直帰率とは?離脱率との違いや数値が高いときの改善策も解説
Webマーケティングをおこなうにあたって、アクセス解析は決して無視できないプロセスです。中でも直帰率を確認すれば、改善すべき問題点を洗い出せます。改善することでサイト自体の知名度向上や満足度向上につながるケースもあります。直帰率を念頭に置いたサイトの分析を定期的におこなえば、新規顧客の獲得につなげることもできるでしょう。
そこで今回は直帰率について詳細を深掘りしたいと思います。意外と知られていないこともあるかと思いますので最後までお付き合いください。
直帰率とは
インターネット上のユーザーは何らかの目的で検索をおこない、興味を持ったページを訪れます。ネットユーザーがページを訪れることを「セッション」と呼びますが、ユーザーがセッションにいたるまでの動機はさまざまです。サイトそのものに興味を示している場合もあれば、特定の情報だけを求めているときもあるでしょう。どちらの場合でも、ユーザーがひとつのページだけを見て、サイトから立ち去ってしまうことがあります。このように1ページだけでサイトの訪問と退出がなされることを直帰といいます。直帰率とは、総セッション数のうち、閲覧者がどのくらいの確率で直帰しているかを数字にしたもののことです。直帰率は「直帰数÷総セッション数×100」で導くことができます。
どうしてユーザーがひとつのページしか見ないのか、コンテンツに魅力があるのかどうかを知るためには、直帰率の分析が不可欠です。CTA(Call to Action)から誘導されるランディングページなどのオファーがユーザーにとって魅力的に見えているかも確認できます。
直帰率と離脱率の違い
Webのアクセス解析で用いられる、直帰率とよく似た言葉に「離脱率」がありますが、この2つは意味の異なる言葉です。
離脱とは、閲覧者が見ていたサイトから離れることを指します。すべての閲覧者はサイトを訪問し、最終的には離脱をすることになりますが、総セッション数のうち、あるページで離脱が起きた割合を示す指標が「離脱率」です。
直帰率が、訪問から離脱までたった1ページで完結した場合の数値であるのに対し、離脱率とは訪問したサイトのコンテンツを複数ページにわたって閲覧したのちに離脱がおこなわれたページについて導き出される指標のことを指します。直帰も離脱の一種ですが、2つは別々のユーザー動向を調べるために用いられる数字ですので、意味をしっかり理解して、切り分けてチェックするようにしましょう。
直帰率の確認方法
アクセスについてデータを確認したいなら、専用のツールを用いましょう。アクセス解析は数字でしっかりとユーザーの動向を把握し、人気のページとそうでないページを見極めることが肝心です。直帰率などの項目をチェックするとき、「アナリティクス」を導入するのが賢明です。Googleアナリティクスなどのツールは無料で使えるうえ、アクセスを細分化して解析できるので、多種多様なデータを収集できます。数多くのアナリティクスツールが存在しますが、初心者でも難なく使えるのは大きなメリットです。
直帰率の目安はある?
自社サイトを運営するにあたり、直帰率がどの程度なら健全なのかは気になるところ。一般論として、直帰率は40%前後が目安とされています。しかし、サイトの構造やコンテンツ内容にも左右されるため、明確に基準を設けることは困難です。
広告などを行なっている大規模なコンテンツを抱えるWebサイトにおいては、直帰率が90%を超えるケースも散見されます。それでも成功しているという判断がされていますし、そもそもページ自体が少ない企業サイトでは、ユーザーがブランド名で検索したりして決め打ちのケースもあり、そのような場合には直帰率は低くなる傾向にあります。
SEO的に成功していて人気コンテンツほど直帰率が高くなる、という現象も十分に起こりえます。このような状況から、一概に「40%を超えているから不健全だ」とも断定できないのです。
直帰率が高いのは悪いこと?
