理解してますか?少し踏み込んだSEO用語を解説(QDD,QDF,クローキング 他)
SEOもこれだけ成熟してくると、「クローラー」や「アルゴリズム」なんていう言葉は普通に使われます。「MFI」という用語も、ほとんどの方が理解しているでしょう。
しかしSEOまわりには、まだまだ専門用語がたくさん存在します。この記事ではそんな、少し踏みこんだSEO用語を解説していきます。仮に同じ内容を指していたとしても、これらの用語を使うだけでワンランクアップしたような気持ちになれるかもしれません。
SERP
これはわりと基本的な用語、読み方は「サープ」です。
意味は検索結果画面。ですからいつも目にしている画面です。正確には「Search Engine Result Page」ですから、このスペルを見ればすぐに理解ができるでしょう。複数形で「SERPs(サープス)」と呼ばれることもあります。
SERPで良い位置に表示させることがSEOの基本ですが、自然検索の順位をあげることとイコールではなくなっているのが悩ましいところです。
リスティング広告の表示は昔からありますが、1画面での広告の表示数や表示位置は、変化を繰り返しています。さらにナレッジグラフやローカル検索結果(Googleマイビジネス)など、Googleの別の試みにより自然検索で上位であっても昔ほど集客ができない、といったことも多発しています。
しかしこれらは、アクセス解析で検索キーワードが取得できなくなったのと同じように、不満を言っても仕方がないことです。こうしたことを含めSERPでの表示をいかに最適化できるかが昨今のSEO、と腹をくくって捉えましょう。
リンクポピュラリティ
こちらもかなり昔からある用語、外部リンクの質と量によりそのWebページの評価をおこなう、というものです。
古くから被リンクや外部対策としてよく知られていますが、近年は「被リンクは意味がない」「むしろマイナス評価になる」という風評被害といった状況も目立ちます。
今はこうした風評がたった原因をご存知ない方も多いでしょう。一時期SEO業者が質の悪い被リンクを大量につけていたのですが、Googleが2012年のアップデートで、そうした施策がほどこされているWebページの順位を大きく下げた(2012年のペンギンアップデート)ことに起因します。
もともと「質の高いサイト、関連性があるページからのリンクを評価する」という前提があったのに、まったく無関係で質も悪いページからただ闇雲にリンクが貼られていたのですから、順位が下げられたのは当たり前だったのです。
実際問題、リンクポピュラリティは今もランキングの重要要素の一つとされています。
ただしGoogleのアルゴリズムが進化していますので、その影響力は相対的に低くはなっています。
しかしランキングを決める重要要素なのですから、正当な被リンクはきちんとつけていきましょう。たとえばビジネス上の結びつきがあるサイトであれば、積極的な働きかけもしていけるはずです。
クローキング
これは、良くない言葉の部類に入ります。
つまりはユーザーが目にするページとは別に、検索エンジンに別のコンテンツを見せるという行為です。
これについてはGoogleが「ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)に違反する」と、ハッキリとアナウンスしています。なおこの範疇にはコンテンツだけでなく、異なるURLを検索エンジンに対して見せるということも含まれます。
よく使われるクローキングの手法としては、ユーザーエージェントやIPアドレスを用いて、ユーザーと検索エンジンに異なる内容を見せるというのがあります。
たとえばユーザーにはFLASH、検索エンジンにはテキストコンテンツを見せる、というものです。ただし今はFLASHのコンテンツそのものがなくなってきたので減ったはずですが、画像ページで同様のことをおこなってもスパム扱いとなります。
積極的にスパム行為をおこなっている方はあまりいないと思いますが、コンテンツの作りによってはクローキングとみなされてしまうケースがあります。最近だとJavaScriptを使用した場合が多いでしょう。
Googleは回避策として、「JavaScript 内と同じコンテンツを、<noscript> タグ内に記述する」といった方法を示しています。あるいは検索エンジンに対して静的HTMLを返すもののクローキングとはならない、「Dynamic Rendering(ダイナミックレンダリング)」という方法も示されています。
QDD
Googleのアルゴリズムの一つで、「Query Deserves Diversity」の略称。意味は「多様性を持った検索結果」です。
つまりキーワードに対し、さまざまな意味を持つ検索結果を返すことを指しています。
