Looker Studioの使い方と使う前にすべきこと3つ
Looker Studio (ルッカースタジオ)は、Googleが提供する無料のデータ可視化ツールです。このツールを使用すると、様々なデータソースから情報を取り込み、直感的な操作画面でグラフや表を用いたレポートを作成できます。作成したレポートはレポートのURLを他者に共有することで、他者はいつでも自由にレポートを見ることができ、データの期間を変更したり、特定のデータに絞って分析したりできるようになります。
Looker Studioを使いこなすことで、マーケティング担当者やデータアナリストにとって、データを効果的に視覚化し、気づきを得るための強力な武器となります。
本記事では、 Looker Studio初心者の方に向けて、Looker Studioの基本的な使い方をわかりやすく画像付きで解説します。操作画面の概要からグラフ・表を作成するための手順、知っておくべき機能、レポート作成前にすべきことまで、網羅して解説します。記事を読んでいただくことで、Looker Studio初心者の方でも、効果的なレポートを作成するための一歩を踏み出せます。
Looker Studioへのログインと操作画面の全体像
最初に、Looker Studioへのログインと操作画面の全体像を解説します。
初めてのログイン
下記のLooker Studioの公式サイトを開きます。
https://lookerstudio.google.com/overview
「USE IT FOR FREE」をクリックしてGoogleアカウント(Gメール)でログインします。なお、Looker Studioを利用するためには、Googleアカウントが必要です。
「空のレポート」もしくは「新しいレポートを作成」を選択すると、レポート作成画面が表示されます。
操作画面の概要
下図が操作画面です。
画面上部に各種設定メニューがあります。
画面中央に白いスペースがありますが、レポート作成作業を進めていくと、このスペースにレポートが表示されていきます。
本記事の【Looker Studioの基本的な使い方】で解説する操作をすると、画面右側にグラフや表を作成するための編集パネルが表示されます。
Looker Studioの基本的な使い方
Looker Studioの基本的な使い方としては、3つのステップがあります。
Step1.データソース(レポートの元データ)を接続する
Step2.グラフ・表の種類を選択する
Step3.グラフ・表の設定をする
ひとつずつ見ていきましょう。
Step1.データソース(レポート用のデータ)を接続する
Looker Studioでレポートを作成するためには、レポート用のデータが必要です。このレポート用のデータのことを「データソース」と呼びます。例えば、Googleアナリティクスのレポートを作りたい場合、データソースはGoogleアナリティクスになります。
Looker Studioにデータソースを接続することでレポートが作成できる状態になります。接続の手順は次の通りです。
画面上部メニューの「データを追加」を選択します。
Googleアナリティクス、Google広告、Googleスプレッドシートなど多数のデータソースが表示されます。これらの中から1つ、選択します。例えば、Googleアナリティクスを選択したときの例を紹介します。
Googleアナリティクスのアカウントとプロパティを選択し(上図の1番)、画面右下の「追加」(上図の2番)を選択します。
以上で、データソースの接続は完了です。
Step2.グラフ・表の種類を選択する
データソースを接続したあとは、グラフや表の種類を選択します。Looker Studioは、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、表など、多様な表現方法を提供しています。
操作画面上部メニューの「グラフを追加」を選択します。
多数のグラフ・表が表示されるので、目的に合ったグラフ・表を選択してください。データの性質や伝えたいメッセージに応じて、適切なグラフ・表を選択することが重要です。
Step3.グラフ・表の設定をする
グラフ・表の種類を選んだら、詳細な設定を行います。
グラフ・表をクリックすると、画面右側に編集パネルが表示されます。