サイトの特性によっては、ユーザーが直帰しやすくても大きなデメリットになりません。ブログのようにページが限られているサイトでは直帰率が高くて当たり前です。また、運営者側が戦略として、限られたページにアクセスを誘導しようとする場合もあります。そのため、直帰率の高さとコンテンツの品質は比例しません。直帰率が高いからといって、気に病まなくても大丈夫です。
ただ、運営者の意図とは裏腹に直帰率が高いページについては、改善する余地があるでしょう。該当するパターンとして、「トップページの直帰率が高い場合」が挙げられます。トップページはサイトの玄関であり、本当に見てほしい内容はその先の階層にあるからです。入り口だけを見てユーザーが帰る現象が多発しているようなら、一度、何らかの欠点があると見て分析を進めましょう。また、ページ内で「詳しくはこちらで」などのようにリンク先へと誘導しているにもかかわらず直帰が起こるのも、修正すべき問題が潜んでいる可能性が高いです。
直帰率の改善にはまず直帰のパターンを知る
ユーザーをサイト内に長く留め、見せたい情報へとたどり着かせるには「直帰のパターン」を探りましょう。深くサイトを見ようとしない理由は人それぞれです。自分のサイトの傾向を自覚し、早急に対策を立てましょう。
ユーザーが期待する情報がない
ネットユーザーが最初に訪問するページを「ランディングページ」と呼びますが、ランディングページになりやすいのは、検索頻度の高いキーワードが盛り込まれているなど、SEO対策のほどこされている箇所です。しかし、ランディングページに期待した情報が掲載されていないと、ユーザーは同サイトの「ほかのページを見てみよう」とは考えません。同じサイトであるかないかわからない情報を探すよりも、検索エンジンに戻ってほかのサイトを探す方がずっと楽だからです。このような場合、ランディングページにせっかく誘導できても、直帰率が高くなります。ユーザーはサイトの内容に不満を抱いているということなので、ただちに修正をするべきだといえます。
サイトのユーザビリティ(使いやすさ)が低い
ページの内容に自信があっても直帰率が高いときは、ユーザー視点でサイトについて考えましょう。運営側の願望を押しつけるだけでは、ユーザーにとって有益なページになっていない可能性があるからです。サイトの使いやすさを「ユーザビリティ」と呼びますが、ユーザビリティの低いページはどうしても直帰率が高くなりがちです。
主な例として挙げられるのが、「文字の大きさ」です。小さすぎる文字は読者に読みづらさを感じさせます。テキストを重視するあまり、そのような文字のみでページを埋め尽くしてしまうと、ユーザーは「読みにくい」と感じてそのページを敬遠してしまいます。インターネットの世界は、ユーザー本位です。少しでもユーザーが不便さを覚えたら直帰につながってしまいます。そのほかに、「レイアウトのセンスがない」「デザインが適当」といった感性にかかわる部分についても見直しの対象となる場合があります。
また、閲覧する側の環境にもよりますが、膨大な量のデータを必要とするページは、読み込みだけでストレスにもなります。フラッシュ動画などが多すぎたりするとユーザーはストレスを感じ、もっと楽に情報を得られるサイトを求めて離脱してしまいます。サイト運営では、情報の信用性、正確性は大前提であるものの、ユーザビリティまで配慮することが肝心なのです。
直帰率の改善策
もしも不本意な理由でユーザー直帰率が高くなっているなら、具体的な対処をしていきましょう。以下、改善策を挙げていきます。
キーワード・サイト・広告の関連性を高める
サイト運営者は、ネットユーザーが「問題解決」を図ってサイトを訪問することを認識しましょう。SEO対策を徹底すれば、アクセス数を上げることはできます。しかし、それでも利益が生まれないのは、ユーザーがページを見て「内容が薄い」と判断しているからです。SEO対策でキーワードを多用するのは常套手段ですが、内容が伴わなければ意味をなしません。しっかりキーワードに則した内容のページをつくってユーザーの満足度を高めていきましょう。
ネット広告からサイトに誘導する場合も、ユーザーに「広告でいっていたことと違う」と思われれば終わりです。サイトに導くためだけに適当な美辞麗句を並べていると判断されれば、どんなに良い商品・サービスを販売していても成果は上がりません。サイト運営は、集客だけが目的ではありません。集まったユーザーを顧客に変えてこそ、目標達成となります。キーワードや広告に一貫性を持たせ、希薄な内容を載せないようにしましょう。
デザインやコンテンツを見直す
サイトにたどり着いたユーザーがものの数秒で直帰しているのであれば、デザインを見直す必要もあるでしょう。直感的に「このサイトにいたくない」と考えるのは、ビジュアルに問題があるのかもしれません。玄関口であるトップページの配色や画像、レイアウトなどは特に検討を要します。
さらに、コンテンツがユーザーの思う面白さと合致しているかも考えたいポイントです。ひとりよがりな文章や難解な理論はなかなかユーザーには受け入れられません。会員登録などの成果を求めるなら、なおさら万人受けするコンテンツを目指すべきです。キーワードを検索エンジンでリサーチするなどして、大多数の人々の興味が反映されているサイトを組み立てていきましょう。
他ページへの導線を増やす・変更する
ランディングページからほかのページへの動線がわかりづらいと、ユーザーの心をつかめません。トップページからメニューが見えづらかったり、そもそもサイトの方向性が伝わらなかったりするのは致命的です。ユーザーに対して親切な誘導がなされているサイトづくりを心がけましょう。
効果的なのが、ページ同士を紐づけていく方法です。ユーザーが抱える問題の解決を希望してランディングページにたどり着いても、すぐに回答が見つからなければ、直帰は目に見えています。そんなとき、関連ページがたくさん紹介されていれば、検索エンジンに戻らずサイト内を回遊して答えを探してくれます。
広告を貼るときにも同様のプロセスが求められます。ページ内でユーザーの購買意欲が高まるようなストーリーをつくったうえで、広告を展開させましょう。文脈にかかわらず唐突に広告だけがあっても、最初から購入目的の顧客でない限り、利益につながることは少ないでしょう。
直帰率は、Webサイトの欠点を見つけるための指針となります。ユーザーが心から満足し、問題を解決してからページを離れるのであれば、なんの問題もありません。しかし、不満だけを抱いて直帰しているのであれば、根本的な構造から修正するべきでしょう。直帰率が特に高くなっているページをツールで確認し、デザインや文章を改善していきます。そして、一番見てほしい部分へとユーザーを導けるような仕組みを確立しましょう。見る側の気持ちをつかめると、サイトはより充実します。