たとえば「ライト」と検索したら、「灯り」「英語の右」「野球のポジション」・・・まさに多様な解釈ができますので、それに応えるような検索結果をGoogleが返すアルゴリズムということです。
しかし現在、こうしたアルゴリズムは公式には存在しないというのが定説になっています。
一つの言葉にはさまざまな意味が内包されていますので、こうした多様な検索結果を返すという試みをGoogleはしている(していた)としてもおかしくはありませんが、少なくとも公式なアナウンスは確認されていません。
Googleの検索結果はいろいろと変わっていて、テストも繰り返されています。またこうした多様な検索結果が返された方がユーザーの意図は反映される気もしますので、実態がまったくないわけではないでしょう。
しかし公式な用語ではありませんので、SEO界隈でこの言葉を聞いたら、「いろいろな検索結果を返すと言いたいんだな」と思うくらいに留めましょう。
QDF
「Query deserves freshness」、新鮮な情報を表示するというアルゴリズムです。
前項のQDDに似た用語ですが、QDFの方はGoogleにより存在が認められています。Googleがキーワードによっては新しい話題を上位表示するということは、日常的に多くおこなわれているので実感できるでしょう。
たとえばこのブログを書いている最中、「松島幸太郎」と検索してみました。
松島幸太郎とはラグビーワールドカップ2019の日本代表選手ですが、「松島がフランス名門クレルモンと契約!今季TL終了後に移籍へ」という見出しのページが上位表示されました。
松島幸太郎選手はまさにこの日、海外への移籍を発表したばかりだったのです。
なおこの表示ロジックはWebページそのもの以外に、検索キーワードの急激な増加やSNSでの言及なども影響しているのだろう、という予測が見られます。
ファインダビリティ
ユーザーが、検索エンジンを通して「どれだけそのWebページを見つけやすいか」ということを意味します。
ただし必ずしもユーザーに限定せず、検索エンジンからの見つけやすさをこう呼ぶ場合があったり、SEOではなくIA(インフォメーションアーキテクト)、つまり情報設計での用語と解釈されることもあるようです。
英語のFindabilityの意味がそもそも見つけやすさを指すものですから、多様な範囲におよぶことは当然とも言えます。
ここではSEO内の用語として解釈すると、次のような使われ方をします。
- 数多くのコンテンツ(データベース型のWebサイトなど)から、目的のページが見つけやすい。
- 検索結果ページで競合と比較して、自社のページが見つけやすい位置にある。
カニバリゼーション
この用語も、必ずしもSEOだけのものではありません。
むしろ広くマーケティング分野で使われていたのが、SEOまわりでも使われるようになってきたといえるでしょう。
共食いを意味し、自社の商品や流通・販売チャネルについて自社が手掛ける別の商品や流通・販売チャネルを侵食して共食い状態になる、という現象を指します。
SEOでは二つ以上のページが、同じキーワードやキーワード群に対して競合する様を表します。なおこの場合のキーワードやキーワード群とは、似た意味を持つものも含みます。
検索エンジンにしてみると同じキーワードに対して似たページが複数ある場合、どちらを優先的に表示させていいかわからないという時があります。こうなるとページの評価も分散されるので、二つのページが共食いとなりどちらもそれほど上位には上がらない、という困った問題になります。
ただすべてが悪いわけでなく、たとえば固有名詞に対して二つのページが近い位置に表示されていたり、同じ検索結果ページの1位と2位というどちらも上位、あるいは1位と8位というふうに離れた順位であれば、通常はカニバリゼーションとは解釈されません。
まずはカニバリゼーションかどうかをしっかりと見極め、もしカニバリゼーションが起こっているならば、ページに割り当てるキーワードの見直しやコンテンツの最適化、内部リンクの集中などの対策をしてカニバリゼーションを解消していきましょう。
まとめ
SEOの用語として7つを紹介しました。
他にもSEOの用語にはごく初歩的なもの、逆にもの凄くマニアックなものまでたくさんあります。中にはQDDのような根拠のないものもありますし、SERPのようにこの用語を使わなくても意味が通るものもあります(私もこの用語解説以外の項では、検索結果ページという表記をしました)。
ただクローキングやカニバリゼーションといったところは、実際の順位にも大きく影響をするところです。
もし「クローキングではないか」「カニバリゼーションが起きているかも」という指摘が入ったらスムーズに解釈できるよう、こうした用語を覚えておいて損はないはずです。