Googleアナリティクス、Google広告の「コンバージョン定義」を再チェック

データ活用の意識が高まり、Googleアナリティクスやリスティング広告の数値を熱心に見るマーケティング担当者が増えてきました。
そんな中で、少し気になることも。それは、「それぞれのコンバージョンの定義や仕様などを、きちんと理解できているだろうか」という点です。残念ながら筆者の印象だと、理解できているというケースは稀です。もっともこうした定義はかなり複雑なものが多いため、完全に理解することは難しいですし、そこまでする必要もありません。

ただ定義があまりにも曖昧だと施策の評価、それにツールごとの数値の違いについて困惑してしまうでしょう。

この記事ではGoogleアナリティクスとGoogle広告について、そこで定められているコンバージョンの仕様や定義についてまとめます。

Googleアナリティクス

まずはアクセス解析ツールの代表、Googleアナリティクスのコンバージョンに関する定義と仕様です。
基本的には、従来からのユニバーサルアナリティクス(UA)の定義を押さえるといいでしょう。この記事を書いている時点(2021年8月末)ではGA4の導入率は10%前後、デジタルマーケティングに力を入れる企業で50%前後と言われています。こうした状況から、ユニバーサルアナリティクスのコンバージョン定義を押さえておくことは今も必要です。

ユニバーサルアナリティクス(以下、UA)で主にコンバージョンを見るレポートは、向かって左メニュー内の「コンバージョン」レポートの中にある、「目標」または「eコマース」レポートです。

eコマースレポートはECサイト、BtoBなど決済を伴わない申し込みや登録、問い合わせや資料請求といったWebサイトの場合は、目標レポートが中心になるはずです。

eコマースレポート

それぞれのレポートにコンバージョンを設定する方法は、次の通りです。

目標レポート

ビューの管理画面内にある、「目標」内で設定。設定できる項目は複数あるが、よく使われるのは次のもの。

到達ページ

特定ページの読み込みをカウント。具体的には資料請求や問い合わせなどの完了画面のURLを指定する。オプションとしてページの価値となる値(そのコンバージョンが金銭的にどれぐらいの価値があるかを登録しておくことで、ページごとに貢献額が割り振られる)、目標到達プロセス(入力→確認→完了といったファネルレポートの表示ができるようになる)がある。

イベント

「カテゴリ」「アクション」「ラベル」「値」のいずれか一つ以上を設定することで、コンバージョンとして計測されるようになる。よく使われるのは電話(番号のタップ)、別サイトへのリンクをタップした時のカウントなど。利用するには、対象となるイベントを実装で取得できるようにしておく必要がある。

目標の設定は管理画面内でできるため比較的容易ですが、注意点として「ひとつのビューに対して作成できるのは20個まで」という上限があることです。削除してからの追加ができないため、21個目以上を作る場合は既存のものを編集、あるいはビュー自体を追加してそこに作成する(ただしデータはそこからの蓄積なので、現実的ではありません)といった作業が必要です。

eコマースレポート

「目標」に対して「eコマース」の設定は、少々難易度が上がります(もちろんECサイトの場合には、この設定が必須です)。主な設定内容と手順は、次の通りです。

  • 計測対象のページ(購入完了ページなど)に、dataLayerを実装。
  • GTM内の設定またはトラッキングコードを改修し、dataLayerで取得した複数の変数をGoogleアナリティクスへ送る。またそのトリガーの設定をおこなう。
  • Googleアナリティクスのレポート、管理画面内のビュー列の設定にある「eコマースの設定」内で、「eコマースの有効化」をオンにする。

またeコマース設定には二種類あります。「標準のeコマース設定」と「拡張eコマース設定」です。拡張eコマース設定は標準の発展版のような位置づけで、キャンペーンの効果や購入までのファネルなど、取得できるデータも数多くあります。しかしそのぶん設定はより細かくなり、導入をしていないECサイトも数多くあります(意外とカートのASPサービスを使っていると、簡易に拡張eコマース設定ができて便利なケースもあります)。

さてGoogleアナリティクスの「目標」と「eコマース」、この二つのコンバージョンは定義(実際の取得)上で大きな違いがあります。

  • 目標:セッション中に1度のみカウント。
  • eコマース(トランザクション):セッション中に複数回カウント。

具体的にはAさんが1度の訪問で書籍を2冊購入。決済完了後もしばらくそのサイト内で別の本を見ていたら欲しくなったので、追加で購入。この場合に書籍購入を目標に設定していたら「目標(書籍の購入完了):1」、「eコマース(のトランザクション):2」とカウントされます。
仕組みとして解説するなら、目標は「セッション」単位、eコマース(トランザクション)は「ヒット」単位で計測されているため、こうした違いが出ます。
通常使用する場合には「トランザクション数が目標より多くなる」という認識で問題ありませんが、細かくセグメントの作成やデータを扱っていく上では、セッション単位とヒット単位という違いも押さえておいた方が良いでしょう。

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Google広告

費用対効果が常に気になる広告において、コンバージョンの定義はいっそう重要といえるでしょう。
ここではリスティング広告の代表となる、Google広告のコンバージョン定義を中心に解説していきましょう。Googleアナリティクスと違う数値になる理由も、気になるところです。

