Google広告は自動におまかせ。人が必要な領域はどこ?

デジタル広告の多くが、自動機能の性能を高めています。その中でも特に高機能なのが、Google広告です。この記事ではGoogle広告の押さえておきたい自動機能を解説、そのうえで人が必要な領域について紹介していきます。

Google広告は自動におまかせ

自動機能

初めに、Google広告で押さえておきたい自動機能の三つを解説していきます。筆者も運用するアカウントでそれぞれの効果は強く実感していますし、他からも多くの成功例が聞こえてくるものです。

入札は自動で

かつては個別で入札単価を設定する形だったリスティング広告ですが、現在は多くの場合で「自動入札機能」をもちいます。つまり個別クリック単価制から、自動入札戦略への転換です。自動入戦略には、次のタイプがあります。

コンバージョン

  • 目標コンバージョン単価(CPA)
  • 目標広告費用対効果(ROAS)
  • コンバージョン数の最大化
  • コンバージョン値の最大化
  • 拡張クリック単価(eCPC)

クリック

  • クリック数の最大化

露出(認知、インプレッション)

  • 目標インプレッションシェア

これらの自動入札を、自社のビジネスの目標に合わせて選びます。
もっとも多く選択されるのは、コンバージョンに関する設定でしょう。これを「スマート自動入札」と呼びます。スマート自動入札には5つの種類がありますが、よく選択されているのは「目標コンバージョン単価(CPA)」です。多くのビジネスでCPAは気にされていて、目安もあるはずです。そのため設定しやすく、広告の評価もしやすいというメリットがあります。
数値をもっと細かく評価したり、ビジネスをよりデータにもとづいて向上させたいといった場合には、「目標広告費用対効果(ROAS)」などが使われることもあります。
コンバージョンではなくWebサイトへの流入数をあげたい、企業やサービスの認知を高めたいという時には、クリック数の最大化や目標インプレッションシェアが選ばれる場合もあります。まずはそうした面をクリアさせて、次の段階でコンバージョンへと切り替えるといったやり方も多いようです。

自動入札は学習期間が必要なので、設定してすぐに満足いく成果が出ることはほとんどありません。しかし、しばらくするとかなりの成果があがってきます。筆者も過去にまだ個別入札で運営していた時期、「自動入札の方が、明らかに成果が出た」というデータを広告の専門会社からいくつか聞いて、切り変えてみることにしました。その後の効果測定で、数値をいろいろとチェックして改善するよりも、ある時期から劇的に成果が出るようになり自動入札に信頼を置くようになりました。
手動では細かく分析してそれを設定に反映させても、必ずタイムラグが出ます。広告オークションごとに判断して出し分ける、といったリアルタイム性も望めません。自動化はこうしたことをつど、瞬時におこなっているので、学習さえ進めば成果があがって当然なのです。

広告も自動

Google広告が検索連動型広告で、これから標準の広告タイプとしていくのが「レスポンシブ検索広告」です。
これは複数の「見出し」「広告文」を登録しておくことで、それらを最適な組み合わせでつど表示していくものです。最適とは成果が出る、検索の文脈などに合うことをもとにしています。
こちらについても実際に試してみたところ、一定期間が経過してからは安定した成果が出るようになっていました。管理画面の「広告の有効性」も高い表示になっていますので、これまでの(拡張)テキスト広告よりもやはり成果は出やすいようです。広告を登録する際に「こうしたキーワードを使うといい」といったアドバイスも表示されるのが便利です。

レスポンシブ検索広告は、下記の記事で詳しく紹介しています。
Google広告の中心となりそうな二つ。動的検索広告とレスポンシブ検索広告

最適化案は必ずチェック

Google広告の管理画面内には、「最適化案」というメニューがあります。配置も上の方にありますから、重要なメニューという位置づけなのがわかります。
実際Google広告の公式アドバイスは、ここに出ている内容をもとにされるケースが多いようです。内容には「広告表示オプションを加えましょう」「広告文を改善しましょう」といったものがあり、使う機能の目安になります。
また新しい機能の提示もあります。Google広告では細かなアップデートが常におこなわれていますが、実際の表示などに関する機能追加もあります。これらの新機能が自動で適用されることはありませんから、そうした新機能に気づかせてくれるメニューとしても最適化案は有用です。
たとえばこの記事を書く少し前からは、「画像表示オプション」のおすすめを多く目にするようになりました。これは検索広告にテキストだけでなく画像を加えることができる、という機能です。画像がクリック数アップに有効というのは過去からのデータで証明されていますし、自然検索の結果にも画像が出るようになっています。こうした新機能の気づきという意味でも、最適化案メニューは役立ちます。

