HubSpotとPardotの機能や料金を比較!
近年、リードの獲得やナーチャリングなどの目的から、マーケティング部門でMAツールの導入が急激に進んでいます。
MAとは、マーケティングオートメーション(Marketing Automation)の略称で、MAやMAツールと呼ばれています。マーケティング施策のリード獲得・育成・選別などを効率化しながら、商談件数の最大化を図るツールです。例えば、見込みリストの一元管理やスコアリング、メールマーケティングなどができ、他のマーケティングツールと併用すれば使い方は多岐に及びます。
ではただ単にMAツールを社内に導入して効果はでるのか?ですが、これまで独自に導入を進めてきた多くの企業が、「導入してもなかなか使いこなすことができない...」「本当にこのツールで良かったのか...」という理由で、弊社にご相談されてきました。
もちろんMAツールを導入しただけで効果が出るわけではなく、「自社にあったツールが選べているか」と「MAの運用体制の整備」が重要になります。
この2つに留意して導入を進めるだけでも、MAの効果を発揮することができるでしょう。
今回は、MAツールの中でも特に注目度が高い、HubSpot Marketing HubとMarketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)の機能や料金を比較し、MAの導入でよくある失敗から学ぶ原因を紹介します。
HubSpotとは
HubSpotとは、企業のマーケティング、営業、カスタマーサービスの業務を支援するために開発された、世界120か国以上の15万社以上の企業で利用されているクラウド型ソフトウェアです。
HubSpotの大きな特徴として、MAとしての機能だけでなく、営業支援ツールとしての機能やLPやブログなどCMSとしての機能などの”5つのHub”をカスタマイズして、自社好みに構築できることです。そのため、最初はMAだけを利用しつつ、扱いに慣れてきたらCMSを追加するなど、柔軟性がとても高いことが支持される理由の一つです。
HubSpotの5つのHub
- Marketing Hub
- Sales Hub
- Service Hub
- CMS Hub
- Operations Hub
シンプルで使いやすいだけでなく、情報を共有しやすいという点でも優れているため、チーム全体でのマーケティングアプローチにも活用できます。
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)とは
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)は、アメリカにあるSalesforce.com.Inc(米)が提供するMAツールです。営業支援ツールSalesforceと一体型のマーケティングオートメーションツールで、クラウドベースで提供されるサービスとなっています。Pardotという名称は一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、2022年から名称が変更され、Marketing Cloud Account Engagementとなりました。
Pardotの大きな特徴は、リードへの追客です。リードの情報やデータを取得して、一人ひとりに最適なコンテンツを配信できます。連絡したタイミングやメール開封の時間を自動で判別して、コンテンツ配信の時間もコントロールできるため、企業それぞれが持つ顧客に対して独自のアプローチができ、それを自動化することもできます。
また、Salesforceの他の機能と連携することによって、別のツールで取得したデータを利用してマーケティングへ利用することも可能です。
それぞれの機能・操作性の違い
HubSpot Marketing HubとMarketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)はどちらもMAツールですが、それぞれ少しづつ機能や操作性が異なります。
本章では2つのツールの機能と操作性の違いを紹介していきますので、求めている機能があるのはどちらか、比較してみてください。
機能の違い
各ツールでプランによる機能の差はありますが、基本的にできることを下の表にまとめてみました。
HubSpot Marketing Hub |
機能 |
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot) |
---|---|---|
〇 |
メール |
〇 |
〇 |
SMS配信 |
- |
〇 |
広告連携 |
〇 |
〇 |
プッシュ通知 |
- |
〇 |
LINE |
〇 |
〇 |
リードの管理 |
〇 |
〇 |
スコアリング機能 |
〇 |
〇 |
メールテンプレート |
〇 |
〇 |
リストのエクスポート |
〇 |
- |
レコメンド |
〇 |
〇 |
CMS(フォーム)の作成 |
〇 |
〇 |
CRM機能 |
〇 |
操作性の違い
HubSpotはHubSpot社がゼロから開発したものであるため操作性が一貫しており、各ツールは緊密に連携しています。
一方Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)はSalesforceによる買収を経てSalesforceの傘下に入りました。そのため、一貫した操作性に統一するためには手作業で連携や保守を行う必要があり、技術面で複雑さがあります。
HubSpot Marketing Hub |
操作性 |
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot) |
---|---|---|
直感的にわかりやすく、シンプルで初めてでも使いやすい。 複数のデータが一つのプラットフォーム上で確認できる仕組み。 操作性が一貫していて、顧客データ、レポート、および個々のツールはすべて同じように操作ができる。 |
