【購買意欲を高める色彩心理学】“色”が持つ特性と活用のポイント
「ユーザーの購買意欲を高めるためにはどんなプロモーションやマーケティングを展開すればいいのか…」
多くの企業が日夜こんな課題を抱えているのではないかと思います。
では皆さんは、Webサイトに使用している“色”を意識していますか?
色彩心理学による、ユーザーの意思決定の要因は“色”が60%を占めると言われています。
そうです、ユーザーの購買意欲を高めるためには“色”ってかなり重要なのです。
ここでは、それぞれの“色”が持つ特性を紹介しつつ、購買意欲を高めるために重要なポイントを紹介していきます。
購買意欲を高める色彩心理学
“色”が人の行動や精神に与える影響は絶大であり、その人の周囲を取り巻く“色”によって思考や行動が変化していきます。
面白い事例を挙げると、世界各国の刑務所において施設内の壁や囚人服をピンクで統一するというケースが頻発しています。
これはピンクには人を落ち着かせる作用と幸福感を与える効果があるためです。
実際に施設内におけるトラブルや囚人の再犯率が低下そうです。
この事例を見るだけでも、“色”が人に与える影響がどれだけ大きいかが分かります。
そして、ユーザーの購買意欲を高めるWebサイトではこの色彩心理学を上手に取り入れているんですね。
それぞれの色が持つ効果
それではそれぞれの色が持つ効果を解説していきます。
赤(レッド)
赤は情熱の象徴であり、最も注意を引く色だとも言われています。
信号の「止まれ」が赤なのもこれが理由です。
また、赤は「購買色」とも言われ購買欲を高めるために効果的な色とされています。
店舗のセールやWebプロモーションなどのメインカラーで赤が多用されているのはこの理由からです。
青(ブルー)
冷静さや誠実さの象徴である青は、集中力や暗記力を高めてくれる色とされています。
Webサイトの中で「ユーザーの意識に残って欲しい」というポイントでは赤や黄色が多く使用されていますが、実は青を使用した方がユーザーの意識に残りやすいんです。
また、爽やかさを演出したいときにも青はベスト。
黄(イエロー)
黄色は好奇心や幸福を象徴する色であり、気分を高めたり注意を促す効果があります。
また、多くの色に紛れても認識しやすい色であることから信号機の「注意」に利用されていますね。
Webサイトにおいては「活発さ」や「軽快さ」を演出したいときに用いると効果があります。
ただし、黄色をメインカラーにすることでブランドイメージが軽視されやすい傾向もあるので注意しましょう。
[RELATED_POSTS]緑(グリーン)
自然や調和といったものの象徴である緑は、緊張感や目の疲れを和らげる色として有名ですね。
安心を与える色でもあることから建設業界など「信頼性」が重視される企業のWebサイトで多様されています。
Webサイト制作の目的が「ユーザーにリラックスしてコンテンツを楽しんで欲しい」というものであれば、メインカラーに緑を用いるといいでしょう。
紫(パープル)
紫は高貴さや精神を象徴し、暖色である赤と寒色である青の要素を併せ持った中性色です。
「エレガント」なイメージを持たれやすいため、上品さを演出したいWebサイトに用いるといいかと思います。
ただし、多少とっつきにくいイメージも与えるのでサブカラーとの組み合わせが重要です。
桃(ピンク)
女性らしさや幸福感の象徴である桃色、他の色に比べマイナスの要素が少ないという特徴があります。
女性向けのWebサイトなんかで多用されていますが、実は男性向けWebサイトやビジネスサイトで使用するのも効果的。
サブカラーとして取り入れることでちょっとした「お洒落さ」を演出できます。
この点がマイナス要素が少ないというメリットでしょう。
橙(オレンジ)
橙色は暖かさや自由を象徴し、解放感と楽しい気分を与えてくれる色です。
また、赤同様に「購買色」に分類されるのでWebサイトにおいて「購入ボタン」や「登録ボタン」に使用すると効果的と言われています。
食欲を高める色でもあるので食品系のWebサイトに用いるといいでしょう。
白(ホワイト)
清潔さや純粋さを象徴している白は、広い空間を演出するのに効果的です。
白をメインカラーとしているWebサイトではユーザーの視野が広がり、細部まで目が行き届くようになります。
なので、バナーなどを多く貼り付けているアフィリエイトサイトなんかでは白を基調としているケースが多いですね。
ただし、白はサブカラーの影響を受けやすいので配色に注意が必要です。
黒(ブラック)
黒は男性らしさや沈黙を象徴し、高級感や「重さ」を演出してくれます。
また、黒は無彩色と呼ばれ意外にも「他の色を目立たせる」という性質があり、サブカラーとして取り入れるとメインカラーを際立たせることが可能です。
暗いイメージを与えることもあるのでメインカラーとして使用するケースはほぼありません。
灰(グレー)
