【 フラり対談 】株式会社きらやか銀行

このコーナーでは、弊社会長の小林がフラりと「トップランナー」であり「変革者」であり「インフルエンサー」でもあるゲストの方々を訪問させていただき、目指すことや苦労話等を気負わないトークで展開しています。是非ご一読ください。

【 Jiro会長のフラり対談 】株式会社きらやか銀行

マーケティングのスキルアップで
ボーダーレスのデジタルリテール事業を
一挙に軌道に乗せる

きらやか銀行

株式会社きらやか銀行

きらやか銀行は、2007年に設立された山形県を地盤とする銀行です。2012年に持ち株会社じもとホールディングスを創設し、仙台銀行とグループを形成。今日では、預金者の裾野を山形県外に押し広げるべく広域リテール戦略部を立ち上げ、SBIグループとの資本業務提携のもと、ネット支店「ネットきらやかさくらんぼ支店」の預金残高を順調に増やしています。同行の広域リテール戦略部で部長を務める熊澤 達也氏に、リードプラス取締役会長の小林治郎が話を伺いました。

デジタルを駆使して地域の境界を一気に越える

リードプラス会長 小林治郎(以下、小林):本日はお忙しい中、対談にお付き合いいただき、ありがとうございます。早速ですが、きらやか銀行について簡単にご紹介ください。

きらやか銀行 広域リテール戦略部 部長 熊澤 達也氏(以下、熊澤氏):当行は、山形県を地盤とする銀行です。金融サービスを通じて、この地域における法人のお客さま、ひいては産業の成長・発展に寄与することを大きなミッションとしています。

小林:地域密着型の法人ビジネスが、貴行の主軸ということですね。取り引きしているお客さまの数も多いとお聞きしていますが。

デジタルを駆使して地域の境界を一気に越える
きらやか銀行
広域リテール戦略部 部長
熊澤 達也 氏

熊澤氏:山形県は全国的に見ても中小企業が多い地域で、法人全体の99%が中小企業です。そのため、当行をメインバンクとしてご活用いただいているお客さまの大多数が中小企業で、その数も多く約3,900社に上ります。
そうした数多くのお客さまに対して、金融機関として提供すべきサービスをしっかりとお届けするのが、私たちのコアビジネスです。


小林:
法人ビジネスを主軸とする中で、デジタルを駆使した「広域リテール事業」に乗り出した理由とは何なのでしょうか。

熊澤氏:金融機関として地域の成長・発展をしっかりと支えていくには、経営の基盤を安定させなければなりません。それには法人ビジネスのみならず、個人のお客さまに向けたリテール事業も強化する必要があります。
ところが、山形県の人口は100万人程度(*1)で、しかも人口は減り続けています。

そうした状況の中で、県内の個人に向けたリテール事業をデジタルの力を借りて、対象を広く県外に広げ強化を図ろうと考えました。その考えのもと、2023年の2月に広域リテール戦略部を立ち上げ、山形県内の個人のお客さまに口座開設を限定していたインターネット支店「ネットきらやかさくらんぼ支店」(以下、ネット支店)をリニューアルし、2023年8月末から全国のお客さまに向けた展開を始動させたわけです。

*1 山形県の人口:山形県の報告によれば、同県の人口は2023年10月時点で102万6,228人 https://www.pref.yamagata.jp/documents/1611/1001pdf.pdf

小林:確かに、デジタルの力を借りれば、銀行の支店を国内の各地域に設置する手間やコストをかけずにリテール事業の全国展開が図れます。貴行では、その可能性や合理性に注目し、新たな成長・発展に向けた一手として、デジタルによるリテール事業の広域化に乗り出したわけですね。

熊澤氏:おっしゃるとおりです。

小林:もっとも、事業の全国展開を図るうえでのデジタル活用の有効性については、地方銀行の大多数が気づいているはずです。それでも、なかなか貴行のような一歩が踏み出せないところが多いようです。その一歩を貴行が踏み出せた背景には何があるのでしょうか。

熊澤氏:私たちが、ネット支店の全国展開に踏み出せた理由の1つは、資本業務提携するSBIグループの技術とノウハウを活用できたことです。加えて、デジタル技術を使った広域リテール事業には、必要最低限の投資で数多くのお客様にアプローチできるという利点がありますし、そこから得られる収益は、当社にとって純粋に「プラスアルファの収益」です。ゆえに、始動の決断が下しやすかったといえます。

さらに、ネット支店の全国展開に向けては関係各部署の支援が必要とされ、関係者との協議も相当数重ねたのですが、すべての関係部署が私たちの想いと広域リテール事業の重要性を理解し積極的に協力してくれました。それも、広域リテール事業の推進力になりました。

ネット支店の広域化から約70日で預金残高100億円を突破

小林:貴行のネット支店は2023年8月末のリニューアル後、順調にお客さまを増やしているとお聞きしております。実際には、どうだったのでしょうか。

ネット支店の広域化から約 70 日で預金残高 100 億円を突破-01

熊澤氏:文字どおり、私たちの期待をはるかに上回るペースでお客さまが増えています。ネット支店で扱っている商品は、現時点(2023年11月時点)で「きらきらプレミアム定期預金」と「きらきらさくらんぼ定期預金」の2点のみですが、その預金残高はリニューアルから約70日間で100億円を突破しました。