使いやすさ |
操作性が一貫していない部分があり、他のSalesforce製品と併用する場合は、慣れるまで少し時間がかかるかもしれない。 メンテナンスにはある程度の技術が必要であるため、トレーニングを受けた経験豊富な管理者が必要。 |
5つのHubすべてで操作性が一貫しており、顧客データ、レポート、および個々の機能がすべて同じように操作できる。 高度な機能も感覚的に操作でき使いやすい。 |
他機能との連携 |
Salesforceの製品プラットフォームは主に買収を通じて拡大してきたため、一貫した操作性を提供するためには手作業で連携や保守を行う必要があり、技術面で複雑さはある。 |
カスタマージャーニーのコンバージョンの過程を細かく見ることができる。 自社が立てたウェブサイトの中で訪問者の多いものや、コンバージョンに至るまでの導線を確認することが可能。 |
収益の貢献度を見える化 |
有料のアドオンを追加することで、獲得した案件ときっかけとなったキャンペーンを結びつけたレポートが確認できる。 マーケティングと営業が連携できているのか把握するための、ライフサイクルレポート機能が活用可能。 |
プランによる。どのプランでも利用できるのが、ウェブチャットとHubSpotアカデミー。 ProfessionalとEnterpriseプランでは、電話とEメールでのサポートが利用可能。 |
サポート体制 |
契約価格の20%の追加料金で、24時間体制のサポート体制。 契約価格に応じて値段が変わるので、企業によって価格は変動する。 |
1つのコードベースで構築されたシームレスなプラットフォーム |
プラットフォームのメンテナンス |
マルチクラウドインテグレーション用のコネクターによる管理 セットアップの所要時間は20時間程で、定期更新が必要 |
料金プランを比較
料金プランは、各社ともサービスによって大きく異なります。担当者の数やユーザー数など、利用者によって料金が変動するものもあり、従業員の多い企業ではコストが大きくかさむこともあります。また、導入サポートを受ける場合にも料金がかかることがあるので、自社で導入するかサポートを依頼するのかも事前に確認しておきましょう。
プラン |
価格 |
コンタクト数 |
コンタクトの追加料金 |
---|---|---|---|
無料版 |
0円 |
ー |
ー |
Starter |
2,400円~ |
1,000件 |
1,000件の追加マーケティングコンタクトあたり¥2,400/月 |
Professional |
106,800円~ |
2,000件 |
5,000件の追加マーケティングコンタクトあたり¥30,000/月 |
Enterprise |
432,000円~ |
10,000件 |
10,000件の追加マーケティングコンタクトあたり¥12,000/月 |
※税抜き月額換算
※参考:HubSpot公式
プラン |
価格 |
プロスペクト数 |
---|---|---|
Growth |
150,000円 |
10,000件 |
Plus |
300,000円 |
10,000件 |
Advanced |
480,000円 |
10,000件 |
Premium |
1,800,000円 |
75,000件 |
※税抜き月額換算
※参考:Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)公式
HubSpotのミニマムなStarterプランでは、コンタクト数が1,000件から始められるため、スモールスタートで低価格から始めやすいといえるでしょう。
どれだけのリスト数を保有しているか、どれくらいのペースで増えていきそうかも考慮しながら、検討してみてください。
MAの導入でよくある失敗6事例と原因
ここまでMAツールの代表格であるHubSpotとMarketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)を比較してきましたが、効果的な利用のためには「MAの運用体制の整備」もポイントです。
導入前から運用体制については整備しておかないと、運用開始後にツールを使いこなせないという自体に発展します。
では、マーケティングオートメーションの導入時や運用開始後によく起こってしまう失敗とその原因としては、どのようなことが考えられるのでしょうか。以下に、ありがちな失敗とその原因について説明します。
- MAでできることを過大評価している
- 目標をきちんと決めていない、意識できていない
- 導入時に知識・ノウハウ不足で行き詰まる
- 運用フェーズのことまできちんと考えていない
- 新規の見込み顧客を創出する仕組みが弱い
- マーケティング部門と営業部門の壁がある
1. MAでできることを過大評価している
まず、マーケティングオートメーションでできることを過大評価することによって、イメージと実際のギャップが発生してしまうことがあります。「マーケティングオートメーションを導入することで、わずらわしいことは全部自動化できる」といったような過大評価は捨て、マーケティングオートメーションでできることをきちんと見極めることが大事です。
マーケティングオートメーションは既存の業務を自動化できる機能が多く、機能を上手に利用できれば非常に効果的です。しかし、人の手で設定をしなければならない部分も多くあります。たとえば、「Web広告で誘導した先のコンテンツを用意する」「メールの文面を考える」などは、人の手で行わなければなりません。
したがって、何を自動化して何を人が行うのかを、導入前にきちんとイメージしておくことが非常に重要になります。そして、マーケティングオートメーションの導入後にはPDCAを繰り返して常に改善を続けることで、大きな成果へとつながるのです。
2. 目標をきちんと決めていない、意識できていない
