病院の広報戦略とは?ポイントを解説

病院経営のなかで難しいもののひとつが広報戦略です。病院のブランディングやマーケティングを担っていると、どのように広報を行うのがベストなのか、迷う担当者は多いでしょう。そこで本記事では、病院の広報戦略の概要やポイントについて詳しく解説します。

病院における広報戦略とは 

病院における広報戦略とは

病院における広報戦略とは、病院のブランド(企業価値)を高めるための、認知度向上戦略を指します。

従来の病院では、チラシや口コミ、タウンペーパーなどのオフラインメディアをベースにした広報戦略が主流でした。しかし、世代を問わずインターネットが普及した現在では、ホームページやバナー広告、SNSなども活用した広報が求められています。

患者が自ら情報を集められるようになったため、病院は、単に近場にあるから選ばれるのではなく、価値を認められて選ばれる時代になりました。たとえば、ユニークで社会性の高い活動を行い、その様子をさまざまなメディアを通して多くの人に認知してもらって病院のブランディング化を図ります。それにより、体調を崩し病院を受診したいと考えたときに、その病院が候補にあがるようになります。

メディアによってユーザーの層や目的は異なります。そのため、メディアごとのニーズを見極め、効率的に最適な情報を発信する必要があります。

マーケティングとの違い

広報とマーケティングは、どちらも情報を発信する仕事のため混同されることが多いですが、内容や目標が明確に異なります。

広報には社外広報と社内広報があり、マーケティングと混同されやすい社外広報では、企業のブランドや認知度を高める活動を行います。より多くの人に興味を持ってもらい、企業の良さをアピールするため、ホームページなどの更新や取材対応、イベントの企画など、活動内容は多岐にわたります。
一方のマーケティングは、需要を調査して商品やサービスに反映させ、その情報を発信することで、より多くの消費者に選んでもらうための活動です。情報発信は段階のひとつに過ぎず、需要の調査やその分析、商品・サービスの開発、宣伝など、商品・サービスの販売に関する一連の活動を行います。

広報はブランド(企業価値)を向上させるのが目的であるのに対し、マーケティングは売り上げや利益を向上させるのが目的であるといえます。

病院の広報戦略のポイント

病院の広報戦略では、商品やサービスを売り込む他業種とは異なる手法が必要になります。ここでは、病院の広報戦略を練る際に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

トリプルメディアを活用したメディア戦略

トリプルメディアとは、広告業界用語のひとつです。マーケティングにおける企業と顧客との接点を「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」の3つに分類する考え方を指します。

「オウンド(owned、所有する)メディア」は、病院が所有しコントロールできるホームページやパンフレットなどです。サービスなどへの興味や、病院と何かしらの関わりを持っていて、ユーザーが自ら情報を手に取るという特徴があり、より詳しい情報を届けられます。

「ペイド(paid、お金を払う)メディア」はテレビ・ラジオCMやバナー広告、新聞の折り込みチラシなど、お金を払って不特定多数にアプローチするメディアです。短期間で多くの人に情報を届けられるという特徴があり、イベントなど単発で集客したいときにも効果的です。

「アーンド(earnd、得る)メディア」は、信頼や評判を得られるTwitterやInstagramなどのSNSを指します。病院とユーザーで双方向にコミュニケーションを取るツールとして使えるほか、ユーザーによる情報の拡散も狙えます。

トリプルメディアのそれぞれの特徴を捉え、効果的に利用することが大切です。

ただし、チラシや口コミ、タウンペーパーなどのオフラインメディアによる広報にも、地域の医療機関としての存在をアピールするなど重要な役割があります。

従来のオフラインでの広報と、トリプルメディアを活用したオンラインでの広報を組み合わせ、最大効果を得ましょう。

地域連携を意識した広報活動

地域医療支援病院の設置など、病院は現在、地域に根ざした運営が推進されています。そのため、広報においても、地域住民が活用できるメディアを意識して取り入れることが重要です。

たとえば、地域住民が参加できる講演会や勉強会などのイベントは、効果的なメディアとなるでしょう。交流の場を設けることで地域住民が医師やスタッフの人間性に触れられ、なおかつそのイベントが有意義だったり楽しかったりすれば、病院の評価は上がります。その評価が来院に繋がりますし、口コミによって新しく興味を持つ人が増える可能性もあります。

また、地域住民や患者へ向けた広報誌やパンフレットの作成も効果的でしょう。ただし、院外パンフレットは医療法上の広告に該当するため、情報の掲載には注意が必要です。その際、施設や設備など情報の羅列にならないよう、手に取った人の不安をくみ取る内容である必要があります。

地域の医療機関どうしの支え合いも大切です。開業医が地域医療支援病院を紹介、あるいは、地域医療支援病院がかかりつけ医として開業医を逆紹介することで、安定して集患することが可能になります。また、診療科や施術の違いをカバーしたり、情報を共有したりするために、開業医同士の連携も必要です。病診連携などをスムーズに行うには、日ごろから他院と良好な関係を築く必要があります。

クリニックのブランド構築

病院は医療法で広告の内容を制限されているため、集患のためにはブランディングが重要です。

ブランディングの際には、まず、自院が地域でどのような病院として認知されると集患につながるのかを考える必要があります。マーケティングと広報は異なるという説明をしましたが、需要の精査というブランディングに係るフェーズは共通しています。

実態と異なるほどの高い理想を掲げてブランディングする必要はありません。医療や対応などのサービスが来院する患者の期待を下回った場合、信頼を失い悪い評判が広まることにつながる可能性があるためです。

提供できる医療サービスをわかりやすく伝え、どのような病院を目指しているのかを発信することで患者との認識の差を埋めます。それによって、来院前に信頼感を高めたり、来院後にイメージの違いで落胆されることを防いだりできます。

クリニックにブランディングは、大規模に展開する一般消費財のブランディングとは異なるために、しっかりとしたクリニック運営の上に成り立つということを前提に組み立てると良いでしょう。

まとめ

病院の広報では、商品の売り込みをする他業種とは異なり、自院に合った戦略でブランディングし、認知度を向上させることが重要です。「ローカルフォリオ」は、集患ツールとしてさまざまなクリニックで導入され、経営の安定化に貢献しています。広報に力を入れたいけれどノウハウがないという方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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