筆者が非常に役に立つと思っているのは、「キーワードの提案」です。これは具体的に「どんなキーワードを」「どのキャンペーンや広告グループに」といったことが示されています。最適化案で示される手法は広告表示オプションの追加のように、機能紹介の色が強いものもありますが、キーワードの提案はそのアカウントに不足していると思われるものが提示されますので、広告の最適化がかなり進みます。
ただし万能というわけではありません。最適化案は広告主のビジネスを把握して提案されているわけではないので、あえて登録していないといったキーワードも提示されます。またマッチタイプも検討が必要です。部分一致で提示されている場合、拡張幅がかなり広くなるので、そのまま登録すると意図しない検索語句での表示が増大してしまうこともあります。
小~中規模アカウントの場合、筆者は細かくキーワードをチェックして登録の有無を決めます。もちろんマッチタイプの確認も含めてです。実際に登録した後に、完全一致以外は想定していなかった組み合わせやボリュームが偏ったクエリもあるので、登録後も実際の検索語句のチェックはおこないます。

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人がやること

前章ではGoogle広告の設定、運用において欠かせなくなった自動機能の主なもの三つを解説しました。それでは「(Google広告に)人はどうかかわるのか」について解説していきましょう。

アカウント構成

Google広告の最初、設計の大もとになるのが「アカウント構成」です。これは基礎ともいえるものなので、運用開始後に手軽に、頻繫に手を入れられるものではありません。そのため、アカウント構成はきちんと設計するのが大切です。
現在のアカウント構成の基本は、「シンプルに」が基本です。これは機械学習がしやすいため、というのが前提となった考え方です。前章で紹介したように設定は自動が主、そのもととなっているのが機械学習ですから、この考え方は正しいです。
しかし実際にアカウントの設定をしようとすると、そういうわけにもいかないケースがあるのに気がつきます。
たとえば、下記のようなことです。

  • 予算の配分はどうするか。
  • キーワードによってある程度の強弱をつける必要がある時。
  • ブランドワードと一般ワードのバランスをどうするか。
  • ビジネス的に、直接的な成果以外も考慮して出稿する必要があるケース。

究極的にシンプルとされていたのは、「ひとつのWebサイトで出稿する場合には、1キャンペーン。3つの異なるサービスがある場合は、その中にそれぞれの広告グループを作成」といったものでした。ただしこうした教科書的にシンプルなアカウント構成は、上で紹介したような事情もありストレートに反映することはあまりありません。仮にシンプルなアカウント構成にしたからといって、その方が確実に成果があがるというものでもありません。
アカウント構成はきちんとしたノウハウを持つところのアドバイスを受けながら設計する、というのも考えるといいでしょう。また頻繫に手を入れられるものではないといったことも書いていますが、広告で今後どれぐらい獲得を伸ばしていくかといった目標によっては、見直す必要は出てきます。そうした時も専門家の有無は、重要なポイントになります。

担当者はビジネスに注力

Google広告が自動化を進めている大きな理由は、「人(担当者)はビジネスに注力を」というものです。Google広告が個々の企業の商品やサービスの質をあげることはできません。広告で取得したデータが改善に直接つながっていくこともありません。
ですから入札や表示といった自動化できるところはGoogle広告におまかせ、中身の向上はそれぞれの企業の人がする、となるのです。
これはGoogle広告の公式の情報でも、何度も言及されていることです。あるいはGoogleマイビジネスでも、「上の方に表示させるためには、ビジネスの質をあげることが大切」というのはかなり昔からいわれていることで、本質は同じです。
もちろんこうしたビジネスへの取り組みは、クリック、さらにコンバージョン率のアップへつながっていきます。Web担当者の範囲では、ランディングページのUXやコンテンツの質の向上があるからです。さらにマーケティングのより大きな範囲だと、ブランド力をアップさせればCTRやCVRは大きく向上します。実際に多くのWebサイトでこられを高めることで、成果は飛躍的に向上します。

まとめ 

Google広告には、実際にはまだ細かな自動機能が多くあります。それらを使う場合も、「自分のWebサイトに合うか」「自社のビジネス的に利用しても大丈夫か」といったチェックは必要です。
また自動化が進んだとはいえ、ここで紹介したようにGoogle広告の知見をもとに人の考えが入る方が良い箇所もあります。日々の細かな運用も、まったくなくなっているわけではありません。こうしたところに関しては、外部のパートナーと一緒におこない、それをもとに自社に運用ノウハウとしても蓄積していく、というのが最近トレンドとなっているやり方です。

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