SEO:パソコンとスマホの検索順位の違いを検証
コンシューマライゼーションの波が押し寄せB2Bの世界でもスマホなどのモバイル対応が必要不可欠な時代です。
リードプラスのホームページでも20%を超えるアクセスがもはやスマホからの流入になってきておりモバイル対応は無視できないとひしひしと実感しています。
そのようななかでモバイルからの流入を稼ぐにはモバイル向けのSEOを意識すべきであるということは容易に想像できます。
一般論で言えばモバイル上でのGoogle自然検索順位は
「PCサイトの検索順位にスマホ対応の有無を加味して順位を決定している」
と捉えられています。
しかし実際には「モバイル対応していてもパソコンとスマホで、大きく検索順位が違っている」場合も見受けられます。
そこで今回は実際に、いくつかのキーワードを用いて検証を行なってみました。
また最近、スマホについてはGoogleから非常に大きな発表もされています。その内容についてもご紹介させていただきます。
PCとモバイル環境での検索比較検証
キーワード:TOEIC
それではまず、単ワードの検索で見ていきましょう。
英語のスキルを証明する、「TOEIC」というワードで検索してみます。
「TOEIC」パソコンの検索結果
TOEICの公式サイトが一番上にきます。これは当然の検索結果と言えるでしょう。続いてWikipediaです。その後は、勉強方法や概要について紹介するページとなります。
「TOEIC」というビックワードで検索する場合は「勉強方法について知りたい」「TOEICってどんなものなの?」というニーズが高いという事でしょう。
続いて「TOEIC」スマホの検索結果です。
スマホでも同様の検索を行ったところ、やはり公式サイト、Wikipediaと、上位には同じWebページが続いていきます。
ただしスマホでは、アプリが検索結果に出て来ます。またサイトリンク(Webサイト内の主要カテゴリ)も縦に配置されるので、検索結果の1ページ目には、パソコンより少ない数のWebページしか表示されません。
ちなみに筆者がこの記事を書くために「TOEIC」で検索したところ、1ページ目に表示された自然検索結果のWebページはパソコンが6つ、iOS(iPhone)が5つ、Androidの端末では3つでした。
このようにGoogleの検索結果ページについてもさまざまな違いがありますが、今は今回の検証の主軸となる、自然検索の順位に主眼を置く事にします。
Androidのスマホでは2ページ目以降の表示になってしまいますが、自然検索の4位以降で、わずかな順位の入れ替わりが見られました。
いずれもスマホ対応はされていますし、4位と5位の順番が逆になった程度の僅かな差なので、その要因を見つけ出す事は難しいですし、特にその程度の違いでクリック数に差が出るとは言えないでしょう。
キーワード:TOEIC 勉強法
次に「TOEIC 勉強法」という複合ワードでの検索を行ってみます。これは「TOEIC」単ワードで検索した際に関連語として表示されるので、非常にニーズが高い組み合わせのはずです。
「TOEIC 勉強法」パソコンの検索結果
公式サイトやWikipediaが表れず、上位表示されるページががらりと変わりました。TOEICの勉強方法について、丁寧に紹介するページが上位に出てきます。
なお、キャプチャ上には出していませんが、「TOEIC」単ワードでは出てこなかったリスティング広告も「TOEIC 勉強法」だと表示されます。
「TOEIC 勉強法」スマホの検索結果
上位5ページは同じものが表示されました。キャプチャに挙げた7位から下の順位がいくつか入れ替わりましたが、同じページが表示されていて順番が少し入れ替わる程度なので、気にするほどでもないでしょう。
なお、今回は、パソコンもスマホも1ページ目に10個の自然検索結果が表示されました。また、1ページ目に出てくるWebページはすべて、スマホ最適化がされていました。
キーワード:クレーン 性能表
それでは、一般の人がまず検索しないようなキーワードで見てみましょう。「クレーン 性能表」です。
クレーンとは重いものを吊り上げる時に使う、大型機械です。もしかすると「クレーン」という単ワードで検索をする人は一般にもいるかもしれませんが、「性能表」まで加えた複合ワードで調べるのは、業界に関わる人でしょう。
「クレーン 性能表」パソコンの検索結果
トップに出て来るのは、各企業の性能表へのリンク集です。メーカーページへのリンクもありますが、多くがPDFファイルが直接開くようになっています。
2位以降には、メーカー各社が用意しているPDF形式の機能表が掲載してあるインデックスページなどが続きます。それでは、スマホで同じ検索をするとどうなるでしょうか。
「クレーン 性能表」スマホの検索結果
6位以降は若干の順位の入れ替わりはありますが、表示されるページはほぼ同じでした。若干違うページも含んでいましたが、同じメーカーの型違いの表なのでこれも軽微な差と考えて良いでしょう。
5位までは表示されるWebページ、順位もまったく同じでした。ではこれらの上位ページがスマホ最適化されているかというと、そうではありません。念のためGoogleのモバイルフレンドリーテストにも各ページをかけてみましたが、やはり非対応でした。