グラフ・表の編集パネルを使用して、ディメンション(データの切り口や範囲)と指標(具体的なデータ)を指定します。例えば、Googleアナリティクスの分析では、ディメンションに「ページタイトル」、指標に「表示回数」を設定することで、各ページが何回表示されたのかを視覚化できます。色やフォント、軸の設定なども、この編集パネルで調整できます。
以上が基本的な使い方です。「レポートで見せたいデータソースを接続した後、レポートの目的に合わせたグラフ・表を選択し、グラフ・表を調整する」この流れを覚えておきましょう。
知っておくべき機能5つ
Looker Studioは、【Looker Studioの基本的な使い方】で紹介した3つのステップさえ理解していれば、あとは直感的に操作できる画面なので簡単にレポートを作成できます。
簡単に作成できるのですが、ここで紹介する便利な機能を使いこなすことで、より効率的に伝わりやすく効果的なレポートが作成できます。
テーマとレイアウト
1つ目は「テーマとレイアウト」です。レポートの見た目を簡単にカスタマイズできる機能です。
画面上部メニューの「テーマとレイアウト」を選択すると、右側に「テーマ」が出現します。多数のテーマが用意されていて、テーマを変更するとレポート全体の色やフォント、背景などが一括で変わります。企業のブランドカラーに合わせたデザインや、プロフェッショナル感を出す洗練されたテーマなど、目的に応じた見た目を簡単に作成できます。
レポートは見た目の統一性も重要です。レポート全体でフォントや色がマチマチになっていると、見にくいレポートになってしまいます。この機能により、一貫性のあるレポートデザインを実現できます。
期間設定
2つ目は「期間設定」です。レポートに表示するデータの期間を柔軟に変更できる機能です。
画面上部メニューの「コントロールを追加」の中の「期間設定」を選択します。レポートを見る人自身が、任意の期間へと変更できる「期間を選択」ボタンがレポートに追加されます。例えば、初期設定は「先月」の状態にしておいたとしても、レポートを見る人が「2か月前のデータを見たい」とった場合に、簡単に切り替えることができます。
フィルタ
3つ目は「フィルタ」です。大量のデータから必要な情報だけを抽出して表示できる機能です。
画面上部メニューの「コントロールを追加」の中の「プルダウンリスト」から「プリセットフィルタ」までがフィルタ設定になります。複数あって、どれがいいのかが迷ってしまいますが、一番上の「プルダウンリスト」がシンプル、且つ、使いやすいのでおすすめです。
下の図が「プルダウンリスト」の例です。
「プルダウンリスト」は、例えば、「47都道府県の中から東京都だけのデータを抽出してレポートに表示したい」ケースや「東京都と大阪府の2つだけに絞って表示したい」ケースにも、単一選択・複数選択が適用できるため、どちらのニーズも満たせます。
レポートを見る人によって分析の視点は異なるため、フィルタを利用して自由に分析できるようにしておきましょう。
テキスト・図形の追加
4つ目は「テキスト・図形の追加」です。グラフ・表でのデータ可視化だけではなく、グラフ・表にタイトルや注釈、矢印、図形などの情報を追加できる機能です。
画面上部メニューのアイコンから追加できます。
グラフ・表だけでは伝わりにくい情報をテキストで伝えたり、矢印や枠線などの図形を使って重要なポイントを強調したり、データの関連性を示したりできます。これらの要素を効果的に配置することで、より分かりやすく、説得力のあるレポートを作成できます。
例えば、上図のように矢印で次にどのデータを見てほしいのかを示すことで、レポートを見る人が理解しやすくなります。
レポートの共有
5つ目は「レポートの共有」です。完成したレポートを、チームメンバーや関係者と共有できる機能です。
画面上部メニューの「共有」を選択すると、閲覧権限や編集権限を設定できます。
シンプルで便利な共有方法として、URLでの共有があります。上図の1番「リンクをコピー」をクリックすると、下記のようなレポートを閲覧するためのURLがコピーされます。
https://lookerstudio.google.com/reporting/xxxxxxx
上図の2番の枠にレポートを共有したい人のメールアドレスを設定することで、URLを共有された人はレポートを閲覧できます。
レポートの目的によっては、Looker Studioで作成したレポートは作成者だけしか使わないケースもあります。しかし多くの場合、チームや企業内でデータを可視化して、気づきを得て、次のアクションにつなげるために活用されます。そのため、レポートの共有は多くの人が使う機能でしょう。ここで紹介したURLの共有も、共有の種類が複数あるので、公式ヘルプページで確認しておきましょう。