洗練さや調和を象徴する灰色は、バランス感覚に優れた人が好む色でもあり控えめな印象を与えることが出来ます。
なので、Webサイトの背景色として薄い灰色を取り入れているケースが多いですね。
「控えめ」という印象からユーザーに対し「親近感」を与える効果があります。
メインカラーに用いる場合は上品さを演出できるので、意外と万能色です。
茶(ブラウン)
茶色は堅実さや安心感を象徴している色で、「まじめ」な印象を与えることが出来ます。
なのでコーポレートサイトなんかではクライアントに安心感を与える色として使用されるケースが多いですね。
かたい印象を持たれたくないときにはあまり使用しないのが無難でしょう。
購買意欲を高める“色”の使い方
それぞれの“色”が持つ効果を知ったところで、活用のポイントを知っていきましょう。
70:25:5の法則
Webサイトのカラーデザインの基本と言えば「70:25:5の法則」で、以下のように使用する“色”の割合を表しています。
70%:背景
25%:メイン
5% :サブ
これは「購買意欲を高める」というよりも、まずは押さえておくべき基本と捉えてください。
基本がなければどれだけ配色を意識してもユーザーの購買意欲を高めることが出来ません。
この70:25:5の法則を取り入れることで、まとまりのあるイメージを持たせることが出来ます。
ちなみに背景には「白」や「薄い灰色」といった無彩色を使用することで、視認性の良さを出すことが可能です。
メインカラーとサブカラーに関しては「ユーザーにどんなイメージを持って欲しいか?」という視点で考えるといいでしょう。
ブランドの認知度を高めたいのであればブランドカラーを使用したり、ターゲットによって配色を決めるのも選択肢の一つです。
基本的にはブランドカラーを適用するケースが多いですね。
購買色を使えばいいってもんじゃない
赤や橙色は「購買色」と言われユーザーの購買意欲を高める効果があると前述しましたが、必ずしも赤や橙色を使用すればいいというわけではありません。
大切なのはWebサイト全体の「バランス」です。
例えば、灰色と茶色を基調として落ち着いた雰囲気と堅実さを演出しているビジネスメディアにおいて、「会員登録ボタン」が赤で配置されているのを想像してみてください。
落ち着いた雰囲気とは裏腹に「会員が欲しい!」といった本音がモロ見えですね。
もしくは単純にカラーバランスの取れていないメディアになってしまうので、ユーザーの離脱率が増加すると予測できます。
また、赤や橙色をメインカラーとしてWebサイトで「登録ボタン」を同系色として設定したら、逆に目立たなくなってしまいますね。
このようにWebサイトでは全体のバランスが必要であり、必ずしも購買色を使用すればいいわけではないんです。
ターゲットが男性なら黒や青を、女性なら桃色などターゲットによって配色を考えることも重要となります。
視線の特性を理解する
ユーザーはコンテンツを閲覧するとき、視線が自然と「左→右」「上→下」に動いています。
これは人が持つ視線の特性なのでほとんどのユーザーに当てはまることです。
この特性を理解し上手く活用することで、ユーザーの購買意欲を高めることが出来ます。
例えば「○○%オフ!」といったユーザーにアピールすべきプロモーション情報があればページの左上に配置したり、伝えたい情報に優先順位を付け視線の流れに沿って配置したりなど色々な施策を考えることが出来ますね。
ここに“色”が持つ特性を取り入れることで、ユーザーの購買意欲を高めるために非常に効果的です。
グラデーションを活用する
ランディングページなどの縦型でかなりのスクロールが必要なコンテンツや、ボリュームのあるコンテンツで懸念されるのが「読むのが面倒」という心理から来る離脱です。
ユーザーは基本的に面倒くさがりなので、あまりにコンテンツボリュームが大きいと読むのを拒むケースがあります。
そこで取り入れてほしいのが「グラデーション」です。
グラデーションは段階的に色が変化していくことから、ユーザーの視線を誘導してくれる効果があります。
なので、ボリュームのあるコンテンツでも自然と読み進めていくことが出来るんですね。
特に「最後まで読んでもらうこと」が重要なランディングページにおいては、その効果を発揮してくれることでしょう。
また、ページ全体でグラデーションしていくのではなく、セクションごとにグラデーションさせていくと効果的です。
おわりに
ユーザーの購買意欲を高めていくためにどれだけ“色”が重要なのか、理解して頂けたでしょうか?
もちろん、“色”を意識するだけでなくWebサイトとして基本的なポイントを押さえておくことがまず重要です。
その上で“色”が持つ特性を理解し取り入れることで、大きな効果を発揮してくれるでしょう。
「今までサイトカラーはなんとなくで決めていた」という方は、是非“色”の特性を活かしてユーザーの購買意欲を上手に高めてください。