BtoB、特にクレーンのような機械を使うような業界の場合は、スマホで業務のための情報を検索しているというイメージはありません。そのためスマホ対応をしているサイトも業界内には少なく、スマホからの検索トラフィックも多く無いのではないでしょうか。
キーワード:飲食店 リフォーム
それでは「飲食店 リフォーム」というキーワードで検索してみましょう。店舗リフォームの検索なので業務上の情報収集がほとんどのはずですが、飲食店の場合は個人経営や小規模経営のお店も多いため、BtoBとは完全に言い切れないところがあります。クレーンとは違った傾向が出るかもしれません。
「飲食店 リフォーム」パソコンの検索結果
比較的多いのは、ノウハウを書いたWebページでした。企業が読み物風のコンテンツを提供する、いわゆるコンテンツマーケティング手法のものが多くヒットする感じです。
スマホでも検索してみます。
「飲食店 リフォーム」スマホの検索結果
スマホも基本的には、同じWebページが表示されました。4位まではパソコンの結果と同じで、それ以降に表示されるページでは若干の順位の入れ替わりが見られました。
なお、このキーワード検索での上位ページは、スマホ対応されてました。
キーワード:ボブ・ディラン
それでは毛色を少し変え、この記事執筆時に話題となっているキーワードで検索してみましょう。
Googleはその時々の話題性を検索結果に反映させている、という説もあります。パソコンとスマホで、そうした部分も含めて違いは出るでしょうか。
ノーベル文学賞を受賞した事で話題になっている「ボブ・ディラン」で検索してみます。
Google:「ボブ・ディラン」パソコンの検索結果
Wikipediaがトップですが、2位にはノーベル文学賞をうけてのNAVERまとめが出ています。3位も新発売のCDをメインにしたWebページなので、今回の盛り上がりをうけてのものかもしれません。
「ボブ・ディラン」スマホの検索結果
自然検索の順位としては、5位までは出てくるページも順位も同じ。それ以降は若干の順位の入れ替わりはあるものの、同じページが表示されました。ただしニューストピックやナレッジクラブ(プロフィール情報など)がスマホの検索結果画面では縦に並ぶため、トップのWikipediaに辿りつくのにスクロールを多くする必要があります。
検証から見えてきたもの
今回いくつかのキーワードで検索した結果から、次のような事が見えてきます。
- パソコンとスマホでの自然検索で出てくるページは、スマホに最適化されてあれば基本的には同じ。
- ただし完全なBtoBのサイトでは、スマホ最適化されていなくてもパソコンと同じページが上位表示される。
- トレンドが大きく影響している検索結果も、パソコンとスマホに等しく反映されている。
- 順位は3~5位くらいまでは同じだが、それ以降で若干の順位の入れ替わりがある。
順位の入れ替わりが見られるのは気になるところかもしれませんが、検索結果の1ページ目でも6~10位の差はクリックにあまり影響しない、という意見もあります。気にする必要はないでしょう。
今回気になったのはむしろ、自然検索の順位は同じであっても、スマホでは別の要素が1ページ目の上位に多く入り、まるで違った検索結果に見える事です。
例えば「TOEIC」で検索すると公式ページのサイトリンクが縦に並び、表示画面のかなりの部分を占めます。
またアプリ表示はアイコン、スターレビューでかなりのスペースを占めるため、自然検索3位であっても、スマホだと目に触れるまでにかなりスクロールすることになります。
Androidでの1ページ目の自然検索結果が少ないのも、驚きでした。
「ボブ・ディラン」での検索結果は、時事ネタという事もありニュースが上位に来るのはパソコンもスマホ同じですが、スマホの場合はAMPのニュースがスワイプで横にスライドできるので、パソコンとはまるで違った感覚で見る事になります。
さらにパソコンと比べて写真が豊富に出てくくるのも、ユーザーの行動を変える要因になるでしょう。
Googleはパソコンとスマホを別のインデックスにすると発表
ここまで見てきたように、検索自体のロジックは一般に言われるようにパソコンとスマホでほぼ共通、と考えて良さそうです。
パソコンで強いWebページはスマホ対応さえしておけば安泰、BtoBでさらに特殊な領域ではスマホ対応がなくても、パソコンと同じ順位をキープできる場合もありそうです。
しかしここに来てGoogleは、「パソコンとスマホを別のインデックスにする」と発表しました。つまり同じGoogle検索でも、パソコン用、スマホ用で別々の検索ロジックとして今後は動いていくのです。
現在は「数か月のうちに行う」という時期の目安のみの発表で、詳細な内容は出ていないようですが、これを受けSEOもまた新たなステージに入るという事になります。
Googleからガイドラインなど出されるでしょうが、キーワードや業種、業界、何よりその時点でユーザーが求める検索で返ってくる「答え」によって、無数の検索ロジックが出てきそうです。これからはさまざまな検証を基にした、より精緻なSEOが必要になってくるでしょう。
今回の検証は執筆時点(2016年11月)での情報ということでご理解ください。今後の動向を踏まえてまた皆さんに情報をお伝えしたいと思います。