Google広告では「コンバージョントラッキング」により、コンバージョンを具体的に取得、設定していきます。具体的なコンバージョントラッキングとしては「申込み」「資料請求」「商品購入」などのアクション、電話発信、アプリの場合はアプリ内購入やインストールが挙げられます。Webサイトでのアクションをコンバージョンとして取得する方法は、次の三つです。

  • Google広告のコンバージョン トラッキングタグの実装(現在はグローバル サイトタグが推奨)。
  • Googleタグマネージャーでの設定。
  • Googleアナリティクスのコンバージョンを使用(目標をインポート)。

ここからは、Google広告のより具体的なコンバージョンの定義と仕様について解説していきましょう。第一にGoogle広告のコンバージョン設定をおこなうことで、広告とコンバージョンの紐づけがおこなわれます。それによりリスティング広告のクリックに対してコンバージョンがカウントされるのですが、これには広告のクリックごとに 1 回のカウントがされる「1 回のコンバージョン」、広告のクリックごとに複数回のカウントがされる「すべてのコンバージョン」
という二つのカウント方法があります。

たとえばBtoBサイトに資料請求フォームがあり、同じ担当者が自分の部署用と他部署用に2回資料請求をおこなったら、単純なカウントでは2つのコンバージョンです。しかし企業単位の見込みリストを獲得したと解釈するとコンバージョンは1なので、「1回のコンバージョン」が適しています。

BtoCサイトで同じチームのサッカーのチケットを、異なる試合ごとに3回予約した場合は、どの試合の人気が高いかを測るなどの意味で「すべてのコンバージョン」を選んでもいいでしょう。
こうしたカウント方法は、コンバージョンごとに変更することができます。

※上の事例ではわかりやすいようにBtoBとBtoCの形で対比させていますが、ビジネス形態やコンバージョンへの考え方により実際は柔軟に変えていきます。

eコマースレポート2

カウント方法は「数」に対するアクションですが、もう一つ大切なものとして「時間」に関する設定があります。つまり、広告の計測期間です。Google広告へのクリックをおこなった後の何日間を、広告の成果として計測するか。これもコンバージョン設定内で柔軟に変更することができます。

デフォルトの設定は30日です。ビジネスやキャンペーンの特性により、この編集は必須といえます。たとえば問い合わせ以降10日間が有効のキャンペーンをおこなっていた場合、その成果を測るのに30日間は長すぎます。キャンペーン自体の成果を見るためには、10日にするのが適切でしょう。

さてGoogle広告とGoogleアナリティクスのコンバージョン定義、仕様について、まずは先ほど紹介したカウント方法に違いがあります。Googleアナリティクスだと「目標」の場合はセッションごとに1回、「eコマース(トランザクション)」はセッションごとに複数回ですが、Google広告は「1回のコンバージョン」「すべてのコンバージョン」を選択可能です。

また発生日についても、よく疑問が出るところです。Googleアナリティクスのコンバージョン発生日は目標(またはトランザクション)の発生日です。つまり資料請求をしたのが7月10日なら、単純にその日付がカウントされます。一方Google広告の場合は、広告をクリックした日がコンバージョン発生日となります。つまり先ほどの例で広告をクリックしたのが7/5ならば、Google広告のコンバージョン日は7/10ではなく7/5です。

またGoogleアナリティクスはコンバージョンに対してラストクリックになった「参照元」をカウント、Google広告は最後にクリックされた「広告」にカウントするといった仕様の違いもあります。つまりコンバージョンした時の流入がGoogleの自然検索だったなら、GoogleアナリティクスのコンバージョンはOrganicSearchとなります。仮にその前にGoogle広告のクリックがあれば、Google広告のレポートでは広告に紐づくコンバージョンとしてカウントされます。

この他、もろもろGoogle広告とGoogleアナリティクスのコンバージョン定義、仕様には違いがあります。そのため数がずれてカウントされることは、普通のことです。

実際の見方、運用はどうおこなえばいい?

この記事では同じGoogleのサービスであるGoogleアナリティクスと、Google広告について取り上げました。実際にはYahoo!広告やFacebook広告など、複数の広告を利用している所も多いはずです。広告の効果測定ツールを導入している場合もあるでしょう。

ソリューションごとの定義や仕様の違いはもちろん、それぞれに対して企業やWebサイトごとに設定を変更しているはずですので、前章の最後に書いたように数値のずれは必ず起こります。そのため「どのレポートをメインで見るか」「サイト内行動と合わせた広告評価をどうおこなうか」などが、実際の効果測定ではポイントになります。

ただし、設定の不備などで数値がおかしくなっているケースも多く見られます。単純な話、各広告のレポートとGoogleアナリティクスの数値の乖離が大きすぎる場合には、この可能性が高いでしょう。広告専門の部署がない場合は、Googleアナリティクスのデータだけをもとに施策を立てるというケースが多いはずです。設定上の不備も極力なくしていった方が良いのは、言うまでもありません。

リードプラスではインバウンドマーケティングとともに、費用対効果を高めるための広告運用、あるいはマーケティングの施策評価に関する支援もおこなっています。

数値管理や評価、効果測定にお悩みの方、広告効果をより高めたい方は、お気軽にご相談ください。

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