴史は新たな広告商品を生み出すための挑戦の連続だったと伺っております。まず、当時の広告業界の状況や、その中での長田広告さんの沿革についてお教えいただけますか?
長田広告株式会社
代表取締役会長・長田広告グループ代表長田一郎 氏
長田広告グループ代表(長田広告株式会社 代表取締役会長)長田一郎 氏(以下、長田氏):当社は昭和38年(1963年)に私の父が創業いたしました。私が入社したのは昭和49年(1974年)ですから、来年で勤続50年になります。
当社の主力商品である屋外看板広告が50年前にどのような状況だったかと申しますと、自動車メーカーや家電メーカーなどの大手企業が新製品を発売した際、日本全国で広告を掲示するために使われていました。地方の中小企業が屋外広告を出すなど極めて稀な時代だったのです。そこで、当社は中小企業の皆様が屋外広告を手軽に利用できる仕組みを作り、それを全国に展開して事業を拡大して参りました。
小林:その次の挑戦がデジタルサイネージの全国展開となるわけですね。
長田氏:これも中小企業をターゲットに展開しますが、看板広告とは随分と勝手が違いました。わずか15秒程度の動画広告でも、当時は制作に多くの費用がかかったのです。そこで、中小企業様に手頃な価格でご提供できるよう動画の制作体制を独自に構築し、全国に展開していきました。
小林:大企業のものだった看板広告やデジタルサイネージを中小企業にも手が届く価格で提供するという画期的なビジネスで道を切り開いて来られたのですから、まさに広告業界のパイオニア的存在です。祖業の看板広告とは形態が大きく異なるデジタルサイネージでは、制作体制作りも大変だったと思います。
長田氏:それは大変でした(笑) 最初は社内に技術も何もない状態でしたから、必要な技術を持っている人に入社していただき、その人に核になってもらいながら社員の育成や技術開発を進めました。多くの時間と工夫が必要でしたね。
会長自ら転勤を繰り返して全国拠点網を開拓
小林:事業の全国展開やデジタルサイネージという新商品の開発は、いずれも御社にとって大きな事業変革だったと思います。これらの変革は長田会長が自ら決断されたのでしょうか?
長田氏:もちろんです。会社という組織は人間のようなものです。時代や社会の変化に対応し続けなければ生き残ることはできません。これらの事業変革のほかにも、台風など災害に強い看板技術の開発、法制度や東日本大震災への対応など、数々の変革や苦難を社員全員で乗り越えてきました。
当社は会社を持続的に成長させるための大きなゴールを設定し、それに向けた長期経営計画に基づいて事業を展開しています。1994年にスタートした第1期の長期計画では28年間をかけ「全国への事業拠点網の拡大」「看板構造の技術改革」「広告媒体の多角化」、そして「海外展開」に取り組み、一昨年に完了しました。全国に70拠点を整備し、まだ積み残しの課題があるものの、看板事業の新商品開発や独自の新規事業開発など多くのゴールを達成しました。最初の頃は「随分と大風呂敷を広げる経営者だ」と半信半疑だった社員も多かったと思いますが、「たとえ誰も付いて来なくても、一人でもやる」と覚悟を決めて進めてきました。
小林:事業拠点網の全国展開は、長田会長が自ら第一線に立って進められたとのことですが、そこには大きなご苦労もあったのではないでしょうか?
長田氏:家族一緒の転勤を9回、単身赴任を12、3回経験しました。3カ月で次の拠点地に引っ越したこともありましたね。子供からは「やっと友だちができたのに、また引っ越すのか!」と散々文句を言われましたよ。
小林:家族連れで何度も転勤するのは並大抵のことではありませんが、会長が自ら動いて変革への強い意思を示すことで、社員も付いてきてくれるようになったということですね。
長田氏:全ての社員にとって自明の変革もありました。「看板構造の技術改革」です。屋外広告にとっては台風が天敵です。せっかく手間とコストをかけて設置した看板が壊れてしまうからです。当時は鉄材ではなく木材で作っていた看板も多く、台風による被害は資金面でも大きなリスクでした。そこで、台風に強い看板構造技術を独自開発し、これも全国展開の強力な武器となりました。
さらなる飛躍を目指し、強み生かしたOMOマーケティングでリードプラスと協業
小林:そして、昨年から第2期長期経営計画がスタートし、併せて第1次中期経営計画も策定されました。長期経営計画の中では、目指すべき将来像として、広告業界における「ちょっととんがったリーディングカンパニー」を指向するとともに、先進的かつ個性的な「社会価値創造企業」へと飛躍することを謳われています。「ちょっととんがった」とは、長田広告さんらしい表現ですね。
長田氏:当社はこれまで、先進的かつ個性的な媒体/サービスの開発や、他社では手掛けられない市場やクライアントの開拓など、独自の価値創出を追求することで差別化を図ってきました。他社と似通った事業を行う場合も、そのまま受け入れるのではなく“長田流”の味付けをしながら独自の展開を目指すことを「ちょっととんがった」と表現しています。
また、第1次中期経営計画では「売上高200億円」「IT広告事業への本格参入」「既存事業の強化」といった目標を設定しました。このうち「IT広告事業への本格参入」をいかにして当社らしい形で実現するかが大きな課題でした。初めての分野であり、知識も経験もありません。どうやってこの課題に取り組もうかと思案していたところ、Web広告に関して豊富な知識とノウハウをお持ちのリードプラスさんから「一緒にやらないか」とお誘いいただいたのです。話を伺って御社の構想に強い共感と成功への確信を抱くとともに、小林会長のお人柄にも感銘し、「これなら自分たちに足りない知識と経験を補えるばかりか、両社の間に強い信頼関係を築きながら新たな変革に挑戦できる」と思い、協業を決めました。