マーケティングオートメーションを運用し目標を達成するためには、KGI(Key Goal Indicator)を明確に決定していく必要があります。KGIとは掲げた目標に対するゴールのことで、一般的には「経営目標達成指標」と訳されます。
KGIを明確にすることで、何をもってビジネスがゴールに至ったのか、その指標が明確になります。それでは、Web上のマーケティングにおけるKGIについていくつか参考例を挙げます。
- Webサイトからの資料請求を、毎月数5件から15件に増やす。
- コンバージョン件数を1ヵ月15件、3カ月後に50件に増やす。
- 1年間でオンラインからの売上を100万円増やす。
- コンテンツの流入から得られるメルマガの会員登録数を1日5件に増やす。
- サービスの見積件数を1カ月で20件に増やす。
- お問い合わせフォームからの連絡を1日7件に増やす。
ビジネス上のゴールというと契約件数や売り上げを想定しがちですが、お問い合わせ件数やメルマガの登録数の増加もKGIに設定できます。
ビジネス上のゴールを決定する際は、必ず数値化してください。「売り上げを伸ばす」や「お問い合わせ件数を増やす」では、目標の達成に必要な行動量が明確になりません。ゴールを数値化することで、目標の達成に必要な広告料やコンテンツ量、必要な期間が把握できるようになります。もし、Webマーケティングの計画書の作成や解析改善が不得意であるのなら、専門家やコンサルティング業者に相談すれば、現実的な数字を導き出せます。
3. 導入時に知識・ノウハウ不足で行き詰まる
マーケティングオートメーションの導入時に、知識やノウハウ不足で行き詰まるというのはよくあることです。手順書を読んで指示通りに進めていけば、パソコン初心者でもツールを稼働させることが可能です。しかし、マーケティングオートメーションの特性をきちんと理解した上で設計やプロジェクトを進めていかないと導入に時間がかかり、設計が複雑になると業務は楽になりません。事業を成功に導くためには、高い知識と経験を有する業界に精通した人材がいた方が心強いでしょう。外部から人材を登用したり、実績のあるベンダーに入ってもらったりするのも有効です。
もし、業界に精通した人材がチームにいれば、問題が生じる前に、将来起こりうるリスクを想定し、施策の設計をどのような方針で決めていくことが本来ベストなのか、といった判断を下せるようになります。知見の高い社員がいれば、必ず目標を達成できるというわけではありませんが、問題へ迅速に対応できることは間違いありません。
4. 運用フェーズのことまできちんと考えていない
すでにMAを導入している企業様から、「マーケティングオートメーションを導入したものの定着しない」「マーケティングオートメーションの継続的な運用が難しい」といったご相談がよく寄せられます。
本来は導入前の初期段階で全体の設計をしておくことが望ましいのですが、残念ながら設計が完了する前に運用してしまうケースがよく見られます。運用中に思いついたことを方針やルールを定めずに次々と設定していくと、設計がどんどん煩雑になってしまい、かえって手間がかかるようになってしまうこともよくあります。さらに、時間の経過とともにコンテンツがたまってくると、運用負荷が想定以上にかかり、リソースが足りなくなる事態も起こり得ます。事前に運用フェーズをしっかり検討した上で設計しておかないと、運用開始後に大変なことになるでしょう。
5. 新規の見込み顧客を創出する仕組みが弱い
新規の見込み顧客を創出する仕組み(リードジェネレーション)が弱いために、マーケティングオートメーションの運用に失敗するケースもよくあります。そもそもマーケティングオートメーションツールは、獲得した見込み顧客を効率よくリードナーチャリングすることを目的として開発されたものであり、必ずしもリードジェネレーションに特化したものではありません。
どれだけ優れた施策を設計しても見込み顧客の創出が少なければ、計画を実行に移すことはできません。そのため、事前に設計した施策を実行に移すためにも、新規の見込み顧客を創出していく必要があります。ツール導入と併せて、継続的に見込み顧客を獲得していく施策も検討していきましょう。
たとえば、定期セミナーを開催して、定期的に名刺情報を収集していくことも有効ですし、また、多少時間は必要となりますが、オウンドメディアの立ち上げを併せて検討することで、安定的に新規コンタクト獲得を目指していくことも重要です。
6. マーケティング部門と営業部門の壁がある
マーケティングオートメーションの運用で目標を達成していくためには、顧客に商品やサービスを購入してもらうための長期間にわたる施策が必要です。マーケティング担当者が遂行する業務としては、サイトの基本設計からコンテンツ制作、品質管理、スコアリングなど多岐にわたります。しかし、マーケティング部門と営業部門の間に壁があると、これらの業務はうまくいきません。
営業部門が必要な情報をマーケティング担当者が認知できていなければ、必要な情報が引き継がれず、業務に混乱を与えかねません。そのため、それぞれを独立した部門として捉えるのではなく、統一性のある部門として社内体制を整えていく必要があります。マーケティング部門と営業部門がお互いに協力しあい、施策の設計や見直しを継続的に行うことが目標の達成には必要です。
まとめ
HubSpotとMarketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)は、使用できる機能に違いがありますが、それぞれに異なるメリットを持つMAツールです。企業の状況によってどちらが最適なツールなのかは異なるので、それぞれの特徴をしっかりと比較した上で最適なツールを選びましょう。
また、リードプラス株式会社は2年連続でHubSpot Best Partner in Japanに選定されており、これまで多くの企業のHubspot導入・運用をサポートしてきた正規販売代理店です。Hubspotの導入を考えている企業の方は、ぜひリードプラス株式会社へ依頼されてみてはいかがでしょうか。