A/Bテスト(ABテスト)とは

ABテストとは、Webサイトやアプリケーションなどで用いられる改善テストのひとつです。ある一箇所を変更し、CVR(コンバージョン率)へ好影響を与えるための仮説検証を行う施策のことをいいます。

LP(ランディングページ)の文言を変更する、コンバージョンまでの導線を改善する、フォームの機能を改善するなど、さまざまなポイントがABテストの対象となります。具体的には「ファーストビュー」「イメージ画像」「コンバージョンボタン」「メインコピー」「アクションボタン」などの要素をテストするのが一般的です。

ABテストは正しい順序で進めていくことが重要です。はじめに、大きな視点から対象を見つめ、検証対象となる課題を捉えていきます。そして、課題が明確になれば、それを漏れなく分解していき「主要因は何か?」という洞察を深めていきます。

課題に対しての仮説が明確になれば、ABテストの作業工数を見積もり、実際のテストケース作成を進めます。そして、必要なモニタリング項目を洗い出し、ABテストを実施。最後にABテストが終了したら、モニタリングしていたデータを整理し、テスト結果を報告します。

多くのWebマーケティングの現場で用いられているABテストには、メリットが多くあります。ひとつめのメリットは「大規模な予算をかけず実行できる」ことです。ABテストは対象の一部だけを変更してテストするため、大規模なWebサイトリニューアルなどと違い、コストを抑えて実行することができます。

ふたつめのメリットは「同時に複数のパターンでテストを実施できる」ことです。ABテストは一箇所だけの比較ではなく、二・三箇所を同時に比較テストすることができます。

みっつめのメリットは「テスト結果を定量的に計測できる」ことです。モニタリング体制を整えておくことで、定量的に検証結果を知ることができます。また、同時期に並行してABテストを行いますので、季節要因などを排除して検証することが可能です。

一方、ABテストにはデメリットもあります。ひとつめには「検証には一定のデータ数が必要である」ことが挙げられます。ABテストで集まったデータが少なければ、そのデータに信頼をおきにくくなります。一般的に、データ数は最低でも400以上あることが望ましいとされています。

ふたつめのデメリットは「仮説が明確でなければ検証ができない」ということです。ABテストでは、なぜその比較を行うのかの仮説が明確でなければ、検証を正しく実施することはできません。

みっつめのデメリットは「一箇所の改善が別の箇所に悪影響を与える可能性がある」ことです。ABテストで良い効果が出たからといって、それを本番環境に適応させると別の箇所に悪影響を与え、全体のパフォーマンスを下げてしまう恐れもあります。全体を最適化させるために、どのような相関関係があるのかを見極めるのが難しいポイントです。