小林:協業の内容は、長田広告さんが全国に展開する屋外広告看板などのOOH(Out Of Home)広告と当社が提供するWeb広告を融合させ、クリニックやジムなどの店舗型ビジネスを展開するお客様に対してOMO(Online Merges with Offline)マーケティングを提供するというものです。新たなマーケティングサービスを両社共同で開発/販売するとともに、人材交流などを通じたノウハウの共有も進めます。加えて、長田広告さんには当社への資本参加もご決断いただきました。
リードプラスでは、Web広告の強みを生かしながらオフライン広告をどのように展開していくかが大きな課題でした。このテーマに、屋外広告看板で国内トップシェアを誇る長田広告さんとともにチャレンジできるのですから望外の喜びです。
長田氏:長田広告は、これまで全ての業務を自社で賄う自前主義を貫いてきました。他社様と本格的な業務提携を行ったことはなく、資本提携にまで踏み込んだリードプラスさんとの協業自体も当社にとって大きな変化です。
ただ、一度決めたら、その後の動きが早いことも当社の特徴です。社内では、この変革をリードできるメンバーを集めて「IT広告事業推進室」を設置し、関係部署の責任者から成るプロジェクトを立ち上げました。また、大きな変革を成し遂げるためには、社員全員の理解が不可欠です。そこで、新規事業を検討する場として設けていた「DX委員会」で十分に議論しながら進めることにしました。
これからの変革を担うのは若者たち。それを支援するのが経営者の仕事
「長田広告グループ 第2期長期経営計画 経営コミットメント」より
小林:第1期の長期計画は長田会長が自ら全国を飛び回って推進されましたが、第2期長期経営計画では若手をはじめ全社員がチャレンジすることを期待されており、そのための機会を設けて支援することを経営コミットメントとして宣言されました。当社とのプロジェクトも、まさにその一つと言えるでしょうか?
長田氏:おっしゃるとおりです。プロジェクトの中心メンバーは自ら手を挙げてくれた若手を中心に構成しました。もちろん、初めから全てが順調に進むとは思っていません。うまくいかないところを試行錯誤しながら成功体験を積んでもらうのに、このプロジェクトは最高の機会だと思っています。
小林:大きな変革の取り組みに、積極的に参加してくれる若い社員がいらっしゃるとは素晴らしいことです。ぜひ人材育成に関する長田会長の考えをお聞かせください。
長田氏:私は創業者である父から子供の頃に教わった、山本五十六元帥の人材育成論を信奉しています。それは「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」というものです。
人を育てるうえでまず大切なのは、自分がやってみせることです。自分ができないことは、人にやってもらうのも難しいわけです。次に、自分がやってみせたことの中で一番のポイントはどこか、なぜそうするのか、何が大切なのかを説明します。
そして今度は、本人にやってもらいます。そのとき、うまくできたことは必ず褒めなくてはいけません。その際には、「これができたのなら、次はこれをやってみよう」と課題を与えて次回につなげることも忘れてはなりません。ここまでやって納得しなければ、人はなかなか動いてくれないということです。
小林:なるほど、肝に銘じたいと思います。
長田氏:かくいう私も人を褒めるのが苦手でして、いつも褒める練習をしているのですが、なかなかうまくなりません(笑)
小林:この格言には、成長を感じ始めたら、「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」という続きがあるそうですね。
長田氏:これも実践するのは難しいことだと思いますが、幸い、長田広告ではこのような文化が自然と培われてきました。先ほどお話ししたように、当社は私も第一線に出て全国に拠点網を広げてきましたが、私が各地に営業所を開いて次の拠点地に移ったら、後は放任なんです。そこから先は、私とともに営業所を開いた者が自分の判断で進めていくのです。この「承認し、任せる」ことが大切であり、一緒にやっているときもなるべく口出ししないよう自分に言い聞かせています。
小林:山本元帥の教えはさらに続きます。いよいよ育成の最終段階に達したら、「やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」とのことです。これが先の経営コミットメントにもつながっているわけですね。
長田氏:当社のこれからの変革は、若い世代が中心になって進んでいきます。彼らを信頼して任せ、活躍に感謝するとともに、私自身も変化への挑戦を続けていきたいと思います。
IT広告も、必要な商品はお客様が教えてくれる
小林:リードプラスとしては、今回の長田広告さんとの協業をぜひ大きく花開かせたいと考えています。IT広告に関しても、やはり全国展開、さらには海外展開まで視野に入れていらっしゃるのでしょうか?
長田氏:もちろんです。特に東南アジア地域への進出を拡大していくためには、OMOなどITを活用した商品が不可欠です。それをリードプラスさんと開発し、ともに全国展開、海外展開を進めて参りましょう。
小林:両社の技術とノウハウ、人材を組み合わせれば、これまでにない商品を生み出せると確信しています。全国をカバーする長田広告さんの営業網も私たちの強力な武器です。毎日、全国で約200名の営業担当者が顧客を訪問されているそうですね。
長田氏:これまで看板広告でもデジタルサイネージでも、必要な商品はお客様が教えてくれました。IT広告についても「こんなことができるようになりました」とお知らせすれば、「それなら、こういう広告を打ちたい」とヒントをくださるはずです。それを私たちで次々に形にしていくのです。
小林:両社の強みを融合させ、1日も早く新たな広告商品をお客様にお届けしましょう。本日はありがとうございました。
※ 本ページの内容は2023年3月時点での情報をもとに制作しております。