当初は、リニューアルから1年で100億円に到達すれば良いと考えていたので、約70日間で100億円突破というのは驚きの実績であり、成果です。

小林:その成功の要因をどう分析していますか。

熊澤氏:成功要因の1つは、ネット支店で扱う商品(定期預金)の設計をシンプルにし、かつ、年1.0%の高金利にしたことです。また、ネット支店では、お客さまに対して商品を適切にお届けすることも大切ですが、そうした商品の提供に関して、SBIグループが豊富な知見を有しており、それを活用できた点も成功の一因です。

もう1つ、成功の要因として挙げられるのは、リードプラスにデジタルマーケティングのパートナーになっていただいたことです。リードプラスには、ネット支店のサイトリニューアルや商品(定期預金きらきらプレミアム)のランディングページ制作、ランディングページへの集客を目的にしたオンライン広告出稿などを担っていただきました。それが結果的にネット支店の好成績につながっていると感じています。

小林:そう言っていただけると嬉しい限りです。ちなみに、当社による支援で高く評価している点はどの辺りでしょうか。

熊澤氏:リードプラスが優れているのは、単に顧客の要望どおりのWebサイトやランディングページを構築したり、オンライン広告を展開したりするだけではなく、デジタルマーケティングに関する豊富な知見、ノウハウにもとづいて、どのような成果を上げるには、何をどうするべきかの適切なアドバイス、提案をしてくれることです。

私も、私のチーム(広域リテール戦略部)のメンバーも、当初はデジタルマーケティングについては知らないことばかりでした。ですので、リードプラスのアドバイス、提案には本当に助けられましたし、デジタルマーケティングのイロハを学ばせてもらったかたちです。
また、リードプラスの支援では展開した施策の効果が日次で可視化され、共有されるので、施策改善の計画や新たな一手も練りやすく助かっています。

ネット支店の広域化から約 70 日で預金残高 100 億円を突破-02

小林:お客さまに施策の効果を毎日ご覧いただくというのは、当社がこだわっていることの1つです。こうした効果の共有によって、お客さまと当社が目線を合わせながら、施策改善の一手をともに検討していくことが可能になります。
それこそが、マーケティングにおけるパートナーシップのあるべき姿であるというのが当社の考えです。その点を高く評価していただき、ありがとうございます。

「企画構想策定コンサルティングサービスのディスカバリーセッション」でデジタル活用の「目指す姿」を確認
ネット支店を次のステージへ

小林:貴行では、当社の「企画構想策定コンサルティングサービス」のディスカバリーセッションのサービスも2023年8月に活用されています。その成果をどのように評価されていますか。

熊澤氏:非常に有意義な試みで、このような機会を設けていただいたことに大変感謝しています。

小林:ディスカバリーセッションでは、貴行の各部署から15名の方が参加し、当社の担当者がファシリテーターを務め、2週間で2日間のセッションが展開されたとお聞きしています。そのセッションを通じて、どのようなことを議論されたのですか。

熊澤氏:セッションの大テーマとして設定したのは、デジタルを駆使しながら、どのような銀行を目指すかです。経営側では、デジタル活用の戦略、ビジョンを持っています。ただし、トップダウンのかたちで一方的に戦略の遂行やビジョンの実現を現場に求めても、現場がそれに共感しなければ、物事がなかなか前に進んでいきません。

そこで、ディスカバリーセッションの場で現場のメンバーの想い、考えを自由に発信してもらい、経営の戦略、ビジョンとのすり合わせを行うことにしたのです。結果的には、経営が考えることと、現場の考えとの間に共通性があることが確認できたほか、私たちの目指すべき方向性について共通の理解と合意が得られたように感じています。
また、リードプラスの優れたファシリテートによって、デジタル活用に関する参加者全員のリテラシーも向上したといえます。

小林:いま、デジタル活用の戦略、ビジョンというお話を伺いましたが、広域リテール戦略部として、ネット支店のサービスをどのように成長・発展させていきたいと考えていますか。可能な範囲でお聞かせください。

熊澤氏:考えている1つは、広域のリテール商品の幅を広げることです。また、ネット支店の全国展開を始めたとはいえ、先進的な他行に比べると、デジタルに対する当行の取り組みはまだまだ遅れています。しかも、デジタルの世界は変化が激しく、何事にもスピーディに対応しなければ、瞬く間に置いて行かれます。その意味でも、SBIグループやリードプラスの力をこれからも借りながら、物事にスピード感をもってあたれる体制を築いていきたいと願っています。

小林:山形県を地盤とする銀行として、広域リテール事業のプラットフォームをどのように使っていきたいかについて、何かお考えはあるでしょうか。当社がリニューアルをお手伝いしたネット支店のサイトでは県特産の「さくらんぼ」を全面にアピールするデザインになっていますが。

「企画構想策定コンサルティングサービスのディスカバリーセッション」でデジタル活用の「目指す姿」を確認 ネット支店を次のステージへ

熊澤氏:おっしゃるとおり、広域リテール事業のプラットフォームを通じて、山形県の魅力や特産品をアピールすることも、今後やっていきたい取り組みの1つです。
また、先ほど触れたとおり、多くの法人のお客さまがメインバンクとしてご活用いただいており、お客様の成長・発展に貢献することを重要なミッションとしています。

そのミッションの遂行をバックアップすべく、ネット支店の取り組みを法人のお客さまのPRにつなげていければと願っています。

小林:なるほど、承知しました。ぜひ、その辺りの展開にもご協力させてください。本日は、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

※本ページの内容は2023年12月時点での情報をもとに制作しております。