公式ヘルプページ:他のユーザーを招待してレポートを共有する他にも、定期的なレポート配信で共有する機能もあり、自動的に最新データを関係者に送ることができます。
公式ヘルプページ:レポートの自動配信をスケジュール設定するLooker Studioでレポート作成前にすべきこと3つ
ここまでLooker Studioの基本的な使い方を紹介してきました。使い方はマスターできたとしても、効果的なレポートを作成できるとは限りません。なぜなら、そもそもレポートに表現するデータの種類やグラフの見せ方に食い違いが生じてしまうケースもあるからです。そうならないためにも、 Looker Studioでグラフ・表を作成する前に下記の3つのことを整理してからレポート作成に着手しましょう。
- 誰の何のためのレポートなのかを明確にする
- 必要なデータを決める
- レポートの構成を下書きする
(1)誰の何のためのレポートなのかを明確にする
まず、誰が見るレポートで、レポートをどのように活用するのか、何を達成したいのかを明確に定めることが重要です。
例えば、営業担当者であれば売上目標の進捗状況や注力すべき顧客層のデータなど、マーケティング担当者であればマーケティング施策ごとの成果やWebサイトのアクセス状況などに関心があるでしょう。
誰の何のためのレポートなのかが不明瞭なまま作成してしまうと、まとまりのないレポートになってしまうリスクがあります。
したがって、誰のための何のためのレポートなのかを明確にしましょう。
(2)必要なデータを決める
次に、レポートを見る人、レポートの目的に基づいて、必要なデータを整理します。KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)の他に必要な関連データを特定し、レポートに盛り込むべき情報をリストアップしましょう。
同時に、それらのデータをどのように視覚化し、どのようなメッセージを伝えるかも考えておくことが重要です。
(3)レポートの構成を下書きする
最後に、レポートの構成を下書きします。いきなりLooker Studioで作成開始して、画面上でどのような表現にするかを悩みながら作業するのは非効率です。別の場所で構成を下書きしておいてから、Looker Studioで作成したほうが作業効率が上がります。
レポートを見る人、レポートの目的に沿って、必要なデータをどのように配置すれば目的が達成できるのかを考えながら、下書きの段階で様々なパターンを検討すると、完成度の高いLooker Studioのレポートが作れます。
例えば、筆者の場合、下記のようなことを考えながらノートに手書きで構成を書いています。
- 重要性の高い順にデータを並べる
- 時系列データには折れ線グラフ、比較データには棒グラフなど、最適なグラフはどれか
- フィルタを適用してユーザーに分析させるべきデータはどれか
- レポートを見るのが年配の方が多いのであれば、文字サイズを大きめにする
これら3つのことを事前に整理しておくことで、Looker Studioの操作画面でスムーズに作成を進められるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。簡単におさらいしておきましょう。
Looker Studioの基本的な使い方としては、3つのステップだけで簡単にグラフ・表を作成できます。
Step1.データソース(レポートの元データ)を接続する
Step2.グラフ・表の種類を選択する
Step3.グラフ・表の設定をする
知っておくべき機能5つを使いこなすことで、より効率的に効果的なレポートを作成できます。
- テーマとレイアウト
- 期間設定
- フィルタ
- テキスト・図形の追加
- レポートの共有
そして最後に、いきなりLooker Studioの操作画面で作成を始めるのではなく、事前に3つの整理をすることが重要であることを紹介しました。
- 誰の何のためのレポートなのかを明確にする
- 必要なデータを決める
- レポートの構成を下書きする
Looker Studioを使えるようになると、様々な切り口のレポートを作成できて楽しくなってくるはずです。是非、あなたも本記事を参考に、その一歩を踏み出してください。